第169回国会 厚生労働委員会 第16号
○古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。
まず初めに、民主党が提出をされております児童扶養手当法改正案に関連して、厚労省にお伺いをいたします。 この児童扶養手当の一部支給停止措置につきましては、私もメンバーの一人として参加した与党プロジェクトチームにおきまして議論を行い、昨年十一月に取りまとめを行ったところでございます。
その取りまとめでは、受給者やその子供等の障害または疾病により就業が困難な事情がないにもかかわらず就業意欲が見られない者を除き、一部支給停止は行わないものとされまして、これに沿った措置が政令により定められたところです。
この措置につきましては、依然として厳しい状況のもとに置かれている母子家庭の実態を踏まえまして、母子家庭の自立促進という観点を重視したものとなっておりまして、適切なものと考えております。
実際の運用に当たって母子家庭の母に大きな不安を与えることのないよう、十分な配慮が必要と考えます。この観点から行政としてどのように対応していかれるか、お尋ねいたします。
○大谷政府参考人 児童扶養手当の一部支給停止措置につきましては、受給者やその子供等の障害、疾病等により就業が困難な事情がないにもかかわらず、就業意欲が見られない者についてのみ手当の支給額の二分の一を支給停止することとし、その他の者については一部支給停止は行わないこととしたところであります。
このため、児童扶養手当の受給開始から五年を経過した方々に対して、一部支給停止措置の適用除外となる事由に該当することを確認するための書類の提出をお願いしているところであります。
ただ、その際、一つは、自治体から事前にお送りするお知らせの文面について、受給しておられる方々に不安を抱かせることのないようにすること、また二つ目として、受給開始から五年を経過する際の書類の提出については郵送でも可能であるとすること、また三つ目として、提出期限を迎える時期になっても書類の提出がいただけないという方々に対しましては、自治体サイドから受給者と連絡をとって、必要な支援や就業に向けた働きかけ等を行うことなどの配慮を行うように、現在自治体に働きかけているところでございます。
今後とも引き続き、母子家庭のお母さん方に大きな不安を与えることのないように、また、煩雑な、大きな事務をすることのないように、十分な配慮をしてまいりたいと考えております。
○古屋(範)委員 今、厚労省としてもさまざまなお取り組みをされているということでございます。
母子家庭のお母さんは、非常に忙しかったり、あるいは提出する書類を忘れたり等々さまざまなケースがあるかと思いますので、ぜひ、またさらにきめ細かなアプローチができますよう、厚労省としても指導をよろしくお願いいたしたいと思います。
次に、母子家庭の自立を促進するために、安定的な就業につながるような支援を行っていくことが重要であるかと思います。
御存じのように、母子家庭の母親は、やはりパート労働が非常に多いというのが現状でございます。母子家庭の母の中には、就業の経験が乏しい、自分でハローワークに行って仕事を探すのが難しいという方さえいらっしゃいます。こうした方々に対する支援を含めまして、政府としてどのような就業支援を行っていこうとしていらっしゃるのか、お尋ねいたします。
○大谷政府参考人 御指摘いただきましたとおり、母子家庭の自立の促進を図るため、安定的な就業につながるような支援を進めていくことは重要な課題というふうに認識しております。
このため、平成二十年度予算におきましても、就業の経験が乏しい方を含め、母子家庭の自立と生活の向上が図られるように、できるだけ身近な地域において就業支援が行えるよう、都道府県、指定都市、中核市以外の一般市等において母子家庭等就業・自立支援センターと同様の就業支援事業等を行う一般市等就業・自立支援事業を創設したところであります。
また、自立支援プログラム策定対象者のうち直ちに就業に移行することが困難な方について、就業意欲を醸成するために、ボランティア活動を行っていただく就業準備支援コース事業というものも創設いたしました。
さらに、高等技能訓練促進費等事業におきまして、看護師や介護福祉士等の養成課程の修了後に、入学金の負担を考慮して一時金を支給するという仕組みも創設したところでございます。
こういった新たな施策も含めまして、就業支援策の拡充を図ることとしております。今後とも引き続き、母子家庭に対する就業支援施策の推進を図ってまいりたいと考えます。
○古屋(範)委員 私も母子家庭のお母様たちとさまざまお話をする機会がございますけれども、どこにおいても厳しいのですが、やはり、地方に行けば行くほど母子家庭の就職状況というのはさらに厳しくなっているというふうに感じます。ぜひ、この平成二十年度にスタートした事業を拡充しつつ、また円滑に実行できますよう、よろしくお願いをいたします。
次に、大臣にお伺いをしてまいります。児童福祉法改正案についてお伺いいたします。 平成十八年十二月に発表されました日本の将来推計人口は、五年後、平成二十五年には、十五歳未満が一千五百五十四万人、一二・三%、七十五歳以上が一千五百六十九万人、一二・四%と、数、その割合ともに逆転をし、その後もその差は開くばかりでございます。
こうした急速な少子化に対し、政府は、子どもと家族を応援する日本重点戦略を決定し、厚生労働省は、本年二月二十七日に、この中で提言された取り組みの具体化の一環として、新待機児童ゼロ作戦を発表されました。平成二十九年までの十年間で、保育所などの受け入れ児童数を百万人ふやす目標を設定されました。団塊ジュニア世代が三十代子育て世代の今、少子化対策は正念場を迎えています。福田総理の指示で今後三年間を集中重点期間として取り組みを強化されたこと、これは非常に重要であると考えます。
この新待機児童ゼロ作戦では、保育所における待機児童を解消するために、今後雇用が増大することが前提とされ、約百万人の需要を見込んで計画が立てられていると思います。
しかし、これでは、現時点では働いていないが、子育てをしながら働きたいと思っている保護者の子供は保育所に入れないままになってしまいます。就業希望者が就業できて初めてその子供が保育所に入れることが前提となっていまして、働く意欲のある女性のニーズが解消されないのではないかという懸念がございます。
児童福祉法第二十四条に、「市町村は、保護者の労働又は疾病その他の政令で定める基準に従い条例で定める事由により、その監護すべき乳児、幼児又は第三十九条第二項に規定する児童の保育に欠けるところがある場合において、保護者から申込みがあつたときは、それらの児童を保育所において保育しなければならない。」とあります。さらに第三十九条には、「保育所は、日日保護者の委託を受けて、保育に欠けるその乳児又は幼児を保育することを目的とする施設とする。」とあります。
このように、仕事をしていない専業主婦、さらに働きたいと思っている、また、思っていても働いていない場合、保育所に子供を預けることができないことが問題でございます。私は、この児童福祉法を改正し、「保育に欠ける」という部分を見直し、全国どこでも必要な保育サービスが保障されるよう、どこの家庭の子供であっても利用できる制度にすべきと考えております。 公明党女性委員会で作成いたしました女性サポート・プランでも、保育サービスが利用できないことにより、出産、子育て、就業を断念することがないよう、いつでも、だれでも利用できる多様な保育サービスの拡大を目指し、この保育に欠ける条項の見直しを提案しております。この提案が実現すれば、親の就労いかんにかかわらず保育所への入所が可能となり、大きくニーズが解消されるのではないかと思います。
保育所の入所要件の保育に欠けるこの概念を見直すべきと思いますが、大臣、いかがでございましょうか。
○舛添国務大臣 今委員おっしゃったように、保育に欠けるという要件を極めて厳格に適用すれば、それはもう自宅にいたらだめだとか、今就職活動をやっていてもだめだということになるので、就業支援をやる、それでボランティア活動に参加することから始めてくださいという施策と矛盾を来しますね。ですから、これは各自治体がそれの要件を決めることになっていますけれども、私はこういう要件を見直すべきだと思っています。
ただ、見直したはいいが、では受け入れる施設が足りませんということでは、絵にかいたもちになります。ですから、同時に、やはり子育てを支援する、それで特にこの保育ということに対して、人と施設、こういうことの手当てをやらないといけない。ここでまた財源なんですね。
ですから、新しい政策を打ち出すことは一生懸命やります。しかし、いつも打ち当たる壁は、どう財源を確保するかということでありまして、例の二千二百億円のマイナスシーリングもございますけれども、私は、今のような問題も含めて、保育に欠ける要件を見直しますよと、見直したことが絵にかいたもちにならないためには、必要な人と施設が必要でありますということをきちんと国民に申し上げる。負担と給付、そして、高福祉なら高負担、低福祉でよければ低負担、こういうことについて明確に申すべき時期が来ていると思っております。
○古屋(範)委員 私も大臣と同じ思いでございます。将来の日本を考えたときに、この子育て支援の財源の重点的な投資、これは絶対に必要であると思います。また、ぜひ、この保育に欠ける条項の見直し、これも再度要望しておきたいと思っております。
次に、今回の改正案では、子どもと家族を応援する日本重点戦略の結論を踏まえて、家庭的保育事業などの子育て支援サービスについて法的な位置づけを明確にして、質の確保、また、普及促進を図る、虐待を受けた子供に対する家庭的環境での養護を充実させる、また、仕事と家庭の両立支援を図るなど、地域、職場で子育ての支援策を推進していくための諸施策が盛り込まれております。
そこで、子育て支援事業、家庭的保育事業の法制化の意義についてお伺いをしてまいります。
改正案では、子育て支援事業と家庭的保育事業について法的な位置づけが明確化されることとなりました。いずれも少子化や核家族化の進行、地域社会の変化など、子供や子育てをめぐる環境が大きく変わる中、子育ての負担感を緩和し、安心して子育てができるよう創設された事業で、公明党としても、地方議会で積極的に導入を促進しております。
しかし、地方によって取り組みはまだばらつきがありまして、国民のニーズにこたえ切れていない現状がございます。
例えば、生後四カ月までの乳児がいるすべての家庭を訪問し、子育てについてアドバイスなどを行うこんにちは赤ちゃん事業、昨年四月からスタートしましたけれども、この一年間に実施した市町村は六割弱にとどまっております。
この事業は、児童虐待の未然防止につながるものと期待をされておりますけれども、未実施の背景には、事業への家族の無理解、拒否、個人情報の扱いでのトラブルなどの原因があるかと思います。子供の誕生をどこから聞いたのかなどの苦情も予想されまして、地域によっては訪問スタッフの確保が難しいところもあると聞いております。
これらの事業が法制化されることで、国民の広い理解が得られて、全国で導入が進むことが期待をされております。子育て支援事業、また家庭的保育事業について、法的な位置づけが明確化された意義についてお伺いをいたします。
○大谷政府参考人 ただいま御指摘のありました子育て支援事業あるいは家庭的保育事業、こういった事業について、法律上に位置づけることの意義について御説明申し上げます。
これまではいわゆる事業補助という形でやってまいりましたが、今回、法律上位置づけるということに変わったことによりまして、一つは、必要な基準を設けて質の確保が図られるということ。また二つとして、社会福祉法による質の向上のための自己評価の仕組み等の対象となることにより、質の向上が図られること。また三つ目に、社会的に広く認知され利用者の安心感が高まること。また、市町村が次世代育成支援のための地域行動計画において、より積極的に事業を位置づけること。こういったことが期待できるなど、一定の質の確保あるいは量の拡大が期待されるということで、こういった法制化によりまして、子育て支援事業のさらなる普及促進が図られるものと期待しております。
○古屋(範)委員 私も、こんにちは赤ちゃん事業は非常に重要な事業だと思っております。ぜひ未実施の市町村に対しましても、引き続き推進が進みますようによろしくお願いいたしたいと思います。
この家庭的保育事業、通称保育ママですけれども、これについてお伺いをしてまいります。
ことしの二月、私たち公明党女性委員会で、太田代表とともに、足立区で行われております家庭的保育事業の視察に参りました。公明党の太田代表も子供から大変好かれまして、非常に和やかな視察となりました。
昭和三十五年に東京都家庭福祉員制度が発足をいたしまして、四十四年に東京都から区市に事業移管されました。足立区では、保育経験を有し、区が実施する認定研修をすべて受講して、保育ママ認定委員会で審査の上、認定可となった者という独自の保育ママの要件を設け、保育ママになる要件を国の事業よりも緩和している一方、毎年の更新制度を導入しているために、保育の質が保たれているとの御説明でございました。
区内の保育ママは八十八名で、二百二十八名のお子さんを預かっているそうでございます。紹介は区が行っておりまして、問い合わせが多いことから、非常にニーズは高いということであります。 この後、近くの保育ママさんのお宅にも実際に参りまして、ここは、以前本屋さんだったというそのお店のスペースを使っていらっしゃいまして、壁には、棚にたくさんの本やおもちゃが並べられていまして、三人のお子さんがとても家庭的ないい雰囲気の中で過ごされている、このような様子を拝見いたしました。
家庭的教育が求められる中で女性が働きながら子育てをしていくためには、多様な保育サービスが必要です。これから、この保育ママの制度は質、量ともに拡充をしていかなければならないと考えます。
保育所に入れない待機児童の解消に向けた取り組みの一つとして平成十二年度から始まったこの保育ママ事業、現行では、保育士か看護師の有資格者、六歳未満の就学前児童や要介護者が家族にいないことが補助要件で、市町村では、要件が厳し過ぎるとして国庫補助を敬遠しがちでございます。そのため、自治体単独事業として実施をするケースが多く、保育ママの普及の壁となっていることが指摘をされています。
そこで、保育の質は確保しつつ、厳し過ぎると言われるこの要件を緩和して、市町村が取り組みやすい新しい実施基準を作成していただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
○大谷政府参考人 御指摘のように、これまで実施してまいりました国の制度であります家庭的保育事業の推進に当たりましては、質の確保が重要であると考え、その担い手については、保育士が原則になると考えているわけであります。
他方、事業の普及を図ってまいりますためには、地方単独事業として先行して実施しておられる地方自治体が、地域の実情に応じて柔軟に事業を展開できる仕組みとすることも重要であります。質と量のバランスを考えながら制度設計を進めていかねばなりません。
このような観点から、本法案におきましては、家庭的保育の担い手を保育士に限定せず、資格を持たない方についてもそれは認めるというふうにしているわけでありますが、これらの方々については、一定の研修を課すなど、質を確保するための方策が必要であると考えております。
研修の方法とか具体的内容等につきましては、今後定めます実施基準やガイドライン等において明らかにしてまいりたいと考えておりますが、専門家等の御意見も踏まえながら、地域の実践も踏まえて、今後検討を進めてまいりたいと考えます。
○古屋(範)委員 この保育ママの人材の質を確保しつつ、実態に合わせた要件の見直しというものをよろしくお願いしたいと思います。ましてや、地方で行っている事業の妨げにならないようにお願いしたいと思います。
次に、家庭的保育制度の一層の普及に向けまして、これまで家庭的保育制度は、児童福祉法上、第二十四条第一項のただし書きで、「ただし、付近に保育所がない等やむを得ない事由があるときは、その他の適切な保護をしなければならない。」とあり、その他の適切な保護を実施する施策でございました。
それが今回、ただし、保育に対する需要の増大、児童の減少等、保育所における保育ができないことについてやむを得ない事由があるときは、家庭的保育事業による保育を行うことその他の適切な保護をしなければならないと、家庭的保育事業が法律上明確に位置づけられたこととなります。大きな前進と考えます。
しかし、法文上明確に位置づけられたとはいいましても、その内容は、保育に対する需要の増大、児童の減少等、保育所における保育ができないことについてやむを得ない事由があるときとなっておりまして、改正したとはいえ、家庭的保育制度は保育所制度の補助的手段という位置づけになっているように思います。
この保育ママの現状について、諸外国の主な国を見てみますと、家庭保育が中心のイギリスでは、五歳以下の子供を預かるチャイルドマインダー制度や、保護者の自宅で子供を預かるナニー制度が普及をしております。
また、子育てに対する経済的支援メニューが豊富なフランスでは、国で認定をされた保育ママ制度が拡充強化されておりまして、現在では認定保育ママを活用したサービスが主流となっているということであります。
また、保育サービスが充実しているスウェーデンでは、保育資格を有するチャイルドマインダーが保護者の自宅で子供を預かる制度として、地域における子育て支援策の一つであり、両親の都合に合わせて利用することが可能となっております。
こうした欧米の例に倣いまして、この家庭的保育を、補助的な手段ではなく、また、やむを得ない事由がなかったとしても、保育所制度と同様に、多様なサービスの選択肢の一つとして保護者が選べるよう法律上位置づけるべきと考えますが、いかがでしょうか。
○大谷政府参考人 家庭的保育事業につきましては、その普及促進を図るために、今般、児童福祉法に位置づけることとしたところでありますが、我が国の保育制度は現在まで保育所を中心に構成されておりまして、保育所の利用と比較しますと、家庭的保育事業の利用はまだ進んでいないという現状にあります。 今御指摘ありましたように、この家庭的保育というのは重要な選択肢の一つであると考えておりますが、まずは保育所保育を補完するものとして家庭的保育事業を位置づけまして、事業に対する社会的な理解を高めるとともに、制度の周知等、この事業が広く普及するように努めてまいりたいというのがスタートだと考えております。
○古屋(範)委員 働く女性はふえております。また、働きたいという女性も多くいます。その支援、保育サービスの一つとして、この家庭的保育事業のさらなる拡充を求めてまいりたいと思っております。
次に、認可外保育所の支援についてお伺いしてまいります。
保育所は、各自治体が定めた認可基準を満たす認可保育所と、それ以外の認可外保育所とに大きく分けることができます。現状の仕組みにおいては、認可保育所は施設整備費、運営費など公的支援がありますが、それに対して、認可外の方は国の支援がありません。
しかし、認可外保育施設は、早朝、深夜の預かり、また多重障害者の受け入れなど、認可保育園で対応できない事例の受け皿になっているほか、独自のサービス実施や運営方針に共鳴し、利用者がふえているところもございます。一方で、財源がなく、良好な保育環境を保つための費用が施設運営や保護者の負担に影響を及ぼすという問題もございます。
父母の労働形態の多様化に伴いまして、認可保育所では対応できない保育ニーズをカバーしている認可外保育所の社会的役割の重要性は増しております。法律の上で無認可あるいは認可外とされているこの小さな保育所の中には、乳幼児教育への使命感から、人間味あふれた特色のある保育方針を貫いている施設もございます。
こうした厳しい経営状況の中で、二十四時間保育など、働く親のニーズを形にしてきた歴史のある認可外保育所に対しまして、認可保育所と変わらない国の財政支援を考えてもよいのではないかと思います。多様な働き方、またニーズに合った、多様化に対応したサービスが提供できるよう、認可外保育所の質の担保はもちろんですけれども、財政支援についてぜひ御検討いただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
○大谷政府参考人 保育所は、乳幼児が生涯にわたる人間形成の基礎を培う極めて重要な時期に、その生活時間の大半を過ごすところでありますため、児童が健康、安全で情緒の安定した生活ができるように、施設や人員配置などについて最低限の質的な担保を確保するための児童福祉施設最低基準を満たす保育所における保育が基本というふうにこれまで進めてきたところでございます。
したがいまして、現在の認可外の施設においても重要な役割を果たされているところがあるという御指摘は理解するところでございますけれども、国といたしましては、やはり最低基準に適合しない認可外保育施設に対して補助を行っていくことはなかなか困難ではないか。
むしろ、一定の質を備えた高い施設が認可保育所に転換することができるようになるように、こういった立場から、一つは、認可予定保育施設に対して市町村が保育士を派遣して保育内容の指導等を実施するとか、認可時点での施設の改善に必要な助成をするとか、こういったことを行っているところでありますが、引き続き、認可化に向けての支援に力を傾けてまいりたいと考えております。
○古屋(範)委員 局長は、認可に向けての柔軟なこれからの施策というお答えでございましたけれども、報道によりますと、十九日に、地方分権改革をめぐって舛添大臣は、認可保育所など福祉施設の全国一律の設置最低基準について、市区町村ごとの条例で独自基準を設定できるよう検討するという考えを表明されたところでございます。こうした見直しが行われれば、市区町村ごとの裁量で地域の実情に合った保育所を設置できることとなり、待機児童の解消にもつながるというふうに大いに期待をしておりますので、よろしくお願いをいたします。
次に、子育て家庭のニーズを踏まえた支援を考えていったときに、子供が病気になったとき、できる限り保護者が仕事を休める働き方の見直しがまず必要であると考えます。それとともに、病児また病後児保育の充実も欠かせないものでございます。
現在、病児保育また病後児保育事業が実施をされておりますが、現状では数が限られており、だれも、どこに住んでいても必要なときに利用できるというような実情ではございません。さらに、病児保育を実施する事業者からは、実施場所や人員要件が過剰かつ硬直的で、実施者の膨大な費用負担が発生している、あるいは補助の仕組みが年間の利用者数にかかわらず一定となっており、熱心に病児を受け入れる施設ほど赤字になるなど、補助の仕組みが不公平などの声が上がっております。
病児・病後児保育につきまして、子ども・子育て応援プランで平成二十一年度までに千五百カ所の目標が立てられております。この病児、病後児の現状と、補助額が少ないため赤字経営となっている現状、この改善する取り組みについてお伺いをしたいと思います。
○大谷政府参考人 病児・病後児保育につきましては、子ども・子育て応援プランに基づく事業の推進によりまして、平成十九年度における実施箇所数が九百六十八カ所となっておりまして、目標の達成に向けて着実に普及しているというふうに考えております。
さらに、平成二十年度から、これまでの事業内容の見直しを行いまして、まず、子供の健康状態に応じた適切な対応ができるように、病児対応型、病後児対応型、体調不良児対応型といった三つの類型に分類しまして、実施施設の役割を明確化する。また、利用する児童が安心、安全な環境で過ごせるように職員体制を充実させるとともに補助単価の引き上げを実施する。こういった所要の改善を行って、病児・病後児保育全体の底上げを図ったところでございます。
引き続き、この事業の取り組みを推進するとともに、子育て家庭が安心して利用できる環境の確保に努めてまいりたいと考えております。
○古屋(範)委員 子供はしょっちゅう病気をするものでございます。熱を出したり、おなかを壊したりなど、親がそのたびにしっかりと休むことができればいいんですが、そういうときにこの病児・病後児保育は不可欠なものと考えます。
今、商店街や地域のインフラを活用した取り組み、あるいはまたNPO法人フローレンスが行っているような訪問型の病児保育の充実など、支援基準を弾力化し、保護者の立場に立った、子供の急な病気に遭遇しても慌てず、安心して仕事、子育てが両立できる環境を整備していくべきだというふうに考えます。再度、そのことを要望しておきたいと思っております。
次に、病気に対する災害共済給付制度の認可外保育所への対象の拡大についてお伺いをしてまいります。
家庭的保育制度が法律に位置づけられることとなりましたが、こうした保育現場ではSIDS、乳幼児突然死症候群などを含め、病気に対する備えが必要となってまいります。
私は、このSIDSについて、昨年十一月、本委員会におきまして、保育ママ、またファミリー・サポート・センター、また認可外保育施設、ボランティア保育の現場において、子供がSIDSなどの病気で亡くなった場合の対応として、共済制度などの創設を訴えたところでございます。
SIDSに関する課題として、認可保育所の保育現場で預かっていた子供がSIDSなどの病気で亡くなった場合は、災害共済給付制度の対象となり見舞金が出るのに対しまして、認可外保育施設や保育ママなどの現場でSIDSが発生した場合には、加入していた損害保険では共済対象とならず、何の補償もされないという実情が指摘をされております。このため、関係者から共済制度の創設を求める声が高まっております。
預け先が違っていても、子供の生命のとうとさというものは変わらないわけであります。無認可の保育施設の場合は、事故に対する保険はあっても病気に対する見舞金制度がありません。各施設が任意で加入しております民間保険会社の保険による対応ですので、事故のみであって病気には対応ができないということであります。無認可の施設に乳児保育をさせている、これが紛れもない現実であることを踏まえますと、病気に対する保険を無保険のままに放置しておいてはいけないと思います。
そこで、認可外保育施設や保育ママなどの現場でSIDSが発生した際に、見舞金や共済金などが出るようにすべきと考えます。例えば、災害共済給付制度の対象を、児童福祉法第三十九条に規定する保育所のみに限定せず、その対象を認可外保育施設や保育ママ等に拡大する、また、これらの施設を包括して対応できる新たな共済制度を創設することが必要であると考えます。
保育ママが法律に明確に位置づけられたことにかんがみまして、ぜひ、こうした認可外保育施設や保育ママ、ボランティア保育の病気発生時に給付できる共済制度の創設、または災害共済給付金制度の拡大を御検討いただきたいと思いますけれども、いかがでございましょう。これは、文科省、厚労省両省にお伺いをいたします。
○田中政府参考人 先生御指摘の災害共済給付制度は、公教育の円滑な実施のために、独立行政法人日本スポーツ振興センター法に基づきまして設けられてございます制度でございます。
その対象につきましては、学校の管理下における傷害ということに限定をしてございます。しかしながら、先生、今御指摘いただいたとおり、児童福祉法第三十九条の規定に基づきます保育所、認可保育所につきましては、その法律の附則におきまして、当分の間、災害共済給付の対象としているということでございます。また、その他の機関の活動を対象とするということにつきましては、教育の振興を図るという本制度の根本的な性格にかかわるような課題ではないかなというふうに考えているところでございます。
御指摘のƒ認可外保育所等につきましては、さまざまな形態があるというようなこと、各施設、保護者等が必要に応じてさまざまな保険制度の中から最も適切と考えておられるものを選択して対応するということが求められるというふうに考えておりますけれども、学校教育活動以外の活動についてどのような制度がどのように関与していくべきなのかということにつきましては、厚生労働省等ともよく連携、相談をさせていただきながら対応していくべき課題かなというふうに考えているところでございます。
以上でございます。
○大谷政府参考人 認可外保育施設や家庭的保育におきまして、児童の安全の確保を図るとともに、万が一事故が発生した場合に備えて保険に加入しておくということは大変重要なことでございます。
今、文科省の方から答弁がありましたが、この災害共済給付制度の加入につきましては、所管の文部科学省と連携しながら、必要に応じた検討をしてまいりたいと考えておりますが、いずれにいたしましても、厚生労働省の立場としては、保険へ加入していただくよう、これは引き続き周知を徹底してまいりたいと考えております。
○古屋(範)委員 いずれにいたしましても、子供の生命のとうとさ、安全の確保ということを中心に、ぜひ文部科学省、厚生労働省、検討をしていただき、こうした取り組みの推進を何とぞよろしくお願いしたいと思います。
次に、社会的養護の充実につきましてお尋ねをしてまいります。
今回の改正案では、里親制度について、社会的養護の受け皿として拡充をするため、養子縁組を前提としない里親、養育里親の制度が明文化をされました。この養育里親、子がいずれは実の親に戻るということを視野に入れて、家庭的なケアを行うという難しい役割を担っているにもかかわらず、相談、研修、里親に対する支援が不十分との指摘もございます。
この指摘に対して、里親に関する相談、情報提供、助言、研修その他の援助を行うことを都道府県の業務として義務化することとなり、本年度から里親支援機関事業が創設をされ、全都道府県へ設置が待たれております。
一方で、小規模住居型児童養育事業、家庭的養護、施設養護の中間的な形態であり、子供同士も相互に関係を築きつつ、家庭的な環境のもとで社会的養護を提供することができる形態といたしまして注目をされております。一九六〇年代から一部自治体の助成によって始まった里親型ファミリーホーム、全国で十一地方自治体が制度化をしており、多くの子供たちが生活をしております。
しかし、里親ファミリーホームに対して、都道府県には法律上の援助義務がございません。これまでの里親と施設に加えて、里親ファミリーホームを第三の選択肢として定着させ、家庭的養護の拡充を図るために、専門研修、レスパイト、学習ボランティア、心理的専門相談、一時預かり等、サポート体制の充実など積極的な支援が必要であると考えます。里親ファミリーホーム全国連絡会よりも具体的な要望をいただいております。この点について、厚労省の御見解を伺います。
○大谷政府参考人 小規模住居型児童養育事業、いわゆるファミリーホームでありますが、これにつきましては、御指摘のように、一定の専門性やサポート体制を確保していくということは大変重要であります。
この詳細な要件については、今後施行までに検討していく予定でありますけれども、この事業の実施に当たる考え方として申し上げますと、各地域において、児童養護施設等の児童福祉施設、あるいは児童相談所、また今年度創設いたしました里親支援機関等の関係機関と連携することなど、必要なサポート体制を構築しながら運用することが重要というふうに考えております。
今後、既に自治体において行われております里親ファミリーホームの例とか、今お話がありました里親ファミリーホーム全国連絡会からの御要望の内容等も踏まえまして、具体的な要件やサポート体制等、事業の充実について検討してまいりたいと思います。
○古屋(範)委員 時間でございますので、最後の質問に参ります。
先ほども大臣、御自身も子育て真っただ中というお話でございましたけれども、子育て世代の長時間労働を何としても是正していく必要があると思います。
そこで、育児期の短時間勤務の義務化、残業を免除する制度の導入、また男性の育児休業取得を促進するためのパパクオータ制を導入するなど、思い切った対応が必要と考えますけれども、大臣の御所見をお伺いいたします。
○舛添国務大臣 育児期の親、これは仕事と家庭の両立をしないといけません。そういう意味で、短時間勤務とか、今おっしゃったような残業免除制度、こういうことを利用する、活用できるようにする。それから、いわゆる諸外国でやっているパパクオータというような制度もございます。こういうことにつきましても、もう何度も申し上げますけれども、財源措置が必要ですが、総合的な政策の中で取り組んでまいりたいと思っております。
○古屋(範)委員 以上で質問を終わらせていただきます。