認知症対策の加速へ(公明新聞 2017年9月9日付)
公明が推進本部を立ち上げ
当事者、家族に寄り添う
「若年性」などに踏み込む地域の実情踏まえ
本部長の古屋副代表に聞く
公明党認知症対策推進本部が8月末、発足した。同本部発足の狙いや背景などについて本部長の古屋範子副代表に聞いた。
―党として対策推進本部を設置した目的は。
古屋範子副代表 認知症対策は、世界一の高齢社会に直面する日本にとって最重要課題です。2025年に認知症高齢者が約700万人に達するとの推計があります。
私は、厚生労働省が策定し、13年度から始まった「認知症施策推進5か年計画(オレンジプラン)」の施策では十分な対応ができないと思い、14年5月に国会で初めて認知症対策の国家戦略をつくるよう提案。その結果、15年1月、政府は国家戦略となる「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)」を策定しました。
今回の対策推進本部の設置は、これをさらに具体化・加速化させるとともに、65歳未満の現役世代が発症する「若年性認知症」などにもしっかり対応していくことが目的です。
今年度末に新オレンジプランは、各施策において策定時に設定した数値目標の期間の区切りを迎え、今後は20年度末までの新たな数値目標を掲げて出発します。公明党として、こうした節目に当たり、認知症対策のさらなる充実をリードしていきたいと思います。
―今後、検討を進める上で何を重視しますか。
古屋 ポイントは四つです。1点目は、当事者の意思を大切にし、家族も含めて寄り添っていく姿勢です。
2点目は、「若年性認知症」など、これまで十分に取り組まれてこなかった課題に踏み込むことです。
3点目は、厚労分野にとどまらず幅広い分野の担当議員が参画し、党を挙げて取り組んでいくことです。認知症に関する課題は、まちづくり、権利擁護、教育、生活支援など多岐にわたるからです。
4点目は、党のネットワークの力を生かしながら、対策の現場である地域の実情を踏まえた検討を進めていくことです。
党を挙げて検討し年内にも政策提言
―今後の取り組みは。
古屋 当事者や家族、有識者の意見を聴き、対策の先進例や関係機関を調査するなどして、まずは年内に政策提言を取りまとめます。同時に、関係者の声を踏まえ、介護報酬の改定や予算編成などに当たっての課題を政府に訴える取り組みも展開していきます。