第162回国会 衆議院 社会保障制度改革両院合同会議 第4号

○古屋議員 公明党の古屋範子でございます。
 女性と年金という観点で意見を述べさせていただきます。

 女性と年金の問題を考える上で、大きく二つの視点があると考えております。一つは、女性の社会進出、またライフスタイルの多様化にいかに中立であるかということ、もう一つは、女性の年金保障をいかに充実させていくかという点でございます。

 女性にとってよりよい年金制度の姿を考えれば、やはり女性の社会進出、またライフスタイルの多様化に中立な制度が望ましいと言うことができると思います。

 昨年の年金改正では、育児のために会社を休む場合、保険料免除の期間を、それまで一歳までであったものを、子供が三歳になるまで拡大が図られました。さらに、育児をしながら働いている人に対し、短時間勤務で給料が減ってしまったような場合、将来の年金が減らないように、減る前の給料に応じた水準の年金を出すという配慮も導入をされました。

 民主党は、女性と年金の問題について、いわゆる二分二乗方式で対応するとおっしゃっています。すなわち、夫婦でそれぞれに所得に応じて納めた保険料を足して、機械的に半分に分けて、それぞれ半分納めたことにするというものである。しかし、育児への対応など、単にこの二分二乗方式だけで解決できるかどうか。私としても、二分二乗方式そのものを否定するものではございません。もう一つの観点、女性の年金をいかに充実させていくかということを考える上で、この二分二乗方式、一つの考え方であるというふうに認識をしております。

 民主党案では、夫婦が独身時代から引き続きそれぞれに働き続けている場合も含めて、共働きであれ、そうでなくても、夫婦それぞれが所得に応じて納付した保険料を常に足して二で割る、老後の年金について、自分名義が半分、残りの半分は相手名義に書きかえておくという機械的な二分二乗方式としていますが、果たしてこれが国民の理解を得られるかどうか。もっときめ細やかな論議が必要であろうと考えます。

 与党におきましては、女性の年金保障をどう拡充していくかという論議を重ねてまいりました。その結果、昨年の年金改正法では、被扶養配偶者を持つサラリーマンが支払った保険料は夫婦が共同で負担をしたという基本的な認識を明確にして、夫婦が離婚する場合など本当に必要になった場合、実際に年金の分割ができる仕組みを創設いたしました。一つ、老後の女性のセーフティーネットを確保したという点で大きな前進であると思っております。

 最後に、未解決の問題としてパート労働者の問題が挙げられます。
 現在、パート労働者のうち七割が女性であります。パート労働者が被用者として年金保障を受けられるよう、厚生年金の適用拡大の実現を図る必要があると考えております。しかし、被用者年金が適用されたとしても、賃金が低い、時給七百円、八百円というままでは年金も低水準になってしまう。男女の賃金格差、雇用格差、パート労働の待遇改善、また景気の動向、経済状況などもさまざま考え合わせていかなければいけない大きな課題が横たわっていると認識をしております。

 民主党は、全国民に所得比例年金を設けるとおっしゃっていますが、パート労働者については、事業主負担を求めていくかどうか、求めるとすればどのように合意形成を図っていくおつもりか、お答えをいただきたいと存じます。

 今後、この女性と年金をめぐる残された数々の課題に対し、ともどもに地に足のついた建設的な議論を進めていきたいと考えております。

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