第171回国会 衆議院 予算委員会-26号

○古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。

 本日は、経済危機対策の中から一人親支援等の質問をする予定でございましたけれども、先週末、国内で新型インフルエンザも新たな局面を迎えたということで、冒頭、幾つかそれに関します質問をしてまいります。

 報道によりますと、新型インフルエンザの感染者は、今、世界各地でふえ続けておりまして、現時点で三十の国・地域、四千六百人を超えると聞いております。特に米国での感染者の数が急増している、メキシコ、欧州でも感染が広がっているということでございます。

 こうした中、先週九日に、カナダから米国経由で成田に帰国した大阪府立の高校の男子高校生二人また教員一人が、国内で初めて新型インフルエンザに感染をしたということでございました。またさらに、行動をともにした男子生徒一人も感染をしているということが確認されております。

 同行者の確認を確実に行っていくこと、検疫官の人員拡充を含めました検疫体制の強化を行っていくこと、また、水際阻止にぜひともしっかりと取り組んでいただきたい、このように考えております。

 また、厚労省は九日、同乗者で健康状態の追跡調査が必要な乗客は百六十三人に上ると発表されています。今回の感染確認がどう波及をしていくか、予断を許さない状況にございます。

 今後、自治体とはさらに連携を強化して、国内発生時の初期対応に誤りがないよう徹底すべきと考えますけれども、舛添大臣のお考えをお伺いいたします。

○舛添国務大臣 ついにというか、カナダから帰ってきた子供たちを含めて、先生、四人まで確認されました。今、一生懸命、同乗の乗客に対してサーベイランスを行っているところでありますけれども、まず水際対策として検疫ということをやって、我が省の国立病院機構を含めて動員し、さらに防衛省からも自衛官に来ていただいております。例えば五月六日で五万六千人が帰国する、そのときは、普通は八十人だったのを二百名程度の検疫官にしました。

 今後、もし蔓延国が拡大した場合に、それに応じてまたやらないといけません。そのときには、四空港、これは成田、関空、中部、福岡、それから三海港、港ですね、横浜、神戸、関門などに集中しないといけないので、そのときはそういう体制をとるようにしております。

 それから、先般もそうですけれども、今、簡易検査で陽性になった。それで、結局、前回は高校生なもので、座席をかえたりとかいろいろなことがありましたので、とにかく検疫に基づいて停留ということをやっておりますので、水際対策とともにサーベイランスをしっかりやる、そして国内の体制も整備する、そういうことで今後ともしっかり取り組んでいきたいと思っております。

○古屋(範)委員 次に、官房長官にお伺いをしてまいります。

 メキシコから世界へと感染が拡大をしている中、日本においても、今舛添大臣がおっしゃいましたように、空港などの検疫を非常に強化していくということでございました。その意味で、患者の確認は当然でありますけれども、いち早く感染拡大の機会を封じ込めたという点で、今回、水際作戦は成果があったということが言えるかと存じます。ただし、水際での阻止、一〇〇%の効果を期すというのも非常に困難であるということも同時に実感したわけでございます。

 今回心配されますのが、豚が人の新型インフルエンザに感染するという現象が起こっていることであります。五月二日、カナダのアルバータ州の養豚場で二百頭の新型インフルエンザ感染が確認をされております。豚から人へ、人から豚へ感染が繰り返されると、ウイルスが強毒化をする可能性が出てまいります。

 今回の流行、人が免疫を持たない感染症は、一たびどこかの国で流行すれば、瞬く間に世界じゅうに広がっていくということを示しております。スペイン風邪のときのように、第一波よりも第二波に重症者が出るかもしれないということが懸念をされており、秋口をにらみまして万全の対策をとる必要があると思います。

 感染が拡大するにつれまして、発熱外来などの医療分野の未整備、また、マスクをするということが徹底されていなかったり、製造時間のかかるワクチンの開発など、さまざまな課題が今取りざたをされております。来るべき本格的な第二、第三波を迎え撃つ体制を早急に整えなければならないと考えます。

 官房長官、今後の対策についてお考えをお伺いいたします。

○河村国務大臣 今回の新型インフルエンザ対策、この問題は国家の危機管理上の重要な課題であるというふうにとらえまして、全力を挙げて今取り組んでおるわけでございます。

 御指摘のように、これが国際化して、まさにパンデミック状況がもう言われておる、こういう中でございますので、まずは水際作戦を政府としては最大力を入れておるところでございますが、国際的な情報の収集、それから国民への迅速かつ的確な情報提供、これも一義的に考えておりますし、また国内の医療体制整備を今進めておるところでございます。

 しかし、今まさに大事な御指摘がありましたように、一度流行が終わって、さらにこの夏を越えて秋に第二波が来る、スペイン風邪のときもそうであったというふうな指摘を受けております。そこで、このための対策を今のうちからきちっと考えておく、非常に大事なことだと思います。

 これからの新しいワクチンの製造等については、また詳細は厚労大臣にお聞きいただければと思いますけれども、いわゆるワクチン株も既にWHOから来ておりますので、そういうことも当然考えなきゃなりません。

 そんなことで、今御指摘いただいた点は大事な点でございますから、国民の安心、安全のためにも、もっと迅速かつ的確な対応、これからの問題にも対応できるような体制づくり、これを今後十分注意して対応していきたい、このように考えております。

○古屋(範)委員 ぜひ、国民の生命を守る危機管理、総力を挙げていっていただきたい、このように考えております。

 次に、文部科学大臣にお伺いをいたします。

 今回、日本で確認をされましたインフルエンザの感染は、感染地であるカナダに語学研修旅行に行った高校生の一行でございました。水際で判明したために感染拡大を食いとめることができたとは思われますけれども、米国、カナダでの感染が広がったというのも、集団行動をする学校であったということに注目をしていかなければならないと思います。

 先月二十九日、WHOはフェーズ4から5に引き上げましたけれども、米国やカナダの学校の患者が増加したことがその理由の一つとなっております。米国ではニューヨーク市の高校で四十人以上の集団感染が発生をし、カナダ東部の高校でも集団感染が確認されるなど、学校が一つ感染の媒介の場になっているということが言えるかと思います。

 今回、水際で食いとめることができたわけですが、今後、学校、集団行動、若者と、危惧する要素が重なるほど、感染拡大のおそれが強まっております。学校における感染防止、ここが非常に重要になってくるかと思います。

 この大型連休を海外で過ごした子供さんもいまして、学校が始まり、海外に行ってきたのではないか、もしかしたらそのようないじめも起きてしまうかもしれないということが懸念されます。

 そこで、今後、子供たちがパニックまた偏見に陥らないように、また心の健康を保つために、文部科学省の行動計画では、感染が確認された都道府県はすべての学校に休校を要請することを想定していらっしゃるようですが、今後の方針など、学校における感染防止策について大臣にお伺いをいたします。

○塩谷国務大臣 今回のインフルエンザにつきましては、特に若い人がかかりやすいということで、我が国においても初めて確認されたのが高校生であったということで、私どもとしても、改めて緊張感を持って対応しなければならないと考えております。

 そのために、まずは、正確な情報を児童生徒や保護者に伝えて、確実に迅速に周知徹底するということ、また一方で、不確実な情報による不要な不安や混乱を防止して、適切な判断、行動がなされるように指導しているところでございます。

 また、新型インフルエンザから、帰国した児童生徒が学校において風評により不当な扱いを受けることのないように、冷静な対応をとることを指導しております。

 また、都道府県において感染が確認された場合の対応につきましては、まずは、専門家による検討を踏まえて弾力的、機動的に対応する必要があると考えております。例えば、学校の児童生徒に新型インフルエンザが発生した場合と一般の方に発生した場合では、学校の対応も異なると思っております。どうしても、学校の場合は集団ということがありますので、全体でどうするかということも考えなければなりませんし、ただ、臨時休業になると、この範囲については、政府全体の対処方針を踏まえて、各都道府県の保健部局と相談して適切な対応をとるように考えております。一応、原則としては、その県で発生した場合には県内の全校休業としておりますが、ただ、その発生状況、あるいは地域の通勤通学状況、いろいろな状況を踏まえて、ここは具体的にまた相談して決定することになっております。

 いずれにしましても、正確な情報収集をすると同時に、学校関係者が冷静かつ適切な対応をするように指導してまいりたいと考えております。

○古屋(範)委員 大臣がおっしゃいましたように、正確な情報提供は非常に重要かと思います。九日の朝、舛添大臣が記者会見をしてくださり、非常に詳細な情報提供をしていただき、国民の側もパニックに陥らず、今、冷静に対処をしてくださっているかと存じます。今後とも、何とぞよろしくお願い申し上げます。

 次に、生活保護の母子加算の見直しについてお伺いをしてまいります。

 二〇〇六年全国母子世帯調査によりますと、日本の母子家庭の約八五%が働いている、非常に高い就労率でございます。しかし、過半数がパートタイム、派遣など不安定また低賃金であるということ、また二つも三つもかけ持ちをし、働かなければならないという状況でございます。

 母子世帯の平均年収、就労収入が百七十一万、児童扶養手当なども含めて平均年間所得二百十一万ということで、全世帯の四割以下という低い所得となっております。これは、子育てで残業が難しい、あるいは正社員として仕事につくことが難しい、パートなどの不安定な雇用条件であるということが一因であるかと考えられます。

 こうした中で、御心配をいただいていた児童扶養手当、昨年四月の法改正の施行の際には、適用条件を厳格にして事実上その削減を凍結したということ、シングルマザーの皆様からも喜ばれております。

 一方で、生活保護の母子加算につきましては、対象となる母子家庭が受給できる生活保護費が生活保護を受けていない母子家庭の平均収入を上回っているということで、二〇〇五年から五年をかけて減額をし、二〇〇九年、廃止となったわけでございます。

 厚生労働省は、この母子家庭の就労支援を強化して、自立に向けた新たな給付を設けるなどの支援を行っていると聞いております。この問題につきましては、何度も質問がございました。舛添大臣も繰り返し御答弁をされているわけでございますけれども、改めて、この母子加算の見直しの意義、また今後の母子家庭の支援の基本的な方向性についてお伺いいたします。

○舛添国務大臣 生活保護の母子加算というのは、昭和二十四年に、生活保護の生活扶助基準自体が低かった時代に、すべての母子世帯について生活費の上乗せとして支給するとして決めたものです。

 その後、生活保護の基準が一般国民の消費と均衡するよう、毎年のように引き上げてきたところでありますけれども、平成十六年に母子世帯の生活費について検証したところ、母子加算を含む支給総額が一般の母子世帯の平均的な消費水準を上回っていたということから、一律に生活費を加算することは適当ではなく、また母子加算を廃止したとしても一般の母子家庭の平均程度の生活を行うことができると判断して見直したものでございます。

 ただ、一方で、母子家庭は自立に向けて多様な課題を抱えておりますので、その支援の方法といたしましては、母子加算のように一律に現金を給付するよりも、被保護世帯の状況に応じて、例えば就労援助、カウンセリングなどによる支援、教育に必要な費用の給付などを行うことが実は母子家庭の自立に資するだろうと考えておりまして、今後とも、母子家庭の自立に向けて多様なニーズに対応した総合的な支援を行ってまいりたい、そのように思っております。

○古屋(範)委員 今、母子加算見直しについての理念というものをお答えいただいたわけなんですが、生活保護を受けている方の自立をしっかりと、また温かく支援をしていくということが大事なんだろうと思います。

 厚生労働省はこれまでも、高等学校等就学費の創設、あるいはひとり親世帯就労促進費の支給などを行って、母子家庭への配慮をしていこうと努力をされてきたと認識いたしております。しかしながら、これまで支給を受けていた母親から、苦しい生活を送る母子家庭に配慮してほしいとの声が寄せられております。

 厚生労働省がこれまで母子家庭に向けて実施をされてきた自立支援策、また今回の補正予算案において新たにどのような支援を行おうとしていらっしゃるのか、ぜひ大臣から丁寧に御説明いただきたいと思います。

○舛添国務大臣 母子世帯の多様なニーズに総合的に対応するために、平成十七年以降、さまざまな仕組みを充実させてきました。具体的には、まず、高等学校などでの学習に要する費用を支給する、高等学校等就学費を創設しました。それから、一人親世帯の就労を支援するための就労支援促進費というのもつくりました。それから、就労支援プログラムによって、個々の母子世帯の状況に応じた支援、福祉事務所とハローワークの連携による就労支援事業の推進。さらに、四番目として、生活能力や就労能力が低いため就労が困難な世帯に対しては、生活向上の訓練やカウンセリングなどの支援、これは就労意欲喚起等支援事業と言っていますが、これを行ってきました。

 さらに、今御審議いただいていますこの補正予算におきましては、母子世帯などの生活保護世帯全体の子供さんについて、福祉事務所に専門相談員を置いて、生活保護世帯の子供の日常生活習慣の指導や進学相談などを実施するとともに、生活保護世帯の子供、小中高を含めて、家庭内学習やクラブ活動のための費用を賄うために新たな給付を創設することとしてございます。

 これらの事業は、生活保護世帯の子供一人一人の自立に結びつくよう、また貧困のいわゆる再生産ということを招くことがないように、子供の健全育成をきめ細かく支援するためのものでございます。

 このように、厚生労働省としましては、母子世帯の子供に限らず、すべての生活保護世帯の子供の健全育成に関する支援をする政策を、ほかの子育て支援に係る各種施策とあわせて推進して、今後とも生活保護世帯が自立する、そういうことを積極的に支援してまいりたいと思っております。

○古屋(範)委員 私も、この生活保護世帯の子供という部分に着目をしてしっかり具体的な支援を行っていく、このことが重要ではないか、このように考えております。

 私は、先月、四月の二十七日なんですが、港区役所の中にございます、子ども課家庭相談センターというところへ行ってまいりました。この家庭相談センターでは一人親への支援を行っておりまして、NHKなどテレビでも紹介をされまして、私もこの目で確かめようと行ってまいりました。

 担当の若林係長からお伺いしたんですけれども、DVの被害などで相談に来られる方は離婚がきちっと成立をしていないので、そうした法律相談も行っている。この事業が始まりましたのが二〇〇七年四月一日からということで、母子家庭、一人親家庭、DVで悩む女性などを対象に、そういった法律相談、家庭相談、そして就労相談、子供の養育、ホームヘルプサービス、休養ホーム事業、教育訓練給付金、高等技能給付など一貫した支援をここで行っております。年間二百五十から三百件の相談があり、住むところ、それから生活、就労、子供の養育などしっかりここで一括して相談に応じてくれるということでございました。こうした一人親家庭、またDV被害者などは特に住宅がなかなかないということでもございました。

 この相談の中で、個別の就業支援プログラムに行き着くのは全体の三十人ということで非常に少ないわけなんですが、さらにまた、きちっと就職をするというのはそのうち十三人ということで、それは非常に厳しい道のりであるということでございました。私は、このように一人親家庭への支援、これも相談窓口で一括して実施をして、責任を持ってそこまで持っていってあげる、これが非常に重要なのではないかと考えております。

 こうした支援体制を築いている地方自治体に対して助成を充実させていっていただきたい、このように考えますけれども、舛添大臣、いかがでございましょうか。

○舛添国務大臣 母子家庭に対する支援は、もう委員御承知のように、四本柱でやっています。子育て生活支援策が一つ、二番目が就業支援策、三番目が養育費の確保、四番目が経済的支援策。

 それで、今おっしゃった自治体との関連でございますけれども、その前に、具体的には、相談から講習会、就業情報の提供までの一貫した支援を行う母子家庭等就業・自立支援センター事業がありますし、また、母子家庭の母の実情に応じた自立支援プログラムを策定してきめ細かな就業支援等を行う母子自立支援プログラム策定事業がありまして、切れ目のない援助をしたい。

 また、母子家庭就業・自立センターの委託先として、母子福祉団体、NPO法人など幅広い主体を認めておりますし、母子家庭の母などが一時的に生活援助、保育のサービスが必要となった場合に派遣するヘルパーの確保が進むような資格要件を緩和しておりますので、自治体にとっても使いやすいような制度としたいと思っています。

 さらに、現在の厳しい経済雇用情勢の中で、今般の補正予算におきましても、地域の企業、NPO法人を活用して職場開発というようなことも考えております。

 いずれにしましても、自治体と連携して一生懸命この問題に取り組んでいきたいと思っております。

○古屋(範)委員 今回、補正予算案の中に一人親支援というものが盛り込まれております。母子加算の廃止を補って余りあるものとなるよう期待をしております。

 この内容について、簡単に御説明いただければと思います。

○村木政府参考人 それでは、今般の補正予算に盛り込まれた一人親家庭の就業支援等の施策について簡単に御説明をいたします。

 五つほど柱を立ててございます。

 まず一つは、自立に効果的だと思われる看護師等の資格取得に関して、養成校に通う場合でございますが、生活費の負担軽減を行っております。この軽減策につきまして、支給額の引き上げ、それから支給期間の全期間への延長を盛り込んでおります。

 それから二つ目といたしまして、地域の就業支援につきまして、地域の企業やNPO法人を活用いたしまして、相談支援、それから就職活動支援、そして職場開拓等の事業が行えるようにしたところでございます。

 三つ目といたしまして、一人親が職業訓練を受けている際の託児サービスの実施を盛り込んだところでございます。

 また、四つ目といたしまして、在宅就業につきまして、仕事の開拓、品質管理、従事する人の能力開発、それから相談支援等を行えるよう、このような事業に取り組む自治体への支援策を盛り込んでおります。

 また、緊急人材育成・就職支援基金のように、職業訓練や再就職、生活への総合的な支援を行う事業につきまして、母子家庭の母を対象としていただき、雇用対策を強化するというような対策を盛り込んでいるところでございます。

○古屋(範)委員 しっかり、この補正予算を一日も早く通し、こうした支援を届けてまいりたい、このように考えております。

 次に、小渕大臣にお伺いいたします。

 母子家庭も非常に大変な御苦労を抱えていらっしゃるんですが、やはり父子家庭も同じようにお子さんを抱えて仕事をしていく、これは父親にとっても大変なことだと思います。今回の一人親家庭対策の強化において、母子家庭のみではなく父子家庭への支援も含まれております。深刻な不況が続いていることを考えますと、やはり父親、母親、どちらも使えるような弾力的な仕組みが必要なんだろうと考えます。

 そこで、子供という視点に立ったときに、どのような家庭形態であったとしても子供の最善の成長が社会的に保障されるようさまざまな面での適切な支援が必要であると考えます。子供の健全育成という観点で、小渕大臣の御見解をお伺いいたします。

○小渕国務大臣 お答えをいたします。

 今の厳しい経済状況のもとで、一人親家庭、母子家庭であっても父子家庭であっても、困難を抱えながら子育てをしている家庭の置かれている状況というのは大変厳しいものがあると危惧しておるところであります。どのような家庭環境のもとでも、次世代を担う子供たちが夢と希望を持って、その可能性を最大限に発揮できるような環境を整えていくことが政府の果たすべき使命であると思っております。

 先ほど緊急対策につきましてはお話があったとおりでありますけれども、引き続きまして、年内に策定予定の新しい少子化社会対策大綱に向けて、一人親家庭等の支援のあり方についてさらに議論を深めていきたいと考えております。

 引き続き、家庭環境も含めた一人一人の状況に応じた切れ目のない支援を行い、すべての子供たちの最善の成長の確保に努めてまいりたいと考えております。

○古屋(範)委員 ありがとうございました。

 今回の支援策の中で在宅就業支援というものが盛り込まれております。ITを使った在宅での就労、テレワークということなんですが、これは私も、ワーク・ライフ・バランスの実現、また母子家庭や子育て世代、また障害を持った方々にも非常に有効な就労形態であると普及に努めてまいりました。

 ぜひとも、このテレワーク、政府を挙げて飛躍的な拡大に向けて環境整備に取り組んでいただきたいと思いますけれども、野田大臣の御決意をお伺いいたしたいと思います。

○野田国務大臣 古屋委員が総務省の政務官のときに、リーダーシップをとって、テレワーク推進会議を立ち上げていただいたということを聞きました。

 実は、はるか昔、私も郵政政務次官というのをしておりまして、そのときに、旧郵政省と旧労働省が、平成八年だったと思いますけれども、テレワーク推進会議というのを立ち上げたことがありました。でも、それはすぐに休眠状態になったそうです。

 その事情は、当時はやはりブロードバンドが十分でなかったし、また、当時、テレワークを必要とする人たちがなかなか顕在化していかなかったので、モニターなんかの実証実験をするときに普通の男子社員みたいな人を使ったわけですね。結果的に、それはどうだったかと聞くと、寂しかったという人が多かったんですね。やはり、常にいつも会社で仕事をする癖がついている人が、何の理由もなく、ITがあるから一人で家で仕事をするという環境は、ちょっと当時はだめだった。

 ただ、今、古屋委員御指摘のとおり、母子家庭とか、また高齢者、さらには障害者、多くの人たちが仕事を求める中で、テレワークというのは本当に推進していかなければならない大きな仕事だと思います。

 IT新改革戦略におきまして、二〇一〇年、来年までには、このテレワークに従事する者の人口を倍増しよう、二割にしようということで、現在一五・二%でありますけれども、取り組んでいるところです。

 具体的には、ブロードバンド等の情報通信システムの基盤の整備、または、さまざまな制度環境の整備、普及啓発、公務員自身によるテレワークの実施、また税制支援を延長等々で取り組んでいるところでございます。

 ぜひとも、委員の御指摘のとおりでありますので、私自身も力強い決意を持って取り組んでいきたいと思っています。

○古屋(範)委員 ぜひ、リーダーシップをとって進めていただきたい、よろしくお願い申し上げます。

 もう時間でございますが、最後に、難病対策について一問させていただきます。

 今回の補正予算案の中で、一挙に十一疾患を特定疾患治療研究事業に加える、非常に画期的な内容が盛り込まれております。私たちも、先日、この十一疾患の患者団体の方と意見交換をさせていただきました。非常に喜んでいらっしゃる。なおかつ、月数十万の医療費がかかるということでございます。これが現実です。

 その中で、四月の十七日、高額療養費制度等のあり方の見直しに関しまして、医療費の対象となっていない難病患者の家族、慢性疾患等を抱える患者、家族の負担の実情を十分に認識し、適切に対処をすること、そうした高額療養費制度等について、患者の負担の現状や医療保険財政の状況を踏まえつつ、年末までにそのあり方を検討し、速やかに適切な措置を講ずる、こういう与党合意をしたところでございます。

 舛添大臣に、この難病対策については最後、御見解をお伺いし、質問を終わります。

○舛添国務大臣 難病の方々、数少ないです。しかし、私は、日本が世界に誇れる国になるためには、そういう方々に対してみんなで支援するんだ、これがなければだめだと思っておりましたので、この本予算で、二十一年度、難病の研究費、今まで二十五億しかありませんでした、これを一気に四倍の百億にふやしました。そして、今度、十一疾患ふやしまして、医療費助成の対象とすることにしました。

 引き続き、今後とも、この難病問題に対しては全力を挙げて取り組んでいって、私たちは本当に高度の社会保障を実現する国にするんだ、そういう意気込みで頑張りたいと思っております。

○古屋(範)委員 ありがとうございました。

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