第180回国会 衆議院 厚生労働委員会-6号

○古屋(範)委員 おはようございます。古屋範子でございます。

 きょうは、児童手当法改正案について質問してまいります。これまでの議論と多少重なるところもございますが、確認のために、大臣、お伺いしてまいりたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。

 昨年の八月四日なんですが、民主、自民、公明の幹事長、政調会長の会談で、民主党政権のいわゆる目玉政策であった子ども手当につきまして、今年度限りで廃止される、そして、来年度から児童手当を復活、拡充するということが合意をされたわけです。

 しかしながら、今回の政府提出の法案につきましては、この三党合意、「児童手当法に所要の改正を行うことを基本とする」としたわけなんですが、実際は、手当の名称についても、合意を得ることなく、児童手当から子どものための手当と改めることとなっておりました。また、検討事項になっていた所得制限以上の者に対する必要な税制上、財政上の措置につきましても、一方的に決められておりました。もともとは三党合意を基本にするはずであったにもかかわらず、このような経緯で今回の政府提出の法案が決定をされていったということでございます。

 しかし、これを乗り越えまして、三月の初めに、自民、民主、公明三党の実務者の協議に入りました。それによりまして、この四月から支給をしていくことに関しましては、やはりこのところを一番私も懸念をしておりました。自治体、そして何といっても子育て世帯に迷惑をかけたりあるいは混乱をさせたりしてはならない、ともかく年度内成立をさせなければいけないということで、鋭意、実務者間で調整を行ってまいりました。それによりまして、支給に空白が生じるというような最悪の事態は避けることができたと思っております。

 民主党政権となってこの二年間、二転三転いたしましたこの現金給付というものが、これでやっと恒久的な制度になれたと確信をしております。ですので、今回の修正案は評価をできると私自身は考えております。遅きに失した感はございますけれども、今回の政府また民主党の決断に関しては評価をしたいと考えております。

 初めに、大臣、この修正案について御所見をお伺いしたいと思います。

○小宮山国務大臣 民主党を中心とした政権といたしましては、子供の手当ということを重要に考えていましたが、再三申し上げるように、財源の手当てがきちっとできなかったということで、いろいろとつなぎつなぎの法案になり、当事者の方にも御迷惑をおかけしたことはおわびをしなければいけないと思っています。ただ、こういう提案をしたことで、国会の中でこれだけ子供のことを議論したということは、これからの方向に対して一つのプラスになることかなというふうにも思っているところです。

 それで、この手当につきましては、昨年の八月に、本当に三党の実務者の皆さんで誠心誠意話し合っていただいて、この四月からの恒久法も三党で御協議をいただくということになっていましたが、残念ながら、法案提出の時期を迎えてもそれが成り立たなかったので、やむを得ず、政府の方で一定の考え方で出させていただきました。それを今回また、三党の方がぎりぎりの協議をしていただいた結果、実現可能な着地点を見出していただいたということで、子供を育てていらっしゃる皆様にも地方の皆様にも大きな御迷惑をかけることなく四月から施行できるということは、そうした皆様のお働きに対しては心から敬意を表したいと思っているところでございます。

    〔長妻委員長代理退席、委員長着席〕

○古屋(範)委員 子供についての議論は確かに必要であったかとも思いますけれども、この二年間迷走した子ども手当についての議論、これについて、これほどの時間を費やしたということが果たして重要だったかどうか、私は実は疑念を持つところでもございます。もっとほかにやらなければならぬことがあったのではないかと思っております。

 とりあえず、きょうこの厚生労働委員会で採決がなされれば、こうしたことに時間を費やさなくて済む、この点に関して私は本当に安堵いたしております。

 この子ども手当ですけれども、先ほどの柿澤委員の議論にもありました、当初から、政策効果というものが曖昧であったと思っております。最初は少子化対策、その後、家計支援策、そしてその後は景気対策というようなことも言われておりました。また、やはり何といっても財源のめどが立っていなかった、これが最大の問題であります。

 政権公約で掲げられた月額二万六千円、これを実現するには五・五兆というような巨額な財源が必要です。無駄を排して十六・八兆出すとおっしゃっていたんですが、結局はこれはできなかった。半額の一万三千円でさえきゅうきゅうとしていた現状です。それをいとも簡単に実現できるかのように説明していた、これは非常に無責任であると思います。

 現実の財源の中で、どこまで何を優先してやっていくのか、ここはしっかりと考えなければいけない点であります。

 これまで、党内の議論も迷走していたようですし、いたずらに国民に混乱を与えた責任について、ぜひ自覚をしていただきたいと思っております。この二年半ぐるぐると回って、またもとのところに戻ってきてしまった。一体この二年半は何だったのかということになってしまいます。もっと早くマニフェストを見直して、責任ある提案ができなかったのかどうか。政策効果が曖昧な上に、巨額な財源の手当てがつかないで批判を浴びてきた子ども手当は廃止されても仕方がないと言うことができると思います。

 名前こそ子ども手当とされていましたけれども、結局これは、児童手当に国費を上乗せする形で支給されてきたもので、まさに児童手当の拡充以外の何物でもなかったというふうに思います。

 政権交代後、子ども手当の制度は、二年間で三回に及びました。月一万三千円の半額支給で二十二年度、単年度でスタートしました。財源難から二十三年度の満額支給を断念して、二十三年四月から九月はつなぎ法、二十三年の十月から二十四年三月まで特別措置法、本当に、終わったかと思えばまたすぐにこの議論、そういう状態が続いておりました。やはり、もう名実ともに、子ども手当というのは無理であったし、これはもう壊れたというふうに断言せざるを得ないと思っております。

 制度が変わるたびに、支給額や手続の変更など、子育て世帯、市町村にも大変迷惑をかけてきたと思っております。このさまざまな変遷を見てきて、丁寧な説明なくして国民の理解は得られないと思っております。この二年間の子ども手当の混乱、迷走、この影響を総括して、子ども手当は必要な財源が確保できなかった、このことを率直に国民に対して謝罪し、説明をしていただきたいと思います。

○小宮山国務大臣 もともとこの国は、子供に対する、また子育てに対する支援が非常に少ない国だということの中から、政権交代に当たりまして、まず、一番子供の育ち、そして子供を持ちたい人に阻害をしているものが経済的な負担だということで、まず経済的な手当てということで子ども手当のことを出させていただき、そして今、新システムで提案させていただいているような就学前の子供の居場所をつくること、また働き方など、総合的に子ども・子育て支援をしていきたいと考えていました。

 先ほど政策目的が曖昧だったというお話があって、党内でしっかりとそこが共有できていなかったということは大変申しわけないと思っていますが、つくった当事者の方としては、子供の育ちを支援するということが政策目的で、その結果として、持ちたい人が持てることによって少子化対策にもなるというような、そういう考え方をとっておりました。

 ただ、御指摘の点につきましては、先ほどから再三申し上げているように、子ども手当として月二・六万円お払いをするということを掲げながら、それに見合った財源の見通しが甘くて財源調達ができなかったために、この二年半、大変いろいろな意味で混乱をさせたことは、本当に心から申しわけなかったとおわびをしたいというふうに思っています。

 ただ、子供についてこういうふうに大事に考えて、現金も現物もですけれども、充実をさせていくという方向性は間違っていないと思っていますので、そこはまた、ねじれた国会の中ではありますけれども、各党、皆様方、そこの思いは同じだと思いますので、どうやって子ども・子育てを本当にこの国の中で将来に向けて支援をしていくかということは、さらにまた、三党だけではなくて、全党、全国会議員がしっかり考えていただければと思いますし、私自身も、しっかりとそこは、リードをしていけるところがあるのであれば、していきたいというふうに考えているところでございます。

○古屋(範)委員 確かに、子育て支援を拡充したい、これは皆同じ思いだと思います。公明党も、この四十年間、児童手当の拡充を行ってまいりました。

 しかし、やはり財源の裏づけがなければ、理想は理想としても、現実問題、それは実現できるものではありません。ですので、その理想は理想として、現実の中でどれだけの額を支給していけるのか、これは皆さん方も、多分二年半の間の中で学んでこられたのではないかというふうにも思っております。しかし、この二年半の迷走、混乱、国民にとっては大きな損失ではなかったかというふうに私自身は考えております。

 次に、年少扶養控除の今後のあり方についてお伺いをしたいと思います。

 看板政策であった子ども手当なんですが、控除から手当へ、これは私もその理念は共有をしております。税制の減税効果による支援から現金給付へ、こういう転換を目指してこられたということだと思います。しかし、一人当たり二万六千円という恒久的な手当制度を確立することを前提に、その財源確保となる年少扶養控除の廃止、こちらが先行して、見切り発車で実施されてしまった。満額は到底支給ができない、これが現実です。

 このために、児童手当制度と扶養控除が併存していたころよりも実質的な手取り額が減少する世帯が中高所得世帯を中心として多数発生をしてしまう、このようなことになってしまったわけです。最終的に、月一万円から一万五千円にとどまるということが確定をしまして、扶養控除廃止による増税分をカバーできないということが発生をしております。特に中所得世帯、ここに関しては、我が党の坂口元大臣も心を砕き、何とかせねばならぬと最後まで腐心をしておりました。

 今回の修正案でも、五千円の特別給付が当分の間支給される高所得世帯だけではなくて、中所得世帯、ここが非常に問題なわけです。厚労省の試算によりますと、妻が専業主婦、小学生以下の子供が一人の世帯では、旧児童手当の時代と比べて、年収五百万円で年四千五百円、年収八百万円で年四万九千円の負担増となってしまうというわけです。

 子育て支援のために創設したこの制度だったはずなんですけれども、結局、旧児童手当以下の恩恵しか受けられない世帯がある。これは本当に大きな矛盾が生じたと思います。児童手当を着実に拡充してくれば、このようなことは起きなかったと思っております。余りにも見通しが甘かったと言わざるを得ません。

 この修正案の附則に扶養控除についての検討条項が盛り込まれておりますけれども、扶養控除の今後のあり方について、大臣のお考えを伺いたいと思います。

○小宮山国務大臣 これは、控除から手当ということについては御賛同いただけるという御意見もいただきましたけれども、おっしゃるように、やはり控除を廃止することと手当を充実することが同時に行われなければいけなかったというのはそのとおりでございます。

 ただ、税の控除は、御承知のようにタイムラグがあって、国税、地方税で翌年だったり翌々年だったりするので、その分の財源はあるのですよという話はしてきたところなんですが、なかなかそこが御理解いただけなかったこともございまして、結果として中所得者のところでマイナスになってしまうということは、先ほどもこれも答弁させていただいたとおり、私も一番そこに強い問題意識を持っているところで、御党の坂口委員からも、いつもいろいろと前向きの御提案をいただいたことに感謝を申し上げたいと思っています。

 そういう意味で、そこのマイナスになる、赤になっているところを一刻も早く消さなければいけない、戻さなければいけないということは考えておりますので、これは、関係府省また与野党の御意見も伺いながら、どういう方法でやっていくのかということは早急な手当てが必要だというふうに認識をしています。

○古屋(範)委員 引き続き、税制について、配偶者控除についてお伺いをしてまいりたいと思います。

 報道によりますと、小宮山大臣は昨年の九月二十一日に、社会保障審議会短時間労働者への社会保険適用等に関する特別部会にみずから出席をされて、優遇措置の見直し範囲を年金から税制にまで広げる考えをお示しになられました。

 この議事録によりますと、「その中でも、本当に公平な働き方、それに対する社会保障という意味で、短時間労働者に対する健康保険や厚生年金の適用拡大、これは、他の配偶者控除の問題ですとか第三号被保険者の問題ですとか、トータルに考えなければいけない問題がございます」、このようにおっしゃったそうであります。妻の年収が百三万未満であれば夫が納める所得税などが安くなるこの配偶者控除の撤廃については、民主党の政策集、インデックス二〇〇九にも同様の内容がございますね。

 また、小宮山大臣が副大臣であったときに、一昨年の民主党の税制調査会でも配偶者控除の廃止について主張された。また、昨年三月十一日のインタビューでも、控除から手当への考えのもと、配偶者控除の見直し、廃止について言及をされています。

 そこでは、そもそも子ども手当は、複雑に入り組んだ各種の控除をやめて、必要な手当を直接給付しようという発想から出てきたんです。控除だと高所得の人に有利で、税控除の低い、低所得の人に何も恩恵がない。続けて、子供の扶養控除と配偶者控除に目をつけられたと。所得再配分機能が低いこと、増加する共働き家庭に不利なことから、公平性に問題があると見た。この二つを外して、その金額を子供の数で割ったら一万六千円だった。だから、私たちがこの制度の際に提案した一万六千円という数字は、ちゃんと財源と手当が見合っているのだ。今やっている社会保障と税の一体改革の中にも子ども手当は入れますから、一万六千円を上回る部分についても、その時点では恒久的な財源がしっかり確保できると思っているとおっしゃっていますね。一万六千円の財源はあった、それがいきなり二万六千円になった、ここがよくわからない点であります。

 しかし、先日、岡田副総理が配偶者控除廃止を撤回する可能性について発言をされています。ここのところは一体どうなっているのか、副総理の発言であります。

 今回、児童手当の三党合意によりまして、配偶者控除も見直さざるを得ないとの見方もございますが、民主党が掲げた配偶者控除の廃止は、控除から手当への象徴、小宮山大臣が以前から主張されている御持論だと思うんですけれども、女性の社会進出促進という大きな目的もあるでしょう。

 この配偶者控除の廃止について大臣は今どうお考えなのか、伺いたいと思います。

○小宮山国務大臣 私自身はずっとそういうことを言っておりますし、大臣に就任したときも、やはり配偶者控除の廃止、それから三号被保険者の見直し、それと短時間労働者への社会保険の適用拡大を総合的にやりたいということを申し上げました。

 それは、やはり今、働く女性がふえているということ、それから、今働いていない人でも、潜在就業率という、働きたいと思っている人は先進国並みなんですよね。いろいろな意味で働き方に中立で公正な制度ということは、民主党もずっと言ってきたところでございますので、ここは私は、やはり配偶者控除を廃止すべきだという考え方はずっと持ち続けています。

 ただ、税調の中でも、消費税のこととか再配分機能を高めることとかいろいろな議論の中で、今回また残念ながら見送られたということで、社会保障・税一体改革の大綱の中でも、配偶者控除をめぐるさまざまな議論、課税単位の議論、社会経済情勢の変化等も踏まえながら検討する、検討、検討が多くてというお叱りを受けておりますけれども、引き続き検討することになっています。

 一言申し添えれば、岡田副総理とも私はお話ししましたが、配偶者控除廃止を否定したことは全くないということでございましたので、実際の発言と報道ぶりがちょっとずれているのかということは本人に確認をいたしました。

○古屋(範)委員 税制改正、なかなか大きな路線、大きな方針のもとに一つ一つ行われているとは到底思えない感がございます。できるところをつまみ食い的にやって、今、その矛盾が起きているというふうに考えます。この点に関しては、またさらに機会を得て議論をしてみたいというふうに思っております。

 次に、年少扶養控除廃止による地方の増収分について伺いたいと思います。

 この年少扶養控除の廃止による地方の増収分は、平成二十四年度において六千二百億円ですね。このうち一千百五十億円は、平成二十二年十二月の五大臣合意で地方特例交付金の減額に充当することが決定をしております。残りの五千五十億円については、昨年十二月の四大臣合意によって、児童手当の負担割合の変更に伴う追加の地方負担に充てられるほか、地方特例交付金の廃止に伴う地方負担の増額分、また子育て関係事業に係る国庫補助金の一般財源化にということが決まっております。

 これまで子ども手当の財源議論を何度もしてきたんですけれども、この財源をぜひ、子供の命、健康を守ることになるワクチン、予防接種の財源に使っていただきたいと私は考えます。こうした現金給付の場合には、多くは確かに子育てに使われるんでしょうが、それ以外のものにも当然使われてしまうということが起きますけれども、予防接種の場合には、そのまま直接子供の命を守ることになります。いまだに多くのワクチンが任意接種で、自己負担があったり、自治体によってばらつきがあったりしております。家庭によって経済格差あるいは情報格差があって、子供の健康が左右されてしまう、このようなことがあってはならないと考えております。

 ですので、ワクチンで防げる病気から子供たちを守る、子育て支援の観点から、ぜひこの部分の予算を予防接種に充当していただきたい、このように願っております。大臣、いかがでしょうか。

○小宮山国務大臣 委員がいつもそのように御主張いただいていることは十分承知をしております。

 今御紹介いただきました平成二十五年度の追加増収分については、昨年十二月二十日の四大臣合意によりまして、「基金設置による国庫補助事業の財源に代わる恒久的な財源として、子育て分野の現物サービスに活用する」とされていまして、「具体的内容は今後検討」ということになっています。

 この四大臣合意の内容も踏まえまして、厚労省といたしましては、新たなワクチンの定期接種化を含む予防接種制度の見直しについて、財源の問題を含めてできるだけ早く予防接種部会での結論を得まして、予防接種法の改正案を提出できるよう検討し、関係者との調整も進めていきたいというふうに考えているところです。

○古屋(範)委員 今、予算措置で行われておりますHibワクチンなどの三ワクチン、また、私がもう二十五歳になった息子を育てるときに自己負担で行ったおたふくなどもいまだに定期接種になっておりません。これも、多分財源ありきで、どこまでやれるかということになってこようかと思います。ぜひ確保して、予防接種法の抜本改正をしてまいりたいと考えております。

 もう時間がなくなってまいりましたけれども、先ほどあべ委員も質問されていた内容とちょっと重複いたしますけれども、所得額の判定、これが世帯の合算所得ではなく、主たる生計者の所得になっているという点についてお伺いをしたいと思います。

 御存じのように、共働き夫婦で九百万円ずつ年収があった場合、世帯で何と年収千八百万円となるんですけれども、所得制限未満として手当は満額支給されてしまうんですね。一方、専業主婦がいる世帯では、主たる生計者の年収が一千万円だったとしても、結局はこの所得制限以上となる、減額をされてしまう。非常に矛盾が生じております。この所得制限、世帯合算の所得とした場合、支給率がどのくらいなのか、一体、把握をされているのかどうか、まずお聞きをしたいと思います。

 また、自治体が児童手当に対応した設計システムを変更することによって、現在、ソフトを子ども手当用につくり直しているわけなんですね。さらに今後のことを考えると、やはりシステムを改修することもまた迫られている。非常に大変です。所得制限の導入で対象世帯の所得も把握しなきゃいけない、これも年度内に決まるかどうか、非常にはらはらしていたと思います。システム改修の費用、事務負担増などへの懸念も聞いております。

 現在、二月末時点で、対象者の三から四%、数十万人が未申請であると聞いております。これは修正案の中で半年延長されることになっておりますけれども、事務負担の増加は避けられません。

 新制度の実施に当たりまして、こうした市町村のシステム改修、支給事務等、煩雑にならないよう、国としても十分な配慮が必要であり、対応策が求められております。また、被災地の市町村に関しましては、さらに十分な支援が求められていると思います。この点に関して、政務官にお伺いいたします。

○藤田大臣政務官 所得制限の判定の問題でございますけれども、ここに矛盾があるということについては私どもも認識を共有するところでございます。

 ただ、この支給率がどれぐらいになるのかということについては、具体的に基準額を幾らに設定するかによって異なってまいりますので、なかなか現時点で具体的な数字をお答えすることは難しいんですけれども、平成二十二年の国民生活基礎調査のデータで見ますと、十八歳未満の児童のいる世帯の所得分布、これが一千万円未満の世帯が全体の八三・四%を占めているということでございますので、一つの参考の数字であろうかというふうに考えております。

 それから、システムの変更やいろいろな申請手続等、市町村の負担も大きくなっているということについての御指摘でございますけれども、今回、所得制限を六月分から導入するということにいたしまして、具体的に支払い実施は十月からということでございますので、現場のシステム改修については、必要な期間、配慮をさせていただいているところでございます。また、このシステムの改修については、安心こども基金を活用して実施できるように、二十三年度の第四次補正予算で必要な額を計上させていただきました。

 また、昨年成立をしていただきました特別措置法の受給対象者については、新たな制度でも全て認定があったものとみなして、申請や認定の事務を簡略化したところでございます。先ほど委員御指摘がございましたような未申請者がまだいるということでございますので、そこについてはこれから広報も含めてしっかり対応してまいりたいと思っております。

 そして、さらに現場で円滑に事務ができるように、統一的なQアンドA、こういったものも提示をしてまいりたいと思いますし、被災地については、現時点では御要望がございませんけれども、これからいろいろな御要望もあろうかと思いますので、それについては適切に必要な措置をとってまいりたい、このように考えております。

○古屋(範)委員 そろそろ時間ですので、以上、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

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