第177回国会 衆議院 厚生労働委員会 17号

○古屋(範)委員 おはようございます。公明党の古屋範子です。

 初めに、不活化ポリオワクチン、単独ワクチンの早期承認についてお伺いをしてまいりたいと思います。

 二十日の当委員会で、不活化ポリオワクチンの単独ワクチンの必要性を申し上げたところでございます。緊急輸入の必要性を主張いたしました。二十六日、予防接種部会で、患者会を中心に不活化ワクチンを求める声が拡大していることにこたえる形で、不活化ポリオワクチンについての議論が行われたということでございます。そこで生ワクチンから切りかえる移行期に発生する過剰接種等の問題についても議論され、不活化ポリオ単独ワクチンの国内開発が提案をされ、了承されたわけであります。

 昨日、ポリオ単独不活化ワクチンの開発、製薬企業が日本導入に向け開発に入ることを決めたという報道がございました。この企業では、現在開発中の四種混合ワクチンにも共同開発に取り組んでいる。さらに親会社では、不活化ワクチンを一九八二年に発売しています。現在九十一カ国で承認を受けて、これまで二億三千万本を供給しているということでございます。

 そこで、不活化ポリオワクチンへの円滑な移行、迅速かつ円滑に導入することに向けて、四種混合また単独ワクチンともに最速のスピードでぜひ承認をしていただきたい、このように思いますけれども、これについて御見解をお伺いしたいと思います。

○細川国務大臣 不活化ポリオワクチンについては、委員がずっと以前からこの委員会でも取り上げられてこられた問題でございます。

 五月の二十六日に開催されました厚生科学審議会の感染症分科会予防接種部会におきまして、四種混合ワクチンの円滑な導入のため、できるだけ早く単独不活化ポリオワクチンについて開発を進める、こういう方針が了承をされたところでございます。

 そこで、これからでございますけれども、この方針を踏まえまして、単独不活化ポリオワクチンの開発というのを私どもとしては事業者に対して積極的に促してまいります。そして、できる限り迅速に審査もしていきたい、このように考えております。

○古屋(範)委員 ぜひ、不活化ポリオワクチン、四種、単独、どちらも早期の承認を行っていただきたいと思います。これを強く要望しておきたいと思います。

 次に、南足柄市産の足柄茶の問題に入ってまいります。

 十一日、足柄茶の生葉から暫定基準値を上回る放射性セシウムが検出をされまして、今年度の出荷自粛、自主回収が呼びかけられました。

 御存じのとおり、足柄茶は県西部の主要農産物でございます。非常に良質なお茶でございます。甘みと渋みのバランスがとてもよくて、香りのよいお茶、日本古来の伝統的なせん茶であります。非常に人気が高いブランドでもございます。

 この足柄茶は、大正十二年に関東大震災の後の復興政策として栽培が始まりました。昭和三十八年、第十七回全国茶品評会で一等賞入賞しており、その後、全国の茶の品評会でも上位入賞している、非常に人気のあるブランドであります。

 こうした中で、足柄茶の生葉から暫定規制値を超える放射性セシウムが検出をされた。新茶シーズンを迎えて、生産者のみならず、このブランドに誇りを持っていた神奈川県民に大きな衝撃が広がっております。なぜ今、原発から三百キロも離れた足柄でこのような検査結果が出るのか。ショックのみならず、足柄茶というだけで敬遠されてしまう、昨年の生産したお茶さえも返品されてくるということでございます。風評被害も出始めている、暫定基準値を下回った十市町村の農家からも、さらに不安の声が寄せられております。

 初めに、大臣に、このような事態について、数々の風評被害が叫ばれておりますけれども、今回の事実を通して、風評被害という考え方について、御所見をお伺いいたします。

○雨宮政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員御指摘のとおり、足柄茶につきましては、神奈川県が生葉で暫定規制値の五百ベクレル・パー・キログラムを超えるものについて出荷自粛を行っているところでございます。

 農林水産省としましては、食品の安全と国民の健康の確保が最重要と考えておりまして、それを前提に正確な情報が消費者に伝わるよう努めているところでございます。

 お茶農家の風評被害の影響もさまざまなものが予想されると認識をしておりますので、原子力損害賠償紛争審査会に対しまして、今後、状況などを説明してまいりたいと思ってございます。

○古屋(範)委員 私も、この問題が発生をしてから、公明党の市会議員とも連携をとってまいりました。

 農家の方は、一番茶が出荷自粛となって、しかし一番茶を刈らなければ二番茶は出てこない。二番茶の検査をする、その結果はもちろんどうなるかわからないわけであります。残りの茶を刈らなければいけないんだけれども、刈った葉は出荷はできない。

 一番茶の収入が全体の八割を占めると言われております。収入のすべてと言ってもいいくらいであります。今までいいお茶という定評があったにもかかわらず、そういう風評被害も出ている、今すぐ補償してほしい、このような切実な声が出ております。公明党の神奈川県議団も、県知事に対しまして緊急要望をしたところでもございます。

 きょうの各紙にもこの件が取り上げられております。特に、読売新聞の社説でも、「被害状況に応じて、対象地域の拡大も検討すべきだ。神奈川県では、五月に茶葉から規制値を超える放射性物質が検出されたが、今回は対象外とされた。」このような記事がございます。

 一番茶の出荷は六日に始まったばかりなんですが、この回収、出荷自粛、これから摘み取る分も含めると、損害は数億円規模とも言われています。県によると、新芽を使った一番茶の値段が最も高いわけなんですが、六市町村でことしの出荷は難しいとの見通しもありまして、六月以降に刈った二番茶での出荷再開に望みをつないでいます。再開には、三週間に三回の検査をして、いずれも基準値を下回ることが条件になっている。育ったまま三週間放置すると出荷できなくなるために、県は、六月中旬に基準値を下回れば、一回の検査で出荷できるよう国に要望したいということでございます。

 昨日三十一日に、原発事故に伴う損害賠償の範囲や目安を定める第二次指針が決定しました。この中では、福島、茨城、栃木、群馬の四県の全域と千葉の二市一町の農産物について、四月までに政府で何らかの農産物の出荷制限、停止の指示をされた区域は全品目を風評被害の賠償対象として認定をするということでございます。

 今回の二次指針、五月以降の出荷自粛を伴う損害、風評被害は盛り込まれておりませんでしたけれども、足柄茶の出荷自粛についても条件は全く同じです。そこで、足柄茶の生産農家についても迅速かつ十分な補償が行われるよう、国としても即刻賠償の対象と認定をしていただきたい、このように思います。御見解をお伺いします。

○田中政府参考人 お答え申し上げます。

 原子力損害賠償紛争審査会が策定する原子力損害の範囲の判定の指針につきましては、相当因果関係が明らかなものから順次策定をしていくということで、四月の第一次指針、そして昨日の第二次指針ということになってございます。

 第二次指針では、農林産業の風評被害について、平成二十三年四月までに政府等による出荷制限指示等が出されたことがある区域において産出されたすべての農林産物について相当因果関係が認められ、賠償すべきものとされたということでございます。

 御指摘の足柄茶でございますけれども、県による出荷自粛要請が出たものにつきましては、既に第一次指針の対象として、政府等による出荷制限の指示がございますものですからそれは損害として、第一次指針の対象内でございます。それ以外のものにつきましてはいわゆる風評被害に当たると考えられてございまして、本年四月までの出荷制限指示に関する風評被害を対象とした昨日の第二次指針の対象にはなってございません。

 しかしながら、これらの指針の対象となっていない被害につきましては、今後、被害の実態あるいは事故との関連性ということを詳細に調査、検討するということにしてございまして、七月ごろには原子力損害の範囲の全体像を中間指針として取りまとめていただきたいというふうに考えているところでございます。

○古屋(範)委員 農家では、今後一体私たちはお茶農家としてやっていけるのかどうか、そのような不安が広がっております。ぜひ迅速な賠償、これを強く求めておきたいと思っております。

 最近、二転三転した情報の混乱など、昨日の委員会でもございましたけれども、政府の発表が一体どこまで信用ができるのか、こういう声が広がっております。原発事故が収束していない今、汚染が長期化をするおそれもございます。放射性セシウムが検出されたということは、明らかに、これほど離れていても福島第一原発の事故によるものである、こう言わざるを得ません。

 農産物の安全性の問題は、本来であれば、政府として基準があるものはそれに準じ、ないものはそれこそ暫定的な基準として、国民が安全、安心に、食べても問題はないという数値までは出荷可能、これ以上は基本的に出荷停止として、出荷できないものについては補償する、こういう対策措置が即刻とられるべきであります。少なくとも、出荷基準を定めるなどの具体的な取り組みが必要で、ただただ安全ですと言われても、なかなか国民は信用できず、買い控えが起きてしまうわけであります。

 現在のままであれば、今後とも時間の経過とともに放射能汚染地域は拡大していくと思われます。国民の不安を取り除くために、いいかげんな暫定基準値ではなく、しっかりとした基準を定めて、基準値を超えたものは出荷をしない、出荷できないものについては損害賠償、政府が責任を持って主導すべきであります。そして、スピーディーに、安全なら安全と国が率先をしてアピールすることで風評被害を食いとめていただきたいと思います。

 政府の責任として、正確な情報の開示で国民の不安を取り除き、食品の安全の確保をすべきであると思います。この点について大臣の御見解をお伺いいたします。

○大塚副大臣 基本的に、すべて委員のおっしゃった認識と全く一緒でございます。

 一点だけ御理解いただきたいのは、いいかげんな暫定規制値という御表現もございましたが、決して暫定規制値そのものはいいかげんではありませんで、これはもう既に関係組織に御了解をいただいて、先日WHOでも国際的にも報告をさせていただきましたが、その基準自体は科学的根拠に基づいて行われております。

 なお、お茶のように特殊な生産、加工、そして流通、飲用、こういう形態のものについての基準については、実態に合う形で、今、最終的な調整をさせていただいているところでございます。

○古屋(範)委員 ぜひとも迅速な対応を政府としてもしっかりととっていただきたい。国民のためによろしくお願いしたいと思います。

 お茶のように、木があり、それを摘み取って加工する。一番茶はだめだった、では、二番茶の葉は大丈夫なのか、木は大丈夫なのか、一体土壌はどうなのか、こうした調査をこれから徹底して行って、安心して農家もお茶の生産ができるようにしていただきたいと思います。

 以上、終わります。

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