第201回国会 衆議院 消費者問題に関する特別委員会-6号

○古屋(範)委員 おはようございます。公明党の古屋範子でございます。

 一昨日に引き続きまして、公益通報者保護法改正案の質疑を行ってまいりますので、よろしくお願いいたします。

 一昨日は、今回の改正案提出の意義ですとか、また、通報者の保護、不利益取扱いについて、また、公益通報者保護の対象拡大などについて、質疑をさせていただきました。

 続きまして、守秘義務に関して、きょうはお伺いをしてまいりたいと思います。

 この守秘義務ということに関しても、党内でかなり議論をいたしました。現行法に規定がない守秘義務、今回の改正案では措置がされるということになっております。

 公明党といたしましても、消費者対策本部として、衛藤大臣宛ての申入れといたしまして、秘密が守られなければ通報者が通報をちゅうちょするため、守秘義務の導入は重要であり、通報の受付窓口、また、調査、是正等の業務に従事する者を対象に罰則つきの守秘義務を課すことということを申入れをいたしました。

 消費者庁、平成二十八年度、労働者における公益通報者保護制度に関する意識調査、インターネット調査報告書によりますと、やはり、不利益を恐れて、匿名で通報するという回答が多くございました。全体の六七%の方が匿名での通報を望むということでございました。また、その理由に関しましては、不利益な取扱いを受けるおそれがある、これが六六・九%ということで、最も大きな理由となっておりました。やはり、不利益取扱いを恐れて匿名で通報したいというのが皆様の正直な御意見でございます。

 通報に関する秘密の保護に対する懸念が通報をちゅうちょさせる。通報者個人の特定につながる情報について厳格な秘密保持を行うことは、通報者が安心して通報を行うその前提条件になってくると考えられます。

 守秘義務を盛り込むということは法律の実効性の確保に不可欠であると考えますけれども、この守秘義務を導入した意義、またその効果についてお伺いをしてまいります。

 さらに、本改正案において、守秘義務違反について、公益通報対応業務の担当となったその個人に対して刑事罰を科しておりますけれども、事業者に対して刑事罰は科さないということになっております。担当者だけではなくて、内部通報体制の整備義務を負う事業者に対しても通報の秘密を保護する義務を課す必要があるのではないかと思います。これに対しての見解をお伺いしたいと思います。

○坂田政府参考人 お答え申し上げます。

 誰が通報をしたのかという情報が漏えいされることにより不利益取扱いにつながる事案が見られることから、不利益取扱いを抑止する観点からは、公益通報者に関する情報漏えいの防止が極めて重要でございます。

 消費者庁の調査によれば、通報をためらう理由として、誰が通報したかが知られてしまうことへの懸念が多く挙げられております。公益通報者が安心して通報する環境を整備する観点からも、情報漏えいの防止を十分図る必要があります。

 このような実態を踏まえ、公益通報対応業務従事者に守秘義務を課すことにより、公益通報者が不利益取扱いを受けることなく安心して通報できる環境を確保することとしたものでございます。

 また、事業者については、今般の改正によって、事業者内部の公益通報に対応するための体制整備等を行う義務を負い、その義務には、通報に関する情報を適切に管理することも含まれます。

 なお、この義務に違反した場合、最終的には事業者名が公表され得ることになっております。事業者名の公表は事業者の社会的評価や信頼に大きく影響するため、公益通報に対応するための体制整備等を行う義務によって事業者の秘密の漏えいに対する抑止を図ることができると考えられます。

○古屋(範)委員 今回の改正案、この守秘義務が盛り込まれたことは大いに評価をしたいと思います。成立の後、しっかりとこれが実効性あるものになっていくよう、よろしくお願いを申し上げます。

 次に、制度の周知徹底と中小また小規模事業者について質問してまいりたいと思います。

 公益通報者保護制度に関する民間事業者、労働者の実態調査につきまして、これは平成二十九年一月の調査でありますけれども、中小企業及び労働者の法の認知度につきまして、大企業の方は九五%ということなんですが、中小企業は六〇%、また中小企業の労働者は四三%ということで、やはり、中小企業においても、またその労働者においても、この公益通報者保護制度に関して認知度は十分とは言えない状況であります。

 事業者における内部通報制度の実効的な整備、運用は、企業価値の向上とか、また事業者の、長い目で見た場合に、持続的発展に資するものだと思います。さらには、社会経済全体の利益確保のためにも大変重要な意義がありますので、ぜひとも事業者、労働者にこの制度の意義、役割の周知を図る必要があると思っております。

 今後は、この公益通報者保護法が、改正内容等について、これまでより充実した広報また周知が必要と考えます。この取組について、まずお伺いをしたいと思います。

 また、今般、各団体よりこの消費者問題特別委員会にいただいた御意見の中で、全国商工会連合会からも御意見を頂戴いたしました。やはり、ここはもうほとんどが中小企業ですので、この中で、これは消費者庁が実施した平成二十八年度の調査なんですけれども、公益通報者保護法及び公益通報者保護法に関する民間事業者に向けたガイドラインをいずれも知っていると回答した企業の割合は、従業員五十人以下ではわずか一三・二%だった、また、それ以下の、中小企業、小規模事業者はまだまだ普及していないという御意見をいただいております。

 さらに、中小企業、小規模事業者は、従業員規模が当然小さいので、管理部門が設置されていないということが多い、実質的に機能する内部通報制度を設けることは容易ではない、企業外部に通報窓口を設けることについても、コスト面の負担が大きい、ハードルが高い、こういう御意見をいただいているところでございます。

 その中でも、商工会の会員の九八%が従業員五十人以下ということなんですけれども、今回の改正案の中で、内部通報に適切に対応するために必要な体制の整備等を義務づけられているものの、従業員三百人以下については努力義務となっていることについては、整備するために時間的な余裕が与えられたということで評価をしたいという意見をいただいております。

 この全国商工会連合会の御意見にもございますように、中小企業、小規模事業者に特化したガイドラインの策定をしてほしいという希望をいただいております。また、その取組事例の提供、経営者に対する啓発の実施等、支援をしてほしいという御意見を伺っております。

 こうした中小・小規模事業者に対する支援についてお伺いしたいと思います。

○坂田政府参考人 お答え申し上げます。

 消費者の安全、安心を守るためには、事業者による不正行為の防止と是正を図ることが極めて重要でございます。このため、中小事業者においても、内部通報に適切に対応していただくことが望ましいと考えます。このため、消費者庁においては、本法の制定後、中小事業者も含め、民間事業者に向けたガイドラインを策定、改正し、広く周知活動を行うなど、制度の周知に努めてきたところでございます。

 今回の改正法案が成立した暁には、必要に応じ中小事業者に対して助言等を行うほか、引き続き制度の周知、広報に努めるとともに、中小事業者にも体制整備に取り組んでいただけるよう、中小事業者団体と調整をしてまいりたいと考えております。具体的には、中小事業者向け説明会の開催や、モデル内規の策定等の中小事業者向け支援策を検討してまいりたいと考えております。

○古屋(範)委員 消費者庁におかれましても、中小事業者へのさまざまな取組を用意していらっしゃるようでございますけれども、やはり、党内においても、中小事業者への配慮、支援ということがかなり議論となりました。ぜひともこうした中小・小規模事業者への手厚い支援をよろしくお願いしたいと思います。

 最後に、相談窓口の設置促進についてお伺いをしてまいります。

 公益通報者保護制度では、自治体にも職員からの通報、市民からの相談を受ける窓口の設置をするよう求めてきました。行政機関における通報相談窓口の設置状況を見ますと、内部の職員等や外部の労働者からの通報、相談を受ける窓口の設置につきましては、中央の府省庁、また都道府県においては一〇〇%であります。しかし、市区町村におきましては、窓口の設置率五四・八%、また外部労働者からの通報窓口設置率については三五・四%ということで、いまだ低い水準にとどまっております。

 こうした相談窓口の設置が促進されますよう、その取組についてお伺いをしたいと思います。

○高田政府参考人 お答えいたします。

 消費者庁におきましては、市町村を含む行政機関向けガイドラインを策定、改正し、周知に努めてきたところでございます。また、行政機関に対する外部からの通報に関する相談窓口については、ガイドラインにおいてその設置を求めてまいりましたが、今般の法改正により、市町村を含む行政機関には、外部からの通報に対応する体制整備義務を課すこととしております。

 今後とも、法改正を踏まえ、更に制度の周知に努めるとともに、現行のガイドラインを見直すほか、地方消費者行政強化交付金を活用することや、徳島県における消費者行政新未来創造オフィスの取組の展開などにより、窓口の設置促進や、その適切な運用に向けた市町村の取組を推進してまいります。

○古屋(範)委員 ぜひ市町村の窓口設置への取組の支援をよろしくお願いしたいと思います。

 今回の公益通報者保護法改正案の審議につきましては、新型コロナウイルス感染症拡大の緊急事態宣言下で、理事の皆様と知恵を出し合いながら、各団体から御意見をいただく、また、それぞれが真剣な質疑をするということで質疑を進めてまいりました。これは国民生活の安全、安心を守るためにぜひとも成立をさせなければならない法案でございますので、与野党一致をして早期成立を目指してまいりたいと思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

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