第165回国会  厚生労働委員会 第2号

○櫻田委員長 次に、古屋範子君。

○古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。

 このたび厚生労働大臣に就任されました柳澤大臣におかれましては、国民が最も期待を寄せ、また関心を寄せております社会保障を初め、重要な課題が山積する中、その重責を担われましたことにお祝いを申し上げますとともに、諸問題に果敢に取り組んでいかれることを心から期待をしているものでございます。

 大臣は、税財政、金融行政のエキスパートでいらっしゃいます。このような手腕をお持ちになった大臣が今後この社会保障という分野でどのようにその手腕を振るわれるのか、全国民が大きな期待を寄せているところであります。安心な社会を築く基盤となる、また人生のリスクに対するセーフティーネットである社会保障制度を持続可能なものにしていくため、年金、介護、医療と一体的にとらえていく改革をしていくことが不可欠であります。

 骨太の方針二〇〇六では、歳出削減の一環として、今後五年間で一兆一千億の社会保障費の削減目標というものがございます。私は、その伸びを抑制することだけを主眼に置くべきではないと考えております。一連の社会保障制度改革を行ってきた今日、社会保障費の削減は、その改革の成果を踏まえた上であるべきと思います。そして、今後は、社会保障について、どこまでの費用負担をすればどれだけの効果があるのか、とりわけ、医療や介護の費用や効果のバランスを分析し、国民にとって適正な負担はどれだけなのかということを明らかにすべきと考えております。

 以上のことを踏まえて、大臣が国民が信頼できる社会保障制度の構築に向けて今後どのような展望で改革を遂行していかれるのか、御所見をお伺いいたします。

○柳澤国務大臣 日本の財政が非常に逼迫をしておる、特に長期債務残高の規模なぞは先進国の中で最悪の状況である、こういうことはみんなよく承知をいたしているわけでございます。

 そういう中で、毎年毎年の予算というものがどういうふうになっておるかといいますと、いろいろな費目が予算にはあるわけですけれども、その中で最も伸びているのは実は社会保障であるということでございます。これは、高齢化が進むということの中で年金も増嵩をして、かさがふえることを増嵩と申し上げますので、私、ちょっとそういう言葉を使いがちなので申し上げておきますが、かさが伸びています。

 それからまた、医療もまた、若者というか青壮年の人に比べて年をとると大体五倍ぐらい掛りが増してしまうというようなことで、医療費もまた同じように伸びていく。介護はもとより、現在のところは老人の介護でございますから、専ら高齢者がふえればこれもまた伸びるという方向にある。重立った柱である社会保障給付というものは、そういうふうにどんどんどんどん伸びる方向にあるわけです。

 それを、大体その三分の一ぐらいは公費で負担をする。これは国と地方の税金で負担をするというのが基本的な構造でございますが、現在はどうなっているかといえば、そういう公費負担の部分はほとんど、金に糸目がついておりませんので、一対一で対応しているとは言いませんけれども、大ざっぱに言ってほとんどが国債でもって賄われている。これで安定しているかといえば、どう考えたって、借金で賄っているわけですから安定は著しく損なわれているということでございます。

 ですから、安心できる社会保障、あるいはそのもとは持続可能になる社会保障、これは借金で支えられている社会保障が持続可能であるなどということは金輪際考えられないことでございますから、これを何とかしなければいけない、これが私どもに突きつけられている問題だということでございます。

 これからそれをどうしていくかということでございますけれども、先ほど来申し上げますように、本当に最後のどん詰まりのところまで見通せる財政技術なりなんなりがあると、そこに向かって何をしたらいいかということを考えればいいんですけれども、しかし、それにはやはりその見積もりが難しいということと同時に、その間の経済社会の変動もまた見通すことが難しい。勢い、我々は、五年、十年の先を見て、これを少しでも改善の方向に向けていくという努力をしなければいけない。これが現在、二〇一一年度を節目とするプライマリーバランスの回復であるとか、あるいは二〇一五年にできるだけ長期国債残高を減らす方向になるような、そういう財政状況を出現させたい、こういうことでございます。

 そういう中で、やはり、歳入の方はともかくとして、歳出の方をまず削減できないだろうかということで、そちらの話を先にしていくんだということになるわけでございますが、そうした中で、社会保障はそうした削減とは無縁だよ、我々は聖域にいるんだというわけにはいかないということで、何とか、社会保障制度にも無駄だとか重複だとかが起こっているところは、きついかもしれないけれども、少しずつでも軟着陸させながら合理化をしていくということは、これは避けられないことではないか、こういうことになっている。

 先ほど私は、キャッピングというのはよくない、キャッピングというのは、技術的にいうと皆減皆増経費というんですが、公共事業費のようにキャッピングをすればすぐそれでお金が減るというものと、社会保障制度のように制度が裏打ちになっていて、幾らキャッピングをされたってそんなものとは関係なく伸びていく、こういう経費、二つあるわけでございまして、社会保障の場合にキャッピングなんというような手法は、とっても自己矛盾を来してしまう、こういうように私は考えているわけです。

 そこで、先ほど無駄とか重複とかということにちょっと触れたわけでありますが、同時に、最近非常に重要視されているのは、先ほど言ったように、高齢になるとどうしても若いときに比べて病気がちだ、こういう医療費が五倍ぐらい多くかかってしまう、だけれども、そもそも病気を前提にするのじゃなくて、病気をしないような予防とか、そういうようなことを考えるべきじゃないかということが非常に先般の医療費改革等の中で大きく前に出てきたわけであります。

 こういうことによって医療費の、今まで当然増だとされていたようなことについて少し抑制がかからないか、それぞれ健康診断なんかを義務化することによって予防をみんなでしていく、こういうことを真剣に考えようということになってまいりまして、ぜひ我々もそういう努力をすべきだ、このように考えております。

○古屋(範)委員 大臣、御答弁ありがとうございました。

 文字どおり、日本は世界で一番高齢者の割合の多い国でございます。欧米に比べて社会保障費の給付が少ないと言われておりますが、我が国としてどこまでの給付をしていくのかという観点につきましても、国民の視点に立った改革のリーダーシップをよろしくお願い申し上げます。

 次に、社会保険庁改革についてお伺いをしてまいります。

 社会保険庁の抜本的な見直しが必要であると考えます。不祥事続きで国民から信頼を失ったこの社会保険庁の立て直し、きょう、ここの委員会にもいらっしゃる坂口元大臣、大変御苦労されてきたお一人でもあると思いますが、今継続審議となっております社会保険庁改革の関連法案、この解体的出直しをすべきであると思います。それには、年金運営組織の職員の非公務員化をも視野に入れた抜本的な練り直しを図るべきではないかと考えております。今こそ国民の信頼を得ることができる新組織を早期に実現していかなければなりません。この点に関しての大臣の御所見をお伺いいたします。

○柳澤国務大臣 社会保険庁の改革につきましては、私ども政府は、先国会にこれに関連する二つの法案を出させていただいております。あえて言いますと、その前に、政府管掌の健康保険については別の協会という公法人を立てるということを、これは別の法律で手当てをさせていただいておりますので、社会保険庁の改革は一部そういう格好で先行スタートしているという状況でございます。その後の残りについて、先ほど申した二法案で改革を提案させていただいたわけでございます。一つは組織そのものについてですが、一つは業務運営についてでございまして、それで二法案という形になってございます。

 今議論をいただいた点もこの組織面、事務組織の面のお話でございます。これにつきましては、私どもの立場、政府としての立場は、先ほど申し上げましたように、九月の二十六日、最初の閣議で、前国会で継続審議にされましたこの二法案をそのまま再度国会に提出をさせていただく、こういう閣議決定をいたしたわけでございます。

 そういう立場からいたしますと、私どもとしては、まず、きょうのこの委員会を初めとして国会の皆様方にこの法案の御審議をお願いする、こういう形で、その後いろいろな問題も生じたわけでございまして、先生方、特に与党の先生を中心として目下も大変御議論もいただいているところでございますから、そういう御議論の結果をこの我々の提出している法案とどういうふうに収れんをさせていっていただくかということに勢いならざるを得ないだろうと思うわけでございます。

 我々もその過程で、原案がどういうことを気をつけてこうなっているかというようなことについてはしっかりと説明をさせていただくという形で、よりよいものになるということが一番大事でございますから、そういう成案に向けて今後とも努力をしてまいりたい、このように考えております。

○古屋(範)委員 いずれにいたしましても、国民にとって安心な年金制度に寄与する、新たな抜本的な改革を踏まえた上での組織づくりというものをよろしくお願いいたしたいと思います。

 次に、社会保障制度の中での介護保険について質問してまいります。

 四月の改正介護保険法施行から約半年がたちまして、今さまざまな課題が見えてまいりました。今回の介護保険制度の見直しにおきましては、要支援、要介護一といった軽度の要介護者に対する従来のサービスについて、介護予防の観点から見直しを行い、新たな介護予防サービスが創設をされたわけであります。

 しかし、今までの制度のもとにケアプランを考えていた人々から若干の戸惑いも出ているようであります。これまでは介護一でも車いす、また介護用ベッドなど福祉用具をレンタルすることができたが、このたびの改正に伴い、レンタルを制限されて困っているというような声を伺います。

 この福祉用具につきまして、介護保険の施行後、要介護者の日常生活を支える道具として急速に普及、定着をしております。かなりの伸びを見せておりました。しかしながら、この四月の介護報酬改定に伴い、福祉用具の利用の適正化という理由で、軽度者に対しては原則この特殊ベッド等を給付しないということが盛り込まれました。

 保険料負担を抑え、制度の持続性を確保する、あるいは利用者の自立支援、要らない方にまで車いすを支給するというのはよくないとは思いますけれども、こうした変更によって、医療ニーズを有する方など本当に必要としている方、例えばぜんそくなどを時折起こす、そういうときにはこういったベッドが必要である。心臓に疾患があり、苦しいときにだけ必要、通常は日常生活に差しさわりがないというような方々もいらっしゃるわけであります。こうした利用者の状況、置かれている環境に十分配慮したサービスが必要であると考えております。

 この点を踏まえまして、見直し後、福祉用具貸与制度の問題点が、問題なく実施されているかどうか、その実施状況について調査を行い、適切な対応をお願いしたいというふうに考えますけれども、いかがでしょうか。石田副大臣にお伺いします。

○石田副大臣 お答えを申し上げたいと思います。

 今もう委員がほとんど質問でお述べいただいたと思いますけれども、福祉用具は障害者の自立を支援する、こういうことでそのサービスを取り入れてきたわけでありますけれども、急速に普及をし、余り必要ではないのではないか、こういう利用状態から想定しにくい利用がふえてきたことも、私はやはりこれは事実だろうというふうに思います。

 それで、本年の四月の介護報酬の改定においては、原則としては、先ほどお話しになりました、軽度者に対しては特殊ベッドなどのものは給付をしない。しかし、これは原則ということで、これからもその原則は維持してまいりたいと思いますけれども、事実上起き上がることが困難であるとか、例えば、ことし、大都市の介護担当者からも要望がありましたけれども、ぜんそくの発作の人は頻回起きる場合にどうするのか、こういうことも指摘をされておるわけであります。

 ですから、この原則は維持しつつも、では現実的にどうなのか、こういう例外措置についてもやはりいま一度必要性というものをこれは検討しなきゃならぬじゃないか、こういうことですので、自治体を対象とした調査を実施したい、こういうふうに思っております。

○古屋(範)委員 ありがとうございます。
 その調査結果を踏まえて、迅速な対応をよろしくお願い申し上げます。

 次に、私がこれまで取り組んでまいりました仕事と生活の調和、ワークライフバランスという点に関しましてお伺いしてまいります。

 御承知のように、我が国の特殊合計出生率一・二五、大変低いわけであります。この少子社会への対応、待ったなし、喫緊の課題であります。公明党は昨年一月、少子社会対策本部を立ち上げまして、さまざまな識者、また経済界、労働界、マスコミ等々から意見を伺い、またタウンミーティングなども数多く行いまして、約一年半をかけまして少子社会トータルプランをまとめました。

 その柱は二つございます。一つは、生活を犠牲にしない働き方への転換、そしてもう一つは、子育ての負担を過重にしない支え方、経済的な支援というようなことであります。この二つの柱を中心に今政策を進めております。

 また、厚生労働省も一昨年、仕事と生活の調和に関する検討会報告書というものをまとめられ、私たち公明党も党内に検討ワーキングチームを立ち上げまして、働き方を見直し、また安心、納得できる環境を整備していこうと、私自身座長となりまして、識者からの意見を聴取したり、また視察など活発に活動を行ってまいりました。

 その報告書から今約二年の年月が経過をいたします。この二年の間に、企業また国民の意識も変わってきているだろうというふうに思います。

 先日、十月二十一日付の読売新聞にインターネットモニター調査が出ております。ここには、出産に関する全国意識調査ということで、現行の少子化対策が理想的な形で実現しても、子供を持つ気にはならない若者が一定割合いるということであります。その背景には、生活が多忙で自分らしさと子育てが両立しないという受けとめ方があるように思われます。

 では、現行政策以外に何をすれば子供を持つ気になれるのか。一人いる人が経済的な理由で二人、三人は持てないというのであれば、それは経済的支援あるいは保育所の整備ということになりましょうが、まず家庭を持つことあるいは子供を持つことそのものに後ろ向きであるという空気。何をすれば子供を持つ気になれるのか、最も多かったのは、働く時間を短くするなど、夫婦の時間をふやすというものでありました。

 また、内閣府が九月に発表いたしました少子化と男女共同参画に関する社会環境の国内分析でも、働く女性の割合が多い県ほど出生率が高いという結果が出ております。

 これらの調査結果から、仕事と生活のバランス、少子化対策の観点からも喫緊の課題であると言うことができると思います。仕事もまた生活も、両方充実したいというのは、女性のみならず、男性の側からも切実な願いが出ていると思われます。

 私は、このおくれている国民生活の根底にある働き方について、柳澤大臣、国、地方自治体、さらに企業も巻き込んで、ぜひリーダーシップをとって取り組んでいただきたいと思います。

 この点につきまして、大臣の御所見を伺います。

○柳澤国務大臣 少子化対策として、ワークライフバランス、ワークとライフのバランスについて、もっと少子化、子供に対して重点を置いた、そういうバランスというものをこれからどう回復していくか、非常に大事な視点ではないか、こういうことでございます。

 これは全く私も同じように考えておりまして、ちょっとだけエピソード的なことを申しますと、先般、アメリカのボストンとニューヨークに行ってきました、古い友人を訪ねたんですけれども。そのときに、ニューヨークで働くのがいいか、ボストンで働くのがいいかということが議論になりまして、ニューヨークで働くのがいいと言うのは大体仕事中毒的な人間で、これは短期的に働いて一生涯食べていかれるぐらいの所得を上げて、それで四十五ぐらいでリタイアしてしまおうという物すごい生活態度。もう一つ、ボストンは、そんなにはもうけない、まさに時間も、今先生がおっしゃったような、ファミリー、家庭に対してもしっかりしたことをやる、そういう時間を確保する。こういう生き方を、何といってもクオリティー・オブ・ライフがいいんだ、こういうふうに言っておりました。

 まさに我々は、クオリティー・オブ・ライフ、生活の質というものを、仕事だけじゃなくて、仕事を含めて生活の質というものを考えていかなければいけないということになっているわけです。

 それはそれでわかるわけですが、では具体の施策としてどうしていくか、これはなかなか難しくて、東京で生活している人たちは物すごく、馬車馬というか、もっとすごい勢いを持った仕事をする、大阪だとあるいは京都だとクオリティー・オブ・ライフをエンジョイできるというぐらいに、日本の都市なんかも個性を持って分かれていくともうちょっといいのかなと思いますが、日本は何でもかんでも今東京中心というようなことでございますから、勢い我々の施策が必要になってくる、こういうことです。

 今やっていることは、三つほどカテゴリーを分けて申し上げますと、まず育児・介護休業法で、三歳までの子供を養育する労働者に対して短時間勤務を講じなさいということ、これは企業に義務づけております。それが義務づけ、一番強いもの。それからもう一つは、それを上回る育児のための短時間勤務やフレックスタイム制度を導入したところに対しては、企業に対して助成金を払って支援する、こういうやり方をして、さらにいいところをねらってくださいと。さらに、次世代法に基づいて、働き方の見直しなどを内容とした企業の行動計画をつくってもらって、それを実施する。

 これは実は、一昨日ですか、私はファミリー・フレンドリー企業というものを表彰させていただきました。そういうようなことで、これは表彰するということですから、どれだけ実益があるのかちょっとよくわかりませんけれども、この表彰の対象になった企業の人たちはやはり育児休業の制度をとる人が非常に多いというようなところで、それを奨励していくというような企業がファミリー・フレンドリー企業として私たちの表彰の対象になる。

 それで、何を差し上げるかというと、このぐらいのステッカーを一つ差し上げるわけで、ちょっとこれではどうかしらんという感じもなきにしもあらずでしたけれども、しかし、そういうものを張っていない会社はファミリー・フレンドリーでないというようなことの認知が広まっていけば、これはこれでインパクトを持つのかな、こんな思いで表彰させていただいた。

 いろいろな施策をやっております。

○古屋(範)委員 この仕事と生活、ワークライフバランスを確立する上で、私が今特に取り組んでおりますのがテレワークの普及ということであります。

 前内閣で総務大臣政務官をしておりましたときに、このテレワークを推進しようということで、総務省にことし五月テレワーク推進会議を設置いたしまして、積極的に進めてまいりました。この九月から本格実施をするということで決めていただきまして、省員の中で募集をいたしまして、約三十名ほどの方が手を挙げてくださったそうであります。特に、育児休業、短時間勤務は女性の側がとっており、その父親の側が、子育ての期間の父親が手を挙げているということを聞いております。

 通勤時間がない、あるいは時間や場所にとらわれない在宅勤務、テレワークという働き方、これは障害者の方々も働ける形態でありますし、また母子家庭のお母さんなどにも非常に有効なものであり、またキャリアアップのための学習機会創出の観点からも非常に有効であると考えております。

 政府のIT戦略会議では、テレワーカーを二〇一〇年までに就業者の二割にするということも設定をしております。また、安倍総理大臣も所信表明演説の中で、テレワーク人口を二倍にするという御決意を表明されています。

 この件につきまして、大臣の御所見を伺います。

○柳澤国務大臣 今先生御指摘をいただきましたように、e―Japan戦略第二フェーズでは、就業人口に占めるテレワーカー、八時間以上テレワークを実施する人の比率を、二〇〇二年の六・一%から二〇一〇年までに二〇%にするという目標を掲げております。現状どうかといいますと、これは国土交通省の調査でございますけれども、テレワーク人口は、二〇〇二年では四百八万、六・一%、それが二〇〇五年、これは実績でございますけれども、六百七十四万人の一〇・四%ということになっておりまして、二〇%という目標はなかなか厳しいかもしれませんけれども、これは着々と実現に取り組まなければいけない、このように思うところでございます。

 テレワークは、確かに家庭と仕事を両立させる非常に有力な武器で、むしろITの革命が起こったときはみんなこうなっていくんじゃないかぐらいの夢を持ったんですけれども、必ずしもそうではなくて、やはりフェース・ツー・フェースの接触というのが大事だということであるわけですが、今後ともこの面について注視をして取り組んでまいりたい、このように思います。

○古屋(範)委員 私もこの八月、熊本にありますNTTネオメイトという、NTTの子会社でありますけれども、ここのデジタル地図バーチャルファクトリーというところに行ってまいりました。ここは、関西エリア七県、そこで障害者の方々、また母子家庭のお母さん、そして一般の方々も含めてテレワークの就労支援をしている会社であります。

 ここでは、航空写真をトレースして地図にするという仕事、それから、最近では漫画を、本を携帯で見られるようにレイアウトし直すわけなんですね。それを自宅でテレワークをしている。多くのオペレーターがいて、同じ画面を見ながらその指導をしているというような、障害者、当然母子家庭のお母さんたちもそれなりの収入があるということでありました。

 労働を所管する官庁であります厚生労働省におきましては、このテレワークの取り組み状況なんですが、総務省を初めとしまして、人事院、経済産業省、国土交通省、財務省なども試行実施をしております。当の厚生労働省はまだ試行実施さえもしていないということで私も大変驚いたんですが、ぜひともテレワークにつきまして推進をしていただきたいというふうに思いますので、何とぞよろしくお願いいたします。

 もう時間がなくなってまいりましたので、少し飛ばしまして、最後の質問に参りたいと思います。

 仕事と生活のバランスをどう図っていくか、これは少子化対策、また子育て支援だけではないと考えております。ワークライフバランス、趣味や勉強、ボランティアなど生活を重視する、また、賃金や昇進よりも家族を大事にしたいなどなど、さまざまな生活スタイル、またその働き方というものをみずからの意思で選択できる社会をつくっていかなければいけないと思っております。自分の意思に反して、やむなくこういう生活を選ばなければいけないというのではいけないのではないかというふうに思っております。

 そこで、公明党は、国全体の意識改革のためにも、個別のさまざまな法律、制度、施策を充実させるための基本法が必要であると考えております。公明党は、仕事と生活の調和推進基本法の制定を目指して現在その法案づくりに取り組んでおります。ぜひともこれを制定すべきであると考えますが、大臣の御所見を最後に伺いたいと思います。

○柳澤国務大臣 議員立法が非常に盛んになりまして、その意義はいろいろにあるわけでございますけれども、議員立法をすることによって、そこにそういう問題があるということを国会それから国民が非常に強く意識する。宣言的な法文が多いというようなことで批判的に言う向きもあるわけですけれども、その宣言こそが大事だ、有効な機能を果たしている、こういうことは非常に多くの議員立法の中にあると私は思います。

 そういう意味もありまして、ぜひ先生方の御努力でその議員立法が実られ、また、その実った暁には、我々はその趣旨を重く受けとめて、今先生おっしゃったワークライフバランスを重視した働き方の推進のために力としていきたい、このように考えております。

○古屋(範)委員 大変力強い御答弁をありがとうございました。
 以上で終了いたします。ありがとうございました。

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