第185回国会 衆議院 厚生労働委員会-6号

○古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。

 本日は、プログラム法案、先週に引き続きまして、難病をテーマにお伺いをしてまいりたいと思っております。

 公明党は、難病に関する基本法の制定も含めまして、医療費助成のみならず、研究、あるいは就労などなど、総合的な難病対策をと、抜本改革を主張してまいりました。また、慢性疾患に悩む子供たちに対しましても、医療費負担軽減をするために、小児慢性特定疾患治療研究事業の創設にも取り組んでまいりました。二〇〇六年には、パーキンソンあるいは潰瘍性大腸炎の軽度のところの縮小の問題が起こり、私も駆けずり回って、ここのところは凍結をする、このようなことにも取り組んでまいりました。

 このたび、難病対策の改革について提言が取りまとめられたことに関しましては、高く評価をいたしております。一九七二年に、国が難病対策の指針となる難病対策要綱を制定して以来、四十一年ぶりの抜本的な改革が行われるということであります。

 難病団体の方々からも今ヒアリング等を行っておりますけれども、この難病対策が、単に医療費助成と研究費の助成だけではないこと、また、患者の福祉、就労支援など、多くの施策から成る総合的な難病対策でなければならない、また、一部の難病患者だけではなく、多くの希少疾患のことを対策に取り入れたい、このように常々おっしゃっていました。難病団体の方々は、他の、自分以外の難病の方々のことも気遣いながら、非常にそのところを理解しながら、これまでも、限りある予算の中で、地道に活動してきていらっしゃいます。その熱意には、私も頭の下がる思いでいっぱいでございます。

 この提言の中で、多くの希少難病疾患を対策に取り込んで、障害者福祉に、身体障害者手帳の取得ができない難病患者等を対象にする改革を実現させる、さらに、広く国民の理解を得られる公平かつ安定的な仕組みをつくっていく、その必要な財源を確保しつつ、法制化に向けて検討することとされております。国民会議の報告書の中でも、この難病についてはしっかりとした位置づけがなされております。

 プログラム法の中では、恒久的な医療費助成、対象疾患の拡大、対象患者の認定基準の見直しについて検討の上、来年の法案提出を目指すとされております。この難病対策は、安定的な財源を確保した上で、医療体制の整備や治療方法の研究促進を含めた総合的な対策を推進すべきと考えます。

 まず大事なのは、患者の療養の質を保つこと、ここを最優先に、手厚く支える体制整備に取り組むべきと考えます。この点についてお伺いをいたします。

○土屋副大臣 古屋先生には、長い間、難病対策に取り組んでいただきまして、本当に敬意を表するところでございます。

 今先生もおっしゃいましたように、難病患者が希望を持って生きられるよう、総合的かつ一体的に取り組むことが重要であると思っております。特に、医療費助成に関しましては、将来にわたって持続可能で、公平かつ安定的な社会保障給付の制度として位置づけることが必要と考えております。

 今回のプログラム法案の中においても、医療費助成を制度として確立された医療の社会保障給付として位置づけることや、対象となる疾患の拡大、これは現在より広げて三百ぐらいまでということで考えております。それから、対象患者の認定基準の見直しも重要だと思いますし、また、他制度との均衡を考慮した自己負担の見直しについても検討しております。これは来年の通常国会の法案提出を目指すこととしております。

 これらの事項については、これまでも、難病患者の置かれている状況に配慮しながら、難病対策委員会で検討が行われているところでございますけれども、厚生労働省といたしましても、さらに検討を進めて、公平かつ安定的な医療費助成の制度を確立していきたいと思います。

○古屋(範)委員 公平性を担保し、また安定的な財源を確保していく、そして、総合的な難病対策を行っていく、このところは非常に大きな意義があると思っております。

 しかし一方で、いろいろな不安や批判の声が上がっていることも事実でございます。医療費負担の問題等々、不安の声も上がっております。また、無料だった重症患者が相応の負担を強いられ、軽症者は打ち切られるのではないか。あるいは、助成の目安は、患者数が人口の〇・一%程度以下と絞られる。パーキンソン病、これは患者数約十一万六千五百人、また、潰瘍性大腸炎十三万三千五百人など、患者は対象から外されてしまうのではないかというような不安の声もございます。

 厚生労働省は、こうした患者とか家族の実態、こういうものを細かくしっかりと掌握して、限度額における階層区分の細分化、高額な医療で軽症を維持している方々への配慮など、慎重の上にも慎重に検討していく必要があると思います。こうした不安、批判の声についてのお考えをお尋ねいたします。

○佐藤政府参考人 お答えをいたします。

 ただいま御指摘ありましたように、難病の医療費助成に係ります自己負担のあり方、あるいは対象疾患がどういうものになるのか、こうしたことにつきましては難病対策委員会におきまして御議論いただいているということを、この委員会でも何度かお話をさせていただいたところでございます。

 とりわけ、医療費助成の自己負担の部分で申しますと、例えば、各所得階層ごとに自己負担の上限を決めようと思っておりますが、その自己負担の上限も含めて、適切な負担はどの程度なのか。それから、とりわけ、御質問にありました、低所得者に対してどのような配慮をすべきなのか。また、長期にわたり高額な医療費が必要、そういう高額な医療費を使うことで何とか見かけ上は軽症の状態になっている方がいらっしゃる、こういう話もお伺いしておりますので、そうしたいろいろな問題を踏まえて検討がなされているという状況です。

 それから、パーキンソンなどの例を挙げていただきましたけれども、広げるであろうこの三百疾患の中にどんな疾患が入るかというような基本的な物の考え方については、この検討委員会で御議論いただいておりまして、患者さんの数というような点につきましては、今、古屋議員から御指摘のありましたような、〇・一%程度ということでございます。

 また、この点につきましては、これまで認定されてきたという経緯も十分踏まえるんだろうと考えておりまして、難病対策委員会の後に、第三者的な検討委員会を設けて、どういう疾患がこの三百疾患に入るのか、これまでの既存の疾患はどうなるのかというようなこともお考えいただくんだろうというふうに思っております。

○古屋(範)委員 さまざまな声があるわけなんですが、これまで医療費助成が受けられなかった希少疾患患者の方々から、受給対象の疾患が大幅な増加になるということで、期待が寄せられている。

 特に重要なのは、既認定者の取り扱いの問題だと思います。真に医療費助成を必要とする方への支援が打ち切られることがないように留意していかなければならない。

 既認定者の方々については、これまでの給付水準を考慮しながら、低所得者に配慮した対応をしていただきたい、このように思いますが、いかがでしょうか。

○佐藤政府参考人 お答えをいたします。

 先ほどもお話をいたしましたように、難病の医療費助成に係る自己負担につきましては、厚生科学審議会疾病対策部会の難病対策委員会で御議論いただいているところですが、とりわけこの自己負担につきましては、低所得者の方がいらっしゃいますので、どのように配慮していくかということを考えております。

 その低所得者の取り扱いを考えるに当たりましても、新規の方は、これまで医療保険の中で三割負担をされて、しかもその中での高額療養費ということでございましたけれども、既に認定をされている疾患、そしてその患者さんという方につきましては、やはり、負担がふえるんじゃないかということを御心配になっている方も多いと思います。

 実際にも、そうした声、先ほど古屋議員の御指摘の中にもありましたように、患者さんの声、患者さんの御意見を聞く機会をできる限り設けますし、また、新聞記事等での患者さんのお声も聞くなどして、また、この考えを難病対策委員会にもお伝えして、そうした中で、今後、早急に基本的な考え方をまとめていく時期だろうというふうに考えております。

○古屋(範)委員 ぜひ、既認定者の取り扱いにつきましては、慎重に、また丁寧な議論を経た上で決定をしていただきたいと思っております。

 次に、小児慢性特定疾患についてお伺いをしてまいります。

 現在、党としても、難病のこども支援全国ネットワークなど、小児慢性特定疾患患者関連団体よりヒアリングを行っております。

 先日、神奈川県立こども医療センターに行ってまいりまして、ここは小児がんの拠点病院にもなっているところでございます。入院している子供たちは全てが小児慢性特定疾患であるというわけではないんですが、病院の中に神奈川県立横浜南養護学校が併設をされて、病院の中に養護学校があります。

 子供にとっては、病気の治療は当然なんですけれども、大人と違って、やはり教育が非常に重要な要素を占めてくると思っております。

 常に、出たり入ったり、入退院者はいるんですが、百人ぐらいがいまして、病院の中の部屋とか体育館などの施設を使って授業を行っている。医師、病院スタッフ、それから教員が非常に密に連携をとりながら、また、感染症の問題なども非常に大きいわけですので、厳重に配慮をしながら、学校生活を送っております。

 入学式、卒業式もやる、遠足や作品展なども行っているということで、やはり心の問題に関しては非常に効果がある。自分は忘れられてしまうのではないかとか、友達がいなくなっちゃうんじゃないか、そのような中で、入院した先での本当に短期間の仲間かもしれませんけれども、同世代で集まって授業を受けていく。このような、非常にここは、全国でもここくらいしかないそうでありますけれども、病気を抱えている子供ですけれども、非常に真剣に授業を受けておりました。

 やはり、小児慢性特定疾患、子供の場合には、医療費助成は大変重要なんですけれども、そのほかの、教育を初めとするさまざまな総合的な支援が必要だ、そのように思います。

 この小児慢性特定疾患の団体の方々が特に御要望が強かったのが、二十に達すると公費助成が打ち切られてしまう、ここのつなぎの問題が非常に大きい、この移行の問題が非常に重要だと、切実なお声を伺いました。

 成人後も必要な支援が受けられるように、また、子供にとって教育を初めとする総合的な将来に向けての支援が受けられるように、この制度の充実を進めていただきたいと思います。このお考えをお伺いいたします。

○土屋副大臣 今、本当に古屋議員が熱心にお話しなさいましたけれども、まさに子供の場合は、大人の難病以上に、いろいろな、社会生活の中で大変な問題があると思います。

 その中で、医療費助成はもちろんでございますけれども、トランジション、成人に移行する間のつなぎをしっかりとしていくということだと思いますけれども、こういう点に関しましても、今回、医療費助成の対象疾患の拡大をしてまいりますので、つながるようになるんじゃないかと思っています。

 それから、慢性疾患児地域支援事業という、これは平成二十六年度予算概算要求で、今、改めて新しい制度をつくっていきたいと思っていますけれども、この中で、今、古屋議員がおっしゃったように、学校生活の支援とか、地域での友達づくり、ピアサポートとか、それから家族支援、そして将来働いていくための自立支援とか、こういう新規事業もうたっておりまして、概算要求でしっかりと要求して、この事業をしていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○古屋(範)委員 ありがとうございました。

 以上で質問を終わります。

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