第185回国会 衆議院 厚生労働委員会-9号

○古屋(範)委員 おはようございます。公明党の古屋範子でございます。

 本日は、薬事法及び薬剤師法改正法案について質問してまいります。

 一般用医薬品のインターネット販売につきましては、本年一月、政省令で行うということは法律の委任の範囲を超えて違法であるという最高裁判決が出されました。このために、一般用医薬品のインターネット販売に関しましては、公明党を初めとする関係者の間でかなりの議論がございました。本年六月に閣議決定をされました日本再興戦略において、消費者の安全性を確保しつつ、適切なルールのもとでインターネット販売を行う、この一文が盛り込まれました。

 医薬品をいつでも自由に買えるという、これは非常に利便性が向上することであります。ネット販売が解禁になれば、離島、僻地などでも購入ができる、また、障害を持った方々などにとっても非常に便利である。評価できる点もあるわけなんですが、しかし、また、そのリスクというものも考えていかなければならないと思います。

 安全性をどう確保していくか、ここが非常に重要だと思います。もし誤った服用、副作用の症状が出た場合、迅速な対応が確保されるかどうかが課題であります。特に、副作用リスクの高い市販薬を安全に販売するための環境整備がまだ十分進んでいないことが問題ではないかと思います。

 消費者の安全をどう確保するか、こちらの方が第一だ、最優先だということで、公明党内からも非常に大きな議論が起こりまして、二十五品目以外のものでも安全性を確保すべきだという意見が非常に多く出ました。最終的に、「消費者の安全性を確保しつつ、適切なルールの下で行うこととする。」ということになったわけであります。

 医薬品は、非常に有効性がある反面、どの薬品にも副作用があるということでありまして、医薬品のインターネット販売は、この一月の最高裁判決が出てから、ルールがない、無法状態になっているわけであります。この中で、消費者の安全を確保した適切なルールを、法律を早急に成立させていかなければならないと考えます。

 インターネット販売、対面販売それぞれのメリットを理解した上で購入方法を選択する国民に対してどのような啓発活動を行っていくのか、その取り組みについてお伺いをしたいと思います。

○土屋副大臣 インターネット販売がいよいよ始まるというか、法的にきちっと始まるということでございますけれども、まさに国民の命にかかわる問題でございますので、有益な効果をもたらす一方で副作用の発生というリスクを伴うものということはしっかりと考えていかなければならないと思います。

 国民には医薬品についての正しい知識を身につけていただくことが重要でありまして、今回のインターネットのこの法律がかなり新聞等で公表され、いろいろな意見が出てきた中で、国民の意識はかなり変わってきたのかなという気もいたしております。

 厚生労働省といたしましては、薬剤師会や都道府県等と協力しまして薬と健康の週間を毎年実施しておりますけれども、これは、普及啓発活動を行っているわけです。今後、こうした活動の中で、御指摘の内容についてもあわせて啓発活動を続けていきたいと思っております。

 また、特に、医薬品のインターネット販売に関しましては、厚生労働省のホームページで適法な販売サイトであることを確認できること等の周知を図るとともに、あやしいヤクブツ連絡ネットにおいて、不適正な個人輸入サイトからの購入防止についての啓発を強化していきたいと考えております。

○古屋(範)委員 インターネット販売は、薬以外のものでもさまざまな消費者被害も発生をしております。中でも、ほかの商品と違って命にかかわる薬品に関しましては、さらに国民への意識の啓発また向上に取り組んでいただきたいと思っております。

 この夏、厚生労働委員会で、薬のインターネット販売につきまして、デンマーク、イギリス、フランスに調査に行ってまいりました。

 特に、三カ国の中でのインターネット販売の状況なんですが、デンマークにおいては、一般用医薬品のインターネット販売はそれほど進んでいない。インターネット販売がもうヨーロッパでは根づいて、当然だという御意見をおっしゃる方がいましたけれども、実はそれほどでもなくて、処方箋医薬品と合わせても、売り上げの数%にとどまる。理由としては、一般医薬用の多くが公定価格で、インターネット販売で購入した場合には、配送料が生じたりして割高になり、手続が煩雑であり、余り利用されないということであります。

 また、イギリスにおいては、このインターネット販売は一〇年から始まっているんですが、現在その割合は一〇%以下であるということでございます。

 また、フランスでは、医薬品のインターネット販売を認めないという方針で来たんですが、EU指令によってこれをやらなければいけないということになって、やむなく行うようになったということでございました。それで、対面販売の方が国民の安全を確保できるという意見も多くて、現在、インターネットで未成年向けに避妊用ピルが購入できるようになったり、非常に懸念の声も多くあるということで、それほどフランスにおいては、自分の国で積極的にやっていこうという空気ではありませんでした。

 また、フランスと同様、スペイン及びイタリアにおいて、まだ国会で審議中ということでございました。

 全体としても、どう安全性を確保していくか。EUにおいても今その制度をつくっている最中ということでございまして、日本で成長戦略を掲げているということがなかなか議論としても通じていかないような感じでございました。

 その上で、ヨーロッパにおいても安全性をどう確保していくかというのは試行錯誤の段階であるということなんですけれども、我が国においても、このネット販売をしていく以上、その安全性というものを具体的に確保していかなければいけない、利用者である消費者にその情報を正しく理解してもらわなければいけないと思います。

 例えば、販売に当たって、薬剤師によるネットや電話を通じた対応、情報提供、違法サイトや、服用するだけで健康被害を及ぼすようなにせ薬品の取り締まり、信頼できるネット販売業者を見分けるにはどうしたらいいか、このような点が急務であると思っております。

 EUでも、ロゴマークを付与するなど今その整備をしている最中ということですけれども、そういうことも参考になるのではないかというふうに思っております。

 このネット販売を安心して利用できる安全対策について、お考えをお聞きします。

○今別府政府参考人 先生御指摘のように、一般医薬品のインターネット販売におきましては、にせ薬でありますとかあるいは悪質な業者、これを排除するための安全対策は非常に重要なことだというふうに思っております。

 今回の法案では、インターネット販売のルールについて、法律に明確に根拠を置いた上で、薬局、薬店の許可を取得した店舗で販売をする、購入者の状態に応じた情報提供と購入者側の理解の確認など、専門家の適切な関与を確保するというようなルールを整備するということにしております。

 また、無許可販売サイトや無承認、無許可医薬品の販売を防止するために、厚生労働省におきまして、ホームページで適法な販売サイトであることを確認できるようにする、それから、インターネットの監視体制をさらに充実するとともに、指導等により改善が見られない場合には、プロバイダーに情報の削除の要請を行う、それから、監視指導の結果、無許可販売サイトであることが明らかになった場合には、その旨公表するというようなことを考えております。

 それから、今御指摘がありますように、ロゴマーク等々も検討してまいりたいというふうに考えております。

○古屋(範)委員 ぜひそうした、安全に消費者が購入できる体制整備をしっかり行っていただきたいと思っております。

 今般、私、横須賀に住んでいるんですが、横須賀の海岸にコカインが約八十キログラム漂流するという案件がございました。これが末端価格で約四十八億円ということでございまして、こういった麻薬の密輸のようなことは、なくならないというか非常に拡大をしているのだという印象を持ちました。

 私も、若者を違法ドラッグから守る活動を行ってまいりました。とかしき当時の政務官にも申し入れをさせていただきました。また、厚生労働省の関東信越厚生局麻薬取締部にも視察に行かせていただきました。取締官も非常に大変な任務を担っていらっしゃるというふうに思います。やはり、こうした違法ドラッグなど、若年層への広がりが指摘をされております。

 最後の質問になりますが、指定薬物の所持、使用等の禁止についてお伺いをしてまいります。

 今回、指定薬物の所持、使用、購入、譲り受けについても三年以下の懲役または三百万円以下の罰金を新たに創設しまして、指定薬物の所持、使用等を禁止するなど一層の対策強化が図られました。非常に評価ができると思っております。

 こうした指定薬物、いわゆる脱法ドラッグ、非常に健康被害が問題になっております。公明党としても、五月に成立をいたしまして十月から施行された議員立法によりまして、指定薬物に関する取り締まりの権限を麻薬取締官に新たに付与する、取り締まり、監視指導の強化に取り組んでいるところでございます。

 そこで、有害作用が確認されたものについては、今回の改正にかかわらず、麻薬への指定を急ぐべきというふうに考えますが、これについてはいかがでしょうか。

○土屋副大臣 委員御指摘のとおり、十月に施行された議員立法によりまして、先生、本当にお力添えいただきましてありがとうございます、取り締まり権限を麻薬取締官に新たに付与する、これは非常に強化につながると思います。

 私も、若年層に非常にドラッグが蔓延してきている実態を大変危惧しておりまして、埼玉県などでも啓蒙活動してまいりましたけれども、今回の、指定薬物の所持、使用等について罰則を規定したこと、先生も今おっしゃいましたけれども、これも大事なことだと思いますし、禁止することで一層の強化を図れますが、あわせて、乱用のおそれのあるものは、迅速に麻薬に指定して、取り締まりの強化を図ることが重要であると認識しております。もう本当にイタチごっこですけれども、頑張っていきたいと思います。

 それから厚生労働省といたしましては、今後とも指定薬物について、迅速に指定するとともに、有害作用が確認された指定薬物は麻薬に迅速に指定して、薬物乱用防止に取り組んでいきたいと思います。

 今後ともよろしくお願いいたします。

○古屋(範)委員 強い御決意を伺うことができたと思っております。

 お香とかハーブとか、気軽にそういうものにアクセスしやすい時代になってきていると思います。そしてまた、そういう軽いものからだんだんと重い麻薬にはまり込んでいってしまう、このようなことがあると思います。違法ドラッグによる意識障害、また呼吸困難、そうしたものから起こる健康被害、また、違法ドラッグを吸引して運転して自動車事故を起こしたというようなこともございます。こうした規制の強化というのは、非常に重要だと考えております。

 これからもこうした違法ドラッグの取り締まりに全力を挙げていただきたい、このことを申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

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