第166回国会 厚生労働委員会 第4号

○古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。
 本日、雇用保険法改正案につきまして質問してまいります。
 まず初めに、育児休業給付の拡充についてお伺いをいたします。
 仕事と子育ての両立を支えるために、これまで公明党は、育児休業取得者への所得保障の拡大を一貫して推進してまいりました。その取り組みは、まず二十二年前の昭和六十年、政党として初めて育児休業法案を国会に提出したところから始まりました。その後、公明党単独で二回、また野党共同案を三回国会に提出、その後政府案が出されまして、平成三年五月、育児のために休業する権利を初めて認めた育児休業法が成立をいたしました。この育児休業は所得保障なしで制度化をされましたが、平成七年に、休業前賃金の二五%給付が実現をいたしました。そして、十三年には、給付額が四〇%と倍増し、育児休業中の健康保険料また厚生年金保険料の免除、さらに、一年前には、パートまた派遣労働者にも休業取得の門戸が開かれ、育児休業期間は最長一年半までと延長され、制度の拡充が着実に進んできているものと認識をしております。
 そして、このたびの改正案では、育児休業給付率がさらに四〇%から五〇%へと引き上げられることとなりました。これは非常に大きな前進であると評価をしております。しかし一方で、この引き上げ措置が、平成二十二年三月三十一日までに育児休業を開始した者とされております。その理由につきまして、副大臣にお尋ねいたします。

○武見副大臣 今回の改正法案の中で、育児休業給付の率の引き上げ、平成二十一年度までの暫定措置としたその理由でございますけれども、子ども・子育て応援プランにおきまして、平成二十一年度までの期間において少子化対策に重点的に取り組むこととされております。これは、平成十七年度から平成二十一年度までの五年間という期間になっております。これを踏まえたものというふうにお考えいただければと思います。
 平成二十二年度以降の件につきましては、今回の措置の政策的な効果、その時点での育児休業期間中の所得保障についての検討の状況などを踏まえまして、適切に対応していきたいと考えております。

○古屋(範)委員 二十一年度までの五年間の方針にのっとっているということ、そして、二十二年度以降はその政策効果を勘案してということでございます。
 ただいまの御答弁で、二十一年度までの暫定措置とされた理由、よくわかりましたけれども、この見直しの時期となる三年後ですけれども、ぜひさらなる拡充を求めたいと考えております。よろしくお願い申し上げます。
 現在、政府は、少子化対策のために、男性の育児休業制度の取得を推進されています。平成十六年十二月に出されました子ども・子育て応援プランにおきましては、十年後までに育児休業取得率、男性一〇%また女性八〇%に引き上げることを目標として掲げています。
 しかしながら、平成十七年度時点の実際の取得率、これは、厚生労働省の女性雇用管理基本調査によりますと、女性は七二・三%と高いものの、男性は〇・五%となっており、このままいけば、女性は政府目標を達成する見込みでありますが、男性はとても無理であることが予想されます。
 内閣府が平成十七年に発表いたしました少子化社会対策に関する子育て女性の意識調査では、男性の育児休業取得率を引き上げるための施策を聞きましたところ、男性社員が育児休業を取得した場合の事業主への財政支援が四二%と最も多く、続いて、行政や事業所による啓発活動の強化三三・五%、それから、事業主に対する行政指導の強化三三・三%、そして、育児休業給付制度の支給額の引き上げが三二・三%と続いております。
 夫の収入が家計を支えている家庭が非常に多い中で、夫が育児休業をとることは家計の圧迫につながるというのが現実であります。今回、給付率が一〇%上がったとはいえ、雇用保険から育児休業取得者に支給されるのは、職場復帰後六カ月以上雇用された場合、休業前の賃金の五〇%にすぎないわけであります。しかも、支給対象となるのは毎月の給与に当たる部分であって、ボーナスは対象外となっております。男性の育児休業取得が多いスウェーデンでは、三百九十日間、育児休業により得られなかった給料の八〇%が保障をされていることを考えますと、我が国で男性の育児休業取得者をふやすためにはさらに手厚い所得保障が必要かと考えます。
 これにつきまして、副大臣のお考えをお伺いいたします。

○武見副大臣 まず、基本的に、こうした育児というものについて、女性のみならず男性もこれに積極的に参加をすることの必要性というのは十分に認識をしておるところでございます。ただ、委員御指摘のとおり、男性が育児休業を取得しない要因の一つとして、育児休業中の所得の低下というのが挙げられている、これも認識しております。
 この育児休業中の所得保障ですけれども、今回の改正法案において、育児休業給付の給付率を四〇%から五〇%へと暫定的に引き上げて、雇用保険制度としては最大限の対応を図るという努力はさせていただいたわけであります。育児休業取得者等に企業独自の経済的支援を行う事業主に対する助成制度を創設するということもしておりまして、これらの措置が男性の育児休業の促進にも資するものと考えています。
 なお、男性が育児休業を取得しない理由として、他に育児をする者がいるというふうに挙げるものが多いわけでありまして、今後とも、さまざまな政策手法を用いて、男性の意識改革を含めて、男性の育児休業の取得促進に努めてまいりたいと考えております。

○古屋(範)委員 全体として男性、女性の給与の所得格差があるということも大前提として考えていかなければいけないのだろうというふうに思っております。
 また、今武見副大臣がおっしゃいましたように、男性が、他に育児をする者がいるという理由を挙げていることにつきましても、やはり、若い世代になりますと大分考え方は変わってきているというふうに思いますけれども、男性も女性もともに共同して育児をしていこうという、現実にはなかなか、男性の側も、長時間労働している、あるいは往復の通勤時間も非常に長い、首都圏では一時間、二時間、通勤時間もありまして、実際に家に帰ると子供は既に寝てしまっているという家庭が多いように思います。その辺の男性の側の事情もありますでしょうが、この点、さらに推進をしていかなければいけない点である。一時代前までは、女性は家で家事、育児という概念がありましたけれども、逆に今は、仕事も家事も女性の側に負担がかかっていってしまっている、そういうさらに厳しい時代なのかなというふうにも思っております。
 男性の育児休業取得促進のために、所得保障のみではなく、今副大臣がおっしゃいましたように、男性の意識の啓発、また、上司や同僚、そういった職場の周りの理解の促進、また、育児休業中の代替要員の確保の必要性など、さまざまな問題が指摘をされております。男性を含む働き方の見直しを柱の一つに加え、男性の育児休業の取得に力を入れている子ども・子育て応援プランの、十年後の男性の育児休業一〇%目標達成のためにも、また、男性の育児参加が普通と思える企業風土をつくるために、日本の現状に合った制度の見直しが必要であると考えております。職場で人が一人いなくなるということに関しましては、周りの方に仕事量がふえるわけですので、現実には男性が育児休業をとるというのは非常に難しいというふうに思います。
 例えば、現在は、労使協定を結ぶことによりまして、配偶者が子供を養育できることが可能である場合、つまり、妻が専業主婦であるとか、妻が育児休業取得中などの場合は、企業は、夫が育児休業を取得する申し出を拒むことができるということになっております。またさらに、分割して休業を取得するということが認められておりません。このため、週二日の休みを四週間取得するような柔軟な働き方ができないわけであります。さらに、育児休業を希望する者は予定の一カ月以上前までに申し出をしなければいけないなど、育児休業の機動性が損なわれている側面があると思います。これも、分割して休業をとるなど短期間の育休をとることができれば、代替要員の確保が必要でなくなり、事業主の負担も周りの負担も軽くなると考えられます。
 例えば、企業名を出して恐縮でございますが、ソニーなどの場合には、配偶者、男性の側が出産休暇をとることにつきまして、二〇〇四年までは二日間、無給にしていたそうであります。これを変えまして、その後、五日間、有給としたところ、二〇〇六年三月まで、男性社員二百八十六人、取得可能の五五%までが取得をしたという結果が出ております。ですから、とれるものなら、やはり男性の側も、たとえ五日であっても育児休業をとって、例えば、出産後、何人かのお子さんがいた場合には上のお子さんの面倒を見なければならないというような事情もございますでしょう。
 そこで、男性の育休取得を促進するために、改めて現行制度を、日本の家庭、男性が望んでいる育休のニーズに合った見直しをすべきと考えます。
 妻が専業主婦や育児休業中の場合も、父親の方は育児休業取得を可能にする、また、複数回に分割して育児休業を取得できるようにする、短期間の場合には育休の申し出を一週間前程度に短くするなど機動的に育休を取得できるようにする、このようなさまざまな努力を積み重ねた上で、育児休業を父親が必ず何日か取得できる父親割り当て制、パパクオータ制の導入をすべきではないかと私は考えておりますが、いかがでございましょうか。
    〔吉野委員長代理退席、委員長着席〕

○大谷政府参考人 男性の育児休業でありますけれども、そもそも職場における理解がまだ不足している、あるいは法制度に関する理解が行き渡っていない、こういった背景がありまして、先ほどお話がありましたとおり、男性の育児休業の取得率はまだ〇・五%にとどまるなど、取得が進んでいない状況にある、おっしゃるとおりでございます。
 今お話がありましたスウェーデンとかノルウェーといった国で、いわゆるパパクオータ制度といいます、こういう男性の育児休業の取得が促進されているというような制度があるということは承知しているところでありますが、今申し上げたように、我が国の現在の社会状況を踏まえますと、男性の育児休業の取得促進のために、まずは現行の制度の周知や、社会全体の機運といいますか、そういったものの醸成に取り組んでいくことが肝要ではなかろうかと考えております。
 このため、厚生労働省といたしまして、全国の労働局におきまして、男性も育児休業を取得できることを周知徹底するということ、また、次世代法に基づきます企業の認定基準に男性の育児休業取得実績を盛り込んで男性の育児休業の取得を促進するということ、さらに、男性の育児参加促進のためのモデル的な取り組みを行う企業二百社に対する支援、あるいはこういう事例の普及を図るということ、次に、昨年十月に取りまとめられましたが、男性が育児参加できるワーク・ライフ・バランス推進協議会、こちらの提言を普及していく、こういうことに取り組んでいるところでございます。
 分割とかいろいろな工夫がございますけれども、まずは、今申し上げましたような前段階というべき部分、男性が子育てをしながら安心して働き続けることができる、そういった機運の醸成、社会の実現に努めているところでございます。

○古屋(範)委員 厚労省におかれましてもさまざまな御努力はなさっているというふうに感じますが、ともかく国全体として子育てを応援していこう、そういう空気を醸成していくことが最も重要であり、国民に対して強いメッセージを発していくことが重要ではないかというふうに考えます。
 次に、さきに申し上げました、女性の育児休業取得率というものは順調に伸びている、事業所規模の合計で七二・三%、また六年前の五六・四%から飛躍的に拡大をしているということであります。しかしながら、やはり、五百人以上の規模では八七・三%であるのに対しまして、中小、五人から二十九人規模では五八・五%、企業規模によって非常に取得率に差が生じているというのが現状であります。
 このように小規模企業で育児休業の取得が進んでいないのは、男性の場合と同様に、職場の雰囲気、また仕事の状況、代替要員の確保が困難であることなど、さまざまな要因が考えられます。
 さらに、内閣府の少子化社会対策に関する子育て女性の意識調査では、妊娠、出産、子育て期に子育て支援制度を利用したかにつきまして、働きながら制度を利用したが二〇%にすぎない。働いていなかったが四〇・九%、また、何も利用しなかったが三五・六%で、制度を利用していない女性が多数を占め、子育て期に仕事をしていない女性が大変多く、育児休業や短時間労働などの制度があっても、それが実際には十分活用されていないというふうに考えます。
 仕事と家庭の両立を可能とする職場環境を整備することは、出産、育児を行う女性が退職することなく働きたいという希望をかなえることになるなど、女性の就業継続を促進し、社会の支え手をふやすこととなります。さらに、少子化対策という観点からも、将来の社会の担い手をふやすことにもつながることから、雇用対策としても積極的に取り組んでいく必要があると考えています。
 今回、育児休業給付が五〇%まで引き上げられますが、育児休業取得の促進策は給付だけではないと思います。
 そこで、育児休業の取得促進と、また仕事と家庭の両立のための施策、育児休業制度を実効あるものとするための取り組みについて、さらにお伺いをしたいと思います。

○大谷政府参考人 お答え申し上げます。
 男性も女性も子育てをしながら安心して働き続けることができる社会を実現するためには、育児休業や短時間勤務などの柔軟な働き方の普及、定着を図っていくことが必要でございます。
 育児休業を利用できたのに取得しなかったという理由を見ますと、これは男女ともに、職場に迷惑がかかるため、こういった職場の要因を挙げる方が多かったということであります。安心して育児休業が取得できるようにするためには、今御指摘ありましたように、職場環境といったものの改善が大変重要であると考えております。
 このため、次世代法に基づきます企業の行動計画の策定や実施を促進するということ、あるいは御審議いただいております十九年度の予算案におきまして、育児休業制度等を利用しやすいような職場風土の改革に取り組む中小企業に対する助成制度の創設といったものを盛り込んでおります。こういった形で企業における取り組みの促進に努めているところであります。
 また、育児休業の取得率を見ますと、これも御指摘ありました、大企業に比べて中小企業においてその取得が立ちおくれているということから、平成十八年度に、従業員百人以下の中小企業におきまして育児休業取得者が初めて出たといった場合に助成金を支給する制度を設けたところでございます。
 こういった取り組みによりまして、子育てしながら働き続ける、また育児休業が取得できる、こういった環境を整備できるよう努めてまいりたいと考えております。

○古屋(範)委員 職場環境の改善ということで、次世代育成法に基づく企業の行動計画の推進、また、これは公明党が主張してまいりました、育児休業取得を促進した場合の中小企業への助成制度、こういったものも十二分に活用されることを心から期待をいたしております。
 次に、教育訓練給付の見直しについてお伺いをしてまいります。
 この教育訓練給付につきましては、平成十四年度に千八百万円、また十五年度二千百万円、十六年度三億七千万円の不正受給が発生をしております。そして平成十七年度の不正受給額は二億二千万となっておりまして、この教育訓練給付総額百十八億の一・九%に上っているということであります。このように、不正受給の発生が多いと指摘をされているこの教育訓練給付につきまして、これまでの対策にかえまして、不正受給を防止する体制を早急に整備する必要があると考えます。
 そこで、これまでの不正受給防止対策と、また今回の改正で不正受給の抑制効果が一層図られることが期待されるところでございますが、これらの内容についてお伺いをしてまいります。

○高橋政府参考人 教育訓練給付に係ります不正受給でございますが、これをめぐっての不正受給の事案として、大変典型的と申しますか多発をいたしました事案でございますが、対応でございますが、教育訓練機関が受講者に対しまして偽りの修了証明書等を発行いたしますことによりまして不正受給を行わせるといったような形で、組織的かつ大規模な不正受給の事案が見られたわけでございまして、他の失業等給付に係ります不正受給との比較で見ますと、大変高い比率の状況にあるということは御指摘のとおりでございます。
 こうしたことから、私ども、教育訓練給付の不正受給に対しましては、一つは、支給申請をいたします際に、郵送あるいは代理人による申請というものを原則禁止するといったことを初めといたしました支給審査の方法を見直すということと同時に、組織的な不正受給事案が発見されました場合、把握されました場合につきまして、例えば、当該事案に関連する事案につきましてすべて全国的な形で調査を行うといったようなことなど、不正受給の防止にこれまでも取り組んできたわけでございます。また同時に、不正受給にかかわった教育訓練事業者に対しましては、講座の指定を解除する、またあわせまして、特に悪質な場合には刑事告訴をするといったような措置をとってまいってきたところでございます。
 さらに、今回の改正法案におきましては、今申し上げましたようなこれまでの不正受給対策に加えまして、不正受給をさらに防止をしていくための措置を一層強化していく、こういう観点から、一つは、教育訓練機関が偽りの修了証明書等を発行するなどして不正受給が行われました場合に、当該教育訓練機関に対しましても、連帯しての返還、納付命令をかけられるようにする、また、教育訓練機関に対しまして報告徴収を求めることを可能にするといったようなことを盛り込んだわけでございまして、こうしたこれまで講じた対策も含めまして、不正受給に関与した教育訓練機関に対して一層厳正に対処をしていきたいというふうに考えておるところでございます。

○古屋(範)委員 そうした組織的あるいは大規模な不正受給に関しまして、さらに厳正、適正な対処をお願いしたいというふうに思います。また、処分を受けた事業者の講座の再指定をしないというようなこともしっかりと行っていただきたいというふうに要望いたしておきます。
 次に、教育訓練給付の受給要件についてお伺いをいたします。
 新規学卒者の就職後三年目に仕事をやめてしまうという率を見ますと、大学卒業者は三割強、また高校卒業者は約五割というふうになっております。非常に多いということが言えるかと思います。また、労働力調査によりますと、若年者の雇用失業率情勢は改善しているとはいいましても、十五歳から二十四歳までの完全失業率は八・七%となっておりまして、全年齢の完全失業率四・四%と比較をいたしますと、依然厳しい状況にあると言うことができます。さらに、非正規雇用者の割合も若者を中心に増加をしているのが現状であります。
 先日、これは国の機関ではございませんが、東京都が設立をいたしまして財団が運営をしている千代田区の東京しごとセンターに、党の雇用・再チャレンジ支援本部で視察に行ってまいりました。ここでは、登録者約四万八千人、その中で約二万人が就職を達成しているということでございまして、高齢者、中高年、若い方々とフロアごとに分かれていまして、特に三階の若者のヤングコーナーにおきましては、カウンセリングから就職の指導までマンツーマンで何カ月もかけて、あるいは少人数のクラスなどもつくって、非常にきめ細やかな対応をされておりました。
 担当の職員の方にもいろいろお話を伺ってまいりましたが、今の若い方々、そこにいらっしゃるのは非常にまじめな方が多いそうでありまして、自分はどのような仕事をしたらいいのかよくわからないですとか、あるいは自分が何に向いているのかわからない、あるいはそれ以前に、仕事をするのが怖いといったような相談があるそうでありまして、中高年以上の場合には、どこに就職をするか、基本的には仕事をするということが大前提で就職先を探していくかと思いますが、若い方々の場合には、その悩みというものも非常に多様化をしているんだろうなという気がいたしました。
 こうした若年労働者の定着率を向上させるために、自主的な職業能力開発の促進を図っていくことが大事なんだろう、就職しても、こんなはずではなかった、あるいは自分の希望と違っていた、さまざまなことが起きてくるんだろうと思います。
 この改正案では、これまで三年以上の被保険者期間が必要である教育訓練給付の受給要件を、当分の間、初回に限り一年以上の期間に緩和されることとなり、これら若者の失業の予防、また早期再就職の促進が大いに期待されるところであります。このように使い勝手のよい改正案となっているわけですが、なぜ当分の間とされているのか、これについて御説明をしていただきたいと思います。

○高橋政府参考人 この教育訓練給付の受給資格要件でございますが、今委員御指摘のとおり、十五年の改正によりまして、それまで五年以上の要件を要しておりましたものを、三年以上の要件という形で緩和をいたしたわけでございます。ただ、依然として若い人たちの中からは、この制度を利用して自発的な能力開発を行おうというにはなかなか使い勝手が悪いという声もあったことは事実でございます。
 そうした声も私ども踏まえると同時に、今委員御指摘のように、若い人たちが大変早期に離職をされる方がまだまだ多い、そういう中で、できるだけ早く自分の能力を高めていく機会というものを得ていただくということは大変重要なことでございまして、そうしたことも踏まえながら、今御提案をしておるとおり、教育訓練給付を受ける場合については、初回に限りまして被保険者期間一年以上という要件で設定をしたいということで御提案を申し上げているわけでございます。
 ただ、この要件緩和によってどれだけの政策的効果が見込めるのか、そこら辺はやはり十分検証する必要もあるだろうということから、今回、当分の間という措置で御提案を申し上げているところでございます。

○古屋(範)委員 政策効果を見てということでございますので、若い方々への使い勝手のよい教育訓練給付、実を上げていけることを心から期待いたしております。
 やはり能力開発というものがこれから非常に大事になってくると思います。産業構造の変化、一つの能力で一生涯働き続けるという時代でもなくなってきていると思います。こうした中で、どこかで能力開発また能力の再開発というものも行っていかなければならないわけであります。そうしたことにこの教育訓練給付が資することを期待いたしております。
 さらに、教育訓練給付につきまして、どの程度の金額の講座を受講できるのかを受給者自身が決定することができるために、適切な自己負担を通じて真に必要な範囲で給付が行われていく必要があると考えます。そのため、教育訓練給付の講座指定に当たって、引き続き雇用の安定と就職の促進に資するものに限定していくよう吟味する必要があると考えます。今後、どのようにこの指定講座を厳選していかれるのか、この辺に関してお伺いをいたします。

○奥田政府参考人 お答えいたします。
 教育訓練給付制度の対象となる講座につきましては、今委員お話ございましたように、雇用の安定及び就職の促進を図るために必要な職業に関する教育訓練を指定する、こういう考え方が基本にあるわけでございます。
 こうした考え方を踏まえまして、実際には、基礎的、入門的水準の講座を除外するとか、あるいは趣味的、教養的な講座を除外する、それから、いろいろな資格があるわけですけれども、そういった資格の中でも職業能力を評価するものとして社会一般に認知されていないものについては認めない、こんなような考え方で基本的には進めているところでございます。
 また、資格につきましては、公的な職業資格等の取得を訓練目標とするなど訓練目標が明確になっている、また訓練効果の客観的な測定が可能である、こんなようなことも指定に当たりまして考慮をしているところでございます。
 また、資格の中には、レベルがいろいろなレベルで分散をしているものがございますけれども、こういったものにつきましては、社会一般にどういった資格が一番認知をされているかということにつきまして調査をいたしまして、それが広く流通しているものを指定する。
 例えば、英語に関する資格でありますとか情報処理に関する資格でありますとか、こういったようなものにつきましては調査をしながら、指定のたびにといいますか、随時ですけれども、講座を指定するたびに基準の見直しをしながら、先生御指摘のように、厳選をして対象を定めていくということに努めているところでございます。

○古屋(範)委員 最後の質問でございます。
 今回の改正では、育児休業給付の四〇%から五〇%への引き上げ、また短時間労働被保険者の区分の廃止と受給資格要件の変更、また教育訓練給付制度の見直し等、被保険者にとって大変に重要な改正が行われることとなっております。
 このような非常に重要な施策、制度が有意義に使われますよう周知徹底をお願いしたいと思いますが、この点についてお伺いいたします。

○高橋政府参考人 御指摘の今回の雇用保険法、制度改正の内容につきましては、法案成立後、ハローワーク等でのパンフレット配付をいたす、あるいは厚生労働省のホームページでの情報提供、またテレビ、新聞等マスコミを活用した周知等々、さまざまな媒体を通じまして国民への周知徹底に努めてまいりたいと考えております。

○古屋(範)委員 時間でございますので、以上で質問を終わります。ありがとうございました。

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