第163回国会 衆議院 厚生労働委員会 第3号
○古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。
先ほどの委員の質問と若干重なる部分もございますが、確認の意味を込め、順次質問を行わせていただきます。
現在、就業形態の多様化やまた企業間の競争が激化する中で、長時間労働に伴う健康問題、また子育て世代における生活時間の確保など、労働者の生命や生活にかかわる問題が深刻化をしてきております。
今回の四つの法案はこれらの諸問題に対処するための改正でありますが、私はこの中から、労働時間の短縮の促進に関する臨時措置法改正案と関連して、企業の子育て支援の現状について質問を行ってまいります。
初めに、今回の改正案の実効性についてお伺いいたします。
全労働者一律の目標に向けた労働時間の短縮を図るための時短促進法は、今回の改正で、仕事と生活のバランスに配慮した労働時間の実現を目指し、労使の取り組みを支援、促進する、労働時間等の設定の改善に関する特別措置法に改められたことは評価できるというふうに考えております。
一方、時短促進法について、あくまで労使の自主的な取り組みを支援する法律であり、その実効性についてはこれまでも疑問の声が寄せられておりました。
法施行以降、週休二日制は普及をしてきておりますが、正社員一人当たりの年間総実労働時間は二千時間前後という横ばいが現状でございます。千八百時間という目標の達成はできておりません。時短どころか、残業代すら払われていないのが現実であるのは御承知のとおりでございます。千八百時間という目標が高過ぎたとの指摘もございますが、結果として時短促進法は企業から余り重視されていなかったのではないかと指摘する見解もございます。
今回の改正案は、健康や子育て、自己啓発など、個々の従業員の実情に配慮した労働時間とするよう、企業に努力義務を課すものとなっておりますが、その中身は極めて抽象的な内容であるため、仕事と生活の調和という法の趣旨が多くの労使に説得力を持たなければ、形だけの新法に終わりかねない、現行の時短促進法以上に機能するのかとの懸念もございます。
近年の厳しい経済状況のもとで、法の目的の達成は容易ではないと思われますけれども、改正案の実効性について、尾辻大臣に御所見をお伺い申し上げます。
○尾辻国務大臣 近年のグローバルな企業間競争の激化、労働者の意識や働き方の多様化の進展に伴いまして、労働者全体に占める長時間労働者と短時間労働者の割合が同時に高まるという、労働時間分布の長短二極化が進行をいたしております。また、労働時間をめぐりましては、長時間労働に伴います健康障害が増加をいたしておりますほかに、育児、介護、単身赴任、自己啓発等、労働者が抱える事情が多様化もいたしております。このような情勢を踏まえまして、個々の労働者の健康や生活に配慮した労働時間の設定の改善を促進することをねらいとして、この改正法案を提出させていただいたものでございます。
このような法改正の趣旨、目的を実現するため、労使の自主的な取り組みを政府が後押しをすることといたしまして、事業主がよりどころとすべきものとして労働時間等設定改善指針を定めることといたしております。指針を定めます。
この指針の内容は、法案成立後に労働政策審議会で議論されることになりますけれども、育児、介護を行います労働者、それから単身赴任者等への配慮に関する事項が含まれるものと考えておりまして、これらを通じて仕事と生活の両立を推進してまいりたいと考えております。
○古屋(範)委員 やはり企業におきまして、私も幾つかファミリー・フレンドリー企業と言われるようなところを見させていただきましたけれども、さまざまな細かな取り組みがございますが、大きく言って、やはり企業のトップのポリシー、意識というものがその企業の大きな方向を決めているということではないかと思っております。ですので、やはり国におきましては、総理そして厚生労働大臣、このお考え、方針というものが国にとって非常に大きな存在ではないかと思っております。
今、原稿どおりの答弁をちょうだいいたしましたけれども、尾辻大臣、仕事観、また社会観でありますとか家庭観、人生観、そのようなものはどのようなものをお持ちかなというのをちょっとお聞きしたかったのでございますけれども、おいおい聞いてまいりたいというふうに思っております。
次に、労働時間設定改善指針に定める内容についてお伺いいたします。
改正案では、時間目標を掲げる労働時間短縮推進計画にかわって、事業主が参考とすべき指針を厚生労働大臣が定めることとされております。その指針の具体的な内容の参考となるのは、改正案を審議した労働政策審議会の建議ですが、その中には、労働時間等の設定の改善に関する基本的な考え方、長時間労働者の健康保持、育児、介護等の個別事情への配慮、年次有給休暇の取得促進などについて、個々の労使が具体的な取り組みを進める上で参考となる事項を示しており、労働者の健康や生活に配慮した多様な働き方を可能とするための、既存の法律を上回るさまざまな取り組みが明記をされるものと期待されております。指針についてはその内容を十分に検討した上で一刻も早く策定すべきと考えます。
そこで、現在考えられている指針の具体的な内容について、年間総実労働時間についての数値目標を改めて設定するかどうかも含めまして、労働時間について政府の考え方を示す必要があると思いますが、厚労省の御見解をお伺いいたします。
○青木政府参考人 御質問の労働時間等設定改善指針でございますが、これは法案成立後に労働政策審議会の議論を踏まえて策定するということになっておりますけれども、現時点においては、お話ありましたように、基本的な考え方を初めといたしまして、年次有給休暇の取得しやすい環境の整備に関する事項、長時間労働者に対する休暇の付与など長時間労働者の健康保持に資する労働時間の設定に関する事項、あるいは、育児、介護や自己啓発、そういったものを行う労働者の実情に応じた労働時間等の設定に関する事項、あるいは休日明けの始業時刻の繰り下げなど単身赴任者の実情に応じた労働時間等の設定に関する事項など、改正法に規定されている事項等について、個々の労使で具体的な取り組みを進める上で参考となるような具体例を示すというふうに考えております。
数値目標のお話もございましたけれども、これにつきましては、労働政策審議会において、この指針において対処すべき問題であるという労使の共通理解がございます。その理解のもとで、一つには、目標を掲げること自体に意義が存在している、例えば一般労働者に限って引き続き目標を掲げることが重要というような意見と、もう一つには、今後、労働時間が成果に直結しない働き方が一層広がる、そういう展望に立てば数値的な目標は不要であるという意見の双方、両方が示されております。
それで、こういったことでありますので、目標に関しましては、この指針を策定する際に、長時間労働の抑制だとか年次有給休暇の取得促進だとか、そういった課題ごとにその要否や内容を個別に検討していくことが適当であるというような旨の建議もいただきました。
したがって、今後の目標については、こういった建議での指摘あるいは国会での御議論、そういったものを十分に踏まえまして、改めて労働政策審議会で御議論いただくことにしたいというふうに思っております。
○古屋(範)委員 企業におきまして、働き方、ぜひ実を上げていかなければいけないというふうに考えておりますけれども、今回の改正案では、労働時間短縮支援センターが廃止をされまして、交付金等の規定も削除されることとなっております。
今後、労働時間短縮に取り組む企業への支援について、厚生労働省はどのような取り組みをお考えか、この点についてお伺いをいたします。
○青木政府参考人 お話にございましたように、労働時間短縮に対する支援を行ってまいりました時短センターの指定廃止というようなことにいたしておりますけれども、しかし、労働政策審議会では、中小企業事業場でありますとかあるいは労働組合のない事業場においては、労働時間等設定改善委員会の設置や指針に基づく措置の実施等を円滑に行う上で支援が欠かせない場合も考えられることから、必要な範囲に絞って効果的、効率的に実施することが適当ということで建議を受けております。
具体的には、現在、専門家が事業場を訪問しまして労働時間の設定改善に向けての指導、援助を行うこと、あるいはそういった労働時間等の設定改善にみずから積極的に取り組む中小企業の団体に対しまして助成を行うというようなことを検討しておりまして、十分に対応していきたいというふうに思っております。
〔宮澤委員長代理退席、委員長着席〕
○古屋(範)委員 いずれにいたしましても、労働者のニーズや意識の多様化を背景に、個々の労働者が労働時間と生活時間をさまざまな配分で選択できるような働き方が必要とされ、仕事と生活の調和が労働時間に関する施策の重要な観点となってまいります。そして、こうした雇用環境の整備や働き方の見直しが少子化対策には不可欠、重要であることは御承知のとおりでございます。
そこで、企業の子育て支援の現状についてお伺いをいたします。
企業の子育て支援とは、仕事と子育ての両立が可能となるように雇用環境の整備や働き方の見直しをすることであります。私は、少子化の流れを変えるためには、働き方を変える、子育てと仕事が両立しやすいような雇用環境を整備することが企業の取り組みとして重要であると考えております。
私も、先駆的な取り組みをされています資生堂さん、また受賞された花王なども行ってまいりました。また、個人的な話になりますが、私の夫も一応ファミリー・フレンドリー企業と呼ばれるところに勤務はしておりますが、この二十年間を見てきて、長時間、かなり働き方はきついなというふうに実感をしているわけでございます。
本年四月一日に次世代育成支援対策推進法が施行されましたが、これは、職場や地域での子育て支援の取り組みを促し、子供を生み育てやすい社会への前進へとつながるものと期待をされております。この法律に基づき、地方自治体と従業員三百人を超える企業に子育て支援の行動計画策定が義務づけられております。この進捗状況についてお伺いをいたします。
○北井政府参考人 次世代法に基づきます地方公共団体と事業主の行動計画策定の進捗状況でございますが、まず、都道府県、市区町村が策定いたします地域の行動計画につきましては、既にほとんどの自治体で策定済みでございまして、本年七月一日時点で、都道府県では一県を除き、残りの四十六都道府県で策定済み、市区町村では三十市区町村を除き二千三百四十五の市区町村で策定済みとなっております。
また、民間企業の行動計画策定の状況についてでございますが、九月末時点で、届け出が義務づけられております三百一人以上企業のうち八四・四%、大体八割五分の企業において計画を策定している旨の届け出が既に済んでおります。特に、十一の県で一〇〇%を達成しておりますし、二十六の県では九〇%台を達成しているところでございます。
厚生労働省としては、引き続き策定状況を把握して、未策定の市町村や企業に対して早期の策定が行われますように働きかけているところでございます。
○古屋(範)委員 かなりの自治体、企業でこの行動計画の策定が進んでいる状況であるというふうに思っております。これもさらに推進をよろしくお願い申し上げます。
次に、報道機関の調査によりますと、五月の時点で対象企業の三六%が社員の子育てを支援する行動計画を提出しているということでございました。この行動計画の中で、多くの企業が悩んでおりますのが、男性社員が育児休業を大変とりにくい、どうやって男性社員に育児休業をとってもらうかという点でございます。実際に育児休業をとった男性からは、実際に家にいて子育てにかかわってみて価値観が広がったという声も聞かれまして、さらにこれも広がりが期待をされているところでございます。
これまで女性の子育てと仕事の両立支援という観点での施策が講じられてきましたけれども、今年度からは、子ども・子育て応援プランでは、男性を含む働き方の見直しが一つ加えられまして、男性の育児休業の取得に力を入れているものと思われます。雇用環境が厳しい中ですが、主要な企業は、国の掲げる十年後に男性の育児休業一〇%の目標に、ある面戸惑いながらも子育て支援に努力をしている現状が見てとれるわけでございます。
そこで、男性の育児参加が普通と思える企業風土をつくるためにも、休業中の所得保障、また代替要員の確保など、障害を取り除く努力をした上で、育児休業を父親が必ず何日か取得できる父親割り当て制、パパクオータ制の導入を考える時期にいよいよ来ているのではないかと思いますが、この点につきまして、中野副大臣に御所見をお伺いいたします。
○中野副大臣 スウェーデンとかノルウェーにおきまして、一定期間の休業を父親に割り当てるパパクオータ制によりまして男性の育児休業取得が促進されているということについては、私どもも承知をいたしております。
一方、我が国におきましては、男性の育児休業について、そもそも職場の理解不足や法制度に関する理解不足を背景といたしまして、現在、男性が〇・五六%という取得の現状でございますものですから、まずは、男性でも育児休暇がとれるんだ、そういう現行の法制度の周知や、また、男性が育児休暇をすべきだ、してもいいんだ、そういう社会全体の機運の醸成から取り組む方がいいんじゃないかというふうに今は考えております。
具体的には、全国の労働局において、育児休業は女性だけでなく男性も取得できることを周知徹底させるということがまず第一点でございます。
それから、第二点としては、次世代法に基づく企業の認定基準というのでしょうか、よく次世代認定マークを使っておりますね、この基準の中には、男性の育児休業取得実績を、例えば女性は七〇%だ、しかし、男性は一人でもいいから入れろというような規定を盛り込んでおりますので、これによって、企業における男性の育児休業の取得を促進させてみたいと考えております。
また、そういう意味で、男性の育児参加の促進のためには、モデル的な取り組みを行う企業二百社に対して、いわゆる奨励金等の支援も行うとともに、そういう事例を広く普及させていきたいということで取り組んでおりまして、今後、これらの施策を通じまして、この法制度の定着、浸透や、男性が育児参加できる職場風土づくりを着実に進めまして、委員が願っておりますところの男性の育児休業の取得促進を図ってまいりたいと思います。
特に、今御質問いただきましたけれども、育児と仕事の両立、そういう問題について議員が一生懸命御熱心に取り組んでいらっしゃるということは、本当に、そういう意味で、この問題も含めて、これからも御支援を賜りたいということをお願い申し上げながら御答弁をさせていただきます。
○古屋(範)委員 先日も、世界で初めてこのパパクオータ制を取り入れましたノルウェーの子ども家庭大臣とお会いする機会がございましたけれども、既にノルウェーではこれがもう定着をし、さらにこの期間をもっと延長しようという段階に入っているということでございます。
日本では、一気にそこまでというわけになかなかまいりませんが、女性が子育てをする上で、男性がそこに支援をしてくれるというのが、やはり子育てをしやすい、産みやすい環境づくりにつながると思っております。さらに推進してまいりたいというふうに思っております。
次に、中小企業の子育て支援についてお伺いしてまいります。
厚生労働省は、少子化対策といたしまして、育児休業を取得した従業員がいない中小企業、百人以下の企業に対しまして、初の取得者が職場に復帰をしたときに百万円、二人目には六十万円の助成金を支給する制度を創設するという方針を決めたということでございます。来年度の概算要求に関連経費二十億円が盛り込まれております。
公明党といたしましても、ことし三月の少子化対策二〇〇五緊急提言の中でも、この両立支援に取り組む中小企業、どうしたら中小企業の中で育児休業の取得を進めることができるかということに焦点を当てまして、今回の衆院選マニフェストにも盛り込んでまいりました。この制度は公明党の提言を受けて検討されたものと評価をしております。
中小企業の財政面から支援をし、大企業に比べておくれている仕事と子育てを両立する環境づくりを進めること、これは大変重要なことであり、この助成金をきっかけとして、中小企業の中で育児休業をとれる、その環境が広がっていくのではないかというふうに期待をしております。
この中小企業子育て支援助成金の具体的内容、またどうやってこの制度を普及させていくか、この点に関しましてお伺いいたします。
○北井政府参考人 今お話がございましたとおり、中小企業につきましては、経営基盤が弱く両立支援の負担感が大変強いといった事情から、育児休業の取得などがおくれております。したがって、中小企業に対して重点的な支援が必要と考えまして、今お話のありました助成金の創設を十八年度概算要求に盛り込んだところでございます。
具体的な要求内容といたしましては、百人以下の中小企業において、育児休業取得者や短時間勤務制度の利用者が初めて出た場合に、一人目は百万円、二人目について六十万円を事業主に支給するというものでございまして、実施期間は、集中的にこれを実施するということから、十八年度から五年間を予定しているところでございます。
このような支援措置が認められました場合には、できるだけ多くの中小企業事業主に実際にこの制度を知っていただけるようにすることが大事だと考えておりまして、新聞広告やパンフレットの作成はもとよりでございますが、中小企業団体など労使団体の御協力を十分得ながら、きめ細かな周知を図ってまいりたいと思っております。
また、中小企業事業主に、雇用管理に関するさまざまな相談援助をあわせて行うことによりまして、実際に中小企業において両立支援が効果的に進むように努力してまいりたいというふうに考えております。
○古屋(範)委員 ぜひこの制度が実現をし、大きくその効果を上げられ成功していくことを願っております。
次に、子育ての女性に対する再就職の支援についてお伺いいたします。
働く女性の場合、出産を機に子育てのために退職をするケースが多く、職業の継続というものが困難、またその雇用環境はまだ改善をされておりません。また、私の同世代の女性たちを見ていても、それなりの学歴、高学歴であり、ある程度の仕事を若いときにしてきても、一たんそこを離れますと、再就職、やりがいのある仕事につくことはなかなか難しい。その才能、力、非常にもったいないというふうにいつも思っているわけでございます。
この育児等のために退職をして、将来再就職を希望する女性に対して、支援の充実を図っていくべきと考えております。子育てを終えた女性の再就職を支援する相談体制の整備、再雇用制度の導入を実現すべきと考えますが、厚労省のお考えをお伺いいたします。
○鈴木政府参考人 子育ての女性に対します再就職の支援、これは少子化の流れを変える、そういう観点からも極めて重要であるというふうに考えております。
こうした観点から、厚生労働省といたしまして、平成十八年度の概算要求におきまして、現在全国に十二カ所設置をしております両立支援ハローワーク、これをマザーズハローワークに発展拡充させまして、子育てをしながら再就職が十分にできるような環境を整備していきたいと考えております。
もうちょっと具体的に申し上げますと、個々の求職者に対して担当者を決めまして、そういった担当制による求職者個々の希望に沿ったきめ細かな職業相談あるいは求人確保を図る、さらには地方公共団体等と連携した保育や託児サービス等の情報の提供、それから、子連れで来所される方も多いということから、相談スペースを広くとりまして、子連れで来所する求職者に配慮した環境の整備、そういったことを考え、所要の要求を行っているところであります。
こうした取り組みの効果があるよう、これから全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。
○古屋(範)委員 このマザーズハローワーク、私も大変期待をしております。多くの女性にとって希望の、そういった再就職の支援をできるところと考えております。ぜひ実効性あるものにしていっていただきたいというふうに考えております。
最後になりますけれども、子供を産みやすい社会の実現、少子社会への取り組み、この大きな柱であります働き方の改革、これが少子化の流れを変えることは間違いございません。最後に尾辻大臣、改めて、子育て環境の整備に向けての力強い御決意を伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。
○尾辻国務大臣 先ほどは、法律の実効性についてお尋ねであったというふうに理解してお答えを申し上げました。改めてお答え申し上げたいと存じます。
子育てしながら安心して働き続けることができ、また、出産、子育て等により一たん離職しても、その能力を生かした再就職ができる環境を整備し、子供を生み育てやすい社会を実現することは、これは極めて大事なことであると私も認識をいたしておるところでございます。お話のとおりであります。
政府といたしまして、現在さまざまな取り組みを行っておるのでございますが、ちょうど一昨日に官房長官主催の子育て支援官民トップ懇談会というものがございまして、この場で経済団体トップの方々に対しまして、仕事と子育てを両立できる環境整備のためにぜひリーダーシップを発揮してくださいというお願いをいたしました。先ほどは先生も企業のトップということでお話しになりましたが、一昨日は団体のトップの皆さんに、ぜひリーダーシップを発揮してくださいというお願いをしたところでございます。
こうしたことを含めまして、私自身、いろいろな機会をとらえまして企業に対して引き続き粘り強く働きかけてまいりますとともに、各施策のさらなる推進に努めてまいります。
○古屋(範)委員 大臣の今の御決意を伺うことができました。私も、いつもこういった施策を考える上で、企業の側、やはりさまざまな負担が多くなり過ぎて企業自体が競争力を弱める、あるいは立ち行かなくなる、そうしたときに雇用全体が不安定になりかねない、そのような論理の前に、なかなかこうした施策が進みにくいといいますか、ジレンマがいつもあるわけでございます。しかし、そこをいつか乗り越えていかなければこの少子化は絶対にとまらない、また反転することはできないというふうに考えております。
また、労働力が不足をしてくる将来、女性の力、また高齢者の力、そういうものも十分に組み入れながら進めていかなければ国が成り立たない時代でございます。慶応大学の清家篤先生なども、マラソン型、太く短くではなくマラソン型の働き方、また白石真澄先生なども、トライアスロン型、そういう働き方ということも御提案になっていらっしゃいます。この子育て世代の働き方を考える、あるいは女性の働き方を見直すということは、ひいては働く人々全体にとって大きなプラスになる。一人の人が、子育てのみならず自己啓発の場を設ける、学習をする、また地域でボランティアをするなどなど、やはり仕事一本、太く短くではなく、そういった意味で、人間らしい働き方ができる本当の意味での豊かな働き方、こういうものをこれから追求していかなければいけないということを感じております。
以上、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。