第166回国会  災害対策特別委員会 第4号

○古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。

 初めに、このたびの能登半島地震でお亡くなりになられた方、御遺族の皆様に心からのお悔やみを申し上げますとともに、負傷された方、被災者の皆様に対し、心からお見舞いを申し上げます。

 溝手防災担当大臣におかれましては、災害発生当日の二十五日に現地に入られ手を打たれましたことに敬意を表したいと思います。また、災害の復旧に連日連夜取り組まれている関係者の皆様に、衷心より感謝を申し上げます。

 公明党といたしましては、地震が発生いたしました三月二十五日に、党内に災害対策本部を設置いたしまして、直ちに調査団を派遣、翌二十六日には、太田代表も輪島市を訪れまして、家屋倒壊などの被害を受けた被災者を励ますなど、精力的に調査活動を行ってまいりました。

 また、翌二十七日に、安倍総理に被災地の現状を報告しますとともに、被災者生活支援法の適用による被災者への早期支援策といたしまして、医療、福祉分野の支援や、仮設トイレ、シャワーなどの避難場所での生活に必要な設備の早期整備、また住宅が倒壊した被災者への仮設住宅の整備、被災住宅の建築、補修に対する支援、特に被災高齢者世帯に対する物心両面の手厚い支援、復旧事業への国庫補助率の引き上げなどを行う激甚災害制度の速やかな指定を求めたところでございます。被災した能登半島の温泉、旅館、また輪島塗など伝統産業への復興支援、また基幹的交通基盤の早期復旧、また被災自治体への財政支援などの早期実施を要望し、スピードある対応を求めてまいりました。

 そこで初めに、地震に対する事前の備えについて質問をしてまいります。

 今回、気象庁では、能登沖で発生した今回の地震で地震の初期微動を観測し、その後、大きな揺れが到達するのを知らせる緊急地震速報を出されました。震源地近くでは、揺れまでの速報が間に合わない直下型地震特有の弱点が浮き彫りになった、また極めて短時間の猶予しかない地域が多かったとの指摘もございますが、その内容はほぼ正確であったとのことであります。震度六弱を観測した能登町では五秒、震度五弱の富山市では約十二秒という極めて短時間ではありましたが、その機能が十分確認されたものと思われます。

 揺れまでに極めて短時間の間ですが、先行運用の現場では、交通機関をとめる、あるいは手術中の病院で危険な器具を患者から離す訓練も実施をされます。

 また、防災対策強化地域に指定されている小田急電鉄では、二十秒から三十秒程度の時間があればすべての電車を停止できる仕組みとなっており、走行中に被災するのと比べて被害を減らす、減災に役立つはずとおっしゃっています。たとえ五秒という短時間でも、危険なところから身を隠すなど、人命が助かる確率も高くなると予想することができます。

 これにつきまして、今後の実用化に向けての課題、対応またスケジュールについて、長官の御決意とともにお聞かせいただきたいと思います。

    〔委員長退席、宮下委員長代理着席〕

○平木政府参考人 お答え申し上げます。

 緊急地震速報とは、今委員御指摘のとおり、地震が発生した際に、強い揺れが各地に到達する数秒から十数秒前に大きな地震の発生をお知らせするものでございます。この緊急地震速報は震源近くで得られた観測値を用いて作成されるため、震源に近いところでは、強い揺れの到達に情報提供が間に合わない場合もございます。

 この緊急地震速報の提供につきましては、利用に際して、情報の特徴や限界を十分理解した上で活用いただくことが重要なことから、列車の制御や工事現場の安全確保への利用等、混乱なく情報を利用することが可能な事業者等に対しまして、昨年八月に先行的な利用を開始したところでございます。

 広く国民の皆様へ対しましては、混乱なく情報を利用いただくため、情報の特徴や限界、情報を受けたときの利用の心得を政府一体となって十分に周知広報し、それを踏まえて、本年九月ごろに提供を開始する予定でございます。

○古屋(範)委員 九月実施の予定ということでございます。ぜひ有効な活用、国民への広報、周知徹底をお願いしたいというふうに考えております。

 次に、順番を変えまして、国土交通省にお伺いをしてまいります。

 私も、委員長から報告がありましたように、二日、皆様とともに輪島市に入り、また門前町の被災現場等を視察してまいりました。非常に、想像以上に被害の実態は大きいということを感じました。

 現在、七百六十七名の方々が避難をしていらっしゃるというふうに伺っております。また、現地からの要望もございましたように、能登半島の大動脈、能登有料道路また国道二百四十九号線は大きな被害を受けております。

 この基幹的交通基盤の復旧につきまして、現状と見通しをお伺いしたいと思います。

○宮田政府参考人 二百四十九号と能登有料道路の状況についてのお尋ねがございました。

 能登有料道路でございますけれども、金沢から穴水まで八十三キロの有料道路でございますが、現在、羽咋から穴水までが被害を受けておりまして、そのうち、羽咋市にあります柳田インターチェンジから穴水インターチェンジ、南側区間につきましては、三月二十九日午後三時に上下二車線で通行どめを解除しております。

 残るのは北側区間二十七キロでございますが、七尾市にございます徳田大津インターチェンジから横田インターチェンジ、ちょうど穴水との間ぐらい十一・一キロにつきましては、四月二十日に供用予定でございます。それから、横田インターチェンジから穴水インターチェンジ十五・九キロにつきましては、四月二十七日に通行どめを解除して全線での供用を目指すということを聞いてございますが、この区間で大きな崩落が三カ所ございます。一・二キロについて、現時点では一車線、片側交互通行での開放となっておるところでございまして、当該区間の早期二車線の確保に向けて技術的支援を行ってまいりたいと考えております。

 本格復旧につきましては、石川県それから石川県の道路公社におきまして、能登有料道路復旧工法検討委員会というのが三月二十六日に設置をされております。復旧工法について検討されておりますが、国交省からも専門家を委員として派遣しております。

 国土交通省といたしましても、一日も早い復旧に向けて技術的、財政的な支援を行ってまいりたいと考えております。

 二百四十九号でございますが、地震で三月二十五日、九カ所で通行どめになりました。九カ所のうち八カ所につきましては、二十九日までに応急復旧を完了しまして通行どめを解除しております。残る一カ所、これは輪島市の八世乃洞門というところの被害でございますが、推定一千トンの岩塊がその洞門を直撃いたして、その洞門が大きな変形をしているという状況でございます。

 現地は非常に地形も厳しいところでございますし、岩塊の除去もなかなか大変だということで、三月三十一日に主要地方道を使いまして、これは緊急復旧いたしまして、当面の迂回路は確保してございますが、通常より二倍の時間がかかっております。本格復旧が早急に必要であると認識しております。
 石川県におかれましては、専門家による検討会を三月三十一日に第一回を開催して、復旧工法を検討されております。国交省といたしましても、技術的、財政的な面で二百四十九号についても石川県を支援してまいりたいと考えております。
    〔宮下委員長代理退席、委員長着席〕

○古屋(範)委員 次に、仮設住宅支援また高齢者に関する質問に移りたいと思います。

 避難所で、私も避難をされている方とお話をいたしましたが、体の調子がよくない、またよく眠れないなどの声も伺ったところでございます。

 特に、この地域におきましては、被災した二市二町で高齢化率四一・四%、新潟中越地震で被災した市町村の高齢化率二三・四%を大きく上回っているわけでございます。中でも、最も多く避難を抱える輪島市、人口の三人に一人が高齢者であり、このたび被災をされた門前町地区では六十五歳以上が半数を占めるという地区となっております。重傷者の多くが高齢者でいらっしゃいました。

 特に、家屋が全壊また半壊したひとり暮らしの高齢者の方にとって、住宅再建への不安ははかり知れないものがございます。仮設住宅の設置についても手厚い支援が必要であると思います。この件に関するお考えをお伺いいたします。

 また、今、心身両面にわたる疲れ、ストレスがたまっている、あるいは運動不足などもあるかと思います。この被災者の立場に立った、人々の心のひだに分け入ったソフト面での支援も重要かと思います。高齢の方々の心身両面にわたるケアにつきまして、その支援策をお伺いいたします。

○宮島政府参考人 委員御指摘のとおり、今回被災された方の中には高齢者が大変多いということで、今現在、応急仮設住宅の建設を進めているところですが、この住宅におきましても、談話室の設置ですとか、あるいは手すり、スロープなど、高齢者に配慮した仕様にしたいというふうに考えております。

 また、心身両面の高齢者のケアの問題ですが、例えば避難生活に伴って廃用性症候群になるとかエコノミー症候群になるというようなことがありますので、厚生労働省からは、留意事項のお知らせを行ったほか、日本赤十字社の巡回診療あるいは国立病院機構金沢医療センターからの医療班や看護師の派遣、あるいは国立精神・神経センターから心のケアに関し専門家を現地へ派遣するなど、今後とも関係機関の連絡調整、情報交換などを行いながら、高齢者のケアに配慮してまいりたいというふうに考えております。

○古屋(範)委員 高齢の方々への最大の支援、また配慮、よろしくお願い申し上げます。
 最後に、溝手大臣にお伺いをしてまいります。

 中越地震では、六十を超える集落が孤立をいたしました。また、政府の調査によりますと、地震で災害時に孤立するおそれのある集落は、全国で約一万七千に上るということが明らかになっております。日本の国土、七割が過疎、高齢化の中山間地域にありまして、今回のような大規模災害が起きれば、生活が困難となり、集団離村などの地域社会の崩壊につながるおそれもございます。また、西日本全体の地震活動が活発化をしているとの専門家の指摘もございます。

 そこで、世界でも有数の地震列島と言われる日本、この地震災害に対する、あらゆる場面において各国のモデルとなるような積極的な諸政策を進めていく必要があると思います。一たび地震災害が起きれば、国内はもちろん、諸外国に対しても真っ先に援助に向かえるような態勢づくりが求められると思います。大臣の御決意を伺いまして、質問を終わりにしたいと思います。

○溝手国務大臣 御指摘のように、地震から国民の生命財産を守ることは政府にとりまして最も重要な責務の一つであり、地震防災対策の具体的な取り組みとしましては、まず、住宅や学校、病院等の公共施設の耐震化、市街地の面的整備などを含めた地震に強い町づくりを行うこと。次に、津波に対する堤防の整備とか堤防の耐震化、あるいは避難地、避難路の整備などを進めてまいっているところでございます。

 今回の能登半島地震では、高齢者等の災害時要援護者対策が改めて大きな課題となっております。今後とも、災害時の要援護者の避難支援ガイドラインを踏まえまして、まず第一として、避難所における要援護者用の窓口の設置、災害時における福祉サービスの継続、さらには要援護者避難支援連絡会議等の設置、あるいは要援護者一人一人の避難支援者を定めた避難支援プランの作成などを推進していくこととしております。

 さらに、我が国には全国で一万七千に上る孤立可能性のある集落が存在しております。これらについて、平成十七年八月に、中山間地等の集落散在地域における地震防災対策に関する検討会からの提言を発表しまして、内閣府から各都道府県にお知らせをするとともに、市町村への周知や孤立集落対策の地域防災計画への反映、提言を踏まえた地震防災対策の推進等を要請しているところでございます。
 今後とも、地震防災対策を政府一丸となって推進してまいる所存でございます。

○古屋(範)委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

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