第177回国会 衆議院 予算委員会 13号

○古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。

 きょうは、介護とそれからワクチン、この二つをテーマに質問してまいりますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 先日、公明党の高木陽介議員、介護について質問を予算委員会でいたしました。介護従事者の処遇改善ということでございました。民主党のマニフェストでは四万円アップと掲げていらっしゃるわけでありますけれども、私もこの件を実は長妻前大臣にも質問しております。しかし、そのときも結局は、財源の規模、制度設計、また実現の時期等、明確なお答えがございませんでした。今回においてもやはり状況は変わっていないなと思いました。やはり、この四万円につきましても、財源の裏づけのないマニフェストを掲げているのではないか、絵にかいたもちではないかということがはっきりしたと思っております。この絵にかいたもちも多過ぎる、そろそろおもちにカビが生えてきているのではないか、このように言わざるを得ないわけであります。

 この処遇改善につきましても、一つだけ加えさせていただきます。

 私たち、三千人余りの議員で介護総点検を行わせていただきました。それをもとに、昨年、新・介護公明ビジョンを発表したわけなんですが、これは、要介護者、家族、介護従事者、事業者、自治体等十万人の調査をいたしました。その中で七万は、街角アンケートというのを行いました。その中で、介護職として働いてみたいか、こういう質問をしてみました。その中で特筆すべきは、十代の方々が、社会にとって重要な職業なのでチャンスがあればやってみたい、こういう方が五割いらっしゃいました。他の年代に比べて突出して多かったわけであります。今若い人はという言葉も聞きますけれども、このアンケートによれば、高齢者を大切にしたい、あるいは介護という職業に非常に興味を持っている、携わってみたいというその芽があるわけですね。こういう十代の若い人たちのその芽をやはり大事にしていかなければいけない、私はこのように思っております。

 四万円アップすると言ってできない、掲げてできないというのは失望感がさらに増大をするわけであります。ぜひ、こうした若い方々のためにも、処遇改善には今後とも全力を挙げていただきたい、このことを申し上げて質問に入ってまいりたいと思います。

 まず最初に、在宅支援体制の強化についてお伺いをしてまいります。

 私たち、この新しい社会福祉ビジョンというものを十二月に中間取りまとめをいたしました。この中には、従来の年金、介護、医療といった社会保障の拡充とともに、新たな社会の病理現象とも言えるような、うつであるとか虐待、引きこもり、こうした課題に対応する新しい福祉を掲げております。テーマは、孤立から支え合いの社会へということでございます。私は、特にこの中で介護の担当をしておりましたので、在宅支援体制の強化について、まず独居高齢者支援の充実についてお伺いしてまいります。

 今、日本は、人類がかつて経験したことのない超高齢社会に突入をしております。しかし、だれもが長寿を喜んで、また安心して暮らせる社会、これは政治に求められている最重要課題でもございます。この中で、特に介護は高齢者の生活に欠かすことのできないサービスであります。この介護保険制度、施行十年を迎えるわけでございますが、介護の現場では、サービス量の大幅な伸びによります介護保険の総費用の急速な増大、また、いつまでたっても入居できない施設入居待機者が非常に多くいるわけであります。また、老老介護、シングル介護、また介護うつなどの課題も発生をしております。

 この中で、私たちは、二〇二五年を視野に入れて新・介護公明ビジョンをつくったわけなんですが、高齢者が住みなれた地域で暮らし続けることができる、必要なサービスを、また介護施設をみずからの意思で自由に選択できるこうした体制づくり、また家族の負担が過大になり過ぎないように地域包括ケアの実現を目指しております。

 昨年、高齢者の所在不明問題が非常に話題となりました。百歳の記念品を贈呈する折に所在不明であった、こういう問題が相次いで発覚をしたわけでありますけれども、中でも都市部における独居高齢者の問題が非常に深刻であります。これに伴って、訪問介護サービスの利用者数も増加をしておりまして、在宅に必要な介護、看護サービスを提供する高齢者住宅の計画的な整備、また地域包括ケアシステムの充実が不可欠となっております。

 私、昨年、独居高齢者の問題に直面しましたときに、八月に和光市に行ってまいりました。高齢者専用賃貸住宅、リーシェガーデン和光というところに行ったんですけれども、これは非常に先進的な高齢者施設でもございます。

 そこで、和光市の長寿あんしんプランの説明を受けました。和光市では、高齢者の掌握のためにまずスクリーニングを行っております。その返事が返ってきたところは、一応状況は掌握できる。しかし、スクリーニングが返ってこなかったところに関しては民生委員さんなり市の職員なりが訪問する。家庭としても、受け入れたくないというところもあるんですが、何度も訪問している間に信頼関係ができて、状況が掌握できる。孤独死はゼロに近いということでもありました。

 それとともに、同じ市であっても、その市の中でもさまざまな偏在性があります。そこの地域に合わせて、施設が乱立しないよう福祉計画を立てている。住宅政策も充実していて、高齢者専用賃貸住宅またケアハウスの整備、家賃補助なども市独自で取り組んでいます。高齢者一人一人が必要としている福祉を届けようという和光市の徹底した姿勢を、やはり国としても学ぶべきであると感じました。

 また、ライフスペース研究所というところの安藤和子さんに住宅問題についてお伺いをしたんですが、女性の社会進出を支える社会システムと生活環境の整備が重要だということをおっしゃっていたんですが、高齢者が住み続けられるまちづくりとして、地域密着型で、また往診してくれる開業医を適数、地域に配置することが非常に重要だと強調されておりました。まさに、生産、仕事、それから保育、教育施設、住宅環境、これを、メンタルな面とフィジカルな面、両方あわせて備わった本物のバリアフリー、こうしたまちづくりを目指すべきということも感じました。

 また、戸田市にある有料老人ホームの戸田ケアコミュニティそよ風というところにも行ってきたんですが、やはり、医療と福祉がワンストップでサービスを受けられる、二十四時間安心の支援、介護が受けられる、優良な介護サービスの提供に努力をしている民間会社でありまして、こうした民間の活力を利用し、またそういうところを評価する制度をつくっていかなければいけないということも感じてまいりました。

 こうしたさまざまな専門家また現場の意見を踏まえまして、地域で高齢者が住み続けることができるように、地域包括支援センターの機能強化を進めて、相談支援事業を再構築しながら、二十四時間巡回型訪問介護、訪問看護のサービスを計画的に整備拡充すべき、このように考えますけれども、大臣の御所見をまずお伺いします。

○細川国務大臣 お答えをいたします。

 介護を必要といたしております高齢者が住みなれたところで安心して生活ができるような体制をしっかりやっていかなければいけないという古屋委員の認識といいますか、それは私も全く同じでございます。

 そこで、今お話にありました独居高齢者の状況も含めまして、地域や高齢者のニーズをしっかり正確に把握するために、平成二十二年度から、日常生活圏域のニーズ調査を行っている、そういう市町村に対してまず国の方からしっかり支援をしていく、これが今やっているところでございます。

 また、いろいろ御提案がありました地域包括支援センターとかそういう点につきましては、ことしの今国会に介護保険法の改正案を提案することになっております。その中で、地域包括支援センターの機能強化として、総合相談等を効果的に実施するために、民生委員とかあるいはボランティアなどの地域の関係者とのネットワークを構築する、これに関する規定をしっかり盛り込むということにしております。また、先ほどお話のありました二十四時間対応の定期巡回、随時訪問サービスの創設もするということで改正案の内容といたしております。

 そういうことで、今後とも、地域包括ケアの実現に向けましてしっかり取り組んでまいりたいというふうに思っております。

○古屋(範)委員 ニーズ調査を行ったり、地域包括支援センターの強化、こういうことをお考えになっているようでありますけれども、社会の構造が大きく変化をしてきているわけであります。

 単身世帯が急増している。大臣も御認識あられると思いますけれども、女性の場合には、夫と死別をして、それで晩年になって単身となる。これは、平均寿命が長いということと、それから結婚の平均年齢が女性の方が少し若いということもあり、そうした単身の女性は今後ともふえ続けていくだろう。しかし、これは量的な変化である。

 しかし、男性の単身世帯、この問題も、我が国が抱える新たな課題であります。男性の四十代の単身に関しては、やはり雇用。なかなか経済力がなく、持ちたいと思っても家庭が持てなかった、そうした四十代。それから、五十代に至っては、このまま未婚でいってしまう場合と、そして離別ですね。この離別には当然さまざまな理由がありますが、やはりリストラというものも大きな影を落としているのではないかと想像しております。

 そして、六十代にいって未婚、離婚、死別ということでありまして、二〇三〇年には、この五十代、六十代単身の男性の比率が二五%にまでいってしまうだろうということでありまして、西欧諸国、これはひとり暮らしが多いのではないかと思われるかもしれませんけれども、実際にこれほどの単身の男性の世帯が増加をしているというのは、西欧諸国でも類例を見ないわけであります。

 ですので、ここのところは、量的な変化ではなく、社会が大きく質的に変化をしているということでありまして、非常にどの国も未経験であるという社会が到来をしてくるわけであります。こうした時代の変化、時代背景に、介護の問題も当然対応していかなければなりません。

 ということで、私たち、新・介護公明ビジョンにおいても、在宅での支援とそれから家族への支援、この重要性を掲げました。介護アンケートをまとめる中で、特に、自宅介護で困っていること、これは介護する家族の負担が非常に大きいというわけであります。遭遇した方は、皆さん経験があると思います。身体的にも精神的にも、また経済的にも非常に負担が大きい、こう言っていらっしゃる方が五三%、五割を超えております。

 また、昨年の十月、ケアラー連盟という連盟の堀越先生からお伺いしたんですが、介護をしていることで自分が孤立をしてしまった、あるいは体に不調がある、心に不調がある、また、介護のために転職をしたり休職をしたり退職をしなければならない、こうした介護者の厳しい現状というものがあります。実際、親や配偶者のために離職をしなければならなかった、こうした介護離職者が全国で急増しております。

 総務省の就業構造基本調査によりますと、家族の介護や看護のために離職、転職をした人、四十代、五十代の働き盛りで、ここを中心に、平成九年から五年間で約四十五万人、平成十四年からの五年間で約五十万人存在することがわかっております。ここまで介護離職者がふえ続けているという現状なんですね。介護者に対する企業や行政の対応は非常に不十分であると言わざるを得ません。

 そこで、一昨年、育児・介護休業法を改正しました。これは、私もかかわってまいりまして、進めてきた側なんですが、どちらかといえば、今回は子育ての方が改正の中心であったと思います。子が三歳に至るまで、事業者は短時間勤務を義務づけるということでもございました。しかし、介護の家族に関する改正点というのはわずかでございました。要介護状態にある対象家族一人について、申し出れば、常時介護を必要とする状態ごとに、一回の介護休業、通算九十三日取得できるという法律なんですが、前回の改正で介護のための短期の休暇制度を創設しました。要介護状態の対象家族が一人であれば五日、二人以上ならば十日ということで改正をされて、六月三十日に施行となりました。

 厚労省が行った平成二十年の調査によりますと、就業規則にこの制度の適用を掲げている企業、五人以上の事業所で六一・七%、三十人以上の事業所で八五・五%ですから、数字だけ見れば、この法律はある程度浸透していると言えないことはないわけです。しかし、実際の制度の利用者は、平成二十年度で〇・〇七%にとどまっています。ほとんど使われていない状況なんですね。働き盛りの多くは、いざ介護が必要になったとき、どうしていいかわからなくなるということで、結局、離職をしてしまう。

 この介護休業制度がもっと利用されるために、さらなる育児・介護休業法の改正、休業期間、取得回数の見直し、休業中の経済保障などが必要だと思うんですが、この点に関していかがでしょうか。

○細川国務大臣 介護をしているその家族、これに対する支援というのをしっかりやっていかなければいけないというふうに思って、これは委員と認識は共通でございます。

 それで、まず、介護休業制度の方でありますけれども、これは、家族介護を行う労働者が就業を継続するために介護に関する長期的な方針を決める、その間、当面家族による介護がやむを得ない期間について休業をする、こういう制度であります。

 そこで、お話がありましたように、対象家族一人につき九十三日間という期間、これは、家族介護の必要性、そういう観点と、もう一つは、やはり雇い主の方の雇用管理の関係から、そういう均衡を保たなきゃいかぬというようなことで定めたものでございまして、介護休業期間を延長するということについては、介護がいつまで必要かなかなか見通せないというようなこともありまして、この法律上の最低期間、期限というのがなかなか定めにくいというような事情があることをぜひお考えいただきたいというふうに思っております。

 そこで、休業期間の延長ではなくて、先ほどお話がありましたような、企業や労働者の状況に応じて柔軟に利用ができるような休暇制度を去年の六月に施行されました改正育児・介護休業法におきまして新たに設けたものでありまして、これは事業主に義務づけたところでございます。

 これは、要介護状態にあります対象家族が一人であれば五日、二人以上であれば年十日というような、そんなところでございますが、周知徹底がしっかりできているかどうか、これが非常に大事なことだというふうに思いますので、私どもとしましては、昨年の六月に施行されましたそういう介護の休暇制度について、周知徹底をしっかりやっていくということに努めてまいりたいというふうに思っております。

○古屋(範)委員 さらなる介護休業、また介護をしていても働き続けられる体制整備、これはもう不可欠でありますので、さらなる努力をお願いしたいと思っております。

 西欧においても、公的な介護サービスで済んでいるのではないかという印象がありますが、実は、イギリスでも、家族や隣人、そういったインフォーマルな介護のみを受けているという高齢者も五三%でありまして、公的な介護だけを受けている九%、意外とこうした家族、インフォーマルなサービスというのが多いわけなんですね。介護している側の権利運動というものも非常に強くなってきておりまして、二〇〇五年には介護者機会均等法というものができまして、介護をしながら仕事また就業ができる、そうした法律さえもできているわけであります。

 ぜひとも、今後とも、この点を進めていただきたい、このように考えております。

 次に、介護関連、介護ロボットについてお伺いをしてまいります。

 超高齢社会、世界の最先端を行っている日本でありますので、こうした介護機器、介護ロボットについても当然世界の先端を行くべきだ、リードしていくべきだと考えております。

 介護ロボット、大臣も当然御存じと思いますが、セラピーロボットですとか、あるいは自律移動搬送ロボットですとか、さまざまな形のロボットスーツなども今ございます。私も、実際見てみまして、こういったもの、人が行わなければいけないものは当然人が行わなければいけない、しかし、こうしたロボット等で代替できるところは、そうした方が介護を行う側にとっても非常に有効であるということを感じました。

 また、介護だけではなく医療の世界においてもロボット、これも進めていかなければいけないと思っております。

 きょう、皆様のお手元に資料を配付しておりますけれども、これは米国で開発されましたダビンチという手術ロボットであります。アメリカでは、日本と少し事情が違っておりまして、軍需産業としてスタートしたということであります。戦場に出て、前線で兵士が負傷する、それを遠隔操作で医師が手術ができるようにということで、軍需産業、それからスタンフォード、ハーバード等でそれぞれのプロジェクトが融合してできたロボットであるそうであります。

 中の方にも、納入実績ですとか、世界で、またアメリカではこれだけの数が既に普及をいたしております。アメリカでも千二百二十八台既に導入されておりまして、これがない病院は普通のレベルではないというふうに見られているそうでもございます。また、ヨーロッパの実績はこのくらい、ドイツ、イタリアで導入が進んでいる。また、アジアにおきましても、韓国が先に多く導入をしておりまして、日本は既に抜かれているという状況でもございます。日本ではこれだけの大学が今導入をいたしております。世界における臨床例、二十万五千というところまで参りました。特に、前立腺、子宮の摘出に有用である。十五センチくらい切らなきゃいけないところが数センチで済んでしまうということでもございます。

 最後の方に、NEDOで行っております、これは資料を提供いただきました東京大学心臓外科の小野稔教授も研究員に入っていらっしゃるんですが、こうした、今世界で主に使われております前立腺とか子宮摘出以外に、日本では、このインテリジェント手術機器研究開発プロジェクトの中で、脳神経外科、胸部外科、また消化器外科、この三部門において今研究を進められているということであります。

 小野先生によりますと、承認の可能性が出てきた、ぜひ実用化に向けてさらに進めていきたいとおっしゃっておりまして、日本のロボット技術、今までありますようなそうした介護ロボット、また産業ロボット、ASIMOのような人の動きをできるロボット、それから中小企業の技術力、そうした日本が蓄積したすべてのノウハウを集大成して、ぜひ世界に見える形で世に出したいとおっしゃっています。ですので、これは実用化に向け十年というスパンが必要だとも先生はおっしゃっていました。

 こうしたロボット技術、ロボット産業の振興について、大臣の御所見を伺いたいと思います。

○海江田国務大臣 古屋委員にお答えをいたします。

 古屋委員は本当に介護、医療の方面に多年にわたって御尽力をいただきまして、日ごろから尊敬をしているところでございますが、今ロボットのお話につきましても本当に懇切丁寧にお話をいただきまして、私も大いに勉強になりました。

 言うまでもございませんが、私ども、新成長戦略の中でライフイノベーション、それから、ことしになりまして、ライフイノベーションの中から医療イノベーション本部というのを切り分けをいたしました。ここが中心になりまして、ロボットの問題、介護ロボット、それから医療ロボット、いろいろ検討しているわけでございます。

 今委員からお話がありました介護ロボットにつきましては、これは私なども、残念ながら、ロボットスーツというのを一度着てみたいと思っておるんですが、今テレビなどで放映されておるのを見ておりましたが、やはりあくまでも、まあこれはロボットスーツだけではございませんけれども、介護ロボットの場合は人の体に接着をいたしますので、誤った動作などによって人の体を傷つけてはいけませんので、その面では、つくばの研究学園都市の中に生活支援ロボット安全検証センターというものを立ち上げまして、ここで対人安全技術の開発や安全性の検査手法の確立に取り組んでいるところでございます。

 それから、医療分野につきましても今もう先生からお話ありました。特に、私どもは、医工連携ということで、やはりこの開発に取り組んでいるところでございます。

 それから、やはり普及の面では、今幾つかの事例もお話をいただきましたけれども、これは、いわゆる介護現場それから医療現場と開発をする機関、企業などが緊密に連携をとりながら、そこからの情報をいただきながら、開発、そして販売、普及に努めていくことが大切でございますので、ここは厚生労働省と経済産業省で連携をとりながら、これが本当に一日も早くもっともっと広がっていくように努力をしたい、そのように思っております。

○古屋(範)委員 ぜひとも、ロボット産業振興に努めていただきたいと思っております。

 実は、この手術用ロボットに関しましては、自公政権の当時に、二〇〇一年に一度、研究開発を打ちどめにした経緯がございます。なかなか、目標に一部到達していなかったという厳しい評価で、これを一度打ち切ってしまった経緯がございました。これは私も最近認識をしたことなんですが、ぜひ長い、十年というスパンでの、当時のその同じ轍を二度と踏まぬよう、見守りつつ、また育成をしていただきたい、このことを要望しておきたいと思います。

 次に、ボランティアポイント、またお元気ポイントを公明党が主張いたしております。この件についてお伺いをしてまいりたいと思っております。

 私たちは、この新・介護公明ビジョンの中でも掲げているんですが、支え合い、共助ということで、この中で、孤立から支えの社会、これをある程度仕組みをつくっていく、システムをつくっていくということでありまして、NPOなどのそういった各種グループが行う支援もありますでしょうし、また直接的共助というものも重要であって、放置していてもでき上がってくるものではありませんので、やはりこれを再構築していく、これは国がしっかりと手をかしていかなければいけないと思っております。その中核と位置づけられるNPOへの税制面での支援、あるいは一定の行政権限の委託など、行政の補完にとどまらない、主体者としての社会を担える環境を整えていく必要があると思っております。

 その中で活躍する一人一人にも活動の果実がもたらされるボランティアポイントというものの導入も、促進していく必要があると考えております。介護保険を守り、支えていくために、元気な高齢者が高齢者を支えていく、こうしたことも重要だと思っております。そうした元気な高齢者をふやしていく、またその励みにもなっていくというシステム、そして介護予防、これにインセンティブをつけていくためにも、新たなシステムが必要だと思っております。

 これは、既に私も厚労委員会で質問している点なんですが、ぜひ、お元気ポイント、これは、介護保険を利用しなかった、非常に自助努力で、確かに、もともと体が弱くてどうしても介護が必要な方は当然いらっしゃるでしょう。しかし、努力をして介護保険を受給しなかった、こういう方々はやはり、介護保険料を納めるだけだと。アンケートの中でも非常にこの意見は多かったんですね。私は納付するだけですという方々に、将来の利用料負担軽減に通じるお元気ポイントというような制度を導入すべきではないか。非常にこれは、高齢の方々、熱望していらっしゃいます。

 それから、ボランティアポイントですね、稲城市で行っておりまして、稲城市も非常に苦労して、厚生労働省また法律の上からもこういうことはだめだと非常に言われて、その法律をどうやってかいくぐったらいいかと知恵を出して導入したのがこのボランティアポイント制度でありまして、これを使っている方々も非常に、お金が目的ではないんだ、楽しみ、そして人のためにボランティアを行っている、それが結果としてボランティアポイントにつながっていくということでもございます。

 大臣、ぜひ、このお元気ポイント、そしてボランティアポイント、この導入に関して前向きな御答弁をお願いしたいんですが、いかがでしょうか。

○細川国務大臣 お元気ポイント、それからボランティアポイントの二つについて御質問をいただきました。

 まず、お元気ポイントの方でありますけれども、介護保険の制度そのものが、介護が必要となるリスクにかかわらず、国民の皆さんが連帯して支える社会保険方式というのを採用しております。したがって、そのすべての被保険者に保険料を負担していただくというふうな制度の仕組みでございまして、お元気ポイントのような、介護サービスを利用されていないからといって保険料を減額するというのは、制度そのものの仕組みの中ではちょっとなかなか御期待にこたえられないのではないかというふうに思っております。

 一方のボランティアポイントの方でありますけれども、これは、介護保険の財源を使った地域支援事業として市町村の方が、今お話ありましたように、創意工夫によりまして、介護支援ボランティア活動を通じて社会参加あるいは地域貢献を行った場合にメリットを付与するような取り組みも実施されているというところで、委員の方からも御紹介もあったんですが、これにつきまして、さらに、平成二十二年度の補正予算におきまして、地域支え合い体制づくり事業というのをつくりました。そこで、本事業を活用していただいて、このボランティアポイントの制度化などで、地域創意工夫の取り組みに対して国の方から支援をしていく、こういうことにいたしましたので、ぜひ、これは御利用もいただいて、積極的に取り組んでいただきたいというふうに思っております。

○古屋(範)委員 ボランティアポイントの方は、国としても今回予算をつけたということでございますので、しっかりこれが普及していくよう、さらに御努力をお願いしたいと思っております。

 次に、介護人材、看護人材に関しまして、外国人看護師あるいは介護福祉士候補者の試験制度についてお伺いしてまいりたいと思います。

 こうしたEPAに関して日本にいらっしゃっている看護師あるいは介護福祉士の皆様に関して、二十三年度予算ではさらに予算を削っておりますね。七・九億ということで、予算は減額をしております。EPAに基づいてインドネシア、フィリピンから来日をしてこられた方々、約四百二十名ということであります。この看護師希望者の方、今月下旬、今度の日曜日ですか、試験を受けるということになっております。この日本の国家試験というのは専門用語だらけで、例えば褥瘡ですとか仰臥位とか努責など、私たちでもなかなか理解できないような漢字が含まれております。就労という形で実務研修だけでは到底合格できないということが予想されております。

 こんな難解語が並ぶ看護国家試験に、昨年、インドネシアとフィリピンから候補者三人が見事に合格したということでありますけれども、一昨年は、八十四人が受験をして合格者ゼロ。昨年初の合格者が誕生したのは朗報ではありますけれども、受験した二百五十四人に対する合格率がわずか一・二%という状況なんです。日本人の合格率が九〇%以上ということを考えますと、非常にこれは低過ぎる合格率と言わざるを得ません。確かに、医療、介護の現場で、カルテなど読み取り、記入するということは不可欠なのかもしれませんけれども、命に本当にかかわるのかどうかとの指摘もあるわけです。

 当然、インドネシア、フィリピンにおいては既に資格を持っている非常に高学歴な方々が、英語圏ではない日本にわざわざ来てくださった。しかし、これが、難解な漢字が読めなくて、そして試験に合格できなかった。もし、このまま帰国するようなことがあれば、この方々は母国において一体日本を何ととらえるでしょうか。これは非常に大きな問題だと思っております。

 私は、この点、厚労委員会でも指摘をして、国家試験では改善点を盛り込むということで、ルビを振るとか、また日本語の病名に英語を併記するなど、こうした改善点は一応盛り込まれました。しかし、それだけではとても十分とは言えないと思っております。医療、看護専門用語、ルビ以外で、これをもっと平易な表現に言いかえるというようなことは本当にできないのかどうかということを検討していただきたいと思います。

 国家間の協定に基づいて来日をされた前途あるアジアの若い方々が、我が国で看護師また介護福祉士として就労して能力を発揮できるよう、国家試験、在留資格等について見直しを行うこと、これは急務であります。一・二%という極端に低い合格率。これに反して、EPAの製品をどんどん売り込みながら、看護師らの受け入れは日本語という非関税障壁でブロックしてしまっている。これは日本の身勝手さの象徴じゃないか。これはインドネシア、フィリピンからそう映るに決まっております。国家試験の問題をそのまま放置しておくと、両国の外交摩擦にもなりかねない。平成の開国という看板が泣きます。

 ぜひ、外国語による専門試験、日本語検定の組み合わせとか、電子辞書の持ち込み可、あるいは日本語のハンディを考慮した方法、これは改善を考えるべきではないかと思います。滞在期間を一年延長させるという報道もございますけれども、これは抜本的な試験の改善が必要だと思います。大臣、いかがでしょうか。

○細川国務大臣 看護師それから介護福祉士という職業、これについてまずしっかりお考えもいただきたいというふうに思っております。

 それは、命と健康に携わる仕事でございます。そういう意味では、医師の指示だとかあるいはチーム医療だとか、そういうときに、日本語がよく理解できていないようなことで指示がしっかり伝わらないような場合には、取り返しのつかないことも起こり得るわけですから、そういう意味では、やはり十分な日本語能力と専門的な知識とか技能が求められるというのは、これはまず前提になるんではないかというふうに思っております。

 しかし、試験の問題文が非常に難解だというようなことで、それを改良すべきだということはもう委員からも何回も御指摘がございましたので、今回からの試験については、難解な一般用語の平易な用語への置きかえとか、あるいは疾病名への英語の併記とかいうようなことで、そういう意味では、今回からの試験にはいろいろと対応をしてきたところでございます。

 ただ、しかしそれでもなかなか合格が少ないというようなことでのいろいろな御指摘がございますので、近々、今度の試験は二月二十日になっておりますけれども、その試験の結果も踏まえまして、必要に応じて、国家試験制度のあり方についてはしっかり検討していかなければというふうに思っております。

○中井委員長 私が余分なことをたびたび申し上げて失礼だけれども、予算委員会は非常にいい議論を昨今しておりまして、古屋君の御提案は、僕はまこともっともだと思います。

 細川さんのお人柄は十分承知している。もうちょっと味のある答弁を。それではせっかくの御提案が無になって、みんな厚労省のことを嫌いになるよ。それはだめだよ。もう少し、今のでも、最初に易しくしますぐらいのことを言うてから、最初の難しいのをやる、そういうことを少し考えなきゃだめだ。後ろについている人、注意する。

 それでは、もう一度やってください、答弁。

○細川国務大臣 委員長からいろいろな御指摘もございました。

 決して、委員の言われたことに対して消極的にとらえているわけではなくて、申しわけなかったと思います。

 指摘されたことについては十分私どもも承知をいたしておりまして、それについてはしっかり工夫をして、EPAの協定に基づく趣旨もございますので、これは積極的に取り組んでまいりたいというふうに思っております。

○古屋(範)委員 委員長、御配慮ありがとうございました。

 大臣、一生懸命やるというなら、何で今度の予算を減らしているんですか。研修とかそういうものに関する予算もどんどん減らしているわけですね。だったら試験に配慮をするか、どっちかにしなきゃいけないと思うんですね。どっちもやらないというのでは、これは政治姿勢を問われます。大臣、これはしっかり責任を持ってやっていただきたいと思います。よろしくお願いしたいと思います。

 では、次に、ワクチンの問題に移ってまいります。

 Hibワクチン、それから小児用肺炎球菌ワクチン、HPVワクチンの定期接種化についてお伺いしてまいります。

 昨年の十月六日ですが、予防接種部会におきまして、このHibワクチン、小児用肺炎球菌ワクチン、HPVワクチンは予防接種法上の定期接種化を進めるべきという意見書が出ました。さらに、本年度の補正予算では関連予算が盛り込まれました。一年限りの予算事業ということで、私は意味がないと思っております。

 平成二十年十二月に自公でワクチン予防議連というのを発足したんですが、私も、この中でさまざまワクチン行政について学んできました。また、子どもたちを守るワクチン勉強会というものも開催をされまして、日赤医療センター小児科顧問の薗部先生などからも多くの御意見をちょうだいしてきました。国立成育医療の齋藤先生からも日本の予防接種の課題などを伺い、精力的にワクチンに関しては今までも取り組んできたつもりであります。

 公明党としても、各自治体では財源がない中で、公費助成を求めて奮闘して実現をしてまいりましたので、昨年十月六日の厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会が発表した意見書に関しましては、やっとここまで来た、そういう思いでおります。前国会で、松副代表の質問に対して、細川大臣も、定期接種化への検討を明言されましたね。関係者は非常に注目をしております。

 そこで、補正予算で、子宮頸がん等ワクチン接種緊急促進臨時特例交付金として、子宮頸がん予防ワクチン、Hibワクチン、小児用肺炎球菌ワクチンへの補助が盛り込まれたわけなんですが、これは平成二十三年度までの措置ですね。ですので、大臣は予防接種法の改正について検討するとおっしゃっているわけですから、二十三年度でこの補正が切れて、二十四年度以降どうするかということであります。

 当然、二十三年度中、今国会あるいは遅くともことしじゅうの国会で予防接種法の改正を行って、この三ワクチン定期接種化、このことを実現させてくださるのでしょうか。このことをしっかり明言いただきたいと思います。

○細川国務大臣 味のある答弁をしたいのでありますが、ワクチン接種につきましては、古屋委員が前々から本当に熱心に取り組んでこられまして、そこで、平成二十二年度の補正予算で、子宮頸がん予防のワクチン、それからHibワクチン、小児用肺炎球菌ワクチンについて実施をする、これを二十二年度、二十三年度でやるということで、千八十五億円の予算で実施をするということになりまして、古屋委員のこれまでの御要望におこたえをしたつもりでございます。

 そして、では、それが切れた二十四年度からどうするかということにつきましては、もちろん、この三種のワクチンについては継続をしたいというふうに思っております。それはやらなければと思っておりますが、定期接種の方にそれをするのかどうかということについて、これは、私どもとしては、今、予防接種部会の方で検討をさせておりますから、私としては前向きに検討をさせたいというふうに思っております。

○古屋(範)委員 この予防接種部会では、予防接種促進に対する国民の要請も高いことから、Hibワクチン、小児用肺炎球菌ワクチン、HPVワクチンは、予防接種法上の定期接種に位置づける方向で急ぎ検討すべきである、なお、本部会においては、引き続き、水痘、おたふく風邪、B型肝炎等その他の疾病ワクチンも検討を進めるとともに、予防接種に関する評価、検討組織の設置について議論を行い、今後の予防接種のあり方について提言をまとめることとしたいと言われております。

 二十三年度は補正でつきました、一千八十五億。しかし、その後どうなるのか。その年に当たった方はいい。ではその次、二十四年度からまさか接種できないなんて、こんなことはないと思います。そのために、ぜひ法改正を行っていただきたい、このことを強く申し上げておきます。

 さらに、この三ワクチンの定期接種への法改正とともに、やはり予防接種法を抜本改正する必要があると考えております。ワクチンは、個人の病気を予防するだけではなくて、接種率が上がることで感染症の流行を抑えて、医療費も抑制できるわけであります。しかし、保護者の中には、定期接種ではない任意接種の予防接種は受けなくてもいいんじゃないか、こうとらえている人も数多くいるわけです。ワクチンがなぜ必要なのか保護者にしっかり理解をしてもらうためにも、必要の高いワクチンは任意接種ではなく定期接種にする必要があると思っております。

 そして、今後新しいワクチンが次々に開発をされて使用可能になったとしても、それが任意接種に分類をされてしまう、推奨、公費負担の仕組みがない状況に置かれないよう対応しなければいけないのではないかと思っております。また、一部の自治体で、任意接種であっても、啓発活動や一部公費助成をしているんですが、収入や住む場所による接種格差をなくしていかなければいけない。国としても、世界の状況を判断して、よいものは積極的に推奨していくシステムを早急に確立すべきと考えております。

 そのためにも、予防可能な、疾病の減少を目指して、ワクチンに関する研究、促進、普及を目指す、あるいは、住む場所によらない、また収入によらない公平な接種機会を保障する、効果と安全性情報の収集と提供、健康被害に関する補償制度の充実を図る、そして、これらを総合的に議論、意思決定を行う場、日本版ACIPのようなものをつくる。こうしたものを法律に組み入れて、国民が広く予防接種を受けられる体制整備とともに、国民の生命、健康を守る視点から、十分な予算の確保が必要です。予算と法改正、これは表裏一体のものであります。

 例えば、子ども手当の今回の増額分、三歳まで二万円に増額するとおっしゃっていますけれども、二十三年度で二千百億近く、あるいは、平年度になれば二千五百億という財源が必要になってまいります。例えばそれをこうしたワクチンにしっかり充てる、そうすれば、直接子供の生命、健康を守ることにつながってまいります。

 大臣、ぜひ、予防接種法抜本改正、また十分な予算の確保、この点についての御見解を伺いたいと思います。

○細川国務大臣 ワクチンの定期接種、これをどういう病気のワクチンにしていくかということについて、これは今検討させております。

 今検討対象のワクチンは、先ほどの三種類のワクチン、Hibワクチン、小児用肺炎球菌ワクチン、子宮頸がん予防ワクチン、それから成人用肺炎球菌ワクチンと水痘、これは水ぼうそうワクチン、それからB型肝炎ワクチン、これを定期接種にするかどうか、これを今、予防接種部会で検討をさせていただいております。

 もちろん、これは財源との関係があります。今財務大臣もおられますけれども、私どもとしては、この接種部会の中で、その財源も含めましていろいろと研究等をさせていただいておりまして、これも前向きに検討をさせていただきたいというふうに思っております。

○古屋(範)委員 今大臣も、その他のワクチン、今検討を進めているということでもございました。

 WHOでは、さまざまなその他のワクチンの推奨を行っております。小児への基本的な予防接種プログラムに組み込むよう勧告をしてきたB型肝炎ワクチン、Hibワクチン、小児用肺炎球菌ワクチン、いまだに一類疾病の定期接種として実施されていないということは、やはり国としても不作為を問われても仕方がないんじゃないか、このように思うわけであります。

 また、これらのワクチン、WHOは、どんな貧しい国でも国の定期接種に入れて無料で接種すべきだということを指示しております。またWHOでは、インフルエンザ、ロタウイルス、おたふく風邪、水ぼうそうなどのワクチンについても、先進国では無料化するよう、このことが望ましいとも勧告をしているわけであります。

 また、今大臣触れられましたけれども、成人用の肺炎球菌ワクチン、今インフルエンザの流行のピークは過ぎたようでありますけれども、二月三日、茨城県内の高齢者介護施設でインフルエンザの集団感染がありました。入所者二人が死亡した、ほかにも約二十人が感染して治療を受けているということです。

 高齢者は、季節性インフルエンザワクチン接種に合わせてこの成人用の肺炎球菌ワクチンを接種すれば、重症化を予防できると言われております。肺炎は死因の四位となっていまして、年間十万人以上の方が亡くなっている。この九五%が六十五歳以上の高齢者である。これを予防する肺炎球菌ワクチンについても定期接種化が必要だと考えております。

 四月に開かれました第八十四回日本感染症学会総会で、国立病院機構三重病院呼吸器内科の丸山先生が、二十三価肺炎球菌ワクチンの接種は高齢者施設の入所者の肺炎の発症を抑制する、死亡率を低下させるという研究成果を発表されております。この研究、複数の高齢者施設入所者千六人を対象に約三年間追跡したものなんですが、ワクチン接種によって肺炎球菌性肺炎の発症を六三・八%、全肺炎においても四四・八%抑制した結果に、全症例を評価したわけではないが、肺炎の発症とともに重症化を抑制している可能性があると指摘をしております。

 現在、多くの自治体がそれぞれの方法で成人用肺炎球菌ワクチンの接種費用を補助している。要するに、こちらではしている、こちらではしていないという状況であります。また、それを知らない方が非常に多い。公費助成とともに、普及啓発が接種率向上の重要な手段であります。

 一昨年大流行いたしました新型インフルエンザ、二次感染症としての肺炎球菌感染症のリスクが指摘をされました。そこで、今後、インフルエンザ対策としても重要である成人用の肺炎球菌ワクチンについても、ぜひ定期接種化に位置づけるよう前向きにお考えいただきたいと思いますが、重ねてお伺いしたいんです。いかがでしょうか。

○細川国務大臣 成人の肺炎球菌による肺炎というのは、肺炎全体の四分の一ないし三分の一を占めております。また、七十五歳以上の方では、肺炎によります死亡率が増加の傾向にありまして、その対策が必要だという指摘がもちろんございます。ただ一方で、ワクチンの効果が個人の発病や重症化を防止することを目的としており、定期接種に位置づけるべきかどうかということについて関係者の間でも議論がございまして、十分な検討が必要だというふうに認識をいたしております。

 そのため、予防接種部会に設置をいたしておりますワクチン評価に関する小委員会におきまして、医学的、科学的観点から専門的な評価や検討を今進めている最中でございます。

 引き続き、この予防接種部会による議論を深めまして、ほかのワクチンのあり方ともあわせまして、鋭意検討を進めていきたいというふうに考えております。

○古屋(範)委員 ぜひ早急に検討を進めていただきたいと思っております。

 最後の質問に移ります。日本版ACIPの創設についてお伺いしてまいります。

 ワクチン行政に関して中長期の戦略を立てるそうした機関、ここには専門家、医療関係者、報道関係者、研究者、学識者等々、また患者団体なども入って、中長期にわたる日本のワクチン行政の戦略を立てる、こういう組織、いわば日本版ACIP、このようなものがぜひ必要であると考えております。

 長妻大臣も前向きでいらしたんですが、大臣、この件に関して、最後、お伺いいたします。

○細川国務大臣 今御指摘がありました日本版のACIPというようなものをつくったらどうか、こういうことでございますが、私も、予防接種施策につきましては、総合的かつ恒常的に評価、検討する仕組みというのは、これはつくらなければというふうに思っておりまして、今、予防接種部会におきまして検討をしている最中でございまして、審議会におきます議論を含めまして、予防接種施策の適正な実施というところで、この日本版ACIPについても検討をしていきたいというふうに思っております。

○古屋(範)委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

Follow me!