第170回国会 厚生労働委員会 3号
○古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。
本日は、障害者の雇用の促進等に関する法律の改正案につきまして質問してまいります。
初めに、先週十二月五日、与党の新雇用対策に関するプロジェクトチームで取りまとめました新たな雇用対策に関する提言についてお伺いしてまいります。
米国の金融危機に端を発します経済危機は、日本にも大きな影を落としております。百年に一度の世界恐慌の入り口とも言うべき様相を呈しております。企業のリストラのあらし、倒産件数は五年五カ月ぶりの水準に達するなど、雇用の悪化が深刻化しております。
こうした事態に歯どめをかけるため、私たち与党のプロジェクトチームは、今後三年間で二兆円を投入し、追加経済対策の分も含め百四十万人の雇用創出を目指した新たな雇用対策を取りまとめました。そして、麻生総理に提出をいたしました。
この提言を受けまして、政府も昨日、新たな雇用対策に関する関係閣僚会議を開かれまして、追加雇用対策を決定されたところでございます。
この主な中身は、雇用維持対策として、派遣社員を正社員として採用した企業に一人当たり百万円を支給する制度の創設、また、再就職支援対策として、再就職が特に難しい人に対する失業給付の六十日間延長、そして、内定を取り消された者への支援として、こうした学生を採用する企業には特別奨励金を支給するなど、雇用の維持や再就職の促進などに加えまして、住宅の確保や非常にきめ細やかな相談援助、職業訓練の拡充など、効果が大きいものと期待をしております。
不況のあらしに一番影響を受けるのが弱い立場にある非正規社員、また障害者であります。こうした事態に対応するために、今回の雇用対策には、改正案にも通じる、障害者や母子家庭の母等の就労支援の促進が盛り込まれております。これは、ハローワークにおいて、今回拡充される特定求職者雇用開発助成金を活用するなど、障害者の就職を促進するとともに、企業に対しても障害者の雇用拡大や特例子会社の設立などを働きかける内容となっており、一日も早い実現が望まれております。
深刻化する事態に対応するために、政策のスピードが重要であると思います。十月の追加景気対策に盛り込まれた措置の強化また拡充とともに、新たな雇用対策については速やかに実現が図られるよう、舛添大臣が先頭に立って政府をリードしていただきたいと思いますけれども、いかがでございましょうか。
○舛添国務大臣 今委員が列挙されました与党の案、それに基づいて、昨日朝、関係閣僚会議を開き、政府案を決めました。今おっしゃったように、再就職支援、それから雇用維持対策、内定取り消しへの対応、こういうものを柱に、さらに住宅対策まで含めて、きめ細かい対策を迅速にとりたいと思っています。
さらに、こういう政策とともに、一次補正予算で、日雇い派遣労働者の安定就職支援、フリーターなどの常用雇用化支援、さらに、事業活動に悪影響が出ている中小企業の雇用維持への支援、こういうことも既に一次補正で予算がついておりますので、総合的に現下の雇用情勢の改善のために全力を挙げてまいりたいと思っております。
○古屋(範)委員 昨日もソニーが世界で八千人のリストラをするということを発表しておりますけれども、また、今、大臣は本予算の編成にも全力を挙げていらっしゃる真っただ中かと思います。この雇用対策に今から万全の準備をし、そして、来年早々の二次補正の成立を期しまして、私もともかく今最大の課題となっている雇用対策に全力を挙げていきたい、このように考えております。よろしくお願いいたします。
次の質問に移ってまいります。
本年六月に警察庁から発表になりました平成十九年中における自殺の概要資料によりますと、我が国の年間自殺者は三万三千九十三名と非常に高水準で推移をいたしております。このうち、うつ病が原因、動機と見られるものが最も多く、うつ対策は喫緊の課題と考えます。うつ病を含む気分障害の患者は、この十年間で四十三万人から九十二万人と激増しております。我が国におけるうつ病の生涯有病率は六・三%ということですので、国民十五人に一人が経験をする、いわば国民病ともなりつつあると言えると思います。
財団法人労務行政研究所が本年四月にまとめた調査結果によりますと、職場におけるストレス等からうつ病等の精神疾患に罹患するものが非常に多く、メンタルヘルスの不調で、これはうつが大きな比率を占めているんですが、一カ月以上休職している人がいる企業は六割以上となっております。この結果は、三年前の調査より約一割ふえておりまして、一社当たりの休職者は平均九・五人という結果でございました。
また、平成十九年六月時点での五十六人以上規模の企業での精神障害者の雇用者数は約四千二百人程度にとどまっておりまして、今後、精神障害者の新規雇用を進めていくためには、同時に、在職中にうつ病になる労働者の円滑な職場復帰を支援していくことが不可欠であると考えます。
そこで、今回は、精神障害者の中でも特にうつ病患者の方々の支援についてお伺いしてまいります。 私も、現場でうつで悩んでいる方々が非常に多い、こういう現状を踏まえまして、本年四月三十日に、私が座長となり、党内にうつ対策ワーキングチームを設置しました。
うつ病対策にどう取り組んでいくかということで、早速、沖縄県にあります、認知行動療法を実践して画期的な成果を上げております総合精神保健福祉センターに参りました。
また、その後、うつ病対策の現状、課題について、慶応大学の大野先生、NPO法人MDAの山口代表、また、子供のうつ対策ということでは日本医科大学の齋藤先生など、精力的にヒアリングを行い、また、休職中の障害者の職場復帰支援を行っている東京障害者職業センターにも行ってまいりました。ここでは、職場復帰への細やかなコーディネーターとしての対応をしてくださっている、非常に一生懸命やってくださっているという現状を見てまいりました。また、経団連、連合からの御意見も伺ったところでございます。
そして、七月三十一日には、総合うつ対策として舛添大臣に申し入れを行ってきたところでございます。
そうした視察やヒアリングを通しまして、私は、患者が安心してうつの治療に専念できる社会をつくっていかなければならない、このように痛感いたします。うつ病を対象とした労働災害の認定、また職場復帰支援等につきましては、近年拡大してきているというものの、まだまだ十分とは言えない規模でございます。どうしても、うつであるということを隠してしまうという風潮がございます。うつ病は治療が中途半端であると再発率が極めて高いということが指摘をされておりまして、症状が安定するまで経済的にも安心して治療に専念できる社会をつくっていかなければいけないと考えます。
そこで、公明党の総合うつ対策の提言におきましては、健康保険の傷病手当の活用拡大、安心して治療ができるような労災保険の休業補償、障害者手帳取得の促進などを訴えております。
健康保険の傷病手当の活用拡大については、うつ病に限らず病気で休職すると、健康保険組合や政管健保、共済組合に加入している場合は健康保険から傷病手当が支払われることとなっております。また、長期にわたって日常生活また社会生活への制約が認められて認定を受けることができれば、精神障害者保健福祉手帳を取得することができるわけです。税金の軽減等も受けられます。こうした経済面での支援制度は、いずれは職場復帰をと考えている休職をしているうつ病等精神障害者にとって、大変重要な支援策であると考えます。
私は、患者が安心して治療に専念できるよう、これらの支援策の周知が必要であると考えます。厚労省の取り組みをお伺いいたします。
○木倉政府参考人 お答え申し上げます。
今御指摘のように、うつ病の患者さんに対しましては、適切な医療を提供して安心して生活を送っていただけるということ、それから、できるだけ早い社会復帰に頑張っていただけることが重要であると考えております。その中でも、経済的支援として活用できるものはしっかり活用して頑張っていただくということが必要だろうというふうに思っております。
そのための仕組みとして、今御指摘のように、御療養のために働くことができないときの健康保険の傷病手当金、それから、労災であるということの認定があった場合の療養補償の給付あるいは休業補償の給付、こういうものがございます。こういうものをしっかり御活用いただきながらやっていただく。
さらに、今御指摘ありましたが、精神障害者の保健福祉手帳制度、これも創設されて大分たっておりますが、なかなかまだ周知されていない、御利用が十分でないという面がありますから、こういう手帳制度をよく知っていただきまして、それを持たれることによりまして、所得税や住民税、あるいはその他の公共サービス等の割引等もございますので、そういうものの優遇を受けられるということを御活用いただきたいというふうに思っております。
こういうふうなものをしっかり御活用いただくためにも、もちろん、健康保険の保険者あるいは事業主の皆様、周知を図っていただきたいと思いますが、私どもとしても、精神疾患をお持ちの方々のいろいろな対策の普及の中で、特に保健所でのいろいろな相談、あるいは精神保健福祉センターでのいろいろな相談、それから、今もホームページ等で周知を図っておりますが、そういう中できめ細かに御紹介を進めてまいりたいということで、さらに改めて個別の事業といいますよりも、我々としても、精神障害者に対する総合的な周知を図る中でも徹底を図ってまいりたいというふうに考えております。
○古屋(範)委員 最後になります。障害者の社会復帰に重要な役割を果たしております地域障害者職業センターについてお伺いいたします。
今回の改正案では、地域障害者職業センターの業務に、障害者就業・生活支援センター等の関係機関に対する職業リハビリテーションに関する技術的事項についての助言や援助等の業務が追加されることとなっております。具体的には労災支援に携わる人材育成等でありますが、センターでは既に、ジョブコーチの養成、研修や、地域の関係機関に対する職業リハビリテーションに関する知識の提供等、ネットワークの構築に取り組んでおり、これまで実施してきた業務を法律上明確に位置づけたものと認識をしております。
地域障害者職業センターでは、ここを利用している障害者のうち、精神障害者や発達障害者を含むその他の障害者など、就職することが大変に難しい方々が四割を占めております。職場復帰を目指している障害者にとって大変重要な役割を担っているものと考えます。
私が参りました東京都障害者職業センターでは、休職中の障害者の職場復帰のためのリワーク支援を行っております。十九年度は、リワーク支援を終了したうつ病二十五人のうち七六%の十九人が職場復帰を果たしております。
しかし、このプログラムを受けるには、希望者が多く、数カ月間も待機をしなければいけない、待っている状況でございます。来年度概算要求においては三十三人のカウンセラーの増員が盛り込まれておりますけれども、ぜひともこの予算の確保はお願いしたいと思っております。
そこで、専門性を強化して職場復帰支援の積極的な取り組みを促すために、センターの支援担当職員、職員が足りません、カウンセラーを増員するなど体制の強化を図り、休業した労働者の職場復帰支援のさらなる拡充を図っていくことが重要と考えます。大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
○舛添国務大臣 このリワーク支援、大変効果を上げていまして、十八年度も八〇%を超える復職率ということでございます。三十三人増員を要求しております。それで、来年は千四百二十人に対してこれを行いたい。今の倍増、そのために人員が必要でございますので、実施体制の強化、これを今後とも図ってまいりたいと思っております。
○古屋(範)委員 以上で質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。