第183回国会 衆議院 予算委員会-11号

古屋(範)委員 おはようございます。公明党の古屋範子でございます。

 きょう、東北の大震災から二年目を迎えます。公明党におきましても、昨日、現地で東北の復興会議を開催いたしました。内閣として東北の復興の加速に全力を挙げていただきたい、そのことを申し上げ、質問に入ってまいりたいと思います。

 先日、我が党の斉藤幹事長代行は、生活困窮者支援制度について質問させていただきました。教育、就労、住宅、こうした具体的な支援が生活保護からの脱却には極めて重要である、そのことを質問させていただきました。厚生労働大臣の御決意はお伺いをいたしました。

 そこで、私の方からは、それにつけ加え、財務大臣にお伺いしたいと思っております。三年間で七百四十億円、これは生活保護費を適正化してまいります。その中から、こうした生活保護からの脱却に向け、あるいは生活保護に陥らないための制度のために、ぜひとも財源確保をお願いしたいと思っております。財務大臣、いかがでございましょうか。


麻生国務大臣 生活困窮者に関する御質問なんですが、これに取り組むのは、これはもう政府全体の一番大きな課題なんだと存じますし、現在、厚生労働省で、新しい制度について、いろいろ法案化を検討しておられると伺っております。

 新制度に向けた課題の検証を行うために、厚生省は既に幾つかの自治体に対して先行的なモデル事業というものを用意しておられるようなので、平成二十五年度の予算におきまして、これに関しましては三十億円を計上いたしておるところでもあります。

 いずれにしても、この実績を踏まえながら、事業の規模とか財源のあり方については今後とも厚生省としっかり相談をしてまいりたいと考えております。


古屋(範)委員 やはりこの支援制度には人の配置が欠かせません。そのためには財源が不可欠でございます。自治体に幾ら頑張れと言っても何も始まりませんので、ぜひ、この財源の確保に向け、御努力をお願いしたいと思っております。これができなければ福祉の党としての役割が果たせない、このように思いますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。

 それでは、子育て支援の質問に入ってまいります。

 まず、幼児教育の無償化について質問をいたします。

 昨年十二月の自公連立政権合意で、幼児教育無償化を財源確保の上で進めることが盛り込まれております。所要〇・八兆円との試算もございます。財政事情が極めて厳しい中ではございますが、実現に向けた取り組みを推進していかなければならない、このように考えます。

 この就学前の子供に対する教育の投資効果につきましては、ノーベル経済学賞を受賞いたしましたシカゴ大学のジェームズ・ヘックマン教授は、就学前の教育支援が、生涯の人格形成あるいは基礎学力の定着、また、犯罪の減少、将来の所得の増大などをもたらす、教育的、社会的、経済効果が大きい、このような研究成果を発表されております。世界も、幼児教育の無償化に関しては、各国とも踏み出しております。

 私たち公明党は、二〇〇六年に少子社会トータルプランを発表いたしました。私も、事務局長で、一年半かけてこの子育て支援の政策集を取りまとめたところでございます。この中でも、幼児教育の無償化につきましては、その重要性に鑑みて、利用料の無償化も視野に入れ、費用負担のあり方について検討を進める、このような政策を発表いたしております。

 安倍総理も覚えていらっしゃると思うんですが、同年五月、当時官房長官であった安倍総理に、骨太方針にこれを反映させてほしいということを要望いたしました。初めて無償化の検討ということが骨太に盛り込まれたわけでございます。その具体化では、二年後の二〇〇八年五月に、私たち女性委員会が当時の福田総理に申し入れをさせていただきました。そして、九月の自公連立合意にこの幼児教育の無償化の検討ということが盛り込まれたわけでございます。

 今後、この会議等も始まっていくようでもございますけれども、ぜひ保育の質の向上に力を注ぐとともに、昨年成立をいたしました新システムとの整合性も図っていかなければならないと考えます。また、子育て世代、関係者などに広く意見を聞くべきと思います。

 総理の御所見をお伺いいたします。


安倍内閣総理大臣 ただいま古屋委員が御指摘になったように、幼児期は生涯にわたる人格形成の基礎を培う極めて重要な時期であるというふうに、私も、また安倍政権としても認識をしております。この時期に質の高い幼児教育を保障することは、極めて重要でございます。

 幼児教育の無償化については、関係府省の連携のもと、子ども・子育て支援新体制との関係、財源確保の観点等を踏まえ、検討を行っていきたいと考えております。

 現在、森女性活力・子育て支援担当大臣を中心に、政府・与党の検討の場を設けるべく準備を進めているところでございます。

 今後、古屋委員の御協力、御党の御協力もいただき、幅広い関係者の御意見を伺いながらしっかりと取り組んでいきたいと考えております。


古屋(範)委員 ぜひ、地方、また現場、親たち、関係者の意見を聞きつつ、よりよい制度になるよう私も頑張ってまいりたいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。

 次に、待機児童の解消についてお伺いをしてまいりたいと思います。

 このたび成立をいたしました二〇一二年度補正予算には、保育士の確保、処遇改善、この予算が盛り込まれております。やはり、働きたいという女性が多い、また、働かなければやっていけない、こういう方々への支援、これは最重要だと考えております。

 私たちも、子供を安心して産み育てられる社会を目指しまして、昨年の九月に、次世代育成支援推進本部というものを設置いたしました。

 いろいろな活動を行っているんですが、山口県に参りまして、タウンミーティングを行いました。関係者、親たちにいろいろ御意見を伺ってみたんですが、やはり保育士の確保が非常に難しい。保育士の資格を取るために学校に行くんだけれども、結局、卒業して保育士にならない、それは処遇が低いからである、ぜひこの改善をお願いしたい、関係者からそういうお声を伺いました。

 そこで、非常に時間がない中ではございましたが、厚生労働大臣にも強く要望させていただき、大臣のリーダーシップで、関連予算四百三十八億を確保することができました。四月から一人当たり八千円から一万円アップするということで、非常にこれは喜びの声が広がっております。

 また、待機児童の解消に向けまして、横浜にも行ってまいりました。こちらも待機児童が多い地域ではありますが、保育コンシェルジュというものを各区に配置いたしまして、保育施設を最大効率よく活用するために、一人一人、生活の状況、就労の状況を聞きながら、きめ細かに保育対策に臨んでおります。
 その結果、待機児童が一昨年の九百七十一人から、昨年四月時点で、過去最少の百七十九人にまで縮小したということで、ハード、施設をつくる、そしてこうしたソフト面も重要だと考えております。

 一方で、御存じのように、杉並また足立区などでは非常に待機児童が多いということで、認可保育所に預けられない母親たちが行政不服審査法に基づく異議申し立てをする、このような事態も起こっているわけでございます。

 待機児童、ゼロ歳から三歳児を中心とした、主に都市部を中心とする問題でありますけれども、やはりここは地域に合わせた柔軟な制度をつくっていくことが重要かと思っております。

 来年度予算には、新たに受け入れ七万人増という予算を盛り込んでいます。これは非常に画期的であり、評価できる点だと考えております。しかし、潜在待機児童は百万人規模とも言われております。早急な対策が必要と考えます。
 総理の御所見をお伺いいたします。


安倍内閣総理大臣 少子化の進展は、日本の将来に対して深刻な影響を与えるわけでありまして、待機児童をゼロにしていくという意味において、この対策は待ったなしの対策であろう、このように認識をしております。

 第二次安倍内閣の組閣に際しまして、待機児童の解消のため、即効性のある対策を講じるよう、厚生労働大臣に指示をしたところでございます。

 先般の補正予算では、処遇改善を通じた保育士の確保、先ほど委員が御指摘をされたように、建物だけではだめなわけであって、しっかりと人材を確保するための対策、そして、平成二十五年度予算においては、受け入れ児童数を大幅に拡充することとしております。

 子育てを支える社会の実現のために、公明党と協力いたしまして、しっかりと対策を進めていきたい、このように決意をいたしております。


古屋(範)委員 昨年来日をされましたIMFのラガルド専務理事も、女性が日本を救うという意味の御発言をなさいました。やはり、女性が力を発揮していく、活躍をしていく、また、働きたいと思う方が働いていくために、この待機児童解消は非常に重要な問題だと考えております。

 総理おっしゃいましたように、補正予算あるいは本予算でもこの予算を確保していただいております。また、子ども・子育て新システムもスタートしていくわけでありますけれども、当面、多くの課題がございますので、ぜひ早急な、また柔軟な対応をとっていただきますよう、よろしくお願いを申し上げます。

 次に、ワクチンについて質問させていただきます。

 子育てをしている親御さんたちから多くの要望がございました、ワクチンの定期接種化の問題でございます。

 公明党の、国と地方のネットワークで強力に推進をしてまいりました子宮頸がんを予防するワクチンなど三種類が、四月から新たに定期接種化をされることとなりました。追加されるワクチン、子宮頸がんのほかにも、Hibワクチンあるいは小児用肺炎球菌ワクチン、三ワクチンでございます。

 私も、これまで何度も政府に要望してまいりました。国会でも取り上げてまいりました。特に私が取り組んでまいりましたのは、細菌性髄膜炎から子供を守るHibと小児用肺炎球菌でございます。

 これは、厚生労働省が基金をつくり、費用の一部を助成してまいりました。自治体により実施に格差があるということで、今回、予防接種法改正案を通常国会に提出し、これは日切れでございますので、何としても早期に成立をさせたいと私も決意をいたしております。

 そこで、この三ワクチンのみならず、定期接種、一類疾病の全てのワクチンについて九割を交付税措置をするということも盛り込まれております。これは非常に、いい意味で驚きの声が広がっております。

 先日も、細菌性髄膜炎から子どもたちを守る会の方々、私も厚生労働省に呼んでいただきまして、申し入れをさせていただきました。会長のお子さん、車椅子で、小学校三年になられますけれども、歩くことができない。そういうお子さんたちのために、何としてもこれは定期接種化をさせていかなければならないワクチンでございます。

 新年度も迫ってまいりました。実施主体である自治体、これは混乱なく対応できるよう、一刻も早く成立をさせたい、円滑なスタートをさせたいと思っております。この点について、田村厚生労働大臣に御所見を伺います。


田村国務大臣 平素、ワクチン行政に大変御尽力をいただいておりますことに、心から厚く御礼を申し上げます。


 今委員おっしゃられましたとおり、三ワクチン、今まで基金事業でやってきたわけでありますけれども、今年度でこれが切れるということで、より安定的に恒久的な仕組みにしようということで、定期接種化を目指しております。

 今国会にこれを提出するわけでありますけれども、これが年度内に成立しませんと、空白期間ができまして、場合によっては全額自己負担ということも起こり得るわけでございまして、何としても今年度内にこれを成立すべく努力をしてまいりたいというふうに思っておりますので、御協力のほどよろしくお願いいたします。


古屋(範)委員 続けて、総理にもお伺いをさせていただきます。

 ワクチンギャップというものがございます。我が国は、ワクチン後進国と言われております。その残された課題、安定的な財源の確保、また評価・検討組織の整備、これは、米国にございますACIP、日本版ACIPのようなものをつくるべき、このように考えておりますけれども、こうしたワクチンギャップの解消、ワクチン後進国からの脱却について、総理の御所見をお伺いしたいと思います。


安倍内閣総理大臣 我が国の予防接種は、先進国と比べて、公的に接種するワクチンが少ない、このように指摘されています。

 今委員が御指摘になったいわゆるワクチンギャップということになるわけでありますが、このワクチンギャップの解消など、予防接種の総合的な推進を図っていくために、地方財源を確保した上において、定期接種の対象をHibワクチンなどに拡大して来年度より安定的かつ確実に実施をしていくとともに、予防接種施策に関して評価・検討組織からの意見聴取を行うことなどを内容とする予防接種法改正法案を提出しているところでございます。

 我が国の予防接種施策を大きく前進させる第一歩であり、速やかな法案の成立を目指していきたい、このように考えております。


古屋(範)委員 それでは、最後の質問に参ります。

 再生医療の推進についてお伺いをいたします。

 私も、五年ほど前、東京女子医大に行き、岡野光夫教授の研究を拝見し、そのときの感激をもとに、今までこの分野の推進に取り組んでまいりました。特に昨年は、党内にプロジェクトチームも立ち上げました。山中先生をお呼びし、ノーベル賞受賞決定直後でございましたけれども、我が党にいらしてくださいました。

 また、先日、理化学研究所では、iPS細胞で、目の難病である加齢黄斑変性症の臨床研究を行う計画を厚生労働省に申請したというニュースがございます。

 また、さらに先週では、札幌医科大学、ここも現地に行ってまいりました。画期的な研究でございます、脳梗塞患者に対する細胞治療研究の治験が開始をされる、こういう発表もございます。

 iPS細胞を使った再生医療の実用化へ大きな一歩が今踏み出されようとしております。

 このiPS細胞という日本発の画期的技術、これは日本を再建する大きな力となることは間違いないというふうに私も確信をいたしております。産学官一体となって研究の推進に取り組むべきと考えます。世界に先駆けて、iPS細胞による再生医療の実用化、新産業の創成など、夢の医療の前進に、国を挙げて、ぜひとも全力を挙げていただきたい、このように考えております。

 そのために、国や医師、研究者らの責務を明らかにし、国民が再生医療を迅速、安全に受けられることを目的とした議員立法、再生医療推進基本法、これは、勇退をいたしました坂口元大臣が私案をつくり、まとめたものでございます。これを一刻も早く成立させたい、私はこのように今考えております。

 総理、御所見をお伺いしたいと思います。


安倍内閣総理大臣 今、この再生医療の可能性に、多くの病を抱える方々あるいは障害を抱える方々から期待が寄せられています。私のところにも、何通もお手紙をいただきました、早く進めてもらいたいと。

 そういう中におきまして、世界に先駆けて、再生医療を国民が受けられるよう、研究から実用化までの大きな方針と枠組みを定める議員立法が進められているというふうに伺っておりますし、これは極めて私は大切な立法だと思っております。法案では、安全面や倫理面への配慮もあり、再生医療の推進において大きな意義があるものと期待をしています。

 再生医療の実用化につきましては、健康長寿社会の実現のみならず、富と雇用を生み出すなど、経済再生の原動力にもなるわけでありまして、政府としては、今国会への提出に向けて関連法案の準備を進めるなど、再生医療の実用化に向けて取り組みを積極的に推進していきたいと考えております。


古屋(範)委員 ありがとうございました。

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