第177回国会 衆議院 厚生労働委員会 7号

○古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。

 東日本大震災から約一カ月がたちました。今、大きな余震が続いておりまして、十一日にはさらに三名の方々が亡くなられております。大震災から一カ月たちまして、被災者の疲れもピークに達しているかと思いますけれども、その中で余震が続いていくという非常に過酷な状況が続いております。当初も、半年はマグニチュード七級の地震を覚悟してほしいという専門家の指摘もございました。

 今後の余震の状況の見通し、あるいは被災地の人々がこれ以上被害に遭わないための取り組みについて、これは気象庁にお伺いをしたいと思います。

○羽鳥政府参考人 お答えいたします。

 余震は、やや多い時期とやや少ない時期を繰り返しながら、次第に少なくなっています。しかしながら、いまだ活発な状況で、先生御指摘のように、マグニチュード七・〇以上の大きな地震も発生しております。今後も、震源地に近いところでは、震度六弱あるいは六強となる余震が発生する可能性があります。このため、引き続き警戒が必要です。加えて、本震及びこれまでの余震による強い揺れによって、土砂災害や家屋の倒壊などの危険性が広範な地域で高まっています。また、大きな余震が発生すると、津波が発生するおそれがあります。

 気象庁としては、引き続き、余震に対する警戒を呼びかけるとともに、地震活動を注意深く監視し、緊急地震速報や津波警報等を発表することとしています。これらの情報により、地震、津波災害の防止、軽減に努めてまいります。

 以上でございます。

○古屋(範)委員 ありがとうございます。

 余震が来たときに、仙台市内の体育館では照明が音を立てて揺れまして、落ちてきそうで非常に怖かったという方が多かったと聞いております。被災者は非常に揺れにおびえておりますので、今後もぜひ、余震が起こる可能性を織り込んで、被災地、避難所の安全対策に貢献をしていただきたい、このように思います。

 御多用かと思いますので、一問だけですので、御退席いただいても結構でございます。ありがとうございました。

 続きまして、高齢被災者の受け皿の確保についてお伺いをしてまいります。

 報道によりますと、今回の大震災で被災をした高齢者また障害者、妊婦らが避難生活を送っている福祉避難所、これが、岩手、宮城県内を中心に、少なくとも六自治体で約四十カ所開設をしていると伺っております。家族らを含む約二百九十人が入所をして、一般の避難所では支障のある、いわば災害弱者と言われる方々の避難場所になっているということであります。

 こうした中で、石巻市の文化施設、遊楽館というところに、約百二十人の、大半の方が認知症であったり、あるいは寝たきりであるということであります。市立病院の看護師らが懸命に介護に当たっている。医師は身寄りを見つけたいと思っても、自分の住所さえ言えない、身元確認もおぼつかない状況であるということです。

 津波に襲われた後、多くの要介護高齢者が市内の石巻赤十字病院に一たんは搬送されたんですが、治療の後はこの遊楽館というところに移されたそうです。自宅や施設が壊れて、行く当てもない方々がほとんどであるそうです。

 高齢者の半数以上は、高血圧ですとか糖尿病、日々の投薬が必要。また、人工透析の人もいる。市の職員が車で病院の送迎をする。認知症、精神障害の方も少なくとも二十人はいるということで、看護師が五、六人ずつ交代で泊まり込んでいるそうです。認知症の人は、夜間外に出ていこうとしたり、排せつもままならないということでありまして、非常に介護の手が不十分であって、さらに悪化する可能性があるということであります。

 こうした弱者への対応、これは被災地において非常に大きな課題であると思います。こうした方々の今後の受け皿をどう確保していったらいいのか、これについてお尋ねをいたします。

○細川国務大臣 避難所などでは、高齢者の方あるいは認知症の方、いろいろ、要介護者の方がたくさんおられます。そういう被災地の要介護高齢者の他の施設への受け入れにつきましては、現在、県、それから業界団体、そして厚生労働省の現地のスタッフが一体となりまして、まず被災地以外の施設での受け入れが可能な人数の情報収集、そして被災地での施設受け入れの要請、どういうような、どれくらいの要請があるのかの集約、そしてその両者をマッチングする、こういうことで進めておりまして、四月十二日現在、きょう時点で、現在二千七百人の避難者の受け入れを行ったところでございます。今後とも、この仕組みを通じた受け入れを進めてまいりたいというふうに思っております。

 そういう中で、介護施設入所者の搬送につきましては、できる限り医療関係者による付き添いや医療機関との連携体制を確保すること、そして搬送時及び搬送後も必要な医薬品等が確保されるように配慮すること、また搬送後は、サービスの内容の記録等によりまして要介護者等の状態や使用医薬品等の情報をきちっと伝達するというようなことを呼びかけるなどいたしまして、搬送者の健康の確保に努めているところでございます。

 また、新潟の中越地震の際には、デイサービスセンターなどの在宅サービス事業につきましては、団地型の応急仮設住宅の中に仮設の建築物としてそれを設置した例がございまして、これは非常によい参考例でございますから、これらを参考にしてどんどん前向きに進めてまいりたい、このように考えております。

○古屋(範)委員 非常に、今、自治体あるいは団体等と協力しながら、受け入れに努力をされている真っ最中かと思いますけれども、ぜひともこういう方々への手厚い、そうした搬送につきましても御配慮をお願いしたいというふうに思っております。

 また、高齢被災者など、こうした介護、看護を必要とする方々、避難所にもまだ残っていらっしゃいますし、こうした対応というのは非常に待ったなしであると思っております。それで、これらの方々がどんな場所にあっても、在宅であっても避難所であっても、あるいはそれ以外のところであっても、やはり支援の手は差し伸べなければならないと思います。

 そこで、やはりボランティアだけでは限界があると思いますので、その地で長く、中長期にわたってこうした方々の看護あるいは介護を行う方々の確保というものが必要になってくると思います。先ほども議論の中で大臣も、重点分野雇用創出、この基金を使ってこうした人材の確保を行っていきたいということをおっしゃっていました。

 これも一つの方法だと思うんですが、既に訪問看護をしていらっしゃる方々、これまでも何度か質問をしてまいりましたけれども、全国に活動を広げている訪問ボランティアナースの会、キャンナスの菅原代表も、会の方々も、今、現地にボランティアで行っていらっしゃいます。

 現地は、当然、訪問看護師を必要としているので、何度も質問してまいりましたけれどもなかなか一人開業については御了解いただけないんですが、できるのであれば、被災地に移り住んで訪問看護の仕事を続けていきたいという意思を持っていらっしゃる方もいます。ですので、一つの方法として、こうした被災地においては、特例というような形で、例えば、岩手、宮城、福島の三県だけでも一人開業を許可して、ぜひ現地で訪問看護に当たっていただく、このようなことも考えられないかと思うんですが、いかがでしょうか。

○宮島政府参考人 訪問看護の件でございますが、きょうの午前中に、厚生労働省の社会保障審議会の介護給付費分科会でこの問題が取り上げられました。そして、被災地であっても、避難所でも夜勤は必要なんだから、原則は、事業所の規模の拡大を図るとか、サテライト事業所を活用してやってもらうということなんだろうけれども、今回は、被災地域が広い地域にわたっているというようなこともあるので、この東日本大震災に被災して災害救助法が適用された市町村の区域で、救助の実施状況を勘案して、一定の期間については、この市町村長が認める場合にこういう一人開業をやってもいいのではないかということで答申をいただいたところでございます。

○古屋(範)委員 ありがとうございます。

 やはり、こういう緊急時でもありますので、そうした方々を最大活用していくという制度は、私もあってもいいかなと思います。そういう答申が出たということでございますので、ぜひともそれに沿って実現をしていただきたいと思っております。形にこだわっているわけではございませんので、被災者の方々に医療、看護が届けばいいわけですので、ぜひその方針に沿って速やかに実現をしていただければと思っております。ありがとうございました。

 そこで、震災から一カ月たちまして、避難所生活では被災者の方々の疲労というものもピークに達しております。避難所は、場所にもよりますが、なかなか劣悪な環境でもあるということで、これ以上、震災で命は助かったのに避難所で命を落とす、こういうことを防いでいかなければなりません。

 それで、衛生状態が悪過ぎる、そういった避難所において、感染症が一たん起きたら蔓延する危険性があります。衛生状態の悪い避難所は閉鎖をするとか、あるいは、被災者を他の避難所に移した上で、ここを徹底して掃除をするなど、衛生状態を改善した上で再度入っていただくなど、思い切った手だても必要かと思います。

 また、医師による避難所の訪問診療を強化して、避難所にいる方々、特に高齢の方々の健康の状態の把握を急ぐべきではないかと思います。

 これについての御見解を伺いたいと思います。

○大塚副大臣 避難所でさらに健康を悪化させるようなことのないようにという御趣旨の御質問だと思いますが、避難所の衛生状態を改善するために、自治体職員の皆さんとか保健師の皆さんとかが入りまして、感染症や食中毒の予防対策について、今、徹底をさせていただいております。トイレの清掃であるとか、避難所入り口での手洗いの徹底とか、そういう基本的なことを含めて、しっかり対応させていただきたいと思います。

 同時に、被災地のその避難所にいらっしゃる皆さんに、健康を守るためにはどうしたらいいかというような情報も御提供させていただいておりまして、既に、厚生労働省が生活支援ニュースという壁新聞のような大きな掲示物をつくりまして、その中にもそういうことを記述して、徹底をさせていただいております。

 また、避難所における高齢者や障害者の皆様方に関しまして、保健師等の皆さんの協力を得まして、血圧測定、あるいは栄養障害のチェック等々、万全を期すことで、しっかりと避難所の皆さん、あるいは高齢者、障害者の皆さんの健康を守ってまいりたいというふうに思います。

 一点、先ほどの質問に関連してつけ加えさせていただきますが、昨日も、参議院の方で、看護師さんが何がしかの形でサポートできないかという趣旨で、同様の御質問をいただきました。その御質問の中には、現地の病院で勤務していたんだけれども、病院がなくなってしまったので、スキルも持っていらっしゃる中で、どうやったら現地でお役に立てるかという意味もあるので、ぜひ訪問看護ステーションのことを考えてほしいという御質問もありました。

 今、局長の方から、原則論を述べつつ、一定の期間はというふうにありましたけれども、今この状況で原則論を述べる状況でもございませんし、一定の期間というのが、また、復旧に、あるいは復興に相当の長期間がかかる可能性もありますので、厚生労働省として、余り実態に即さない対応とならないように、大臣ともしっかり御相談して、老健局長とも相談して、適切に対処させていただきたいと思います。

○古屋(範)委員 副大臣、重ねての答弁、ありがとうございました。

 私は、どちらかといえば、こちらから乗り込んでいった看護師さんたちについての質問でございましたが、やはり、現地で、既に病院、診療機関等がなくなってしまったという方々もおりますでしょうし、復興には長期を見据えての腰を据えた対応が必要かと思いますので、一定期間といえども、そこのところは、ぜひ状況を見ながら柔軟に対応していただきたい、このように思います。

 また、被災地での生活に戻りますが、やはり栄養不足ということが懸念をされます。炭水化物だけ、おにぎりだけ、あるいはパンだけというような生活が続いていたかと思います。たんぱく質、ビタミン、ミネラル、こういったものも不足がちだと思います。

 宮城県に派遣をされている栄養士から、救援物資の御飯とパンだけの災害初期の食事がこんなに長く続くのは想定外だ、炭水化物しか届かない避難所もあるとの報告もございました。岩手県宮古市の避難所からは、幼児の体調不良、消化不良、あるいは嘔吐などが目立ってきたという声も届いております。

 被災者等の栄養状態の確認をし、的確な対策を進めていただきたいと思いますので、この点をお伺いしたいと思います。

 続けまして、さらに、アレルギーを持った患者、特に子供についての対応なんですが、配給があっても、パンとかインスタントめんなど、子供が食べられるものがないとか、アレルギーのために食べられないとお断りするとわがままだと非常にしかられてしまったり、いろいろ困っていらっしゃいます。

 そこで、公明党としましても、各県に備蓄をしているアレルギー対応の粉ミルクを被災地に送っていただくよう呼びかけまして、しかし、被災のあった県の要望がなければアレルギー対応の食料の確保と配送はできない、このようなことがございます。そこで、党の県本部から県に働きかけて、被災地の病院に直接送っていただくなどの対応をしております。

 現状では、行政機関ではなく、民間の団体及び個人単位で現地入りして物資を届けているところがありますが、国としても、アレルギーで苦しんでいる子供たちにこうしたものをしっかりと優先をして配分していただきたいというふうに思っております。

 そこで、アレルギー用物資というのは、支援物資のリストに含まれていません。現地からの要請がないと行政機関は動けないということで、被災地では、拠点まで届いても、そこから先の避難所までのルートが確立されていない、拠点で物資がとどまっていることが多いそうです。また、企業でもアレルギー物資支援に動いているんですが、実際にだれが必要なのかというのがなかなかつかめないのが現状なんですね。

 そこで、数々の課題の解決に取り組んでいかなければならないと思うんですが、この栄養の点それからアレルギー対応の点、以上について質問いたします。

○細川国務大臣 避難生活も一カ月を過ぎました。したがって、避難されている方々の健康状況、これが私どもとしても大変心配でございます。そういう意味では、今回の災害というのは大変広範囲で避難者数も膨大でございますから、避難所の食事を継続的、安定的に提供するという体制を整えることがまずは大事だということで、そういうことに心がけてきたところでございます。

 このため、厚生労働省といたしましては、被災された自治体のほかの自治体から管理栄養士の派遣のあっせんあるいは調整というのを厚生労働省の方で行ってまいりました。また、社団法人日本栄養士会を通じた避難所におけます食事の確保また個別の相談も行ってきているところでございます。

 今後は、特に食事の質の改善が必要となってきますから、今、被災県では、管理栄養士を中心といたしまして、避難所に個別に食事状況などを調査する、これはそれぞれ避難所で個別に食事の状況をアセスメントするというようなことを始めているところでございます。

 また、御質問の中にありました、アレルギーをお持ちのお子さんにつきましても、そのアセスメントの中で、避難所の中にアレルギーをお持ちのお子さんがいるかどうかというようなことについても、その調査も項目の中に入っておりますので、そういうことでアレルギー体質のお子さんの把握もいたしているところでございます。

 厚生労働省といたしましては、そういう状況を把握いたしまして、必要な、適切な対応をしてまいりたい、このように考えているところでございます。

○古屋(範)委員 大臣、ありがとうございました。管理栄養士の方々を派遣して、栄養面であるとかアレルギーのことも調査をしてくださっているということですので、引き続き対応をしっかりしていただきますよう、よろしくお願いをいたします。

 それから、続きまして、子供たち、児童生徒の心のケアについてお伺いをしてまいります。

 震災から一カ月を過ぎましたけれども、いまだにそのショックから立ち直れない、あるいは、長期化する避難生活のストレスから不眠あるいは頭痛を訴える方々がふえております。多くの方々が、過酷な離別を経験したり、家族の死、それを助けられなかったという自責の念、あるいは経済的な損失など、家を失う、幾重にも喪失体験をされています。不眠などの体の変調があらわれる方もいて、いわゆるPTSD、心的外傷後ストレス障害なども懸念をされております。

 先日、委員会の折に、心身両面にわたる疲れやストレスの影響が出るのは被災直後より一定の期間が過ぎてからであることを指摘させていただきまして、被災者の心身両面にわたるケアについて支援策をお願いしたところでもございます。厚生労働省も、専門家のチームを派遣するなど、今、対応を行ってくださっているということでございます。

 そこで、今回は、被災地の児童生徒へのケア等についてお伺いをしてまいります。

 今回の大津波は、子供たちや学校にも大きな被害をもたらしております。文部科学省によりますと、九日現在で、岩手、宮城、福島の三県で児童生徒ら四百四十一人の死亡が確認をされております。また、厚労省によりますと、八日現在で、両親が死亡または行方不明になったいわゆる震災孤児、岩手県で四十四人、宮城県で三十人、福島県で八人、三県で少なくとも八十二人に上っているということでございます。

 メンタルケア協会は、今、精神対話士を被災地に送っているんですが、福島県の相馬市というところに精神対話士が行っているそうなんですが、一つの小学校では親を失った子供が十人もいるということで、先生方もなかなか忙しくて、その子供たちのケアに当たることができない、ぜひとも助けてもらいたい、長期にいて、ぜひとも子供たちのケアをしてほしい、そういうような要望も来ているそうであります。何かあるその手前の早期発見のために専門家に協力をしてほしい、このような要望があるそうです。

 文部科学省におかれましては、こうした子供たちの心を支えるために全国から応援を要請して、子供の心の専門家あるいはスクールカウンセラーを増員して、被災地に常駐しながら子供の反応を敏感にとらえることができるよう、その対応を早急に図るべきと考えております。これについて、文科省のお考えをお伺いしたいと思います。

○尾崎政府参考人 お答え申し上げます。

 震災直後に、三月の半ばからになりますけれども、昨年度の段階で緊急に、全額国庫負担という格好で、今御指摘のように、児童生徒の心のケアのために臨床心理士等を各被災地に派遣をするというような対応をとらせていただきました。また、新年度に入りまして、この新しい年度の予算の中で、被災地の公立のすべての小学校、中学校、高等学校等に緊急の支援ができるように、この配置を重点的に行うための配分を今行っているところでございます。

 今後さらに、親を亡くした子供さんを含めまして、震災に遭った児童生徒の心のケアが適切に行われますように、第一次補正予算等で必要な予算が盛り込まれますように取り組んでまいりたいと考えてございます。

○古屋(範)委員 大人になっても、親を失うということは非常に大きな悲しみであります。ましてや小学生あるいは中学生等で両親を失ってしまった、そういう子供たちの今の心境はどんなものであるかというふうに思います。ぜひとも強力にこうした子供たちの心を支えて、間違っても自殺というようなことがないように進めていただきたい、このように思います。

 これは被災地に関してなのですが、今、避難をして、他の都道府県の公立小中高に転入をしている子供さんも多いかと思います。少なくとも七千人に及んで県外避難になっているということで、この多さは過去最大であります。最大の受け入れ先となった新潟県では、クラスや教員の数を急遽ふやして対応していらっしゃるということでもございます。

 そこで、こうした県外に避難をしている児童生徒の受け入れ学校等への支援、また、子供たちが新しい環境になじめるような工夫。平時でさえ、転校というのは子供にとって非常に大きな環境の変化になると思います。学費などの支援も必要であると思います。これに対しての文科省の今のお取り組みをお伺いしたいと思います。

○尾崎政府参考人 被災した地域の学校、その地域で開校ができないケースもございますし、まだ四月下旬あるいは五月の上旬に向けての開校の準備を急いでいるところもございます。御指摘のように、県をまたがって移って、そこでの再開を目指している学校も多々ございます。

 そういった場合に、私ども、震災直後から各教育委員会の方に連絡をいたしまして、転学の書類について、形式的なことにとらわれることなく、事実上の区域外就学であれ、正式な転学であれ、柔軟に弾力的に受け入れてもらいたいということと、それを支えるための先生の体制ということになりますけれども、受け入れた側では、当然、児童生徒の数が、集団で来られる場合もありますし、個々の場合もございます。それぞれ児童生徒数が急増するということもございますけれども、それにきちっと対応しますから、安心して対応してほしいということ。

 逆に、児童生徒が移転をするために急激に子供たちが少なくなっている地域もあるわけでございます。そこについても、今、多くのケースで教職員の人事異動を凍結などして、被災地で子供のサポートができるような体制を各県で工夫してございますけれども、その場合においても、形式的な児童生徒数に応じた教員配置ということにならないように、ケアが十分に行われるようにというようなことも考えているところでございます。

○古屋(範)委員 ぜひ、県外に移転をした子供たちへのきめ細やかな配慮、ケアをよろしくお願いしたいと思います。

 それから、子供たちあるいは被災者だけではなく、支援に当たっている側の心の問題というものも大きくなっているかと思います。

 医療関係者、先日も日赤に党で口座を開設した義援金をお届けしたんですが、県立の釜石病院、現地でも地域で唯一残った医療機関で、そこに本当に多くのけが人、患者が搬送されてくる、もうロビーや廊下もいっぱいという中で、医師、看護師も不眠不休で医療活動に当たっているということでもございました。

 また、自治体関係者、学校、警察関係者、みずからも被災し、あるいは家族を失いながらも、ともかくずっと働き続けているという方々も多いわけです。

 また、自衛隊の活動というのも非常に過酷だと思っております。物資の輸送、給食、入浴など、そういった生活支援に移行する時期なんですが、今、膨大な労力を必要とします、瓦れきの山を慎重に取り崩しながらの行方不明者の捜索も続けられております。遺体を収容する、被災地の救援、復旧に携わっている自衛隊の心の健康も守っていかなければならないだろう、相当多くの遺体と接しているはずであります。

 また、これまで支援に当たってきたケアチームの方々の活動も限界に近づいてきていると思います。

 こうした支援者側への心のケア、これについての対応をお伺いしたいと思います。

○木倉政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のように、被災地で日夜支援に当たられている方々、心から敬意を表するところでございますが、御指摘のように、みずからも被災をされている中で頑張っていただいている役場の方、あるいは他の自治体からも入っていただいているたくさんの方々、大変な心身とものお疲れであろうかとお察しを申し上げます。

 このような支援に当たられている方々に対しましても、私どもでは、過去の災害の教訓を踏まえまして、国立の精神・神経医療研究センターの方で活動のマニュアルということを具体的にお示しをする、その中では、支援に当たられている方々の心のケアに対する注意点もまとめまして徹底を図るようにしておるところでございます。

 実際にも、自治体からの要請を受けまして、今、全国の県の方から、精神科医、看護師さん等から構成されます心のケアチーム、三十九チーム確保しまして二十九チームが活動中でございますけれども、その中では、被災された方々自身への心のケアも当然でございますけれども、そこで支援に当たっている方々についても、相談のコーナーを設ける、その時間帯を設ける、お一人お一人に呼びかけをするということによりまして、個別の相談、カウンセリング、お休みの仕方とか投薬などの対応をとらせていただいているところでございます。

 今後とも、このチームの派遣を継続する中で、ニーズをきちんと踏まえた丁寧な対応を図ってまいりたいというふうに思っております。

○古屋(範)委員 ありがとうございました。

 きょうの午前中なんですが、公明党のうつ対策ワーキングチームで、慶応大学の大野裕先生あるいは群馬大学の福田正人先生等々、こころの健康政策構想実現会議の皆様においでいただきまして、震災復興緊急提言というものをお伺いいたしました。

 この実現会議では、包括型地域生活支援アウトリーチセンターの設立を求めていらっしゃいます。これは、体の健康、心の健康を支えながら、やはり生活支援もしていくという、ともかく全体的に、縦割りではなく、生活全体、全人的サービスを提供していく、その拠点となるアウトリーチセンターの設立を求めていらっしゃいます。

 福田正人先生もおっしゃっていたんですが、避難所で、例えば、三回ぐらい避難所を変えた、あるいは、親戚のところあるいは子供のところに避難をしていたんだけれども、やはりもう一回避難所に帰ってきてしまう。それは、いづらい、いろいろあるんだけれども、結局、その地域で、そこで生活をしてきた地域の人たちと一緒にいるというのがやはり心の支えになる。そこで避難生活、水道が通っていなくてもやはりそこの方がいい、こういう方々がいらっしゃるそうなんです。

 これから復興に向けて、やはり、こうした体の健康、心の健康、ここを支えていくということが非常に重要になってくるのではないかというふうに思っております。

 そこで、厚生労働省、二〇一一年から精神障害者アウトリーチ推進事業というのを開始することになっております。七億円の予算で進められていく、これは震災前、進めていこうとしていたもともとの事業なんですが、私はこの際、被災地で、もともとあった推進事業を、七億円をまず重点配分して、こちらでこうした被災された方々の体の健康、心の健康を支えていく、そういう事業をまず着手すべきではないか。それで、補正予算でなおしっかりこうしたものをつくっていく。五万人から十万人に一つこういうものがあって、これからの生活のこと、健康のこと、学校のこと、就労のこと、あらゆるものをチームで、医療関係者、保健師、そのほか専門家等とチームで支えていく、そういう中核となるセンターが必要ではないかと思うんですが、これについていかがでしょうか。

○細川国務大臣 現在、避難所や自宅にいる人につきましては、市町村の保健所や全国から派遣されてまいりました保健師の皆さんが健康面を中心とする一次的なケアを行うとともに、精神科医から成ります、先ほども出ました心のケアチームが専門的なケアを行っているところでございます。

 今後、避難所から仮設住宅や自宅での生活に移っていく方が多いわけですけれども、この際には、被災した地元の保健医療・福祉サービスが機能を回復して、被災者を包括的に支援できる体制が必要ではないか、このように考えております。

 このようなときに、被災地の復旧復興に向けた生活支援の体制づくりの中で、今、委員が言われましたアウトリーチ、訪問支援につきまして、大変大事になってくるだろうというふうに思いますので、これは被災地の御意見も伺いながら、前向きに検討させていただきたいというふうに思います。

 委員からもお話がありましたように、アウトリーチにつきましては、大変重要であるということで、今年度の予算に精神障害者アウトリーチ推進事業、七億円計上もいたしておりますので、これも含めましてこの取り組みを進めていきたいというふうに思っております。

○古屋(範)委員 済みません、時間になってしまったんですが、最後に、雇用調整助成金の拡充を求めてまいりましたが、この手続の簡素化を求める事業者が非常に多いわけでございます。ぜひ簡素化をしていただきたいということ。

 それから、厚生年金保険料等、厚生労働省、納付延長を始めていらっしゃいます。しかし、これは、延長ということはいつか納めなければいけないわけですので、ぜひ被災者の保険料、これは国民年金では免除しておりますけれども、会社で働く人が入る厚生年金、災害による免除制度は設けていないわけです。そこで、支援するために、東日本大震災で被災した事業者と雇用者について、厚生年金の保険料免除あるいは保険料の減免をすべきと考えますが、最後、これについてお願いいたします。

○細川国務大臣 雇用調整助成金の制度につきましては、これは、いろいろ弾力的な運用をもう既に行っているところでございます。これは、必要な書類が用意できないときには、事業主の申し出によりまして、ただ内容を確認して、そして手続を開始するとか、あるいは、ハローワークの管轄にこだわらずに、避難所先のそばにあるハローワークとかあるいは出張相談でも受け付けている、こういうようなこと、それから、関係書類にも、一々正確に書かなくても、可能な範囲で記入すればいいというような、そういう弾力的な運用をいたしております。

 今後も、都道府県労働局やハローワークでの状況をよく踏まえつつ、必要な、さらに簡素化を行ったり、あるいは申請から助成金支給までの期間を短くするとか、こういうようなことも取り組んでまいりたいというふうに思っているところでございます。

 それから、保険料の免除などの件でありますけれども、これも、厚生年金などの保険料の納付期限の延長あるいは納付の猶予とか、これはもう既にやっておりますけれども、この保険料の免除ということについても法的な特別の措置をとるということを今検討させていただいておりますので、それも積極的にやっていきたいというふうに思っております。

○古屋(範)委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

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