第204回国会 衆議院 文部科学委員会-17号

古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。

 オリパラ特措法改正案について質問してまいります。

 本法律案は、東京オリパラ大会に参加するADHD疾患を持つ選手のうち、アデラールの使用が不可欠である者に対しまして、覚醒剤取締法の特例として、医薬品であるアデラールの持込み、使用等を認める措置に関する規定を追加する法律案であります。

 しかし、このアデラール以外の代替薬を用いればいいのではないかという御意見もあるところです。

 まず、この特例措置の必要性について、政府の見解を求めたいと思います。

益田政府参考人 オリンピック、パラリンピックは世界最大の平和の祭典でございます。特に世界的なコロナ禍の中で東京大会に向けて準備を進めてきた選手の健康保持や参加機会の確保の観点、また過去の大会での取扱い等の観点から、東京大会においても特例を設けることが必要であると考えてございます。

 また、代替薬につきましては、我が国ではビバンセ、コンサータ等の医薬品が承認されているところでございますけれども、ADHD治療薬は有効性や副作用等に個人差があることから、症状を安定させるために最適な医薬品、用量を見つけるため、長い場合には数年をかけて治療をしてございます。

 代替薬による治療への変更につきましては、治療状況及び生活状況を損なうというおそれがあると考えられます。この点につきまして、IOCでも、要請書におきまして、アデラールで状態が安定している選手がその薬剤を、特に東京大会に向けた選考が行われている時期に変更することは勧められないと明記してございます。

 以上でございます。

古屋(範)委員 アスリートが安心して競技に臨むためには、治療薬を変更するということは、競技の面においても生活の面においても精神面においてもリスクがあるということを確認をさせていただきました。

 次に、過去のオリパラ大会における医薬品の取扱いはどうだったのか、仮にこの特例措置を認めない場合、東京大会だけがアデラールの持込みを認められなかった大会になるのではないか、この点についてお伺いをしたいと思います。

益田政府参考人 お答えいたします。

 IOCによりますと、過去二十年間に開催されました大会においてアデラールの持込みが認められなかった大会はないとのことでございました。

 このうち、例えば二〇一二年のロンドン大会におきましては、特例措置を講じることなく、三か月以内の滞在で、かつ、三か月以内の分量であれば、医師の証明書があれば持込み可能でありました。また、二〇一六年のリオの大会におきましては、大会の前年に、国内の大規模イベントでの使用を目的とした海外からの医療品等の持込みが可能になる法令改正を行ったと承知をしております。

 なお、過去二十年間に開催された国のうち、現行制度上、アデラールの携帯輸入が認められない国は確認されておらず、大会の開催に当たりまして特別な行政措置を取ったロシアを除きまして、各国の制度上、医師の証明書等があれば持込みが可能であったものと考えられます。

 以上でございます。

古屋(範)委員 過去二十年間、オリパラ大会において、このアデラールの服用が認められなかったことはないということを今確認いたしました。

 次に、我が国では覚醒剤に対しては厳しい規制を課しております。本法案のような特例は、あくまでも今回の東京大会に限定をしていることであるということをきちんと確認をしておきたいと思います。政府の見解を求めます。

益田政府参考人 お答え申し上げます。

 従来より政府としましては覚醒剤について極めて厳格な規制を行ってきておりまして、今回の特例措置は、将来に向けて覚醒剤に対する規制を緩和するものではなく、オリンピック、パラリンピックが世界最大の平和の祭典であり、特に世界的なコロナ禍の中で東京大会に向けて準備を進めてこられました選手の参加機会の確保の点や、過去の大会で認められなかった例はないことなどを総合的に勘案して、今回の東京大会への選手の参加機会の確保の観点から、本大会に限って実施するものでございます。

古屋(範)委員 このオリパラ大会の期間に限定をして使用を認めるということでございました。

 次に、このアデラールが特例で国内に持ち込まれた後、紛失等がないようにしっかりと管理をしていかなければならないというふうに思います。

 具体的にどのように管理をしていくのかということについて、政府の見解をただしたいと思います。

益田政府参考人 お答えいたします。

 国内における管理につきましては、入国から出国までの間について、海外から選手により持ち込まれたアデラールにつきまして、選手団の中で医療責任者を指定し、組織委員会に服用状況の報告を毎日メールで行わせることとしてございます。これによりまして、組織委員会が滞在期間中の薬物の所在及び使用状況をしっかりと把握、管理するスキームとなっております。

 他の人が持ち出すような事例は想定されないと考えておりますけれども、万が一紛失した場合には、選手団側から紛失届を提出させるとともに、速やかに組織委員会から厚生労働省の麻薬取締部に報告し、必要な対応が行われることになってございます。

 以上でございます。

古屋(範)委員 厳正な取扱いがされていくというふうに思います。毎日報告をしていく、また、紛失があった場合には、これは麻薬取締部の方の所管になっていくということでありますので、この管理、厳正に行っていただきたいというふうに思っております。

 最後に、提出者にお伺いしたいと思います。

 今回の特例措置によりまして、我が国の薬物行政に対する誤ったメッセージを発することにならないように留意をしていく必要があると考えております。

 この点について、提出者としてどうお考えになるか、お伺いをしたいと思います。

浮島議員 お答え申し上げます。

 我が国は従来より薬物全般について極めて厳格な規制を行ってきており、その姿勢は本法により変わるものではありません。

 また、アデラールは日本では承認されていないこと、特例の対象が、東京大会に参加する選手十人から十五人程度の見込みでありまして、WADAが定める厳格な手続に従ったTUE、治療使用特例が付与された選手に限定するとともに、期間も、真に必要な大会及びその前後の期間に限定していること、これまでアデラールでTUEを取得した日本人選手はいないことなどから、今回の特例措置を講じたとしても、広く一般的に我が国の青少年に悪影響を与えることは考えにくいです。

 しかしながら、今委員の御懸念のように、本法により薬物規制が緩和されるといった誤解を与えないよう、青少年を始めとする国民及び訪日外国人等に対しまして、引き続き我が国の薬物規制の周知を徹底するよう、政府に対し働きかけをしてまいります。

古屋(範)委員 ありがとうございました。

 今、若者に限らず、やはり薬物依存ということが大きな問題になっております。そんな中で、こうしたことが更に誤ったメッセージとして発せられることがないよう留意をしていく必要があるというふうに思っております。

 いずれにいたしましても、海外から遠く日本にいらして競技をしていく、そんなアスリートたちが安心して最後まで競技に臨める環境をつくっていくということが私たちの最大の使命だというふうに思っております。

 本法律案の早期の成立を期して、質疑を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

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