第165回国会 決算行政監視委員会 第2号
○古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。
先月十日に平成十七年度決算検査報告が公表されまして、税金の無駄遣いまた不適切な会計処理など四百七十三件、総額四百五十二億円が明らかとなりました。これは本委員会終了後報告を受けることになっておりますが、この件につきまして質問を行ってまいります。よろしくお願いいたします。
私は、この臨時国会で、きょう本委員会を開きまして前年度の決算報告を聴取できることは、大変大きな意義があるというふうに考えております。今回の議論を来年度予算の編成また審議に反映できるよう、今後も決算審査の充実を図ってまいりたいと考えております。
さて、今回の報告書の内容は、不正な会計経理また不適切な予算執行など、国費の無駄遣いを検証したものがほとんどであります。四百七十三件、また四百五十二億円の指摘は、件数としては過去最高、二十年間の中で最多であります。歳出削減が叫ばれる中、税金の無駄遣いが一向になくならないのでは国民の納得は得られるものではないと思います。今回指摘を受けました関係省庁が確実に改善策を図られるよう、しっかりと対応していただくことが求められております。
初めに、この平成十七年度決算検査報告につきまして財務大臣の御感想をお伺いいたしたいと思います。
○尾身国務大臣 十七年度の決算検査報告における指摘事項は、ただいまお話しのとおり、四百七十三件、四百五十二億円となっておりまして、多くの無駄遣いが指摘されておりまして、まことに遺憾なことであると考えております。特に、厚生労働省のすべての都道府県労働局で不正経理が行われていることなどは、歳出全般にわたって無駄の排除を厳しく求められている今日、極めて残念な結果であると思います。
これを踏まえまして、先日、十一月十四日の閣僚懇談会におきまして私から閣僚の皆様方に、予算の厳正かつ効率的な執行と適正な経理、今回の検査報告や国会での決議、決算審議の内容、予算執行調査の平成十九年度予算編成等への的確な反映などにつきまして改めてお願いをしたところでございます。
財務省といたしましては、検査報告等の趣旨を十分に踏まえるとともに、納税者の立場に立って、限られた財政資金の有効活用の観点から、引き続き、歳出の無駄を徹底的に排除するなど、平成十九年度予算編成に向けて、予算の質の向上、効率化に積極的に取り組んでまいりたいと決意をしている次第でございます。
○古屋(範)委員 尾身大臣の方から、閣僚懇談会で御指摘をいただいたということでございます。また、今御答弁の中でも触れられておりました、今回の報告の中で特に目を引きますのは、新聞報道もされておりましたけれども、厚生労働省の出先機関である全国四十七すべての労働局で不正あるいは不適切な会計処理が行われていたとの会計検査院の指摘でございます。全国すべての労働局に腐敗が広がっていた。憤りを覚えるのは私一人だけではないというふうに思います。
一昨年でありましたか、広島と兵庫の労働局で不正経理が発覚をいたしまして、職員が逮捕される事態になったということでありまして、検査院が二年越しで全国の労働局を検査したということでございます。そして、その結果、昨年度までに指摘された額を含め、平成十一年度から十六年度までの不正、不適切経理は、何と総額七十八億円に上ると認定をされたところでございます。
こうした労働局の不正に関しまして、一昨年から指摘をされており、これまでも不正経理等の事実が明らかにされた段階で厚労省は改善の取り組みを行ってきたものというふうに考えますが、今回、四十七局すべてで不正経理が確認をされ、手法などもある程度共通されるというようなことも考え合わせますと、これは組織的あるいは体質的な問題ではなかったのかと言わざるを得ないわけであります。
このように労働局でこれだけ大きな不正が長く見逃されてきた背景といたしまして、中央省庁からの出先機関であるために検査院の検査また内部監査が及びにくいとの指摘もございますが、厚労省としてどのようにお考えでありましょうか。
〔委員長退席、古川(元)委員長代理着席〕
○太田政府参考人 お答え申し上げます。
厚生労働省といたしましては、今御指摘のございました広島労働局の不正経理事案を踏まえまして、平成十六年四月以降、全国の労働局に対しまして独自の調査を行うとともに、会計経理の適正な執行等について指示を行っておりましたけれども、その後、国会での御議論を踏まえて、平成十六年十二月より、会計検査院における検査が開始されることになったわけでございます。
この検査に対しましては、厚生労働省の調査結果を提出するなどして協力し、事態の把握に努めてきたところでございますが、遺憾ながら、主に適正な執行の指示以前の平成十一年度、十二年度を中心とした事案が指摘されたところでございます。
これまでの労働局の組織に係る問題点といたしまして、会計法令の遵守に係る意識が職員の間で徹底されておらず、労働局において会計組織としての内部牽制が働いていなかったとの指摘を受けたところでございまして、これらの点につきましては、内部牽制体制の確立、契約事務の適正化や綱紀の厳正な保持等、不正経理の再発防止に取り組んできたところでございます。
今後、さらに内部監査の強化を図るなど、再発防止策を徹底することによりまして、不正経理等が現に行われていないことを本省でも点検、確保してまいりたいと考えております。
○古屋(範)委員 独自の調査もしていらしたということでありますが、なかなかすべてを明らかにすることができなかった、そして、今お話しのように、やはり職員のそうした意識の徹底の不足が原因ということでございますが、厚生労働省におかれましては、今回の検査院の指摘を受けて、労働局職員の大量処分を発表いたしました。その処分だけで確かに問題が解決するものではないと思います。不正に使われた税金、これはすべて国に返還するのが当然であります。
今回、免職一人を含む百二十人を懲戒処分、また千三百十二人が訓告や厳重注意などの矯正措置とする、合計千四百三十二人の処分をされたということでありますが、こうした人も含めて、昨年までの公表分を合わせますと、処分者は四十七労働局で二千五百人を超えるという大量のものであります。こうしたずさんな経理が全国に広がっていることが浮き彫りとなったわけであります。特に、空雇用また空出張などで捻出された裏金は職員同士の飲み代に消えていった、また空残業の手当は個人支給、伝票を偽造し着服するなど、言語道断と言わざるを得ないわけであります。
今回の大量処分の内容、主要なものと、不正に使われた額の返還について、御説明いただきたいと思います。
○太田政府参考人 お答え申し上げます。
今般の会計検査院の不正経理等の指摘を受けまして、まず処分でございますけれども、人事院の定める懲戒処分の指針を参考にしつつ、国家公務員倫理審査会への協議事案につきましてはこれを協議の上で、一名を懲戒免職、四十三名を減給、七十六名を戒告するなど、非違行為を行った者及び管理監督責任を有する者につきまして、御指摘ございましたように、合計千四百三十二人を厳正に処分したところでございます。
次に、返還でございますけれども、今般会計検査院から指摘された不正経理のうち昨年までに判明したものにつきましては、既に返還の措置を講じたところでございます。また、今回新たに判明した不正金につきましても、国庫に損害を与えた二億九千三百二十万円を関係職員等から速やかに返還させることとしております。
現在、相当数の労働局におきましては返還が終了したところでございますけれども、残りの労働局につきましても、年内に返還が終了するように早急に対応を行ってまいりたいと考えております。
○古屋(範)委員 新たに三億近い返還ということでありまして、非常に高額なものであると思いますが、こうした労働局の不正経理問題、この労働局の仕事と申しますのは、非常に重要な役割を担っていらっしゃるというふうに認識をいたしております。労働問題に関する監督指導、また職業紹介、高齢者の雇用確保など、そうした業務に携わっていらして、地域の労働者、失業者、高齢者にとっても身近な相談窓口であるわけであります。
私も、先日、ハローワークプラザ渋谷に参りまして、ここでは全国十二カ所にことし四月に開設いたしましたマザーズハローワーク東京がありまして、女性の雇用、再就職、いわゆる再チャレンジに非常に積極的に取り組んでいらっしゃる。中には保育施設もあり、保育情報なども非常にきめ細やかに提供してくださって、女性の雇用に大きく貢献をしていらっしゃる。言葉は悪いかもしれませんが、お役所仕事ではなく、非常によくやってくださっているという印象を持ったわけであります。
しかしながら、今回の不正問題で、労働行政に対する国民の信頼は失われたと言ってもいいと思います。御説明いただいた処分に関しましても、もし民間の会社であれば解雇というようなこともあり得る問題でありまして、処分が甘過ぎるという声もございます。
これほどの不正で刑事責任を追及すべきケースが、先ほどおっしゃっていました秋田労働局職員のほかにないのか、きっちりと調査をしていただきたいと思っております。国民の信頼回復のため、二度とこうした不正を繰り返さないために、ぜひ組織を挙げての抜本的な再発防止の策をとっていただきたいと思います。
実効性ある再発防止策につきまして、具体的な取り組みを大臣政務官にお伺いいたします。
○松野大臣政務官 今般、会計検査院の検査結果におきまして不正経理等の指摘を受けたことは、極めて遺憾であります。国民の信頼を損ねたことに対しまして、深くおわびを申し上げる次第であります。
検査結果は、国会での御議論を踏まえ会計検査院において厳正に行われ、当省といたしましてもこれに全面的に協力をしてきた結果取りまとめられたものであり、当省として重く受けとめております。
この検査の過程で、私的着服を行う等、犯罪事実がないか、多くの関係者から聞き取りを行うなど綿密な調査を行った上で、私的着服の事実が明らかになった個人については、告発を行う等、厳正な対応をとったところであります。
不正の事実が判明をした平成十六年以降、会計法令を遵守した会計事務の適正な執行について指示を行うとともに、昨年七月には、不正経理を実行し、または指示した者について懲戒免職を原則として対応することなど、再発防止策を講じてきたところであります。
さらに今後は、新たに外部の専門家の参画による法令遵守体制の整備を図るとともに、内部監査については一層の強化を図ることによって、再発防止を強化、徹底することとしております。これによって、不正経理等が現に行われていないことをしっかり点検、確保してまいりたいと考えております。
〔古川(元)委員長代理退席、委員長着席〕
○古屋(範)委員 ただいま政務官からも外部監査の導入、また内部監査機能の強化というようなお話もございましたが、この再発防止策の一つといたしまして、やはり人事交流というものが挙げられると思います。これまで労働局の人事はどのような形でそれぞれ採用、異動などが行われてきたのでしょうか。また、国や県の目が届いていない状況下で何度人事交流を行っても、その効果が本当に上がるのかということも疑問になるわけであります。
そこで、この際、半数以上の人を思い切って入れかえるなどの人事交流がなければ、やはり、内々といいますか、なれ合いになった体質の改善は図れないと思います。人事が硬直化しているところにこうした問題が起こるというふうに考えますが、この件に関しまして御感想をお伺いいたします。
○太田政府参考人 お答え申し上げます。
今般の不正経理等につきましては、御指摘ございましたように、職員の大半が県内異動であった中で、従来、会計組織としての牽制機能が十分に機能していないなど、会計法令の遵守に対する意識が徹底されていなかったことが要因の一つとなっていたものと考えております。
昨年度までに判明した兵庫労働局の事案等を受けて、本年度からは、公共職業安定所長につきましては労働局を超える人事異動を実施したところでございまして、さらに、来年度は、職員につきましても労働局を超えた人事異動を全国的に実施することとしております。
こういった取り組みを通じまして、人事面からも不正経理の防止を図るとともに、組織機能の向上を図ってまいりたいと考えているところでございます。
○古屋(範)委員 ただいまお答えにありましたように、そうした人事交流によりましてまさに新組織として生まれ変わることができれば、国民の信頼回復というものもできるかと思います。ぜひ抜本的な出直しを図れるよう、強く要望するところでございます。
また、再発防止策の一つといたしまして、内部監査の強化、徹底ということが挙げられておりましたけれども、会計検査院に指摘をされる前に、各省庁がそれぞれ自分自身、適切な処理が行えるよう、内部監査の体制整備が必要であろうと考えます。
会計検査院におかれましては、今回、内部のチェックに任せてはおけない、そういう強い姿勢で臨まれたというふうに感じますが、各省庁の内部監査のあり方、実態についてどのような御認識をお持ちか。また、今回、全国の出先機関を対象とした検査院の大がかりな検査は初めてでありますが、そこで、この労働局不正問題を教訓に、それぞれ各省庁の出先機関に対する検査の強化を図るべきと考えますが、これについての御所見をお伺いいたしたいと思います。
○大塚会計検査院長 会計経理についての不正、不当な事態を未然に防止し、早期に発見してその是正を図るためには、各府省等における内部監査、内部牽制等の組織の内部統制が、その実効性を高め、チェック機能を十分に果たすことが極めて重要と認識しております。
各府省の内部監査に関しましては、平成十四年次に、国の機関における内部監査として行っている会計監査について横断的な検査を実施し、その結果を決算検査報告に掲記しております。そこでは、国の機関における会計監査が権限及び業務に一定の独立性が確保されている形態は少なく、多くの省庁で、監査対象である会計担当課内の組織が会計監査業務を担っており、また、監査計画の重点事項に関する調整や監査結果の活用などにおいて、中央と地方の監査機構間の連携が十分なものとはなっていないことなどを明らかにいたしました。
このため、会計検査院では、一定の独立性を確保し、監査計画、監査マニュアル等の作成による監査内容の標準化、監査の効率化と監査結果の有効利用によって監査の実効性の向上を図り、もって会計監査が本来備えるべき機能を十分に発揮することができるよう、実施体制について一層の整備を図ることが望まれるとしたところであります。
こうした検査に当たりましては、従来から、各省庁等の本省、本部等だけではなくて、実際の会計経理の現場であります、いわゆる出先機関の検査にも検査院としては力を入れてきました。先ほど来問題となっております労働局の事案につきましては、一部の労働局において不正経理が見受けられましたことなどから、検査の対象を拡大して、全国の労働局に対する検査を実施したものであります。
今後とも、先生の御指摘も十分踏まえまして、出先機関に対する検査の重要性には十分留意してこれから検査活動に取り組んでまいりたい、このように考えております。
○古屋(範)委員 ただいま、中央と地方との検査機能の連携強化というような重要な課題もございました。そうした御努力を重ねてきていただいているというふうには思いますが、今回の報告での労働局のこういった不正経理、これ以外にも、無駄遣い、また不適正な会計処理も数多く指摘をされておりまして、会計検査院の厳しい目、今後ますます重要になってくると思われます。
昨年、公明党が推進をしていた会計検査院法の改正で検査対象の拡大などが決まりまして、制定以来ほとんど手つかずだった会計検査院の権限の強化が実現をいたしました。今後さらにこの機能を強化し、会計処理の適正化に全力を挙げていかなければならないわけであります。
会計検査院は、憲法第九十条で規定をされた憲法機関であり、立法府たる国会、また行政を執行する内閣、そして司法機関である裁判所という、いわゆる三権と同格のチェック機関でもあります。憲法機関である以上、会計検査院が常に国民の側に立って、また国民の目線で税金の使い道に厳しい検査をし、そして次の予算に反映させることができる、そうした独立性を確保する権限を与える必要があると思っております。
そこで、会計検査院の機能強化につきまして、検査院に、検査に関係する法令の制定また改廃に関する国会、内閣への意見申し出権を付与する、独自の職員採用制度を導入する、国会同意人事の対象人事である検査官任命の際の決算委員会の関与、職員へ税理士、公認会計士など専門職を任期つきで採用する、あるいは罰則規定の新設などが課題として挙げられておりまして、さらなる検討が急がれております。
現在、財政再建に加えまして、人口減少、少子高齢化の中で、大切な税金を効率よく使うために会計検査院の役割はますます重要になっております。私は、税金の無駄遣い、その一掃に向けましてさらなる存在感の発揮が期待される会計検査院の抜本的な機能強化を図るべきと考えますが、これについての御感想をお伺いいたします。
○大塚会計検査院長 会計検査院の機能強化につきましては、先生御指摘のように、昨年十月に会計検査院法を改正していただきました。そして、国や国が資本金の二分の一以上を出資している法人の契約の相手方について検査権限が拡大されたり、会計検査院が必要と認める事項等について随時国会及び内閣に報告できることとされたりするなど、会計検査院の機能強化を図っていただきました。
会計検査院としましては、与えられた権限を背景に、国等の契約の相手方の事務所に実地に赴き検査して指摘をいたしましたり、現在まで、計五件の会計検査院法三十条の二に基づく報告を国会及び内閣に行ったりしております。
また、公認会計士を特定任期つき職員として採用し、その専門的な知識経験を生かして独立行政法人、国立大学法人等の財務分析の検査などに従事させることで、検査の充実強化を図っているところであります。
会計検査院といたしましては、まずは、与えられた権限を活用して厳正に検査を行ってまいりたい、このように考えております。
○古屋(範)委員 さらなる会計検査院の充実強化をよろしくお願い申し上げます。
最後の質問になりますが、こうした中で、公務員、これは国家公務員、地方公務員を問わず、また全議員に対してもでありますが、国民の視線というものは非常に厳しいものがあると感じております。
今までの質問とは違いますが、先日人事院より報告がありました、年金の官民格差の問題についてお伺いをしてまいります。
十一月十六日、人事院より発表されました、いわゆる民間企業のサラリーマンと国家公務員が生涯に受ける上乗せ年金、これは退職金も含めてでありますが、その額を比較した実態調査の報告についてでございます。
厚生、共済年金の一元化後は、公務員の方がサラリーマンよりも生涯に受け取る額が二百四十一万六千円、八・八二%少ないとしております。民間との格差を埋める新年金制度が必要と人事院は結論づけております。これに対しまして自民党の中川幹事長も、人事院は公務員天国のための組織なのかと言われてしまうというふうに語っていらっしゃいました。私も同感でございます。
人事院によりますと、国家公務員は、退職手当と職域加算を合わせ、生涯に平均二千九百六十万円を受け取ることになっている。これに対しまして、民間、平均的水準は退職一時金と企業年金を合わせると二千九百八十万円、公務員より二十万円ほど多い。さらに、職域加算を廃止すると公務員は民間の水準より二百四十一万円低くなってしまう。少なくともこの格差を解消する措置が必要だとしております。
この調査方法につきましては、問題が多いことが指摘をされております。
読売新聞等の報道でも、まず、調査対象とする民間企業を従業員五十人以上に限っている、また、勤続年数二十年以上の公務員と会社員を比較したために、転職の比較的少ない大企業のサラリーマンの処遇を強く反映した結果になっているという可能性が高いわけであります。そもそも、中小零細企業には企業年金を持たないところも多いわけでして、今回の結果を民間の平均と果たして呼んでいいのかどうかは疑問であると思います。
また、公務員は天下り先でも退職金を受ける例が多いことも考慮をされておりません。
さらに、共済年金は職域加算を除いた部分も実際の受給額が厚生年金より多い、公務員は身分が安定して転職が比較的少ない、勤続年数が長い、しかし、この部分も比較の対象としていないとの指摘でございます。
また、公務員の都合のよいデータにより、官優遇の象徴とされてきました職域加算を形を変えて温存しようとしているのではないかとの指摘もございます。
このような人事院報告をもとに新年金制度を検討するのであれば、不公平感というものはますます大きくなっていく、国民の理解は得られないと思います。
人事院は、四月の閣議決定により、基準にのっとって調査を行ったとおっしゃると思いますが、本当に今回の調査結果、その見解が妥当であるとお考えになっていらっしゃるのか、また、読売の指摘についても人事院はどうお考えか、簡潔にお答えいただきたいと思います。
○谷政府特別補佐人 今回の調査は、本年の四月二十八日の閣議におきまして、平成二十二年に国家公務員共済の職域部分を廃止し、新たな公務員制度としての仕組みを設けること、並びに、その仕組みについては、人事院における諸外国の公務員年金並びに民間の企業年金及び退職金の実態調査の結果を踏まえて制度設計するということが決定されまして、内閣から人事院に対して調査の実施及び見解表明の御要請がございましたため、この御依頼に基づきまして、専門機関といたしまして責任を持って調査を実施いたし、その結果及び見解をお答えしたものでございます。
したがいまして、これからこの制度設計につきましては、政府及び与党においていろいろ御検討の上、案をおつくりになるものと考えております。
それで、マスコミからいろいろ御意見があるということは十分承知をいたしておりますが、率直に申し上げますと、中には、調査の趣旨や内容が十分伝わっていないのではないか、これは私どもの責任もございますけれども、と思われますもの、あるいは、今後の制度設計の内容にかかわっていくような性格のものもあるわけでございます。
しかし、人事院が行いました調査の内容、見解に関するものにつきましては、御意見の趣旨をしっかりと受けとめまして、必要な説明を行うなどしてまいりたい。
この調査につきましては、私どもとして、調査の設計及び集計の仕方等につきましては、専門家の方の御意見も十分お聞きしまして、自信を持って行った調査でございます。ただ、調査の性格は先ほど申し上げましたような趣旨のものでございます。
○古屋(範)委員 今、閣議決定に基づき専門家による調査をしたというお答えでございますが、そうしたものが国民の不信を招いてしまうのではないか、本当に官民格差があるのかないのか、官が優遇されているのではないか、こうした感を抱いてしまうわけであります。
しかし、今回の調査は、そうした意味では逆官民格差という結果でございました。実態を正確に反映しているかどうか、こうした人事院報告をもとに年金の検討が進むということであれば、国民の年金制度への信頼はさらに遠のいてしまう、不公平感がますます大きくなってしまうのではないかという感が否めません。
ぜひ、こうしたものも再調査をした上でさらなる検討が必要ということを最後に申し上げまして、私の質問を終わりにいたします。
ありがとうございました。