第211回国会 衆議院 消費者問題に関する特別委員会-3号

○古屋(範)委員 おはようございます。公明党の古屋範子でございます。

 本日は、大臣所信に対する質疑を行ってまいりますので、よろしくお願いいたします。

 まず初めに、消費者教育の取組についてお伺いしてまいりたいと思います。

 今、SNS上で実行犯を募集する強盗事件が頻発をしております。これまでに十四都府県で五十数件が把握をされておりまして、一月に起きた強盗殺人事件のように、被害者を拘束した上で暴行を加えるなど、凶悪な犯行が行われております。

 さらに、被害者の大半が高齢者であるということで、特殊詐欺の認知件数は令和三年以降増加をしておりまして、被害額も八年ぶりに増加をしております。

 政府は十七日、こうした事件に対しまして省庁横断で取り組む緊急対策を決定されて、国民の不安を払拭するために政府全体で対策を進めることが期待をされております。

 いわゆる闇バイトという言葉が使われておりますけれども、アルバイト感覚で犯罪に加担をさせない教育、啓発、これは青少年だけではなくて、国民、消費者全体に必要だと思っております。

 大臣は所信の中で、被害の未然防止や減少のためには、消費者が自ら気づき、相談し、断る力が必要である、消費者力を高める消費者教育の取組を強化する、このように述べられております。

 多くの国民の間に不安が広がっているこの犯罪から国民を守るために、加害者にならない、そして実行犯にならない、また被害に遭わないための消費者教育を徹底して行う必要があります。

 そして、今回の一連のSNSを利用した凶悪事件についても、消費者庁も是非、政府と一丸となって取り組むべきと考えます。

 これに関して、大臣のお考えをお伺いいたします。

○河野国務大臣 社会における構成員の一人として、法律を始めとしたルールに対する規範意識あるいは責任ある行動が求められるというのは、これはもう言うまでもないことでございます。

 社会のデジタル化が進展をしている中で、SNS上の安易なもうけ話、こういう投稿が増えているわけで、これが重大な消費者被害、あるいは、今お話がありましたような闇バイトを通じて犯罪への加担につながっていく、そういう危険があることから、トラブルの対処方法、これをしっかり啓発をし、さらに、情報リテラシーあるいは情報モラルと言っていいのかもしれません、この重要性に関する意識を高めていく必要があるというふうに思っております。

 今月の二十八日に閣議決定をいたしました消費者教育の推進に関する基本的な方針、この中にそうしたことを盛り込んでおりますので、今後も引き続いて、文部科学省を始め関係省庁としっかり連携をしていきたいというふうに思っているところでございます。

○古屋(範)委員 ありがとうございました。

 闇バイトというと、バイトに応募する、それと同種あるいはその延長線上でこうした犯罪に加担をして深入りをしてしまう、SNSの場合にはそのハードルが低いようにも感じられます。是非、こうしたSNSを通じた犯罪に関しても、大臣のリーダーシップで、普及啓発、教育をお願いしたいと思っております。

 次に、今の件に関しまして、デジタル化に対応した消費者教育についてお伺いをしてまいりたいと思います。

 こうした闇バイト強盗と称される凶悪強盗事件も、SNS上で実行犯を募集しております。デジタル化の中で起こってきた問題かとも思います。私のパソコンのアドレスにも、忙しいものですからアマゾンで時々買物をするんですが、そのロゴに似せたようなメールを送ってきて、フィッシングをしようという、クレジットカードの番号を聞き出そう、そういうメールが送られることもございます。

 二〇二〇年版の消費者白書で、インターネット通販に関する相談件数が減少してきているわけなんですが、SNSが何らかの形で関係している消費者生活相談は引き続き増加をしております。

 デジタル化の進展は社会を豊かにする。買物においても、忙しい者にとっては、簡単にネットで買うことができる。こうした利便性を高めているんですけれども、消費生活に関する情報が外部に流出をしたり、個人の行動等に関する情報が本人の認識のないまま出ていってしまうといった問題も指摘をされております。

 次々新たなデジタルサービスが生まれて、それに応じてトラブルも増加をしてくる。消費者がトラブルから自分を守るための知識、大量の情報に対する警戒感、批判力、先ほども大臣がリテラシーとおっしゃいましたけれども、適切な情報の収集力などを身につける重要性が高まっています。なかなかこうした社会の進展に法律、制度が追いついていかない現状があるかと思っております。

 一昨年、デジタル庁が発足をして、官民のDXも進められております。今後、デジタル化が更に進んでいく、その速度が大きな変化を生じるということから、このデジタル化に対応した消費者教育について、今後の取組についてお伺いをしたいと思います。

○片岡政府参考人 お答え申し上げます。

 デジタル化の進展に対応いたしました消費者教育には、二つの側面があるというふうに考えてございます。一つは、デジタル化に伴い、委員御指摘のような新たなフィッシング被害あるいはトラブルが増えておりますことから、そうした被害や手口の周知それからSNSの利用に関する情報モラルの向上といった内容面と、それから二つ目には、デジタルツールを活用した講師派遣のマッチングや教材の共有などの利便性の向上という側面があるというふうに考えてございます。

 まず、内容面につきましては、消費者庁において、令和三年度に高校生、社会人向けデジタル教材や、同じく令和三年度に、高齢者向けのデジタル関連の消費者トラブル防止を目的としたデジタル教材を作成しているところでございます。

 また、情報モラルの向上に関しましても、文部科学省、総務省など、関係省庁と連携をして教材を作成し周知をしているところでございますけれども、先ほども闇バイトの話もございましたので、そうしたことも含めて、引き続きしっかりと周知啓発をしていきたいというふうに考えております。

 また、デジタルツールの活用につきましては、消費者教育ポータルサイトにおきまして、都道府県別に講師派遣ができる団体を公表してマッチングを促しているほか、自治体や民間事業者などの教材の共有も図っているところでございます。

 今月二十八日に閣議決定をされました消費者教育の推進に関する基本的な方針におきましては、デジタル化への対応を基本的視点に掲げると同時に、地方における消費者教育コーディネーターの活性化に取り組むこととしておりまして、関係省庁、自治体、民間事業者のデジタル関連の取組事例を紹介して関係者をつないでいくとともに、特に高齢者に対しては、関係省庁と連携しつつ、誰一人取り残さないためのデジタル教育の推進も図っていきたいというふうに考えております。

○古屋(範)委員 更にデジタル化に対応した消費者教育を推進していただきたいと思います。

 次に、食品表示制度の適切な運用についてお伺いしてまいります。

 大臣所信の中で、消費者の商品選択に当たっての入口である食品表示制度の適切な運用に努めると言及をされています。遺伝子組み換え食品表示なんですが、大豆やトウモロコシなど、遺伝子組み換え食品の表示ルールがこの四月から変わります。

 この遺伝子組み換え表示というのは、消費者が商品を購入する際に、別の生物の細胞から取り出した遺伝子を組み込んでいる、開発された作物が使われているか否かが分かるようにする表示のことでありまして、この表示制度は、食品表示法に基づいて、二〇〇一年四月に始まりました。

 その後、海外で遺伝子組み換え農作物の作付面積が増えたことなど、消費者の意識の変化を踏まえて、消費者庁は二〇一七年四月に、遺伝子組換え表示制度に関する検討会を設置されました。この検討会で、遺伝子組み換え表示の在り方について見直しが進められて、二〇一八年三月に報告書が取りまとめられました。準備期間を経て、二〇二三年四月から新たな表示ルールが始まります。

 この新たな表示では、遺伝子組み換えではないといった任意表示の在り方が厳格化されることになります。分かりにくいとの指摘があった不分別の表記についても、より丁寧な説明を求めています。

 今回の表示制度が消費者にとって難解なのではないかとの危惧もございます。消費者に誤認のない表示が重要です。新たな表示のポイントについて御説明いただきたいと思います。また、改正後の厳格さへの認識不足から、未修正や無表示の事業者が出てくる可能性もあるわけなんですね。制度の周知徹底についてお伺いいたします。

○依田政府参考人 お答え申し上げます。

 遺伝子組み換え表示制度に関しましては、委員御指摘のとおり、遺伝子組み換え農産物が意図せざる形で最大五%混入しているにもかかわらず、遺伝子組み換えでない旨の任意表示を可能としているということにつきましては、消費者の誤認防止あるいは表示の正確性の担保の観点から、平成三十一年四月に食品表示基準の改正を行いまして、四年間の猶予期間を経て、本年四月から施行される予定でございます。

 新たな制度におきましては、遺伝子組み換えでない旨の表示ができるケースは、遺伝子組み換え農産物が混入しないように、いわゆる分別生産流通管理が行われたことを確認した農産物であって、なおかつ、遺伝子組み換え農産物の混入がないと科学的に検証できる場合に限定されることになります。

 このため、遺伝子組み換え農産物が混入しないように分別生産流通管理が行われたことを確認しただけでは、委員御指摘のように、遺伝子組み換えでない旨の表示はできなくなりますけれども、遺伝子組み換え農産物が混入しないように分別生産流通管理をした旨、ちょっと長いので、例えば、遺伝子組み換え混入防止策管理済みといった形での任意表示は可能となっております。

 これまで消費者庁におきましては、平成三十一年度の制度改正以降、改正内容の説明会を精力的に行うとともに、解釈通知、パンフレットの作成、ウェブサイトへの掲載、消費者団体様と連携しまして、全国各地の消費者向けの説明会の開催、事業者団体や地方公共団体等が主催する説明に講師として派遣をする、こういった形で積極的に制度改正の周知徹底を行っているところでございます。引き続き適切な運用に努めてまいりたいと存じます。

○古屋(範)委員 最後の質問に参ります。

 アレルギーの表示制度についてお伺いをしてまいります。

 この食品アレルギー、特定のアレルゲンを摂取することでアレルギー症状が起こり、アナフィラキシーショックで命に関わることもあります。二〇一二年、東京の調布市の小学校では、食物アレルギーの児童が給食後にアナフィラキシーショックを起こして亡くなるというような案件もございました。

 私も、議員になる前からこのアレルギー問題に取り組んでまいりまして、約二十年取り組んでまいりました。アレルギー疾患対策の指針の策定を国に義務づけるアレルギー疾患対策基本法を、党を挙げて成立に導きました。

 このアレルギー表示義務化なんですが、クルミによるアレルギー症例数が増えているということで、三月九日、加工食品に義務づけるアレルギー表示の対象にクルミが追加をされました。二〇二五年四月一日から完全施行となります。表示義務がある七品目、これにクルミが追加されました。随時、今後もこうした見直しを行っていただきたいと思っております。

 アレルギーの表示の現状は、容器で包装された加工食品については、原因となる食品を法律で表示するということにはなっております。特に発症の頻度が高く症状が重い、エビ、カニ、小麦、そば、卵、牛乳、落花生、特定原材料と呼ばれる七品目については表示が義務づけられていまして、キウイフルーツとかゴマ、桃など二十一品目については表示が推奨されているということで、食品アレルギーのある者にとって、非常にこれが大事な表示となっております。私も、孫がアレルギーがあったので、買うときに、もう本当に目を皿のようにして買ったこともございますけれども。

 これに加えて、食物アレルギーのある方々から、普通に外食をしたい、安全に外食ができる店が欲しいということで、料理の中に何が入っているかという表示、アレルギーに関する知識のある店員の対応が必要だという御意見をいただいております。近年、モスバーガーとかIKEAなど大手では、こうしたアレルギーに関する取組を積極的に行っているところもございます。

 二〇二一年に、食物アレルギー患者を対象に調査が行われました。外食などで誤食事故を経験したことがあるかという問いに、四三%の人がアレルギーの原因食品を誤って食べた経験があると。そのうち、症状が出て医療機関を受診した人が五七%に上った、症状が重く入院に至ったケースが一五%だったということで、大変これは大きな課題だというふうに思っております。

 消費者庁の方も、外食での食物アレルギー表示の問題について、二〇一四年に消費者庁で検討会が行われ、中間報告も出されているところでございます。

 食品アレルギーのある人にとって、正しい表示というのが命綱なんですね。外食時の誤食で、いつ重大な事故が起きてもおかしくない現状です。外食等の表示について、大臣のリーダーシップで是非ともルール作りを進めていただきたいと思います。これについて御見解をお伺いいたします。

○河野国務大臣 ありがとうございます。

 私もアレルギー体質ということもありまして、アレルギーの問題には非常に関心を持っているところでございます。御指摘いただいております外食とか、あるいは中食というんでしょうか、この食物アレルギーの問題もやはり結構重要な問題だと思っております。

 ただ、ここの表示については、外食のような食事の提供の事業、これは、規模、営業形態、様々でございますし、原材料の調達経路、これも非常に多様でございます。また、提供される商品も様々で、原材料が頻繁に変わる。あるいは、厨房で、コンタミというんでしょうか、混ざってしまうというのを防止するとすると専用の調理スペースを設けなければならなくて、それがどこまで現実的か。

 などなど、一律に対応可能な表示ルールを構築するのはなかなか難しいと思っておりますので、今日、委員の皆様のお手元にパンフレットを幾つかお配りをさせていただいておりますが、アレルギーの患者さんに、アレルギー体質の方に向けて外食を利用するときに気をつけていただくこと、あるいは事業者に対して食物アレルギーに関する情報提供の自主的な取組を促進する、そういう意味で、このパンフレットを使った広報をまずはしっかりやってまいりたいというふうに思っております。

 現時点では、まず周知、広報に努めていきたいと思っておりますが、委員御提起いただきました問題については、これはやはり大事なことだと思いますので、今後、どういうことが可能なのか、ちょっと様々検討はしてまいりたいというふうに思っております。

○古屋(範)委員 こうしたパンフレットを作っていただいている御努力、感謝をしたいと思っております。

 この中間報告にもございましたけれども、患者にとっては非常に必要なこと、しかし、事業者にとっては、なかなかこれを徹底するというのが形態により難しいというのも理解できるところでございます。しかし、外食で食物アレルギー表示の問題が途中になってしまっているんですね。ですので、是非、この議論を進めて、患者が安心してお店を選べる、そういう環境をつくっていただきたい。このことを要望いたしまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

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