第204回国会 衆議院 内閣委員会-18号

古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。

 本日は、DVの問題、男女間における暴力の問題について丸川大臣にお伺いをしてまいります。

 新型コロナウイルス感染症新規感染者が増加をしている中で、外出自粛、また飲食店の時短要請などが長引く中で、不安、またストレスが募ってDV被害が深刻化をする、このような懸念がございます。

 元々DV被害に遭っている場合には、家庭内における加害者が外出をしなくなる、長時間共にいるようになるというようなことも大変被害者にとってはつらい状況になります。また、減収あるいは失業など、そういった生活困窮がDVを悪化させるというような傾向もあるのではないかというふうに思っております。

 私たち公明党の女性委員会は、全国の女性議員で、こうした様々な境遇にある方々から声を聞くウイメンズトークというのを開いてまいりました。昨年は全国で延べ二百回、本年もオンラインなどを使いながらこの活動を続けております。貧困、孤立、DVなど、コロナ禍における問題が非常に深刻になっているという現実があると思っております。

 DVの相談件数を見ますと、二〇二〇年四月から二〇二一年の二月まで相談件数十七万五千六百九十三件ということで、既にここまでで前年同期の約一・五倍というふうになっております。昨年度の相談件数を大きく上回っております。

 また、性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターへの相談件数につきましても、昨年の四月から九月の累計相談件数は前年同期の一・二倍というふうになっております。

 また、この度、内閣府におかれましては、三年に一回の男女間における暴力に関する調査報告を三月に発表されております。

 この中におきましては、回答した千四百人の女性のうち、被害経験があったと答えた人が二五・九%、四分の一に上りました。男性においても、一八・四%、あったと答えております。暴力、殴る蹴るなどの身体的な暴力のほか、暴言といった心理的な攻撃もあります。また、命の危険を感じたことがあるかということに関して、配偶者間の場合、あると答えた人が、女性一八・二%、男性も五%いました。約五人に一人が命の危険を感じたという結果が出ております。また、誰かに打ち明けたり相談したかということに関しましても、被害を受けたにもかかわらず、女性の四一・六%、男性五七・一%がどこにも相談をしていませんでした。

 このような調査結果が出ておりまして、この一年間にあった人の行為別を見てみますと、身体的暴力を受けた人が一九・一%なんですが、それ以上に、心理的な攻撃を受けたことがある人、これが四〇・六%、また、経済的圧迫を受けたことがある人二九・九%、また、性的強要が二三・五%ということで、身体的暴力以上にこうした攻撃が多くなっているということが見て取れます。

 初めに丸川大臣に、この三月に発表されました男女間における暴力に関する調査の結果、またコロナ禍におけるDV被害の深刻化について御認識を伺いたいと思います。

丸川国務大臣 古屋委員におかれましては、まず、党の女性委員長もお務めになられて、非常に女性の置かれている状況にいつも目を配り、そして政策にその声をすくい上げるという御尽力をされておりますことに、心から敬意を表したいと存じます。

 その上で、コロナ禍において女性が非常に大きな影響を受けている、これは女児もですけれども。国連においてもグテーレス事務総長がコロナの対応というものは女性と女児をその中心に置くべきであるという発言をされたように、非常に大きな影響を受けています。

 その一つが、家庭における暴力、DV被害等でございます。特に、ステイホームが求められる中で、社会との関わりや、あるいは他者とのきずなというものを断ち切らざるを得ない状況に追い込まれた皆様方が、それを相談するところを見つけられない、あるいは、ふだんだったら気軽にお話できる人とお話ができない、接触できない、こういう状況の中で課題を抱え、また被害を大きくしている側面があるのではないかという懸念は私も全く同じ思いでございます。

 幸いにも、補正予算でいただいた予算を使って、昨年の四月に、新たな相談窓口として、DV相談プラスを開設をさせていただきました。そこでの調査結果は、もう今古屋委員がおっしゃってくださったように、やはり件数として増えているということ、それから、身体的な暴力だけではなく精神的あるいは経済的な暴力と言ってもいいような状況が見られるということ、こうしたことを非常に私どもも深刻に受け止めております。

 何より、まず相談窓口へのアクセスを改善するという意味で、私たち、二十四時間の電話対応ということを、このDV相談プラスでやらせていただいた。また、SNSやメールでの相談、つまり配偶者等がそばにいるので電話できないという方のための相談ツールというものも用意をしたわけですが、やはりこれが一定の成果を上げております。

 例えば、電話をかけてこられる方は土日が多いのは、私も、逆に、土日でもお電話できるところが必要なんだなというのは当然だと思ったんですが、朝八時ぐらいにお電話される方が多い。つまり、配偶者の方が何かお出かけになったり子供がいなくなったところで電話相談をされるという方がいらっしゃる。一方、SNSやメールというのは、若い世代の方の緊急性の高い相談、これはDVに限らずで、要はつき合っている方の暴力ということ、こういうことも含めて相談があるということを捉まえても、やはりこうした形で幅広く相談できるアクセスを持っておくということが非常に重要だということをまず感じております。

古屋(範)委員 ありがとうございました。やはり孤立、孤独ということが深刻化しているんだろうというふうに思います。

 大臣も触れていただきましたけれども、DV相談プラス事業を展開をしてくださっております。今回の調査でも、被害を受けたにもかかわらず、女性の四一・六%、男性の五七・一%はどこにも相談していなかった。なかなか相談窓口にたどり着くことが難しいんだろうというふうに思います。暴力を受けていると、もうそれが常態化して思考停止に陥っている、また、他者の視点が入ってこない、いつか何とかいい方向に行くんじゃないか、このような楽観的なことも考えたいという方もいるのではないかと思っております。

 また、DV防止法の認知度につきまして、知っているかということに関しましては、法律を知っているが内容はよく分からないという人が六七・七%、内容も知っているという人は二〇・〇%。前回と余り変わらない状況でございますけれども、この認知度も上げていかなくちゃいけない。また、相談窓口の周知についても更にアップをしていく必要があると思っております。

 DV相談プラスを開設をされたこと、これは意義が大きいというふうに思っております。こうした相談窓口の周知度を上げていく、相談体制の充実が必要と考えます。また、身体的な暴力だけではなくて、言葉あるいは精神的な暴力、また避妊の拒否、中絶の強要といった性的暴力もあるということから、通報の、保護命令の対象、これを身体的暴力だけではなく精神的、性的暴力まで含めてはどうか、DV法の改正もすべきではないかと思います。この対策について、お考えを伺います。

丸川国務大臣 ありがとうございます。

 先ほど御紹介したDV相談プラスが昨年の四月からなんですが、それに加えて十月から、シャープ八〇〇八、「はれれば」という語呂で周知を図っておりますけれども、電話をかけていただくとお住まいの地域に一番近い相談窓口に直接つながるような番号をつくりました。これの周知も非常にまだまだこれからというところがございますけれども、とにかく、まず窓口があるんだということをお知らせをしていきたいと思います。

 加えて言うと、今御指摘いただいた三月の調査、男女間における暴力に関する調査で、配偶者からの暴力相談経験というのが低い。これはやはり、家庭のことで日々起きていること、これを誰かに相談するというのは一つエネルギーがとても要ることなんだろうと思います。

 加えて言うと、これは、相談を例えば最初はメールでいただいても、最終的にお電話で話を聞きながら、私の知る限り、性暴力も含めて、まず相談している方の意思を尊重して、お考えをちゃんと聞いて、それに沿った形でやっているんですよということをもっともっと訴えていく必要があるかなと思っておりまして、先生方にもまた御指導を賜れればと思っております。

 また、DV法の改正については、令和元年六月に公布、施行されました児童福祉法の一部改正法において、改正法の附則において、施行後三年を目途に、DV防止法における通報の対象となる配偶者からの暴力の形態、保護命令の申立てをすることができる被害者の範囲の拡大について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすると規定されて、その検討を求められておりまして、今年三月に、我々の男女共同参画会議の下に設置された専門調査会において報告書を取りまとめました。ここでは、精神的暴力や性的暴力も身体的暴力と同様に扱うべきとの御提言をいただいたところです。

 議員立法で改正されてきた経緯も大切に考えたいと思っておりますので、御指導よろしくお願い申し上げます。

古屋(範)委員 ありがとうございました。被害者に寄り添った政策を進めていただきたいと思います。

 最後に、法務省にお伺いをしてまいります。今日、小野田政務官に来ていただいております。

 こうしたDVの問題などがあった場合に、離婚の後の財産分与請求がなかなか二年間で完了しないということがあると思っております。離婚後速やかにこうした調停、審判を行うことが非常に困難な場合が多くございます。

 私たち公明党の女性委員会は、昨年、上川法務大臣に、女性の権利保護に関して、離婚後の財産分与請求権、請求期間を現在の二年から五年に延長することを申入れをさせていただきました。こうした、民法上、一般債権と同様に、五年に伸長すべきだというふうに考えます。

 そこで、政務官にお伺いしてまいります。

 まず、二年から五年への伸長、早急に実現をしていただきたいというふうに思っております。

 また、協議離婚が年間二十万件ありまして、特に九割が協議離婚です。財産分与がどのように行われているのか、十分な実態把握が行われていないと思います。こうした実態調査を検討しているのかどうか、この点についてお伺いしたいと思います。

 また、続きまして、財産分与に関して、夫婦間で原則二分の一だということも御存じない方もいらっしゃいます。その権利があるのに泣き寝入りになっている例も少なくないと思います。この財産分与に関しまして、例えばホームページ、動画などで情報提供をしていっていただきたい、また、自治体窓口の離婚届やリーフレット配布などを通じて是非周知をしていただきたいと思いますが、この点、いかがでしょうか。

小野田大臣政務官 お答えいたします。

 財産分与請求に関する民法上の除斥期間につきましては、先ほどお話しいただきましたように、昨年十二月に上川法務大臣に御提出いただいた御党の御提言で、二年から五年に伸長する見直しを速やかに実現すべきとの御意見をいただいております。

 御指摘のように、離婚前後の様々な事情によって、夫婦間で離婚後二年以内に財産分与請求の権利行使をすることができなかったために、結果として、離婚の当事者、その元にいる子供が困窮することは少なくないと考えられまして、財産分与制度の在り方は、離婚後の家族の生活の在り方に影響する重要な課題の一つというふうに考えています。

 御指摘の財産分与制度の在り方を含め、離婚及びこれに関する制度の見直しは、本年二月に法制審議会が諮問され、同審議会の家族法制部会における調査審議が本年三月三十日に開始されたところです。具体的な検討は法制審議会の今後の議論の展開に委ねますけれども、法務省としても、御指摘の課題も含め、法制審議会において充実した調査審議ができるように、必要な対応にしっかりと努めてまいりたいと思っております。

 また、今、実態がどうなっているのかという御質問もいただいたんですけれども、御指摘のとおり、実態に即した議論を進めることはとても重要だと思っておりまして、法務省では、今般、離婚を経験した男女合計七百名を対象に、財産分与に関する事項を中心とした実態把握調査を今年三月に初めて実施いたしまして、現在、公表に向けて結果を分析しているところでございます。こちらも、家族法制部会において議論の参考資料の一つになるものと考えております。

 そして、最後に、周知のことでございますけれども、これまでも、財産分与制度に関する広報として、夫婦が離婚する際に考えておくべき事項をまとめたパンフレットですとかウェブサイトによる情報提供に取り組んでまいりましたけれども、さらに、離婚を考えている方が手に取ることになる離婚届、この用紙に財産分与に関する参考情報をQRコードとともに新たに掲載するなど、自治体窓口でのより一層の情報提供の充実等を今検討しているところでございます。

 いろいろな御指摘を踏まえて、必要な方々に十分情報が行き渡るように、関係省庁と連携して、力を入れてまいりたいと思います。

古屋(範)委員 ありがとうございました。質問を終わります。

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