第190国会 本会議-2号

○古屋範子君 公明党の古屋範子です。

 私は、公明党を代表し、安倍総理の海外出張に関する報告並びに平成二十七年度補正予算についての財政演説に対して質問いたします。(拍手)

 初めに、北朝鮮は、本日、朝鮮中央テレビを通じて、初の水爆実験を行い、成功したと発表しました。事実とすれば、安保理決議違反であり、日朝平壌宣言にも違反するものであります。

 また、国際社会の平和と安全に対する重大かつ深刻な挑戦であり、北東アジア、ひいては国際社会に対する重大な脅威であるとともに、核兵器不拡散条約、NPTを中心とする国際的な軍縮・不拡散体制に対する重大な挑戦であります。

 我が国の安全に対する重大な脅威であって、断じて容認できません。強く非難します。

 また、サウジアラビアなどがイランとの外交関係を断絶したことで、中東地域が一層不安定化しています。このため、シリアの和平プロセスやテロとの闘いなどにも悪影響を与えかねません。

 国際社会が連携、協調し、対話を通じて事態の鎮静化を図ることが必要ではないのでしょうか。総理のお考えを伺います。

 昨年の通常国会閉会後、総理は、三カ月弱の間に、国連総会や日中韓サミット、G20首脳会議、APEC首脳会議、インド訪問など、七回にわたる外遊を重ね、多くの成果を上げられました。まず、精力的に首脳外交を進めていることに改めて敬意を表します。

 複雑多様化する今日の世界情勢にあって、テロや紛争の未然防止、難民問題等の解決のため、国際社会が一致して明確なメッセージを発信できたことは、大変有意義であり、高く評価できるものであります。

 また、G7伊勢志摩サミットなどを控える本年は、我が国が平和国家にふさわしい役割と国連安全保障理事会の非常任理事国に選出された責任を果たすべく、国際的な議論を主導し、世界の安定と繁栄に積極的な貢献を果たしていくべきと考えます。

 今般の首脳外交が果たした役割と成果を踏まえつつ、外交の重要課題に取り組む総理の御決意を伺います。

 昨年末、日韓両政府の間で、慰安婦問題について画期的な合意がなされました。高く評価します。これからが重要です。揺るぎない日韓関係構築に向けて、この合意を日韓両国が不退転の決意で実現しなくてはなりません。

 ことしは、日本で日中韓首脳会談が開催されます。この好機を捉え、日韓関係、日中関係を着実に揺るがぬ未来志向の関係にしていかなければなりません。

 日中韓関係を後戻りさせない関係構築にどう取り組むのか、総理の御決意を伺います。

 内政面では、これまで安倍内閣が進めてきたデフレ脱却・経済再生への取り組みが、企業業績の改善に伴う雇用の拡大や賃金の上昇を後押しし、着実に経済の好循環を生み出しつつあります。

 こうした流れを強く確かなものとするためには、引き続き、個人消費や設備投資の拡大を促しつつ、人口減少や少子高齢化など、我が国が直面する構造的な問題にも真っ正面から取り組まなければなりません。

 一億総活躍社会の実現やTPP発効に備えた対策を柱とする今般の補正予算は、まさにこうした要請に応える重要な予算であり、早期の成立と執行が必要と考えます。

 以下、具体的な質問に移ります。

 まず、軽減税率導入の意義、運用の課題等について伺います。

 昨年十二月、自民、公明両党は、酒類、外食を除く飲食料品に対し、二〇一七年四月一日より軽減税率を導入することを決定しました。これにより、該当の飲食料品は消費税引き上げ後も税率八%に軽減されることが決まりました。与党協議に当たられた関係者の御努力に敬意を表したいと思います。

 自公両党は、一昨年十二月の選挙後にまとめた連立政権合意で、消費税の引き上げに合わせて軽減税率を導入することを公約に掲げた経緯があります。

 軽減税率の導入は、国民の痛税感の緩和や逆進性対策のための施策として大きな意味があると考えます。また、消費を冷やさず、経済の失速を防ぐという観点から、景気・経済対策としても効果が期待されます。

 軽減税率の導入の意義について、総理の見解を伺います。

 軽減税率に関して、事業者のインボイス導入は二〇二一年からと決まりました。正確な納税事務や転嫁のしやすさなど、画期的な改革だと思います。

 しかしながら、事業者にとってこの時期は、マイナンバー制度の準備やストレスチェックの義務化等が重なり、負担が大きいという指摘があります。政府は、こうした切実な声に応え、中小・小規模企業の事業者負担の軽減のために迅速な対応をすべきです。

 どのような対策を講じるのか、総理に伺います。

 一億総活躍社会の実現に向けた取り組みについて伺います。

 公明党は、政府が掲げる一億総活躍社会とは、女性や若者、障害者を初め全ての人が輝き活躍できる社会と位置づけ、その取り組みを加速化させることによって、希望と活力ある日本を再構築していくべきと考えます。

 また、新三本の矢に掲げられた夢を紡ぐ子育て支援や安心につながる社会保障は、我が党が長年取り組んできた分野であり、多様な保育サービスや介護基盤の充実など、一人一人の活躍を支えるきめ細かな取り組みを具体化させることが重要です。

 まず、介護人材の確保と離職防止について伺います。

 政府は、介護離職ゼロを目指し、特養ホームなどの介護の受け皿を約五十万人分整備する目標を掲げました。そのためには、介護基盤を支える人材の確保が急務となります。

 公明党は、介護離職ゼロを実現するために、まずは介護職員の離職者ゼロを目指すことが重要であると申し上げてきました。介護従事者の処遇改善を通じて離職を防止するとともに、新たな人材の養成確保、離職者の再就職支援などを一体的に進めることが重要です。

 政府の取り組みについて、総理に伺います。

 待機児童解消の加速化と保育士確保について伺います。

 政府はこれまで、保育士確保プランに基づき、修学資金貸し付け、潜在保育士の再就職支援などを進めてきました。

 今般、二〇一七年度末までの保育の受け皿を四十万人から五十万人分へと拡充したことに伴い、さらなる保育士確保が必要となりました。

 賃金や就業時間などが希望と合わず、保育職への就業をためらう方が多い中、魅力ある職場づくりに向けて、業務負担の軽減や賃金引き上げなど、より一層の待遇改善が必要です。

 必要な保育人材を確保しつつ、どのように五十万人分の受け皿を整備していくのか、総理のお考えを伺います。

 不妊治療の助成拡充についてお尋ねします。

 体外受精や顕微授精など、高額な費用負担に苦しむ切実な声にお応えするため、公明党は、特定不妊治療助成事業の創設と拡充に尽力してきました。

 今般の補正予算では、初回の助成額の増額や男性不妊治療の助成拡大が盛り込まれておりますが、その目的や効果、助成内容等について、塩崎厚生労働大臣の御説明を求めます。

 マタハラ対策について伺います。

 一億総活躍社会に向けて、女性の活躍が重要なことは言うまでもありません。しかし、妊娠や出産などを理由に不当な扱いを受けるマタニティーハラスメント、マタハラが社会問題化しています。

 マタハラをめぐっては、公明党の提案を受け、厚生労働省が就業形態別の実態調査を初めて行いました。その結果、マタハラを経験した女性は、派遣社員では約五割、正社員で約二割に上ることがわかりました。調査の中で、男性のみならず女性の上司からマタハラを受けたという事例も少なくありませんでした。

 妊娠、出産が退職や降格につながるような社会の意識を変えなければなりません。マタハラ防止策の強化は急務です。法改正を含め、厚生労働大臣の見解を求めます。

 がん対策の推進について伺います。

 がん対策は、がん対策推進基本計画に沿って進められています。しかし、二〇〇七年度から十年でがんの死亡率二〇%削減の全体目標の達成は難しいのが現状です。

 そのため、政府は、がん対策加速化プランを策定しました。中でも、個別計画の大きな柱であるがん検診受診率五〇%以上の目標達成に向けて、個別受診勧奨、コール・リコールの強化が不可欠です。また、受動喫煙対策や就労支援の充実等も喫緊の課題です。

 がん対策加速化プランの狙いについて、厚生労働大臣の見解を求めます。

 年金生活者等への臨時福祉給付金について伺います。

 賃金引き上げの恩恵が及びにくい年金生活者等への支援は、個人消費の下支えや所得全体の底上げを図る観点から必要な施策と考えます。

 公明党は、社会保障と税の一体改革の中で低年金者等への加算制度を提案し、消費税一〇%導入時から月額で最大五千円の福祉的給付がスタートすることとなりました。

 この低年金者等への加算制度との関係を含め、今般の給付金の意義について丁寧に説明をするとともに、詐欺被害の防止を含めた広報の徹底など、対象者への適正かつ迅速な支給に万全を期すべきと考えます。総理の答弁を求めます。

 補正予算のもう一つの柱、TPP対策について伺います。

 TPPのメリットを生かし、日本経済を活性化させ、農林水産業に安心と希望をもたらすために、公明党は、昨年、TPPの国内対策を提言しました。

 その内容の多くは、政府が決定した総合的なTPP関連政策大綱に反映され、今般の補正予算にも一部計上されています。

 農林水産業については、女性や若者など多様な担い手が希望を持って活躍できるよう、畜産、酪農を初め水田、畑作、野菜、果樹など、収益の向上に向けた支援、畜産クラスター事業、産地パワーアップ事業を早期に充実すべきです。

 今回の補正予算はTPP対策のスタートであり、幅広く国民の理解を得るために、消費者の目線も重視しながら、今後さらに対策を進化させていくべきと考えますが、総理のお考えを伺います。

 防災・減災対策について伺います。

 昨年の九月、関東・東北豪雨により、鬼怒川の堤防が決壊して深刻な浸水被害が発生しました。また、一昨年九月の御嶽山噴火の被害も記憶に新しいところです。水害や火山など自然災害対策を急がなくてはなりません。

 あわせて、道路や橋、トンネルなど、高度経済成長期に整備されたインフラが老朽化しており、その整備も不可欠です。二〇一二年十二月、中央自動車道笹子トンネルで起きた天井板崩落事故から三年が経過しました。私は、事故発生後、事故現場に駆けつけ、老朽化した社会インフラの危険性を痛感しました。

 水害や火山など自然災害対策とともに、インフラ老朽化対策にどのように取り組むのか、石井国土交通大臣の見解を求めます。

 学校の耐震化など施設整備について伺います。

 災害発生時、地域住民の避難場所となるのが公立小中学校です。児童生徒の安全、安心はもちろん、地域住民のためにも、学校の耐震化を初め施設整備は重要です。

 現在、学校の耐震化は、廃校舎などを除くと今年度中にほぼ一〇〇%を達成する見通しとのことですが、トイレや冷暖房改修も喫緊の課題です。馳文部科学大臣の所見を求めます。

 今、世界を見たとき、テロや難民問題など課題は山積しています。世界の平和と安定に向け、我が国の役割はますます大きくなっていると実感いたします。内政においては、一億総活躍社会の実現を目指し、まさに大きな一歩を踏み出すときを迎えています。今後の内外にわたる総理のリーダーシップの発揮を期待して、私の質問を終わります。(拍手)

    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 古屋範子議員にお答えをいたします。

 北朝鮮は、先ほど、核実験を実施したことを発表しました。政府においては、直ちに緊急参集チームを招集し、国家安全保障会議四大臣会合を開催いたしました。

 なお、日本は、米国と共同で、安保理議長宛てに安保理の緊急会合招集を要請いたしました。

 今回の核実験の実施は、我が国の安全に対する重大な脅威であり、断じて容認できません。強く非難します。これまでの安保理決議への明確な違反であり、国際的な不拡散体制への重大な挑戦です。

 我が国としては、非常任理事国として、国連安保理での対応を含め、米国、韓国、中国、ロシアを初め国際社会と連携し、北朝鮮に対して断固たる対応をとってまいります。

 中東情勢についてのお尋ねがありました。

 我が国は、サウジアラビアを初めとするアラブ諸国とイランとの関係悪化を懸念しており、中東地域の安定のためにも、議員御指摘のとおり、全ての当事者が、自制し、対話を通じて事態の鎮静化を図り、平和的に問題を解決するよう、国際社会と連携して働きかけてまいります。

 外交の重要課題に取り組む決意と、中国、韓国との関係についてお尋ねがありました。

 本年、我が国は、御指摘のとおり、G7伊勢志摩サミットの議長国や国連安保理の非常任理事国を務めるなど、日本外交が世界を引っ張っていく一年となります。

 経済や安全保障の観点から、国益を増進し、国際社会が直面するさまざまな課題について、世界と緊密に協力し、リーダーシップを発揮して取り組んでいく決意であります。

 韓国、中国との関係については、本年、我が国で日中韓サミットを開催する際に、日韓及び日中の首脳会談も開催したいと考えています。

 韓国とは、日韓新時代にふさわしい未来志向の関係を構築し、中国とは、戦略的互恵関係に基づく関係改善の流れを一層力強いものにし、韓国、中国との関係を、互いに協力しながら着実に発展させてまいります。

 消費税の軽減税率制度の導入の意義についてのお尋ねがありました。

 消費税の軽減税率制度については、税制抜本改革法第七条に基づく消費税率引き上げに伴う低所得者への配慮として、消費税率が一〇%に引き上げられる平成二十九年四月に導入することとしております。

 この制度のもと、ほぼ全ての人が毎日購入している酒類及び外食を除く飲食料品等の税率を八%に据え置くこととしており、これにより、所得の低い方ほど収入に占める消費税負担の割合が高いという、いわゆる消費税の逆進性を緩和することができ、また、日々の生活の中で、買い物の都度、痛税感の緩和を実感していただけるものと考えております。

 いわゆるインボイス制度を含む軽減税率制度の導入に向けた事業者への配慮についてのお尋ねがありました。

 御指摘のありましたいわゆるインボイス制度については、複数税率のもとで適正な課税を確保するため、平成三十三年四月に導入することとしています。

 他方、それまでの間は、事業者の準備負担に配慮し、簡単な方法によることとし、さらには、複数税率に対応した区分経理が困難な中小事業者等もいることを想定し、税額計算の特例を設けることとしております。

 また、軽減税率制度の導入に当たり混乱が生じないよう、政府に必要な体制を整備するとともに、事業者の準備状況等を検証しつつ、軽減税率制度の円滑な導入、運用のための必要な対応を行うこととしております。

 その一環として、事業者に制度の周知徹底を行うとともに、中小の小売事業者等が複数税率に対応するために必要なレジの導入やシステムの改修等について、準備が滞ることがないよう、資金的支援を実施するための経費について予備費や補正予算で手当てしております。

 いずれにせよ、平成二十九年四月の軽減税率制度導入に向け、政府として万全の準備を進めてまいります。

 介護人材の確保についてのお尋ねがありました。

 介護人材の確保については、基金の活用により都道府県の取り組みを支援するとともに、介護報酬により処遇改善を実施し、介護職員の離職防止と就業促進を進めてまいりました。

 さらに、介護離職ゼロを実現するため、今般、十二万人分の介護サービスの整備量を上積みし、約五十万人分とし、今回の補正予算及び来年度予算において、介護福祉士を目指す学生に返済を免除する奨学金制度の拡充、一旦仕事を離れた人が再び仕事につく場合の再就職準備金の創設、介護ロボットの活用促進や、ICTを活用した生産性向上の推進などに取り組んでまいります。

 今後とも、介護離職ゼロの実現に向けて果敢に挑戦してまいります。

 保育人材の確保についてお尋ねがありました。

 待機児童解消のため、四十万人から五十万人へと保育サービスの整備量を上積みし、これに必要となる約九万人の保育人材の確保に向けて、処遇の改善、就業促進や離職の防止など、総合的に対策を講じてまいります。

 保育の人材確保については、平成二十七年度からの子ども・子育て支援新制度において、消費税財源を活用し、三%相当の処遇改善を行うことなどにより取り組みを進めてまいります。

 また、今回の補正予算及び来年度予算では、保育士を目指す学生に返済を免除する奨学金制度の拡充、一旦仕事を離れた人が再び職につく場合の再就職準備金の創設、保育士の勤務環境改善に取り組む事業者に対して保育補助者の雇用を支援する仕組みの創設など、必要な措置を盛り込んだところであります。

 これらの対策に総合的に取り組むとともに、引き続き、保育人材のさらなる処遇の向上についても財源を確保しつつ取り組んでまいります。

 低所得高齢者への臨時給付金についてのお尋ねがありました。

 GDP六百兆円の実現に向け、今年前半にかけての個人消費の下支えを行い、経済の下振れリスクにも対応することが必要です。

 現役世代には賃金引き上げの恩恵が及びやすい一方、こうした恩恵が及びにくいのは高齢者です。年金額については、デフレの影響もあり、特例水準の解消も含め、伸びませんでした。また、一般的には、高齢者層は、他の年齢層に比べ消費性向が高い傾向にあります。

 こうしたことを踏まえ、アベノミクスの果実を活用し、低所得の高齢者に対し一人三万円の臨時的な給付金の支給を行うこととしました。これは、社会保障・税一体改革の一環として平成二十九年四月から始まる年金生活者支援給付金の前倒し的な位置づけとなります。

 給付金を支給するに当たっては、対象者への適正かつ迅速な支給が可能となるよう、詐欺被害の防止も念頭に適切な広報活動を展開するとともに、給付事務を担う市町村を支援してまいります。

 TPPについてお尋ねがありました。

 TPPについては、総合的なTPP関連政策大綱を決定し、緊急に実施すべき施策を補正予算に計上しました。

 農林水産分野では、収益力向上の支援策を早期に実施するため、二十七年度補正予算に畜産クラスター事業や産地パワーアップ事業などを盛り込みました。

 本大綱に掲げた主要施策については、既存施策を含め、不断の点検、見直しを行ってまいります。

 これに加え、農林水産業の成長産業化、我が国の産業の海外展開、事業拡大や生産性向上については、さらに検討を進め、本年秋を目途に政策を具体化することとしております。

 引き続き、他の分野も含め、幅広く国民の理解を得て、政策大綱で提示したTPP関連政策の目標を効果的、効率的に実現するよう取り組んでまいります。

 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)

    〔国務大臣塩崎恭久君登壇〕

○国務大臣(塩崎恭久君) 古屋範子議員にお答えを申し上げます。

 まず、不妊治療の助成拡充についてお尋ねがございました。

 現在、不妊治療の経済的負担の軽減を図るため、高額な医療費がかかる配偶者間の体外受精に要する費用について、一回十五万円を上限に六回まで助成をする事業を実施しております。

 今回の補正予算案では、早期の受診を促すため、出産に至る割合が高い初回治療の助成額を十五万円から三十万円に拡充するとともに、不妊の原因が男性にある場合に精子回収を目的とした手術療法を実施した場合、高額な医療費の負担を軽減するため、さらに十五万円を上限に上乗せして助成することとしております。

 こうした拡充を通じて、子供を持ちたいと願いながらその機会に恵まれてこなかった夫婦の希望が一日も早くかなうよう支援してまいりたいと考えておるところでございます。

 いわゆるマタニティーハラスメント対策についてのお尋ねがございました。

 妊娠、出産等を理由とする事業主による不利益取り扱いにつきましては、既に男女雇用機会均等法等によって禁止されており、事業主に向けた周知啓発のほかに、法に違反する事業主に対しては、都道府県労働局において厳正な是正指導等を行っているところでございます。

 しかしながら、近年では、男女問わず、上司、同僚からの嫌がらせ等も問題となっているところでございます。

 このため、昨年末、上司、同僚からの嫌がらせ等の行為を防止するための措置を事業主に義務づけるとともに、派遣労働者については、当該防止措置を派遣先事業主についても義務づけること等を内容といたします労働政策審議会の建議が行われたところでございまして、これを受けて、法改正に向け、検討しておるところでございます。

 妊娠、出産が退職や降格につながることのない社会の実現に向けて、しっかり取り組んでまいりたいと思います。

 がん対策加速化プランの狙いについてのお尋ねがございました。

 がん対策加速化プランにおいては、がん対策推進基本計画に示されている分野のうち、おくれているため加速することが必要な分野、加速することにより死亡率減少につながる分野について、予防、治療研究、がんとの共生の三つの柱として、短期集中的に実行すべき具体策を明示したところでございます。

 予防に関しましては、検診受診率の向上に向け、個別受診勧奨の徹底やかかりつけ医等による受診勧奨の推進、東京オリンピック・パラリンピックに向けた受動喫煙防止対策の強化、学校におけるがん教育等を進めることとしております。

 治療研究に関しては、がんのゲノム医療、小児がんや希少がん対策等に取り組むこととしております。

 がんとの共生に関しましては、がんになっても安心して暮らせるよう、がん診療連携拠点病院における就労に関する相談支援の実施、ハローワークにおける病院と連携した就職支援の全国展開、治療と職業生活の両立のための企業向けガイドラインの策定等を進めることとしております。

 基本計画で掲げた目標を達成するため、プランに基づいて、がん対策をより一層推進してまいります。

 以上でございます。(拍手)

    〔国務大臣石井啓一君登壇〕

○国務大臣(石井啓一君) 古屋範子議員から、自然災害対策及びインフラ老朽化対策の取り組みについてお尋ねがございました。

 国民の命と暮らしを守るため、ハード、ソフトを総動員した防災・減災対策を進めるとともに、戦略的なインフラ老朽化対策に取り組むことが重要と考えております。

 まず、水害対策につきましては、関東・東北豪雨の教訓を踏まえ、より実効性のある住民目線のソフト対策、氾濫した場合にも被害を軽減する危機管理型ハード対策などを総動員し、社会全体で洪水に備える水防災意識社会の再構築を図ってまいります。

 火山災害対策につきましても、御嶽山噴火の教訓を踏まえ、地震計等の観測機器の増強、火山活動に応じた機動観測の適切な実施による観測監視体制の強化に努めているところであります。

 次に、インフラ老朽化対策につきましては、高度経済成長期以降に整備したものが今後一斉に老朽化することから、戦略的な維持管理、更新を推進していくことが重要であります。

 このため、直ちに緊急点検を行うとともに、平成二十六年度に策定をいたしましたインフラ長寿命化計画や維持管理の統一的な基準、マニュアルにのっとり、計画的な定期点検や修繕、地方公共団体に対する財政支援や研修等の人的支援を実施してまいります。

 現在、国土交通省の公共事業関係費の半分以上を防災・減災、老朽化対策等に重点化しており、引き続き国民の安全、安心の確保に全力で取り組んでまいります。

 以上でございます。(拍手)

    〔国務大臣馳浩君登壇〕

○国務大臣(馳浩君) 古屋範子議員にお答えします。

 公立小中学校のトイレや冷暖房の改修についてお尋ねがありました。

 学校施設は、子供たちの学習、生活の場であるとともに、災害時には地域住民の避難所にもなる施設であります。また、地域コミュニティーの拠点ともなり、一億総活躍社会の実現のために極めて重要な施設であります。

 このため、トイレ改修や空調設置など、公立学校の施設整備にしっかりと取り組んでまいります。  以上です。(拍手)

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