第166回国会 厚生労働委員会 第8号
○古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。
まず初めに、このたびの能登半島地震で亡くなられた方、また御遺族の皆様に心からお悔やみを申し上げますとともに、負傷された方々、被災者の皆様に対し、心からのお見舞いを申し上げたいと存じます。
今回の地震で大きな被害を受けた石川県能登半島地方は、過疎に悩み、ひとり暮らしの高齢者が多い地域と伺っております。政府は、被災者の方々が安心した生活を送れるよう、一刻も早く激甚災害に指定するとともに、被災地の復旧復興に全力を尽くしていただきたいというふうに思います。
まず初めに、先般、フィブリノゲン製剤等による肝炎感染の被害者につきまして、新たに国の責任を認める判決が下されました。国としては、関係省庁と協議の上、最終的な判断を下されるものと思いますが、適切な判断を下されるよう要望いたします。同時に、司法判断をどのように求めるかという問題と並行して、数多く存在する肝炎感染者の方々の実質的な救済と支援について検討を進めるべきと考えます。昨年来の国会での論議、指摘を踏まえまして、この薬害肝炎患者の救済について質問してまいります。
全国で多くの肝臓がんの患者の方々が生体肝移植を受けて救われていますが、保険適用が認められず多額の自己負担という大変な困難に直面をしております。これはまた、手術を行った医療機関や医師自身も、手術前に保険適用となると説明をし、移植を実施していることから、同様に困難に直面しているわけであります。厚生労働省は適用の条件と異なると説明をされていますが、実際の記載は、ミラノ基準とは異なって、先立つ肝臓がんの治療の経過について規定されておらず、執刀医が保険適用と理解することもやむを得ないと言わざるを得ないわけであります。
こうした事態を踏まえ、多くの困難に直面する患者の方々の心情も踏まえ、当面保険給付を継続すべきと考えますが、いかがでしょうか。
○水田政府参考人 お答えいたします。
現在の生体部分肝移植の保険適用基準についてでございますけれども、これは、エビデンスに基づきまして、専門家による議論を経て、中医協での議論を踏まえて、平成十六年一月に肝がん患者にも適用を拡大したところでございますけれども、これは、再発が少なく生存率が高いと見込まれるものに限定して保険適用の拡大をしたものでございます。
このいわゆるミラノ基準につきましては、生体部分肝移植を行う医師の方であれば熟知しているものと考えられまして、また、この基準を設定する際の議論も公開の場で行われているものでございますので、保険適用のルールは十分に周知されているものと私どもは考えてございます。
委員御指摘のように、厚生労働省が示す基準が十分周知されず現場が困っているといった事実があるのであれば、現行の基準の周知につきましてさらに徹底すべく、必要に応じて対応策を検討してまいりたい、このように考えてございます。またさらに、治療の進展に関しましては、そのエビデンスに基づきまして判断をしていきたい、このように考えております。
○古屋(範)委員 大変厳しいお答えであるというふうに感じます。
次に、肝炎に罹患した患者の方々の困難、一つには、肝炎から肝硬変へと進行し、さらには肝臓がんへと進行する、この長い経過と疾病の重大性に起因をしているわけであります。現在、肝硬変への進行を防ぐために、慢性肝炎の治療としてインターフェロンの投与また抗ウイルス薬の併用療法が行われておりますが、長期にわたっての治療であり、患者の方々の負担も大変に大きいものであります。また、インターフェロンの投与は肝臓がんへの進展を予防する効果があるのではないかとも考えられております。
そこで、患者の方々の負担を少しでも軽減するために保険適用のさらなる拡大などさまざまな努力を進める必要があると考えますが、この点はいかがでしょうか。
○水田政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のインターフェロンの効果についてでございますけれども、これにつきましては、なお私どもといたしましては知見の集積が必要である、このように承知をしておりまして、現時点の情報をもとに保険適用についてお答えすることは困難でございます。
今後、知見の集積がなされまして、そのデータをもとに、まずは薬事承認が必要でございます。この薬事承認がなされた場合には、その適応内容等を踏まえて適切に検討していきたい、このように考えております。
○古屋(範)委員 肝炎患者の方々への実質的な支援と救済、これを強く要望しておきたいというふうに思います。
次に、きょうの質問のテーマであります療養病床再編成について質問してまいります。
医療の分野は、国民の大きな関心事であり、医師確保の問題またリハビリテーションの問題など、さまざまな課題がございます。初めに、この療養病床再編成の考え方についてお伺いをしてまいります。
高齢者の方々の介護は、まず、家族がサービスを使いながらできるだけ在宅で支えてきているように思います。また、最後は施設や病院に入所、入院することが多く見受けられます。療養病床は、このようにどうしても在宅では支え切れない、そういう方々が入るベッドとして機能しております。しかし、療養病床には必ずしも医療の必要性が高くない方々も入院している、そのことが、昨年厚生労働省が初めて行った療養病床実態調査によって明らかとなりました。そして、昨年の医療構造改革の中で、療養病床の見直しを進めることとなり、療養病床の六割削減、全体の数が大きく減らされる方針が打ち出されたところでございます。
テレビや新聞の報道を見ておりますと、なぜ再編成が進められるのか、全体としてどのような方向を目指すものなのか、そこを説明せず不正確な理解のまま、ただ療養病床がなくなるという側面のみを取り上げて、患者の追い出しとか介護難民などとセンセーショナルにあおって、かえって高齢者や家族の不安をかき立てているように感じてなりません。
本来、療養病床の見直しは、療養病床がすべて廃止されたり、サービスを必要とする患者を無理やり追い出したりするものではなかったはずであります。しかし、当事者の高齢者、家族には伝わっていないのが現状ではないかと思います。その病床削減に対して、今後が不安、受け皿がなく介護者も共倒れになるのではないかといった切実な声も寄せられております。
再編に当たって、入院、入所されている皆さんが不安を抱かれることのないよう、一人一人の患者また高齢の方々が安心して過ごせる道筋を示すなど、きめ細やかな対応を行い、不安を払拭することが必要であると考えます。
今回の療養病床再編成のねらいと対応方針について、副大臣にお伺いをいたします。
○石田副大臣 長期にわたる療養を必要とする患者のための病床であります療養病床につきましては、患者の状態が安定しているため医師による指示の見直しがほとんど行われていない、そういう方も利用している実態が、委員も御指摘のありましたように、調査の結果、そういうこともわかったわけであります。そのことから、今般の医療制度改革の一つの柱である医療費適正化の総合的な推進におきまして、長期入院を是正するための具体的な方策の一つとして、療養病床の再編成に取り組むことといたしました。
これによりまして、一つは、患者のニーズに即した適切なサービスの提供、また二つ目には、医師、看護師など限られた人材の効率的な活用、そして三つ目には、医療保険や介護保険の財源の効率的な活用による安定的な制度の運営、こういうことが図られることとなるものと考えております。
療養病床の再編成に当たりましては、患者の状態に応じた施設の適切な機能分担を推進することといたしまして、具体的には、医療の必要性が高い方々を受け入れるものに限定し医療保険で対応するもの、そして、医療の必要性の低い方々については、こうした方々が利用している療養病床を、平成二十三年度末までの間に、より居住環境のよい老健施設等に転換していただく、そして、それをその受け皿とすることといたしております。
いずれにいたしましても、委員御指摘になりましたように、メッセージというんでしょうか、その趣旨が明確に伝わらず、いたずらに、追い出されるのではないかとか、こういう御心配をされる向きもあるということを私もお聞きいたしておりますけれども、療養病床の再編成に当たりましては、入院されている方々が追い出されるとか、そういうことの不安を招かないよう適切な対応を図ってまいらなければなりませんし、特に療養病床再編成の意義につきましては、もっともっと周知をしていかなければいけない、このように考えております。
○古屋(範)委員 ただいまの副大臣の御答弁により、ただ単に療養病床を減らすということが目的ではなく、それぞれのニーズに合わせてその状態にふさわしいサービスを提供していく、その環境を整えることというお話でございます。
そのねらいや方向は正しいといたしましても、実際に円滑な転換が進むかどうかということが問題であります。療養病床の再編成、二〇一一年末までということでございます。全体で六年間をかけて進めることとなっております。既に一年間経過したことから、これから五年をかけて取り組むということになるわけですが、実際、転換を進める上で、現場の医療機関にとってさまざまな課題がございます。
そこで、厚生労働省として、どのような転換支援策を講じてこられたか、その概要の御説明をいただきたいと思います。
○阿曽沼政府参考人 お答えをいたします。
療養病床の再編成に当たりましては、療養病床の老人保健施設等への円滑な転換を促進する、そういう観点から、まず医療保険、介護保険の双方におきまして、医師、看護職員の配置などを緩和いたしました療養病床の類型を創設するということが一つでございます。
それから二つ目に、既存の建物をそのまま活用いたしまして老健施設に転換できるように、床面積の基準を経過的に緩和するという措置も講じております。
それから三番目でございますが、財政支援策といたしまして、地域介護・福祉空間整備等交付金等を活用して転換に要する費用を助成する。
そういった形の転換支援措置を今まで講じてきているところでございます。
○古屋(範)委員 さまざまな緩和施策あるいは財政的な支援措置などを講じられてきたということでございますが、この療養病床の再編、その受け皿となる老人保健施設は、入院を終えた後、またはリハビリなどをして在宅復帰を目指す中間施設であります、入所期間が長期化しているなど、その役割自体が揺らいでいるのではないかというふうに思います。
厚労省の調査によりますと、子供と同居する高齢者、一九八〇年で六九%から、二〇〇三年には四七・八%と減っております。このように家族の介護力が低下をしている。その上に、在宅介護の難しい認知症の高齢者はますますふえている。老健施設の存在がより重要性を増してくることが予想されます。医療療養病床十五万床を目標とするならば、その転換先として有力視されている老健施設の医療提供体制はやはり見直しが必要であるという指摘がございます。
今後、終末期も含め、医療の必要性が高い人たちが老健施設に移っていくことが考えられますが、現在の老健施設での医療提供の実態を見ますと、医療処置の実施状況は特養ホームより低い現状であります。このため、関係者から、現在の療養病床に入院している患者さんを老健施設でそのまま受け入れることが可能なのか、実際には受け入れが難しいのではないかという声が聞かれます。
そこで、これまでより医療を充実させた施設、例えば医師や看護師の人員配置を厚くする、また、夜間の急変にも備えられるよう、最低限、看護師の当直体制を義務化する、もしくは、そのままの内部配置で必要に応じて訪問診療や訪問看護を潤沢に提供することができる体制を整備するなど、老健施設のあり方を見直すべきというふうに考えます。この点につきまして、厚生労働省の御認識をお伺いいたします。
○阿曽沼政府参考人 先ほど副大臣から御答弁申し上げましたように、療養病床の再編成につきましては、医療の必要性が高い患者さんについては医療保険で対応する、それから、医療の必要性の低い方々については療養病床を老健施設等の介護施設に転換することで対応するという基本的考え方でございます。
その場合に、御指摘ございましたように、老健施設でございますけれども、現在の老健施設といいますのは、在宅の復帰の施設としての役割を担っているということがございます。したがいまして、療養施設の受け皿としてどうかという議論がございまして、特に夜間の看護職員の配置をどう考えるかという問題、それからもう一つは、みとりへの対応をどうするか、そういう課題が指摘をされているところでございます。
私どもとしては、法律の附則にも、老人保健施設等の基本的なあり方あるいは入所者に対する医療の提供のあり方等については、入所者の状態に応じてふさわしいサービスを提供する観点から検討を行うという附則の規定もございますし、そういうことを、全体を踏まえまして、現在、介護施設等の在り方に関する委員会におきまして、老人保健施設等の基本的なあり方等について速やかに検討しております。特に、先般取りまとめられました療養病床アンケート調査結果もございますので、できるだけ関係者の御意見を十分に伺いながら検討を進めてまいりたいというふうに思っております。
○古屋(範)委員 やはり、この転換の中では、一人の高齢者、人が中心ですので、そこをより重視した転換のさまざまな体制づくりというものが必要になってくるというふうに思います。
先日、私は、多摩市にあります新天本病院というところに行ってまいりました。ここは天本理事長が、人里離れた地ではなくて市街地に高齢者専門病院をつくりたい、住みなれた地域の中で高齢者と御家族を支援したいという信念でつくられた病院であります。
病棟は、一階から、外来リハビリ、また一般病棟、回復期のリハビリテーション、また認知症デイケアなどというふうになっておりまして、非常にリハビリのスペースなども広く、明るくつくられております。スタッフも非常に厚く配置をされておりました。
また、介護老人福祉施設も併設されていまして、ここでは、より生活に近いグループホーム的なリハビリを行っている。また、少し離れたところには、在宅ケアのベースキャンプとして、外来、また訪問診療、通所リハビリテーション、また居宅介護支援事業所、訪問看護ステーション、グループホーム、認知症対応型の共同生活介護などが集合した多機能型のいわゆるベースキャンプも備えてあるということでありまして、さまざまな高齢者のニーズがある、またいろいろに変化をしてくる、そういったものに柔軟に対応できるようなメニューを持っているというような病院であります。一九七〇年代後半から老人病院が急増しまして、いわば薬漬けとか検査漬けの老人医療のあり方に疑問を持った医師たちが老人の専門医療を考える会を八三年に設立され、そこから一貫してここまで病院を進化させてきたということでございますが、私もその先見性に敬服をいたしました。
実際、二〇〇〇年の介護保険開始で、療養型病床群は医療保険型と介護保険型に分けられ、翌年、療養病床と名前が変わりましたが、それが、二〇一二年までに介護型が廃止、医療型も削減されることとなっております。病院の中ではすべてが介護療養病床というところも少なくありません。療養スペースの拡大のために借金をして建て増したばかりなのにとの嘆きの声もございます。このように、病院関係者の方々は、やはりこれまでの制度の目まぐるしい変化への対応を余儀なくされ、不安を抱えて、今後進むべき方向を悩んでいるというふうに思います。
先般公表されました療養病床アンケート調査の結果を見ますと、半数が療養病床に居続けることを希望する、また一方で、未定としている者も三割いるということであります。都道府県の状況を見ましても、医療療養病床の医療区分二、三に重い方が集まりまして、介護療養病床には医療区分一の方が集まるといった、ある程度療養病床間の機能区分は進んできているというふうに思いますが、老健施設等への転換については実際にはまだ進んでいない、これで円滑な転換が進んでいるとは今のところは言いがたいのではないかというふうに思います。
そのために、これまでの先ほど御説明いただきました支援措置に加えまして、さらに医療機関の実情に即した対応を考えて、速やかに実施をすべきというふうに思います。厚生労働省としてどのように取り組んでいくおつもりか、お考えを伺います。
○阿曽沼政府参考人 今お話がございましたように、先般公表いたしました療養病床のアンケート調査結果によりますと、転換の意向がまだ未定であるというのが三割ぐらいございます。今月開催いたしました介護施設等の在り方に関する委員会におきましても、委員の先生方から、当面転換を進めるためにできるだけ具体的な対策を検討すべきだというような御意見もいただいておりまして、厚生労働省といたしましては、これらの御意見も踏まえまして、さらなる転換支援措置を検討し、速やかに実施をしたいというふうに考えております。
例えば、具体的に申し上げますと、療養病床を老健施設等に転換する場合の食堂や機能訓練施設などの施設基準を緩和する、あるいは、転換によって老健施設と医療機関が併設になるというようなケースの場合でありますと、階段とかエレベーター、出入り口などの共用を可能とするような、そういう設備基準を緩和するとか、あるいは、第三期の介護保険事業支援計画におきまして、定員枠を少し弾力化するといったような形で今検討を進めておりまして、明日ございます介護給付費分科会に諮問するなど、できるだけ実施を急ぎたいというふうに思っております。
○古屋(範)委員 さらなる基準の緩和、弾力化などを考えていらっしゃるということでございます。しっかりと推進をしていただきたいなというふうに思っております。
今後さらに高齢化が進展をしてくる、後期高齢者の患者というものが非常に増大をしてくるということを考えますと、この療養病床の転換に当たりまして、地域における高齢化の対応や、また在宅ニーズへの対応を念頭に、地域の将来像も見据えながら進めていくことが必要なんだろうというふうに思います。
そのときにポイントとなりますのが、やはり在宅医療ではないかというふうに思っております。療養病床削減、また老健施設への転換を進める中で、本当に豊かで安心な医療を提供するために、できるだけ住みなれた家庭、地域で生活が送れるよう、希望すれば在宅医療が受けられる体制の整備が必要であるというふうに考えております。
在宅療養支援診療所は、この在宅療養にとって大変重要な役割を担っております。厚生労働省は、昨年の診療報酬改定におきまして、新たに在宅療養の中心的な役割を担う在宅療養支援診療所を創設しました。今後の展開が大いに期待をされております。この在宅療養支援診療所の普及も含めまして、また、今後の在宅医療の推進についてどのようにお考えかをお伺いいたします。
○水田政府参考人 ただいま委員御指摘のとおり、平成十八年度の診療報酬改定におきまして、在宅医療の推進の観点から、診療報酬上の仕組みといたしまして、在宅療養支援診療所を新設したところでございます。
その内容といたしまして、二十四時間の往診及び訪問看護等の提供体制を評価したところでございまして、平成十八年七月時点での届け出数は九千四百三十四医療機関、全診療所の約一割となっているところでございます。
この在宅療養支援診療所におきます在宅でのみとり患者数でありますとか、訪問診療あるいは緊急訪問看護の実施回数など、実際に提供されている診療実績につきましては本年から報告をいただくこととしてございまして、これに基づいて、中医協の検証部会において結果検証を実施する予定でございます。
厚生労働省といたしましては、この中医協における結果検証、あるいはその場での御議論を踏まえながら、次回改定に向けて在宅療養支援診療所のあり方について検討してまいりたい、このように考えております。
○古屋(範)委員 この在宅医療の拡充というものを強く望んでいるわけでございますが、年間百万人の方が亡くなる中で、自宅で亡くなる方は約一割であるのに対して、病院、診療所で死亡される方は約八割となっております。
先日、墨田区のホームケアクリニック川越、またグループ・パリアンというところに、公明党の福島議員とともに訪問いたしました。ここでは、川越院長が、末期がんまた高齢者の方々ができるだけ家で普通に過ごしたいという希望をかなえようということから、在宅ケアを行っていらっしゃいました。看護師、医師のカンファレンスを見せていただきまして、また、患者、御家族の了解を得まして、川越院長と、約半日往診に同行をさせていただきました。
やはり、川越院長との会話にしましても、かなり踏み込んだといいますか、末期の方もいらっしゃいますし、また、家族との関係性あるいは経済的な問題など、多分病院ではあり得ないというか難しいことも、在宅では、もう一歩踏み込んだといいますか、そういう会話を交わしながら、エコーで検査をしたり、あるいは緩和ケアの張り薬も張り、自宅で緩和ケアもできるということであります。
病気になっても、地域の行事などに参加しながら生活をしていく、これが非常に大切なんだろうというふうに思っております。私も、在宅でのこうした医療提供の大切さということを目の当たりにしてまいりました。また、こういうものが身近にあれば非常にいいわけですが、なかなか、こういう医療提供をしてくれる機関はまだまだ足りないように思っております。
今後、終末期医療を支える医療をどのように進めていくことが大事なのかという点に関して、厚生労働省にお伺いをいたします。
○松谷政府参考人 患者さんのQOLの向上の観点から、できるだけ住みなれた家庭や地域で生活を送られるよう、患者さんが希望する場合には必要な在宅医療が受けられる体制を構築していくということは、委員御指摘のとおり、大変大事なことだと思っております。
特に、在宅でみとり、亡くなられる場合もこれからふえてくるというふうに思います。終末期医療につきましては、人の生死に深くかかわる問題でございまして、国民の関心も高いことから、重要な課題と考えているわけでございます。
このため、国におきまして、昨年九月に、患者さんの意思の確認方法あるいは治療内容の決定手続等の終末期医療に関するガイドライン、たたき台を国民にお示しいたしまして、本年一月より、終末期医療の決定プロセスのあり方に関する検討会を開催しているところでございます。
この検討会におきましても、終末期におきましては、患者さんに十分な情報提供が行われ、その情報に基づいて患者さんがどのような医療を受けるのかを決定することが重要という意見が多く出されておりまして、その旨明記する方向で検討がなされているところでございます。
医療関係者や、また患者さんからも、このようなガイドラインの作成を通じて、終末期医療のあり方について一定の前進を求める声が強いことから、合意できる範囲についてできるだけ早く取りまとめていただきまして、その内容を関係者に対して周知していきたいというふうに考えております。
○古屋(範)委員 最後に大臣にお伺いいたします。
この在宅医療、二十四時間三百六十五日対応していく、また、医師一人ではなく、さまざまなコメディカルな方々との連携も必要であるというふうに思います。在宅サービスの基盤整備を強力に進め、生活の場に医療と介護が二十四時間提供される安心の仕組みが構築できるよう取り組みを進めていただきたいと思いますが、最後に大臣の決意をお伺いいたします。
○柳澤国務大臣 古屋委員におかれては、ここずっと、在宅医療の安心の体制を構築するために必要な施策についても御質疑をいただいてまいりました。私どもも、必要な在宅医療が、希望される場合には受けられる体制の構築を一層推進する必要がある、このように考えております。
したがいまして、今回の医療法の改正でも、新たな医療計画において、居宅等における医療の確保に関する事項を明記してもらうということになりまして、その中で、がん、脳卒中、糖尿病、急性心筋梗塞といった疾患については、在宅医療を含めた連携体制を明示していただく、こういうことになっております。医療機関におきまして、退院した患者に対して、保健医療サービスや福祉サービスとの連携を図って、在宅等での適切な療養を継続できる環境を確保するという努力義務も規定をいたしているところでございます。
また、先ほど保険局長から答弁いたしましたように、診療報酬改定におきましても、本年度から、二十四時間往診可能な体制を確保して在宅医療を提供する診療所に対しては厚い評価をするということも措置しているところでございます。
静岡市や尾道市におきまして、地域の医師会が中心となりまして、在宅医療に係る先進的な取り組みが行われているということでございまして、私自身、静岡市の例を、先般訪ねまして承知したところですが、厚生労働省といたしましては、このような好事例を紹介するなどいたしまして、他の地域におきましても、今委員の御指摘のとおり、安心して在宅医療が受けられる体制が構築されますように努めていきたいと考えております。
○古屋(範)委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。