第189国会 厚生労働委員会 28号

○古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。
 先日の本会議に引き続きまして、障害者自立支援法案について質問を行ってまいります。

 先日も申し上げましたが、障害者の自立した生活を支援し、だれもが普通に暮らせる地域社会の実現を目指す本法案は、すべての障害者が公平にサービスを受けられるよう福祉サービスの一元化、また、不安定な障害者施策の財政基盤を強化するため、法律に基づく義務的経費に転換され、必要な財源が確保されるというものであり、障害者にとっては画期的な意義を持つものであると思います。私は、この制度の抜本的な見直しの意義を踏まえた上で、さまざまな障害者の負担については十分な配慮を行うべきである、そして、障害者の厳しい所得の現状、実態を踏まえた上での改革をすべきと申し上げてまいりました。

 本日は、引き続き、当事者の方々から利用者負担の見直しについてさまざまな心配の声が今寄せられておりますことを踏まえまして、お尋ねをしてまいりたいと思います。

 一昨年の四月に創設された支援費制度は、自己選択と自己決定という理念のもとに、障害者みずからが契約により福祉サービスを利用する制度として、当事者の方々からもこの制度を続けてほしいという声が寄せられております。

 そこで、初めに、障害者の地域生活を進める上で極めて重要な役割を果たしてきた支援費制度を今回新たな自立支援制度に変更する、その必要性についてお伺いをいたします。

○尾辻国務大臣 障害者施策につきましては、これまで、障害者の皆さんの地域における自立した生活を支援していくことを重要なテーマとして、各般の施策を推進してまいったところでございます。支援費制度につきましても、こうした観点から、平成十五年度から新たに実施をいたしたところであります。

 支援費制度につきましては、障害福祉サービスを実施する市町村がふえまして、それまでサービスを利用できなかった知的障害者の皆さんでありますとか、あるいは障害児の方々を中心に、多くの方が新たなサービスを利用できるようになったなど、障害者の方々の地域生活を進める上で重要な役割を果たしておると私どもも評価をいたしております。

 しかしながら、同時に、現在の支援費制度でございますが、申し上げましたように、利用者が急増していく中で、現在のままでは制度を維持することが大変難しくなっておるということがございます。それからまた、サービス提供の水準について地域間の格差が大きいということもございます。それから、精神障害者の皆さんが対象になっていないといったような課題もございます。

 このために、これはお話しいただきましたけれども、支援費制度の自己決定と自己選択、それから利用者本位といった理念を継承しながら、障害者の皆さんの自立した地域生活の支援を一層推進して、安定した基盤づくりを確保していくため、今回の障害者自立支援法案を提案いたしておるところでございます。

○古屋(範)委員 今の大臣の御答弁にもありましたように、支援費制度の変更は、何よりも制度の持続性というものを考えた上では、避けられない改革であると思います。

 しかし、一方で、障害者にとっては、サービス利用に伴う自己負担の面で大きな試練をもたらす改革であると言えます。そして、今回の改革の必要性については、サービスを受ける立場の障害者の方々、また多くの国民の理解を得るために幅広い議論が必要であり、大幅な負担増につながる懸念を払拭すべきである、このことをお願い申し上げます。

 そこで、介護保険との関係について、再度確認をしてまいります。
 先日の厚生労働委員会で介護保険制度改革関連法案が可決をされまして、被保険者、受給者の範囲の拡大について附帯決議に盛り込まれたところでございます。事故や病気で介護が必要な障害を抱える可能性は、年齢を問わずにあるわけでございます。また、従来からの法体系の谷間に置かれている障害者の方々の存在を考えますと、より包括的な制度への転換が要請をされております。将来の課題として介護保険と障害者福祉の統合を見据えている点で、介護保険改正案と本法案は大変密接なつながりがあると思っております。

 例えば、今回提案された障害者自立支援制度では、財源が税と保険と基本的には異なりますけれども、介護保険制度と多くの点で類似した制度設計が盛り込まれております。例えば、障害者程度区分の認定、また給付決定における審査会判定、ケアマネジメントの導入、自己負担を定率一割負担、低所得世帯については軽減措置があるとか、施設入所者の食費、住居費は実費を負担する、また、実施主体が市町村である、個別給付と市町村事業によるサービスの二本立て等々、こういった類似点があるわけですけれども、この密接なつながりを持つ介護保険、そして障害者施策について、将来統合するために、やはり国民の理解を得る努力が必要であると思います。

 それには、この二つの法案がその条件整備であることをまず明確に、政府として説明責任があるのではないかと思いますけれども、この点、大臣のお考えをお伺いいたします。

○尾辻国務大臣 先ほどもお答えしたところでございますけれども、今般提出をさせていただきました障害者自立支援法案によりまして、まず、身体障害、知的障害、精神障害といった障害の種別にかかわらず、一元的に自立支援のためのサービスを提供する仕組みを構築することといたしております。これも今御指摘いただきましたけれども、とりわけ対策のおくれております精神障害者の福祉もそうした中で進むものと考えておりまして、こうした点で、今回の法案は普遍的な仕組みへの大きな一歩になるものと私どもは考えておるところでございます。まず、このことを申し上げます。

 そして、その中で、介護保険制度の被保険者、受給者の範囲につきましては、これは従来からずっと御議論が続いておるわけでございますけれども、まだ賛否両論いろいろあるところでございます。

 ただ、その中で、先日の附帯決議におきまして、平成十八年度末までに結論を得られるように検討を行う、このことが明確に述べられておりますから、そう時間があるわけではありませんので、今お話しのように、各方面の御意見をいただきながら、そしてまた国民の皆様方の御理解を得られるように、きちっとした私どもは検討をして結論を出さなきゃならない、こういうふうに考えておるところでございます。

 今後とも、支援を必要とする障害者の皆さんがきちんとサービスを利用できる仕組みについて検討してまいります。

○古屋(範)委員 私たちも、普遍的な制度への大きな前進への一歩であるというふうに、多くの障害者の方々、また国民の皆様への説明をしてまいりたいと思っております。

 先ほど御説明にもありましたように、障害者自立支援制度には、支援費制度にはなかった精神障害者に対する福祉サービスが加えられたこと、多くの関係者の悲願であったことと思います。また、これまで制度ごとに異なっていた公費負担医療が本制度の中で一元化をされ実施されることになった、負担の不公平についても是正をされることになりました。しかし、原則一割負担というこの定率負担の導入は、障害者にとっては大変大きな不安となっております。

 このような制度の変更によって、特に精神障害者の通院医療について相当の負担増が生じるのではないか、また、これによって医療の中断というようなことも考えられる、あるいは、その症状が悪化をするというような懸念もございます。

 先日の本会議では、尾辻大臣より、低所得者への対策をきめ細かく取り入れていただくとの御答弁をいただいておりますけれども、それでも、障害者の不安というものはございます。さらに、現在の障害者に係る公費負担医療は本年十月からの新しい自立支援医療制度に移行するわけですが、周知徹底のための期間としては非常に短いと言わざるを得ないわけでございます。

 そこで、今回の精神障害者の公費負担医療制度の見直しについて、当事者の方々が十分に納得できる御説明をお願いしたいと思います。

○塩田政府参考人 現行の精神通院公費制度ですけれども、医療費の多寡にかかわらず、一律五%の定率負担をお願いしているところでございます。したがいまして、結果的に、低所得者であっても高額の医療費の場合には高い負担を求められることがある制度になっているわけでございます。

 現行の精神通院公費制度は、大きな役割を果たしてきておりますけれども、毎年利用者が増加しておりまして、その費用の急増で、現行の制度のままでは、国、地方公共団体の財政状況が大変厳しい中でこの制度を維持していくことが非常に厳しい状況になってございます。また、医療のみならず、御指摘がありました精神障害者の方が地域で暮らすための福祉サービスの充実も、厳しい財政状況の中で市町村を中心に進めてもらわなきゃいけないといった課題が山積しているところでございます。

 このため、いろいろな財源につきましてみんなで負担し合うという制度としまして、今回、費用負担の見直しをいたしまして、障害者自立支援法案におきまして、新たに自立支援医療として位置づけることにしたものでございます。

 具体的な利用者負担につきましては、低所得者の方、あるいは障害の程度が重度でかつ継続的に続くということで医療費負担が大変重い方々につきましては、医療費が家計に与える影響の大きい方に対しまして、所得に応じた負担の上限額を設定いたしまして、きめ細かく配慮して、無理のない御負担にしたいと考えているところでございます。

 この措置によりまして、具体的に申し上げますと、精神通院公費制度でありますが、まず医療費の現状で見てみますと、全体の五割の方が月額一万円以下でございます。それから、全体の約九割の方が月額医療費三万円以下となっておりまして、今度の見直しによりまして、現行の負担五百円から千五百円程度の負担、それから千円の方であれば三千円程度の負担となるということでありまして、負担の増加はいたしておりますけれども、御無理のない範囲内の御負担ではないかと考えております。

 また、統合失調症などによりまして毎日デイケアに通わなければならないような医療費が高額になるケースの方々につきましては、所得の少ない方につきまして負担が下がる場合もあるところでございます。
 いずれにいたしましても、今度の見直しによりまして、必要な医療が確保されるように十分配慮することが必要だと考えておりますし、そうした観点から制度をつくり運営していくことが必要だと思いますので、この委員会の御議論も参考にして、いろいろなことを考えてまいりたいと思います。

○古屋(範)委員 次に、このたびもいろいろな障害者団体の方よりさまざまな御要望を伺っておりますけれども、特に、聴覚障害の方々からのコミュニケーション支援というような観点についての御要望も伺っております。

 聴覚障害の方々にとって、コミュニケーションの橋渡しをする手話通訳士というのは大変重要な役割を担っています。その手話通訳士ですけれども、今全国で約千五百名いると言われておりまして、その中で実際動いている人は約半数しかいない。そして、東京には二十人、また福岡でも一人ということで、大変数が少ない、また地域格差も大きいのが現状でございます。

 この手話通訳士は、基本的な倫理を踏まえるだけでなく、障害者の特性を理解した通訳が求められることであり、養成に早くても半年はかかると言われております。現在、活躍の場としては、聴覚障害者のいる行政機関、団体、企業、病院、役所などが上げられますけれども、そのほとんどが非常勤のボランティアでやっていらっしゃるわけで、職業としてはほとんど確立されていない。資格を取ったとしても、その所得の保障がないというのが現状でございます。この手話通訳士の人材の育成、活躍の場の確保というものが急務であると思います。

 また、聴覚障害者の方々にとって、例えば車いすでかつ聴覚障害を持っていらっしゃるというような方に関しては、地域支援事業に位置づけられているコミュニケーション支援が、市町村でもし財源がない場合に切り捨てられるのではないかというような懸念がございます。

 そこで、コミュニケーション支援については、こうした財政面での不安を払拭されるよう、障害者の地域生活や社会参加を促進するために重要な役割を果たしているとの実情を踏まえ、サービス水準の後退や市町村格差が拡大することがないよう十分な確保を行うべきと考えますが、この点についてはいかがでしょうか。

○塩田政府参考人 聴覚障害者のコミュニケーションの確保というのは、今度の自立支援法案でも大きな課題だと認識をしているところでございます。聴覚障害者のコミュニケーション確保において手話通訳士の役割も大変大きいということでありまして、日常的な活躍の場があるだけではなくて、例えば政見放送の場とか司法の場でもそういう方が活躍されているということでありまして、そういう活躍の場を広げていくことが必要だと思っております。また、地域間格差もあることも御指摘のとおりでございます。

 今度の法案の中で、市町村に聴覚障害者のコミュニケーション確保について仕事をちゃんとしていただくということを明記したところでありまして、今度の法案によって、いろいろな市町村でこういったコミュニケーション確保の手話通訳士の活躍の場が広がるものと考えているところでございます。

 しかしながら、地域生活支援事業は、義務的経費ではなくて、いわゆる裁量的経費、国として予算の範囲内で補助することができるというジャンルの事業に分類いたしておりますので、そのための予算を国としてきちんと確保するということが大事なことだと思っております。来年度以降、必要な予算を確保すべく最大限努力をして、手話通訳士の方々の活躍の場がふえるよう努力をしていきたいと考えております。

○古屋(範)委員 大変厳しい財政状況の中ですが、ぜひともこのコミュニケーション支援の確保をよろしくお願い申し上げます。

 次に、グループホームについて質問してまいります。現在のグループホームは、さまざまな障害の程度の方々が同居している場合があるのですが、本法案については、これを障害程度別にケアホーム、グループホームに振り分けるよう設定をされております。

 現にグループホームで暮らしている方々から、住みなれた生活の場から追い出されるのではないかというような不安の声が寄せられております。施設から地域への移行の場として大切な役割を果たしているグループホームについて、障害程度別の区分により住む場所が限定されることがないよう、障害程度にかかわらず、ともに住み続けることができるような配慮が必要であると考えますが、この点についてはいかがでございましょうか。

○塩田政府参考人 今度の自立支援法案では、グループホームを二つに分類することにしております。一つは介護が必要な方々を対象とするケアホーム、もう一つは就労などをしていて介護の必要がない方々を対象とするグループホーム、この二つの類型に分けることにしております。

 その中で、重たい方に対応できるグループホーム、ケアホームになりますけれども、例えばその中では軽度の方を対象にすることは当然あってしかるべきものだと思います。要は、中に入っている方々に対して適切なサービスが行われるということでありますので、そういうサービスがきちんと提供できるということを前提に、現にグループホームに入っておられる方が追い出されるというようなことがないようなことについては、十分配慮すべき問題だと認識をしております。

○古屋(範)委員 そのように、ぜひとも細やかな配慮をお願いしたいと思います。

 このグループホームについてですけれども、これまで障害者は、親と一緒に家庭で生活する、あるいは施設に入所するということが多かったわけですけれども、このグループホームという新しい生活形態は、地域において障害者が自立した生活を送ることのできる生活の場として、極めて重要な役割を果たしていると思います。

 今回の制度改革で、グループホームで生活する障害者に重い利用者負担が課せられ、生活が破綻する人が続出するのではないかと関係者から大変心配をされております。このグループホームの利用者負担について、厚生労働省は、ホームの住居費など生活費が月額六万六千円までは、三年間、福祉サービスの定率負担を免除する方針を出されておりますけれども、現在の生活を維持することができなくならないような、障害者の生活実態に即した個別の減免措置が重要であると考えます。

 先日、日本グループホーム学会が関係する施設に対し実施した調査によりますと、グループホームに入居する障害者が毎月支払う生活費は、六万六千円以上十万円未満が七割を超えている、減免措置の基準に想定している六万六千円以下は一割しかないという結果が出ました。

 この市民団体は、調査は生活費の一部を最低限の数字で推定しており、実際の生活費はもっと高いと主張をしておりまして、減免基準を見直してほしいと訴えているわけでございますが、これについてのお考えをお伺いいたします。

○塩田政府参考人 障害を持つ方々が地域で生活する上で、グループホームの役割は大変大きいと思います。グループホームもさまざまな形態がありますし、特に、御指摘がありましたように、都会の中にあるグループホームは、基礎年金を超える費用がかかるグループホームが多いと思います。どんなグループホームであっても、そこで暮らしていけるような利用者負担でなければならないと考えているところでございます。

 経過措置でありますけれども、幾つか考えておりまして、一つは、例えば障害基礎年金だけの生活をされているとすれば、今度の一割負担が実質的にかからないような仕組みにしたいと思っております。一人一人の収入を算定して、定率負担の計算を変えるというようなことを工夫したいと思っております。

 例えば、六万六千円までの基礎年金だけの場合は一割負担についての計算式を当てはめないとか、六万六千円を超える収入の場合については、工賃についてはできるだけ手元に残るようにして、一割負担の定率をかけるのはごく一部にするとか、あるいは仕送りについても何らかの配慮をするとか、そういう形で、実際に手元にお金が残るような工夫はしなければいけないと思っております。

 それとか、利用料を払うことによって生活保護に陥ることがないような工夫とか、さまざまな工夫をすることによって、グループホームを活用して障害を持つ方が地域で暮らせるような仕組みにしたいと思っております。

 この点についても、委員会でいろいろな御審議をしていただきまして、それを参考にして最終的には政省令で決めていきたいと思っております。

○古屋(範)委員 このグループホーム、ケアホームについて、それぞれふさわしいサービスが確保されるよう、その規模、人員配置、また報酬等基準について配慮するとともに、障害者の低所得を考慮したきめ細やかな実施をお願いしたいと思っております。

 次に、先日も新聞の記事に出ておりましたが、公営住宅への入居について質問をいたします。
 高齢者が地域で自立して安心した生活ができるよう支援するために、障害者施策と連携しながら住宅施策を推進していくことが大事なのではないかと考えております。

 これまで国土交通省は、障害者に対して、地域での生活の場の提供としてグループホーム事業に公営住宅を提供されておりますが、全国的にはまだまだであります。公営住宅のグループホームの活用について、さらに一層の推進をお願いしたいと考えております。

 また、現在、単身入居を認めているのは身体障害者の重度、中度障害者と五十歳以上の人となっておりますが、この単身入居基準を緩和し、知的障害者、また精神障害者についても受け入れるべきではないか。知的、精神障害者は全国に約二百五十万いると言われております。これらの方々が障害があっても普通に生活が送れるよう、今こそ、社会全体で支える脱施設の受け皿として公営住宅を活用することが大事ではないかと思っております。

 公的な役割を果たすための公営住宅であればこそ、安い家賃で受け入れることで、これらの障害者の自立に役立つものと考えますが、国土交通省のお考えをお伺いいたします。

    〔委員長退席、宮澤委員長代理着席〕

○和泉政府参考人 お答え申し上げます。
 障害者が地域で安心、自立した生活を営むことを支援するため、御指摘のように、公営住宅における取り組みを推進することは極めて重要であると思っております。

 また、障害者に地域での生活の場を提供する方策として、ケア支援が安定、継続して行われるグループホーム事業について公営住宅を提供してきておりますが、御指摘のようにまだまだでございますので、今後、一生懸命取り組んでまいりたいと思っています。

 また、続いて御指摘の、知的障害者及び精神障害者については、これまで単身入居を認めてこなかったところでございますが、今後、厚生労働省と連携を図りながら、地域の居住支援サービスの充実など、地域福祉における支援体制の枠組みづくりとあわせまして、単身入居を認めるよう前向きに検討を進めてまいりたい、こう考えております。よろしくお願いします。

○古屋(範)委員 ぜひ、こうした障害者の方々の公営住宅への入居は、もちろん事故があってもいけませんし、そのサポートする体制というのもあわせて推進をお願いしたいと考えております。

 次に、補装具給付事業についてお伺いをしてまいります。
 昨年急性脳炎で手術をした小学校四年生の息子さんがいるお母さんからの御相談を受けました。現在、意識がなく、常におむつが必要である。経済的にも精神的にも大変な中、入院をしている同室のお子さんのお母さんから、ストマ用装具代という形で紙おむつの支給を片方は受けているということを知って、御自分が住んでいらっしゃる市の福祉課に問い合わせたところ、三歳までに病気、障害になったお子さんに対してでないと支給できないという答えをもらったということなんですね。同じように四歳のときに脳症になって十一歳になった子供を持つお母さん、こういう方と非常に同じような症状でありながら、紙おむつに対する支給が違う、そういう御相談をちょうだいいたしました。

 現在、この補装具給付制度により支給をされている紙おむつですが、給付対象の要件として、脳性麻痺等脳原性運動機能障害者という制限があり、乳幼児までに発症した、実態としては三歳までに発症した人のみという、給付の対象を限っているそうであります。

 確かに、障害者全般に対する紙おむつの需要、これが限られた財政を考えますと困難であるとは思いますが、しかし、現行制度の障害の発生年齢に関する制限が、本当にこの三歳というものが合理的かどうか、これを見直すべきではないかというふうにも思います。

 また、補装具ということにつきまして、そのほかにもいろいろな御要望がございます。先日も、先天性内反足という障害を持つお子さんを持つお母様からも要望をいただいています。その種類、また耐久年数、価格など、さまざまな御意見がございました。障害を持つ方々にとって、補装具というのは日常生活に欠くことができない非常に大切なものでございます。

 この自立支援法案の国会提出に合わせまして、補装具と日常生活用具の対象範囲を見直す検討委員会が設置され、活発な御審議をいただいていると伺っております。補装具、日常生活用具といったもの、これも科学技術の進展に伴いまして日々進歩していると思います。こういった新しい技術の中にあって、真に障害者の役に立つものは導入を検討していただき、そしてまた、既に役割を終えたものについても見直しが必要であるかと思っております。

 その上で、補装具と日常生活用具の品目の入れかえ、対象者の見直し、価格の設定などを検討していくべきと考えますが、厚労省の御意見をお伺いいたします。

○西副大臣 お答え申し上げます。
 補装具の給付制度における紙おむつのことにつきましては、本来、排尿、排便の生活習慣がまだついていないと思われる三歳まで、これが三歳の要件ということになっておりまして、運動機能に障害が出た方々を対象として、その特別な事情を考慮した上で、補装具の一つとして給付をさせていただいております。

 しかしながら、議員御指摘のように、三歳以降に発症した方であっても、まだ排尿、排便の生活習慣が十分ついていない幼少期のうちに運動機能に障害が出た場合、非常に、三歳で切ることの要件が本当に正当なのかどうかという御指摘でございますが、三歳までに運動機能障害が出た人と準じたようなケースもあることもこれは事実でございます。このことにつきましては、今後、支給対象者の範囲につきましても、補装具それから日常生活用具全体の見直しを今御指摘のようにしておりますので、きちっと検討をしていきたい、こう考えているところでございます。

 なお、日進月歩の補装具、日常生活用具についての見直しにつきましては、これは大変重要なことだ、今回はやりますが、今後のことも含めてそう考えておりまして、現在やっております補装具等の見直しに関する検討委員会、この内容を、今後とも、財政状況等も踏まえながら、障害者に真に必要なものを給付できるように定期的に見直しができるような仕組みづくりについても、あわせて検討を行ってまいりたいと思っております。

○古屋(範)委員 もう時間が参ってしまいました。最後に、障害者の就労ということで、今回の法案につきましても、ぜひ就労につきまして前進をお願いしたいというふうに考えております。

 私も、昨年、ソニーの子会社である光という障害者を雇用している会社を見てまいりました。大変御苦労されながら障害者の雇用を頑張って取り組んでいる会社でございました。

 今回の法案が、意欲ある障害者がだれでも働ける環境を整備し、障害者が本当の意味で自立、社会参加できることを促すような法整備となりますよう、最後に要望いたしまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

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