第165回国会  厚生労働委員会 第7号

○櫻田委員長 次に、古屋範子君。

○古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。本日は、周産期医療の充実について質問してまいりたいと思っております。

 先般、奈良県におきまして、分娩中に意識不明になった女性が十九病院に受け入れを断られ、ついに死亡した、大変痛ましい事件がございました。この問題につきましては、先日の当委員会におきましても何度か取り上げられたテーマでございます。

 私は、この妊婦死亡事件は、周産期医療体制の整備のおくれ、またその背景にある産科医、看護師などの不足がもたらす影響が大変に大きいのではないかと考えております。

 この問題では、町立病院の対処が適切だったかどうか、これがまず検証されなければならないのは当然でありますが、それとともに大事なことは、なぜこの奈良県で周産期医療ネットワークの構築がおくれているのか、また、厚生労働省は、これまでも整備のおくれの目立つ各県に対し、助言指導を行って補助金の支給などをされているということも承知をいたしておりますが、それでも、周産期医療ネットワークの構築は第一義的には確かに都道府県の責任であるとして、地方にそれが任せきりになっているのではないかと改めてこの事件を契機に問う必要があると考えます。

 今回の問題は、子供を産み育てる環境の整備がおくれていることへの重大な警告と受けとめ、強い危機感を持って取り組んでいただきたいと思っております。

 厚生労働省としても、各県への助言指導を含め、さらに一層の積極的な取り組みが必要ではないかと思いますが、これについての御所見をお伺いいたします。

○武見副大臣 古屋委員の御指摘のとおり、この大淀病院の件、これはまことに悲惨で、あってはならないことである、こういうふうに考えます。そしてまた、このことをやはり教訓として、実際にこれからいかにこうした周産期医療ネットワークというものを充実させていくのかという、まずその基本姿勢が極めて重要というふうに考えます。

 そこで、厚生労働省といたしましては、一般の産科病院等とそして高次の医療機関との連携体制を確保する周産期医療ネットワークの整備というものをこれからさらに一層進める努力をしなければならない。そのために、未整備の県、ここに早急にその整備を図るよう促する、そしてまた、整備されるまでの間の、現行体制での迅速かつ適切な医療の提供というものの確保、そして既整備の県、ここにおきましても現行体制の点検とかその充実を図る取り組みというものを実際に促するということを今厚生労働省としても積極的に取り組んでやっているところでございます。しかし、なお一層の努力を必要とするというふうに考えます。

 また、先般の医療法の改正で、すべての医療機関に対しましては、安全に関する職員の研修の実施など、医療安全の確保を義務づけることとしております。そして、さらに、こうした医療事故の死因の究明が客観的に行われるということのために、事故の発生の防止、再発防止などの観点から客観的な取り組みが必要でございまして、本年度内を目途に厚生労働省から試案を御提示申し上げて、そして来年度に有識者による検討会を開催いたしまして、その議論を踏まえて必要な措置を講じることとしております。

○古屋(範)委員 今副大臣から、基本姿勢、そして今後の取り組みについてお話をいただきました。

 こうした悲惨な事件があって初めて取り組むというのは非常に遅いということもありますけれども、これを機に総合周産期母子センターの設置等、各都道府県が責任を持って整備をしていけるよう、取り組みを国としてもお願いしたいというふうに考えております。

 今回の奈良県の事件の報道の中で、十九もの病院がなぜ断ったのか、その理由について新聞報道等でも掲載をされております。まず、新生児集中治療室、NICUが満床であった、また、高リスク分娩が進行中であった、麻酔医の不在、帝王切開の手術中などなど、さまざまな理由が報道されておりますけれども、その大半が、満床であるあるいは処置中であるというような理由でありました。

 そこで、なぜ十九もの病院が受け入れを拒否し続けたのか、ぜひ厚生労働省としても調査を行い、原因究明に全力を挙げていただきたいというふうに思いますけれども、この原因についてはどのような分析、検討をされているのか、お伺いいたします。

○大谷政府参考人 お答えを申し上げます。

 今回のケースの原因の分析また検証は、こうした死亡事例の再発防止のために大変重要というふうに考えております。

 厚生労働省におきまして、奈良県から事実関係について聞き取りを行いましたところ、奈良県内の二つの病院の搬送を受け入れることができなかった主な理由は、今御指摘のありましたように、新生児集中治療管理室、いわゆるNICU、また母体・胎児集中治療管理室、MFICUが満床であったためというふうに聞いておるところでございます。

 それから、ちょっと補足申し上げますと、奈良県の方もその後努力を続けておりまして、平成十九年度の整備に向けて、この十二月議会に基本・実施設計の補正予算を上程するということで、MFICUの増床を現在準備しておるということも把握しておるところでございます。

○古屋(範)委員 そのような、NICUが満床であったという原因は明らかになっているわけでありますけれども、奈良県としても今後の取り組みを開始したということであります。

 緊急な、高度な産科医療を担うはずの拠点病院が、新生児集中治療室などのベッドが満床であったという理由でこの受け入れを断ったということに、私は非常に強い危機感を覚えております。危険な状態の妊婦の受け入れを要請されながら、地域の中核病院が、新生児集中治療室の満床、また人手不足のために受け入れを断らざるを得なかった。現場にいた方は、心情的には何としても受け入れたいというふうにその場では思ったかもしれませんが、現実的にはそれができなかった。このケースは奈良周辺だけの問題ではないというふうに思います。

 例えば、これは熊本市民病院ですが、昨年一年間で地域の医療機関からの要請件数の四割強の受け入れができていない。そして、県外の病院まで搬送された妊婦もいると聞いております。また、福岡都市圏でも、昨年主要三病院が三割から五割は搬送を断っているということ、この周産期医療を取り巻く現状は大変厳しいものがございます。

 この実情をかんがみて、周産期医療を取り巻く厳しい状況の改善へ、ぜひ全国的な調査を行うべきと考えておりますが、この点はいかがでしょうか。

○大谷政府参考人 御指摘のように、人工呼吸による長期の管理が必要なお子さんなど、NICUに長期入院している患者さんが多い、都道府県によりましては、NICUの後方支援施設も含めましてその稼働率が低下しているという指摘がなされているところでございます。

 こうしたことから、周産期医療ネットワークが未整備である奈良県で起きた今回のケースも踏まえまして、各都道府県において、NICUが実態としてどの程度不足しているのか、また周産期医療体制が十分に確保できているのか、こういった問題について、全国的な状況の把握について早急に対応したいと考えております。

○古屋(範)委員 ただいまの答弁のとおり、NICUが実質どのくらいあり、そしてそれが実際に機能しているのかどうか、その現実をぜひしっかりと調査していただきたいというふうに思います。
 今も少し触れられていましたけれども、後方支援ということであります。

 現在、我が国の乳児死亡率は世界で最も低いということで、新生児医療は大変進んでいるということが言えるかと思いますが、この少子高齢社会にあって、今後も新生児を守る周産期医療の質を向上させる必要があると考えております。

 やはり、これから子供を産む方々におきましても、出産に対する不安、あるいはこういう事件がありますと、さらに恐怖というものも感じてしまうかもしれない、さらに、子供を産むことへの気持ちが後ろ向きになっていくかもしれない、そのようなことも考えるわけでありますけれども、現状のNICUは常に満床に近い状態が続いている。本来機能である急性期の患者をここに入れて救命し、治療する、そのベッドが足りないということが現場から聞こえてまいります。

 その一因として考えられますのが、ここに長期入院する慢性肺疾患、また自宅や通常の障害児施設では管理できない高度の呼吸管理を必要とする超重症長期入院児の存在であります。

 平成十一年度の厚生科学研究、周産期医療体制に関する研究でも、全国のNICU三百七十二施設におきまして六十日以上入院している長期入院患者数が千百五十九名に達し、そのうち自宅に退院見込みがある者が約六五%、退院の見通しの立っていない者が約二〇%であるということであります。また、日本産婦人科医会が行った調査の結果でも、一年以上NICUに入院を余儀なくされている慢性病児は日本のNICU施設の約五〇%に達しているという報告もなされております。私も、新生児集中治療室で長年入院をし、入学も迎えたというような事例も伺っております。

 この日本産婦人科医会や日本医師会等から、昨年、NICUの後方支援施設の充実についての要望が出されていると伺っております。しかし、なかなか進んでいないのが現状ではないかと思います。

 急性期の未熟児、新生児の治療、延命、救命というNICU本来の役割を十分果たすために、呼吸管理等も可能である慢性的な集中治療を必要とする患者のための専用施設、いわゆるNICUの後方支援施設の早急な充実に努めなければならないと考えますが、この点、大臣の御所見を伺います。

○柳澤国務大臣 まずNICUの確保が大事、そしてまたそれを取り巻くところの周産期医療のネットワークの構築が大事ということなんですが、今古屋委員の御指摘のように、NICUに長期に入院をする、そういうような患者さん、新生児の方が非常に多くて、NICUが占拠状態になっている、こういう事情がございます。

 そこで、今、学会等からも御要望をいただいておりますNICUの後方支援が大事だということになるわけですけれども、私どもといたしましては、NICUの後方支援施設の運営にも資する入院医療管理料の引き上げなどの診療報酬面での措置などを進めているところでございます。

 いずれにいたしましても、NICUの確保を初め総合的な周産期医療体制を整備するため、安心して子供を産み育てるためにはこの整備が非常に大事であると思っておりまして、実態把握を含め、その整備に鋭意取り組んでまいりたい、このように考えております。

○古屋(範)委員 平成十七年度成育医療研究委託事業の中で、NICUの後方医療に関する研究というもの、この研究報告書が本年三月に提出をされております。

 その中では、ステップダウンユニットというものが提案をされております。急性期の救命医療とともに、みとりの医療、在宅医療も含めて、総合医療が行われる小児集中治療の普及が我が国は極めて限られている、そうした中で、集中的に慢性呼吸不全を取り扱う病棟、ステップダウンユニットとこの中では言っているんですが、その有効性がこの中では訴えられております。こうした病棟では、在宅医療に向けての出口を持った病棟、またレスパイト入院などの入り口もある病棟、慢性呼吸管理、在宅移行への前向きな意識を共有するような、本来とは性格の違うこうした慢性呼吸管理病棟の設立というものもこの中では求められております。

 こうした周産期医療の健全なる発展のために、後方支援施設の拡充を強力に進めていただきたいと考えております。

 先日、我が公明党厚生労働部会で、周産期医療に大変熱心に取り組んでいらっしゃる鹿児島市立病院周産期医療センター部長の茨先生をお招きし、この現状と課題をお伺いいたしました。

 この病院は公立病院の中でも日本でも有数の陣容を誇っている病院でありまして、その契機といいますのが、昭和五十一年、山下家に五つ子ちゃんが生まれた、御記憶にある方もいるかもしれませんが、そのときを契機に周産期医療の充実に努めてこられた病院であります。

 この茨先生は、近年の周産期医療の進歩により、これまで救命不可能だった低出生体重児や、また重症新生児の救命が可能になってきている、日本の乳幼児死亡率は世界で最も低いレベルに位置されているとまず強調されたその一方で、新生児集中治療室、NICUから退院できない重症心身障害児等の長期入院が多いためにNICUのベッドが不足をしている、急性期の未熟児、新生児の治療、救命に支障を来しているという御指摘をいただきました。重症心身障害児施設でも積極的に超重症児を受け入れる体制の構築をというふうに教授は訴えられておりました。

 現在、人工呼吸などを必要とする重症心身障害児に対する診療報酬加算は、超重症児加算として一日三千円、月九万円しかない。重症心身障害児施設でも、積極的にこれらの超重症児を受け入れる体制は構築をされておりません。そこで、先ほども少し大臣触れていらっしゃいましたけれども、この超重症児加算の大幅な増額、もしくは超重症児を診ている施設への運営補助金体制の新設が望まれるところではないかと思いますが、いかがでございましょうか。

○水田政府参考人 お答えいたします。

 平成十八年度の診療報酬改定におきましては、政府・与党の医療制度改革大綱に沿いまして、小児医療について重点的な評価を行うということでございます。

 その一つの効果といたしまして、大臣からも述べましたように、NICUの後方支援のための病床における重症児の療養にも資する小児入院管理料の引き上げ等を行ったところでございます。

 このため、まずはこの引き上げ措置の効果について見守るとともに、今後実施する結果の検証を踏まえまして、その後の議論につなげていく、このようにしたいと考えております。

○古屋(範)委員 次に、先ほども言われました高度な病院とそして産院との連携ネットワークという観点についてであります。

 周産期施設で働く医師たちからは、NICUの整備がおくれた地域では、常に満床状態の悪循環が続いているために、施設を集約してスタッフを充実することで効率的な治療をするしかないという意見がございます。私も同感でございます。しかし、施設を集約するのであれば、当然必要なのは搬送体制の整備ということになるかと思います。

 鹿児島市立病院では、新生児専用のドクターカーを使っておりまして、こうのとり号という名前をつけているそうなんですが、一人でも搬送中に状態の悪くなる不運な赤ちゃんを減らしていこう、赤ちゃんの障害なき生存を目指す目的で、二十四時間体制、医師一名、看護師一名が同乗してドクターカーを運用されているということであります。

 この新生児専用のドクターカーは、搬送中に集中治療に必要な設備、大人とはサイズが違うということは当然でありますけれども、保育器による体温の維持、また人工呼吸、ブドウ糖点滴などの集中治療で脳への障害を少しでも防ごう、また、新生児の脳は非常にやわらかいと聞いておりますけれども、ブレーキをかけても圧力が変化をしないような、脳の血流、血液が逆流しないような工夫をされたベッドを設置しているということであります。二〇〇一年から六年まで、この出動件数は約七百回、年間百四十回出動をしているということであります。

 このような新生児専用ドクターカーでの搬送システム、これが各地域で導入されることが必要かと思います。これだけのNICUが整っている鹿児島でも、心疾患の新生児を扱うことができないということで、福岡まで搬送するしかないということでございました。こうした新生児専用のドクターカーについてはさらに手厚い加算をすべきではないかというふうに考えますが、これもいかがでございましょうか。

○水田政府参考人 お答えいたします。

 これまで新生児を救急用の自動車を用いて搬送いたしまして、医師が同乗して診療を行った場合につきましては、救急搬送診療料とその乳幼児加算、こういう形で評価を行ってきたところでございます。

 御指摘のような、新生児の搬送中の診療に特別に着目した評価は現在は行っていないわけでございますけれども、先ほども申しましたように、今回、小児医療全般につきまして重点的な評価を行ったところでございますので、まずはその効果について見守らせていただきたいと考えております。

○古屋(範)委員 その検証の上で、次の改正に向けまして前向きな御検討をお願いしたいと思います。

 次に、周産期医療をめぐって、病床数の不足とともに、先ほどもございましたけれども、医師不足の問題も深刻であります。

 周産期医療の充実、こうした新生児集中医療の病床の拡充、これは当然といたしまして、現状を見ますと、やはり何といっても小児科医、産科医、看護師の不足、これが常態化をしており、拡充といってもすぐにというのは非常に難しい状況であろうというふうに思います。

 今回の問題で、奈良県でも平成二十年一月に県立医大病院に総合周産期母子医療センターを開設することを決めたというふうに聞いております。ここでは、これまでなかった新生児集中治療管理室用の後方病床三十床も新設するという報道もございました。後方支援に大変期待をされているところでありますけれども、こうした施設整備が進みましても、やはり人材不足というのは非常に深刻であります。

 さきに指摘をいたしましたように、このネットワーク整備がおくれている最大の理由というものがやはり人員の確保の問題であります。この背景に産科医また看護師の不足があることは見逃せません。

 この春、日本産科婦人科学会総会で、減少し続ける産科医の実態が報告をされました。一九九四年から十年間に産科医が八・六%減少している。そのうち半数に当たる四・三%はこの直近の二年間で減っているというのが現状であります。現在の日本の周産期、新生児医療は、医療従事者の一人一人の使命感あるいは情熱によって成り立っていると言っても過言ではないと思います。医師も看護師も当直が多く、過酷な労働条件を強いられている。こうした中で、医師の養成には即効薬がないわけでありますけれども、特に産科医の養成確保についてはどのようにお考えか、本当に病院間での争奪戦が展開されているということでありますけれども、この対応について具体策をお伺いいたします。

○松谷政府参考人 産科医の総数は、小児科医と異なりまして、近年減少傾向にございます。ただし、出生数も減っておりますので、出生数当たりの産科医数はおおむね横ばいで推移しているところでございます。

 しかしながら、先生御指摘のとおり、地域の偏在がございまして、特定の地域におきまして産科医の不足感、大変強くなっているということで、その養成確保というのは重要な課題であると思っております。

 産科医の養成につきましては、医師国家試験におきまして産科に関する基本的な知識、技能を問うとともに、平成十六年から開始しております臨床研修制度におきましても、産婦人科を必修科目とすることによりまして、周産期医療についてもきちんと研修をするということなどの取り組みを行っているところでございます。

 平成十八年三月に臨床研修を修了する研修医に対して調査を行ったところでございますけれども、それによりますと、産婦人科を希望すると答えた医師は四・九%いらっしゃいまして、今の若い二十代のお医者さんで産婦人科をやっていらっしゃる方は四・二%ぐらいでございますので、これを考慮しますと、これまで並みあるいは若干希望者が多くなっているというふうな状況でございます。若いドクターが産科の研修を、必修でございますので必ずやって、そこで嫌になるということではなくて、そこへ進む方もそれなりに出てきているということは私どもは大変うれしいことだと思っておる次第でございます。

 産科医確保を含みます医師確保につきましては、先ほども御答弁申し上げましたが、本年八月に新医師確保総合対策を策定したところでございまして、産科につきましては、特に拠点病院づくりなど地域の実情に応じた医療機関の機能分担と連携を図るということが必要であると考えております。国といたしましても、医師確保対策の積極的な取り組みに対する都道府県への予算面での支援、さらに地域医療支援中央会議などを国に設置いたしまして、医師確保に関する助言指導等を行うということを検討しているところでございまして、今後とも努力していきたいと思っております。

○古屋(範)委員 最後の質問になります。

 産科医不足の理由といたしまして、医療事故発生により訴訟を起こされるというのが一因であるというふうな指摘がございます。こうした出産をめぐって刑事責任が問われる事件が相次いでおりまして、萎縮した医師が難しい出産を避け、より高度な医療機関に任せる傾向が強まってきております。こうした産科医療におきまして、脳性麻痺など分娩にかかわる医療事故の発生により多くの訴訟が提訴されていること、これが産科医になりたくない、産科医不足の理由の一つになっていると考えられます。

 私たち公明党も、福島豊議員を中心にいたしまして、本年、有識者による、海外の制度を学ぶなど検討を重ねてまいりましたのが無過失補償制度の整備でございます。この無過失補償制度の一刻も早い創設について、大臣の御見解を伺いたいと思います。

 また、この産科医療にとどまらず、将来においては、医療事故の報告制度、裁判外紛争処理制度、無過失補償制度を一体的な制度として創設すべきと考えますが、この点について御見解をお伺いいたします。

○柳澤国務大臣 古屋先生御指摘のとおり、産科のお医者様の萎縮ということがあってはならないわけでございまして、そのためには、一定の確率で生じてしまう脳性麻痺の新生児などの問題に関しまして、無過失補償制度の御要望がかねてあったところでございます。

 この制度を仕組むことによって安心できる産科医療を確保できるという観点から、先日、今お触れになりましたように、御党からは福島豊先生、それから我が党の方は大村秀章筆頭理事などが中心になったと伺っておりますが、そういう与党の協議会の方から枠組みが示されたところでございます。厚生省といたしましても、これを尊重して、関係省庁間の連携を図りながら早期の具体化に向けて取り組んでまいりたい、このように思います。

 なお、先生から、それに加えまして、医療事故に関する死因の究明や裁判外紛争処理のあり方についてどうかというお尋ねもございましたが、これにつきましては、本年度内をめどにまず厚生省案を提示いたしまして、その後において、来年度に有識者による検討会を開催し、そうした議論を踏まえまして必要な措置を講じてまいりたい、このような方針で進んでいるところでございます。

○古屋(範)委員 さらなる周産期医療の充実を求めまして、質問を終わりにいたします。ありがとうございました。

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