学童保育 定員枠30万人拡充へ(公明新聞 2014年5月23日付)
女性の活躍推進で政府「小1の壁」解消めざす
政府は「女性の活躍」をさらに後押しするため、共働き家庭などの小学生(主に1~3年生)を放課後に預かる「放課後児童クラブ」(学童保育)の定員数を、2015年度から5年間で約30万人拡充する。安倍晋三首相は22日、6月に取りまとめる新たな成長戦略に盛り込む考えを示した。文部科学省と厚生労働省が別々に実施している事業を一体的に行い、児童クラブが利用できない「待機児童」の解消をめざす。
厚労省の調べによると、全国の児童クラブは昨年5月1日時点で2万1482カ所。前年から397カ所増えて過去最高だったが、申し込んでも利用できない児童数は8689人に上った。登録児童数も過去最高の88万9205人で、前年より3万7256人増えた【グラフ参照】。潜在的な需要にも対応するため、30万人の拡充目標を掲げる。
放課後児童クラブ
政府は昨年4月に、保育所の待機児童解消をめざし、5年間で40万人分の保育の受け皿を確保する「待機児童解消加速化プラン」を打ち出している。一方で、就学後の子どもの預け先が見つからず、女性が離職を余儀なくされる「小1の壁」の解消も急がれていた。
そこで預け先の拡充に向けて、共働きなどで放課後に保護者が家を留守にしている子どもを預かる厚労省所管の「放課後児童クラブ」と、全ての子どもを対象とする類似事業で文科省所管の「放課後子供教室」を一体で運用。具体的には、全ての子どもを開所時間の短い「子供教室」で預かり、その後、必要に応じて開所時間が長く、有料の「児童クラブ」を利用してもらうことなどを検討している。
公明、「待機児童」対策の強化を提案
安心して子どもを産み育てられる社会の構築に一貫して取り組んでいる公明党は、今年3月、党次世代育成支援推進本部(本部長=古屋範子衆院議員)が「小1の壁」解消へ、児童クラブの抜本的な支援強化を図るために、「学童待機児童解消加速化プラン」(仮称)を策定することなどを政府に提案。副本部長の山本香苗参院議員も、同月の参院予算委で安倍首相に対し、同プラン策定を求め、前向きな答弁を得ていた。
さらに、10年12月に発表した「新しい福祉社会ビジョン」では、小1の壁に加え、児童クラブ終了後の預け先に苦慮する「小4の壁」にも言及。親の就労にかかわらず、小学6年生まで利用できる放課後児童対策の拡充に取り組むことを明記していた。