第159回国会 衆議院 予算委員会第四分科会 第1号

○古屋(範)分科員 昨年初当選をさせていただきました公明党の古屋範子でございます。

 本日、初めての委員会質問でございます。まだ緊張しております。
 きょうは、私が当選以来取り組んでおりますLD、ADHD、高機能自閉症など軽度発達障害を持つ子供の支援策についてお伺いしてまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 さて、現在、核家族化や少子化が進み、昔、家族や兄弟関係の中で学んできた生活の知恵や技術、地域社会の中で身につけてきたそのようなソーシャルスキル、社会的な機能を子供たちは失いつつあるというふうに感じます。例えば、自分の周りにさまざまな人がおり、自分自身もその社会の一員であるというような自覚をしなければいけないという機会がどうしても減ってきていると思います。それが近年、落ちつきがなく集団になじめない、また、特定の学力が極端に低いといった子供の問題が学校現場で表面化してきており、軽度発達障害に起因すると言われるケースも少なくありません。
 先週、二月の二十八日、私ども公明党女性委員会で、この発達障害に関します公開セミナーを行いました。全国から多数の応募がありまして、当日も、教育関係者、地方議員、またお母様等々、大変熱心な参加者が集ったわけでございます。
 このLD、ADHD、高機能自閉症などの障害を持つ子供の存在は、これから個性を尊重する教育のあり方を考える上で貴重なモデルであり、また、人が人として自信を持って生きていくには、その人らしさを失わずに、自然な接し方で、お互いに、さまざまな人がいて、違いがあってもよいのだというようなことを学び合っていく教育が必要であります。このような子供たち一人一人の個性を認め、またその差異、違いを認め、育てる教育の原点、そうした教育の扉を開く大切なかぎになると私は考えます。
 この発達障害を持つお子様たちについて、河村文部科学大臣に、その御認識をお伺いいたします。

○河村国務大臣 古屋議員がこの発達障害児の問題に取り組まれて、いよいよ国政の場でこの問題を取り上げていただくことに、心から敬意を表したいというふうに思います。
 この問題が日本の教育現場で顕在化したのは割と最近のことなんでありますね。したがって、まだまだいろいろな面でこれの対応について十分でない面がある。これにいかに取り組んでいくかということが私は大事な課題である、このように認識をいたしております。
 そこで、文部科学省としても、発達障害を含む障害のある児童生徒一人一人の教育的なニーズにちゃんと応じた適切な教育的支援をしていくということで、このたび、特別支援教育、こういう名前で支援を本格的に行おうといたしておるわけでございます。
 これは、地域とか学校での支援体制をさらに構築していただかなきゃなりません。そのために、特別支援教育推進体制モデル事業というものを導入いたしておりまして、LD、ADHD等の体制整備のためのガイドライン、これをつくる、さまざまな取り組みを今進めておるところでございます。また、中央教育審議会においても、特別支援教育制度のあり方について特別委員会を設けて審議をいただく、こういうことにもなっております。
 発達障害のある児童生徒に対する特別支援教育、これはまさに一人一人を大切にする教育ということでありますから、この教育の推進についてさらに充実してまいりたい、このように考えております。

○古屋(範)分科員  次に、早期発見と相談体制の整備についてお伺いいたします。
 子供の行動におかしいところがあると真っ先に気づくのは親であります。原因を考え直そうとしてもうまくいかず、しつけができていないと周囲から責められたり、絶望的な気持ちになってしまうことが発達障害児を持つ家族に共通しており、子供の育て方が悪かったと自分を責めてしまう親御さんも少なからずおります。
 これらの軽度発達障害を持つ子供たちは、親の育て方が悪いとか、また、もともと不機嫌でいら立ちやすい性格だといった単純な原因によるものではなく、適切な診断、治療が必要であり、その障害をよく理解している人々によって障害を克服できると言われております。そのために、早期発見が大事であり、特に乳幼児健診の充実が必要であると考えます。
 本日の神奈川新聞にも、その乳幼児健診の様相が、昔と大きく変わり、その様相も非常に騒がしくなっているという記事が載っておりますけれども、この乳幼児健診等での早期発見、また早期療育へのシステムを確立し、これら保護者がさまざまな問題にどんなふうに対処すればいいのかを相談できる体制を整備拡充すべきであると考えますが、厚生労働省さん、いかがお考えでしょうか。

○谷口政府参考人 お答えを申し上げます。
 自閉症やADHD、LD等の発達障害をお持ちのお子さんとその親御さんに見合った支援というものを行っていくためには、早期に状況を的確に把握することが大変重要である、このように考えております。
 これまでも、母子保健の取り組みの中では、先生御指摘のように、乳幼児健診におきまして乳幼児の情緒でございますとか行動等の問題を早期に発見いたしまして、保健医療従事者による経過観察、それから発達相談及び指導等を行ってまいったところでございます。
 しかしながら、保健医療関係者も含めまして国民全体の理解がまだ残念ながら十分とは言えず、診断できる専門家や適切な療育指導ができる機関も少ない等の課題が指摘をされております。関連する保健、医療、福祉分野での対応の向上が求められているところだというふうに理解をいたしております。
 このため、厚生労働省といたしましては、これまでも、厚生労働科学研究事業の中で、保健サービスの充実を目指しました保健指導手引書を作成いたしまして実際に指導に当たる保健師を支援しているほか、平成十四年度からでございますが、自閉症・発達障害支援センターの整備を行う等によりまして、早期発見による適切な支援を行っていくための対策の充実を進めているところでございます。
 さらに、現在、省内関係部局はもとより、文部科学省さんとも共同いたしまして、医療、福祉、教育等の関連領域の御専門家ですとか保護者の方々との勉強会を現在行っておりまして、このような子供さんに対する適切な支援のための連携のあり方等につきまして、幅広く意見交換を進めているところでございます。
 今後、こういった取り組みにつきましてさらに検討を深めてまいりたい、かように考えておるところでございます。

○古屋(範)分科員  御努力の様子を伺うことができましたけれども、次に、発達障害支援のための人材確保についてお伺いいたします。
 発達障害児支援のためには、医療また福祉、教育、労働などに関係する専門家、例えば児童精神科医また心理専門家、保健師、専門的知識を持つ教師など、多くの人材の確保が必要でございます。中でも児童精神科医は、欧米先進国に比べ大変少ないと言われております。
 公明党ではこれまで、小児医療、精神医療等に対する診療報酬の改善を求めてまいりましたけれども、このたびの診療報酬の改定では、診療報酬本体部分がプラス・マイナス・ゼロと変わらない中で、この小児医療また精神医療が重点的に評価されることになりました。これは、私どもの声を反映していただいたものというふうに認識しております。しかしながら、診療報酬の引き上げだけでは児童精神科医等の確保はできないというふうに考えます。
 そこで、あらゆる機会を通して人材確保の啓発を行うとともに、児童精神医学の専門家、また臨床心理士等を養成する大学やその他の教育機関を充実し、その上で活躍の場を確保していくことが大切というふうに考えますけれども、この点についてお伺いいたします。

○近藤政府参考人  お答えをいたします。
 LDあるいはADHD等の発達障害に対応していくためには、先生御指摘のとおり、多くの専門家の支援が必要であると考えております。
 文部科学省におきましては、これまでも、特別支援教育推進体制モデル事業を通じまして、学校外部の専門家に教育相談や巡回指導等の支援をいただけるような仕組みづくりを行うとともに、日本小児神経学会ですとか日本児童青年精神医学会を含む専門家による特別支援教育ネットワーク推進委員会を組織いたしまして、都道府県等において、専門家のネットワークを形成するための支援を行っているところでございます。
 一方、これらの発達障害に関する専門家の養成確保につきましては、大変これは大きな課題でございまして、今後、厚生労働省とも協議をしながら、また大学における取り組みが進むよう、私どもとしても努力をしてまいりたいと考えております。

○古屋(範)分科員  次に、この特別支援教育の具体的な支援の進め方についてお伺いいたします。
 この障害児教育については、昨年三月に文部科学省の専門家会議が「今後の特別支援教育の在り方について」との最終報告をまとめております。
 これらの支援について、日本では法律上の定義もなく、欧米に比べおくれていると言われております。この最終報告によって、通常学級に在籍する軽度発達障害を持つ子供たちへの支援が大きく期待をされているところでございます。
 この報告書によりますと、盲・聾・養護学校など特別な場での教育を軸としてきた従来の特殊教育から特別支援教育への転換が進むことになるわけでありますが、なぜ特殊教育から特別支援教育への転換が図られたのか、この間の経緯を簡単に御説明ください。
 また、そこで焦点となるのは、新たな対象となりますこのような発達障害児、児童生徒への具体的な支援の進め方でございます。今年度より、先ほどもお話に出ました特別支援教育推進体制モデル事業が、四十七都道府県、約二千五百校の小学校、また約千の中学校でスタートしておりますが、この具体的な支援の進め方について、文部科学省の御説明をお伺いいたします。

○近藤政府参考人 昨年の三月に、文部科学省の調査研究協力者会議が「今後の特別支援教育の在り方について」という最終報告を出したわけでございます。
 これは、LDあるいはADHD、そういった発達障害の児童生徒に対する教育的な対応でありますとか、それから、児童生徒の障害の重度、重複化に対応した盲・聾・養護学校のあり方をもう一度根本的に見直しをして、考えていくべきではないであろうか。
 今、先生も御案内のように、いろいろな障害が重複をしてきた子供がふえてきております。これまでは、盲学校、聾学校、養護学校と、ある意味では学校種別の、そういったそれぞれの学校で対応してきたわけでございますけれども、それを例えば一つの、これはその報告書では仮称でございますけれども、特別支援学校というような制度にいたしまして、そしてもう少し総合的な対応ができないであろうか。
 あるいは、現在特殊学級で教育を受けている子供たちについて、あるいは普通学級の中にLDの子供あるいはADHDの子供たちがかなり在籍をしている、そういう特殊学級だけで今もこういった子供たちに対応していいんであろうか。そこで、これも仮称でございますけれども、特別支援教室というようなものを設けまして、そういう中で、幅広く、弾力的に特別支援教育というものを、一人一人の子供の教育的なニーズに対応した形でやっていくことができないであろうか。
 そういう観点から、報告をおまとめいただいたと承知いたしております。
 この問題につきましては、さらに、盲・聾・養護学校という学校制度、あり方の見直しでございますとか、それから、小学校、中学校における特殊学級というこの制度、仕組みのさらなる弾力化といわゆる制度改正につながる問題でもございまして、この協力者会議は、今後、具体のそういった制度のあり方について検討をしてほしい、こういう御提言でもございますので、先般、中央教育審議会の中に特別委員会を設けまして、さらに幅広い、保護者の方々あるいはいろいろな関係の方々の御意見を伺いながら、今申し上げましたような制度改正についての具体的な検討を進めていくことにしておるわけでございます。
 また、昨年三月のその最終報告を受けまして、特別支援教育推進体制モデル事業、こういう事業を十五年度から実施しておるわけでございます。これは、十六年度にはさらに予算も拡充をいたしまして、盲・聾・養護学校、そしてその推進地域の中の小中学校、これが連携をしながら、また先ほど先生御指摘になりましたように、少し長くなって恐縮でございますが、この問題は、医療、福祉、教育、労働、いろいろな関係の方々が深くかかわるわけでございますので、そういった推進地域の中に連携協議会のようなものを設けていただきまして、いろいろな関係者の方々がいわば知恵と工夫を出していただきまして、一人一人の子供の教育的なニーズに十分対応できるような特別支援教育のあり方を実際に模索していこう、こういう事業でございます。

○古屋(範)分科員 やっと動き出したというような感がございますけれども、次に、特別支援教育のあり方についてお尋ねをいたします。
 私は、この特別支援教育は、通常の教育と特別な教育との連続性を重視し、特別な教育ニーズを持つ子供たちを大きく包含するための支援対象と指導の場の拡大であるというふうに理解をしております。
 こうした動きは、一九八九年に国連総会で採択をされました、人権、性、財産などと並んで、障害による差別の禁止を規定している子どもの権利条約、また、一九九四年にユネスコ、スペイン政府の共催で開かれた国際会議で、著しい不利と障害を持つ子供を含むすべての子供がきちんと教育が受けられる、子供中心の教育を展開すべきであることがうたわれましたサラマンカ宣言など、国際的な人権思想の成熟化を反映する流れでもございます。そして、我が国の特別支援教育は、障害の重度化また多様化に対応し、盲・聾・養護学校の質的変化を促す点で、大変に貴重な提言であるとの評価がございます。
 そこで、この特別支援教育のあり方について、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

○河村国務大臣 
 国連の児童の権利に関する条約において、障害のある児童生徒については、自立を促進する、社会参加を容易にする、これによって十分かつ相応な生活を享受すべきであるということが規定をされておるわけでございます。
 また、お話のございました、スペインで平成六年に発せられましたユネスコのサラマンカ宣言、これにおきましても、すべての子供は独自の学習ニーズを有しておって、教育システムは、こうした多様な特性やニーズを考慮して計画、立案、実施しなければならない、このような指摘が入っております。
 文部科学省といたしましても、障害のある児童生徒の自立と社会参加に向けて、一人一人の教育的なニーズ、これに応じた教育を行ってきておるわけでありますが、さらにこれを高めていかなきゃならぬ、さらに、国際的な動き、動向も踏まえながら制度や施策の改善充実に努めていかなければならない、このように考えております。

○古屋(範)分科員 ここで、若干、学校現場や保護者の方々の、今起こっている議論を紹介いたします。
 従来の特殊学級に通う子供の保護者の方々は、子供たちがこれまでのように特殊学級での指導を受けられず、やはりこういった発達障害のお子様が大変ふえてきているという現実がありまして、パンクしそうというような声もございますけれども、この軽度発達障害の子供を主流に、そのペースで、支援教室のカリキュラムがそちら中心に決められてしまうのではないかという不安がございます。また、教師の間では、この特別支援教室の実施に当たって、新たな教員配置に費用がかかるために、特殊学級の人員をそちらでも有効に使っていくといいますか、有効活用するねらいがあるのではないかとの不安がございます。
 特別支援教育はぜひとも成功しなければいけない制度でありますので、こうした現場の声に、お答えをいただきたいと思います。

○近藤政府参考人 お答えをいたします。
 先ほど申し上げました平成十五年三月の文部科学省の調査研究協力者会議が、いわば特別支援教育への転換を促す、こういうことで、今先生おっしゃいましたように、いろいろと関係者の間から心配なり不安、あるいは期待があるわけでございます。
 特に、これまでの特殊学級にかえまして、特別支援教室の導入について具体的に検討する旨の提言がなされたわけでございますけれども、最終報告では、障害の状態によりまして、従来の通級指導の対象となる児童生徒のように週に数時間のみ特別支援教室で指導を受ける場合ですとか、従来の特殊学級の対象となる児童生徒のように週の相当の時間を特別支援教室で指導を受ける場合とか、さまざまな場合が実は考えられるわけでございまして、私どもは、この特別支援教室の制度は、現行の特殊学級や通級による指導の機能を包含しながらも弾力的な対応を可能とするもの、こういう御提言だろうと思っております。
 ただ、いずれにいたしましても、実はこれは昨年三月の御提言でございますけれども、その後、私どもも、教育委員会の関係者、いろいろな関係者の方々から御意見を伺いましたところ、具体化を望む意見が寄せられる一方、今先生が御指摘になりましたように、新しい制度に対する不安の声も寄せられていることは承知をいたしております。
 そういうことも含めまして、中教審では、関係者のより幅広い意見を伺いながら総合的に審議をしていただき、望ましい、よりよい制度改正につなげてまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。

○古屋(範)分科員 次に、専門知識を持った教師の養成についてお伺いをいたします。
 昨年三月、文部科学省がまとめた全国調査では、小中学校の普通学級に在籍する児童生徒のうち学習面か行動面で著しい困難を示す子供の割合は六・三%、また、横浜市が昨年十二月にまとめた調査では、それとほぼ同じ六・五%という結果でございました。これは教師の目を通してでございますけれども、四十人学級に二、三人の割合で軽度発達障害のお子さんがいる、こういう現実がございます。
 この軽度発達障害の子供を受容する学校の体制がほとんど整わず、これもかなりの地域格差が現在あります。担任の教師も、障害に無理解なことから、問題児扱いする深刻なケースも多いと聞いております。一方で、その親たちは、自分の子供の変化に気づいても、相談及びアドバイスを受ける専門医やカウンセラーが少ないために、不安を抱えていて、どうしてよいかわからないという状況で、まずは担任の教師に相談する機会が多くなると思います。
 そこで、父母の理解のもとに、専門的研修を積んだ教師を中心に個別の支援メニューの提供ができるよう、教師の養成を早急に進めるべきであると考えますけれども、この点、いかがでございましょうか。

○近藤政府参考人 お答えをいたします。
 先生御指摘のように、障害の多様化、複雑化などに対応するために、障害のある児童生徒への教育に関して教員に求められる知識経験は一層高度化、専門化されていると認識をいたしております。こういったような状況に対応するためには、外部の専門家の活用、あるいは、そのための仕組みの整備にあわせまして、個々の教員の資質の向上を図ることが肝要である、こういうふうに認識をいたしております。
 国立特殊教育総合研究所におきましては、従来からLDに関するリーダー養成研修を実施してきたところでございますが、平成十五年度から、ADHD、高機能自閉症の内容を含む研修に拡充をして実施をしておりますし、また、各都道府県におきましても、特殊研で養成をいたしましたリーダー、こういった方々が地元に戻ってまた研修の講師になるとか、そういった地域の実情に応じた研修の充実も図られつつあるわけでございます。さらに、この特殊教育総合研究所では、発達障害等の実践研究の成果を踏まえまして、教員用の手引を作成、発行しておるところでございます。
 今後とも、関係機関と連携をしながら、先進的な研究、研修あるいはリーダー養成など、教員の専門性の向上を支援するための取り組みを進めてまいりたいと考えております。

○古屋(範)分科員  まさに今から、点から面へと広げていく段階かというふうに認識をしております。
 最後になりますが、軽度発達障害を持つ子供たちを理解することは、とりもなおさず個性を理解すること、また人間を広く理解することであると思います。それは、すべての子供たちの個性を尊重しながら自己実現を図る教育に広げていくことにもつながるというふうに思います。そして、将来、子供も、一人一人が、その能力や適性、また趣味や関心、そして何よりも個性を十分に認められながら、それぞれ自由に羽ばたいていくことを私は期待しておりますけれども、教育はそのための準備であり、助走の支援であると考えます。
 現在、滋賀県の甲西町というところでも、独自の支援システムを導入し、こうしたLD、ADHDを含む障害を持つ人を一貫して支援する取り組みを行っております。乳幼児から小中、そしてまたその後というふうな一貫の支援をつくっている町でございます。その町におきましては、学校において、アメリカで法制されているIEPという個人指導計画を作成して支援をしていく予定で、教育委員会要綱が定められております。
 最後になりますが、こうした子供たちが将来社会で自立して生活できるよう、国として早期発見、そして相談、教育、また生活、就労まで、ライフステージという観点から幅広く、横断的、総合的、そしてまた一貫した支援に取り組む必要があるというふうに考えます。現在はまだこれがでこぼこしていたり、また地域格差があると考えます。そのためには、一歩進んでいるアメリカのように、これらに対処できるような子供の教育、医療に関する中心的な柱となる法律、例えば発達障害者支援法というようなものを確立した上で、支援体制づくりを進めていくべきと考えております。
 大臣、ぜひとも前向きな御答弁をお願いいたします。

○河村国務大臣  御指摘の点、私も全く同感でございます。
 政府におきましても、平成十五年度において、新たな障害者基本計画におきましても、「障害のある子ども一人一人のニーズに応じてきめ細かな支援を行うために乳幼児期から学校卒業後まで一貫して計画的に教育や療育を行う」、こうなっておるわけでございまして、関係機関が、適切な連携のもとに、役割分担をしながら適切に計画を策定していかなきゃいかぬ、こういうことで今進めております。
 文部科学省もこれを踏まえながら、発達障害児の児童生徒一人一人の教育ニーズに応じた適切な教育をするために、先ほどお話がありました、また御指摘申し上げた特別支援教育推進体制モデル事業等を通じて、学校においても関係機関との連携をとりながら、乳幼児期から学校卒業までを見通した個別の教育支援計画、まさにこの個別の教育支援計画というのが必要だと思いますので、これをさらに促進いたしたいと思っております。
 また、関係省庁、特に厚生労働省との連携も大事でございますから、この関係を密にしながら、そして総合的な一貫性のある支援策といいますか、特に、国連の障害者の十年においての完全参加と平等という理念、ノーマライゼーションの理念、これも教育の中できちっと位置づけながら、国民全体の中で総合的な施策がとれるように、その充実に力を尽くしていきたい、このように考えております。

○古屋(範)分科員  以上で質問を終わります。

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