第185回国会 衆議院 消費者問題に関する特別委員会-7号

○古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。

 大臣、連日の質疑、大変にお疲れさまでございます。

 本日は、いわゆる食品表示の問題、食品の不適切表示の問題についてお伺いをしてまいりますので、よろしくお願いを申し上げます。

 今般、全国のホテルまたレストラン、デパートなどで食品の不適切表示問題が発覚をいたしました。先日の参考人質疑におきましても、消費者支援機構関西の榎理事長から、国民は驚いている、そして、余りに多くてあきれていて、最後にはもう怒りに達している、このように表現をされておりました。その上に、宅配業者の保冷の問題ですとか、あるいは大手銀行の融資問題など、さまざまな不祥事が発覚をしておりまして、やはり消費者の不信というものは募っているのではないか、このように感じております。

 こうした不祥事から透けて見える経営側の、どうせばれないだろうと。あるいは、せんだっての参考人質疑でホテル協会の会長も、その原因は何かということを問い詰められまして、やはり利益優先があったのではないか、このような趣旨の答弁もされておりました。何度もおわびをされているわけでありますけれども、また、偽装を否定していても、なかなか消費者は納得できないというふうに思われます。収益優先の姿勢から、消費者重視、こちらに立ち返ることが急務ではないかと思います。

 今後こうした事態が起こらないように、こうした事態を断ち切るために、消費者庁は、まず景表法を改正して措置命令を都道府県でも出せるようにしていく、表示を監視するモニターを全国に置くなど、監視体制を強化すべきではないかというふうに思っております。また、経営側のモラル向上を図るための教育、指導、こういうものを日常的に企業の内外で実施していく必要があると思いますけれども、大臣、この点、いかがでございましょうか。

○森国務大臣 この一連の食品表示偽装でございますけれども、十月二十二日にホテル側の発表がございましてから、消費者庁の方で調査その他さまざま取り組んできたところでございますが、その中で各党からもお申し入れをいただいております。公明党からは十一月二十二日に申し入れをいただきまして、食品表示問題に対する緊急提言ということで、今御指摘の件を含む五項目について提言をいただきました。それらをしっかり検討して、生かしていきたいと思っております。御指摘のモニター制度の活用についても、消費者庁としては取り組む予定でございます。

 この食品表示偽装の問題は、全般的に調査を進めていく中で明らかになってきたのは、それぞれの側面について全て問題が明らかになっているということです。

 例えば、一つは業者のモラルの問題でございますが、やはりそういったコンプライアンス意識が非常に低いということもあります。

 さらに、ガバナンスの体制が不十分でございまして、調理をする者、メニューをする者、仕入れをする者、それぞれの連絡がない中で、どんどん仕入れの材料だけが変わっていっているというようなこともございました。ですので、事業者内部のこういったガバナンス体制の強化ということも指示をし、今、制度的にも改正をすることも検討しております。

 さらに、今委員がおっしゃるように、モニター制度というものを設けて、消費者の目でそれをしっかりチェックしていくということを採用していこうというふうに思っております。

○古屋(範)委員 ありがとうございました。

 モニター制度の活用、また調査の徹底、こういうものを不断に行っていく中で、やはり業者の側も緊張感を持ち、営業活動を行っていけるのではないか、そのように思います。

 大臣の方から先におっしゃっていただきました、私たち公明党の消費者問題対策本部、食育・食の安全推進委員会は、先日、二十二日に、首相官邸で官房長官とお会いをいたしまして、この食品表示問題に対する緊急提言を行ったところでございます。

 この提言のポイントは、やはり早急な実態の把握と厳正な対処ということでございます。外食の表示を取り締まる景表法は、商品の内容が実際以上に高級であるかのごとく見せかける、この表示を禁止しているわけであります。違反をした業者には、その行為の撤回などを命じる措置命令が出されまして、従わない場合は、二年以下の懲役、三百万円以下の罰金、このような罰則を定めております。

 悪質な事案については厳正に対処すべき、このように考えます。この公表についても速やかにすべきと考えます。これについてお考えをお伺いいたします。

○森国務大臣 今般の食品表示等の問題については、非常に悪質でございまして、それが全国的に広がりを見せております。

 そこで、私の方で、業界団体の代表に大臣室に来ていただきまして、内容の調査それからその対策についてまとめて報告をしていただくように要請をいたしました。十一月中に出していただきたいというふうに申し上げまして、十一月二十八、二十九日に各団体から受け取ったところでございます。今内容をまとめておりますけれども、それを公表してまいるという予定でございます。

 さらに、立入検査でございますけれども、個別の事案でございますけれども、これを迅速に行っていくということで当初から指示をいたしました。

 私自身も省庁の中にいた経験から、行政処分というのが大変に時間がかかるということで認識がありましたので、これまでのこの関係の行政処分にどのぐらい時間がかかっているのかということで出させましたところ、半年ぐらいかかっているのが多いわけでございます。それは、一つ一つの事実を丁寧に裏をとって調査をしているということではございますけれども、一方で、やはり消費者の不安が広がっていくということもございますので、私としては、今回のような事例の場合にはより迅速に対処をするようにということで指示を出しまして、既に報道されているような進行状況になっているということでございます。

 措置命令が発表された場合には、記者会見を行い、公表をしてまいるという予定でございます。

○古屋(範)委員 私も、大臣がおっしゃいますように、迅速な対処というものが必要だというふうに思います。

 参考人質疑の折も、ホテル協会の会長から、協会の方で関係法令の講習会を行うということでございました。一回は行って、もう一回年内に行っていく予定だというふうにおっしゃっていました。

 こうした虚偽表示の背景の一つ、先ほどから申し上げておりますけれども、やはり業界のモラルの低下とか、あるいは知識不足、それも作業を行っている最前線まで知識が行き渡っていないということが原因だというふうに思います。

 また、商品やサービスの品質、内容、価格等を偽って表示を行うことを厳しく規制している景品表示法は、違反とする基準が不明確であると指摘する見方も少なくございません。

 そこで、消費者庁は、この景表法違反の具体例、判断基準などを盛り込んだ手引書をつくられるということを伺っております。やはり、大臣おっしゃいますように、速やかにこのガイドラインを業界へ周知徹底していただきたい、このように思います。特に年末、さまざまな外食の機会もふえていくわけでございますので、速やかな周知徹底をお願いしたいと思いますけれども、この点について消費者庁のお考えを伺います。

○菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 消費者庁では、ただいま御指摘ありましたとおり、ガイドラインにつきまして、関係団体から報告された表示の適正化に向けました取り組みの結果、また、その具体例、疑問点、そうしたものが出てくると思います。そうしたものを踏まえまして、景品表示法のわかりやすいガイドラインを整備するということにしております。年内を目途に、今、作業を進めているところでございます。

 消費者庁といたしましては、ホテル、旅館、そして百貨店、こうした事業者団体などを通じまして、このガイドラインができましたら、それを会員事業者に配付する、また、各地で行われております講習会に職員を講師として派遣する、そうしたことによりまして、ガイドラインの作成、そしてその後の周知ということをやっていきたいというふうに考えております。

○古屋(範)委員 ガイドラインを作成して、速やかに周知徹底をしてくださるということでございました。ぜひこれは徹底に努めていただきたいというふうに思います。

 次は、行政機関による監視指導体制の強化の問題でございます。

 やはり、デパートにしろ、レストラン、ホテル等々にしろ、非常に業界の裾野が広いわけでありまして、消費者庁だけの対応には限界があるかと思います。地方自治体の体制の強化ということも不可欠だろうと思います。省庁の垣根を越えて不当な食品表示の調査を行う、農林水産省の食品表示Gメンなども活用しながら、外食を含む食品表示全般の監視体制を強化すべきと考えますけれども、この監視体制、指導体制の強化についてのお考えをお伺いいたします。

○菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 まず景品表示法でございますけれども、事業者がみずからの供給する商品、サービスに関しまして行います宣伝、いわゆる顧客を誘引するために行う表示ということでございますが、これにつきまして、事実と異なります表現、こうしたことで消費者の誤認を生じさせれば、景品表示法上、問題になるというものでございます。

 一方、JAS法、また、施行前でございますが食品表示法でございますけれども、これは、事業者の自主性に任せていては必ずしも情報提供がなされない事項について、消費者の選択等に資するために義務的に表示させる趣旨の法律でございます。

 このため、今般の一連の食品表示問題、いわゆるメニュー、料理の表示でございますが、これについては、景品表示法の観点から監視体制というものの強化を検討する必要があるというふうに考えております。

 そのため、消費者庁では、現在、国及び地方におけます表示の監視指導体制の強化などにつきまして、法的措置を含めました実効性のある対応策を速やかにまとめるよう官房長官及び森大臣から指示を受けております。そこで、食品表示等の改正案を検討するための消費者行政の体制強化に関する法制検討室を立ち上げまして、現在検討を行っているところでございます。

 今般の食品表示問題に対しましては、食品Gメンの活用ということにつきまして、提言もいろいろいただいているところでございます。こうした点も、この食品Gメンの活用ということも含めまして、関係省庁と連絡をとりながら、政府一丸となって対応すべく必要な検討を行っているところでございまして、実効性のある監視指導体制がとれますよう、引き続き努力してまいりたいというふうに考えております。

○古屋(範)委員 ぜひ省庁の垣根を越えて監視指導体制の強化をしていただきますよう、よろしくお願いを申し上げます。

 最後、アレルギー関連の質問に移ります。

 私も、議員になりまして、今、丸十年がたちました。議員になる前からアレルギー問題には取り組んでまいりました。神奈川で十四万人のアレルギーに関する調査をいたしまして、その結果を持って国会に参りました。この十年間、さまざま、アレルギー関連の政策あるいは法整備などを目指して活動に取り組んでまいりました。

 今般の問題の中でも、例えば、細かな肉を固めてつくった成形肉の場合に、結着をする、それがアレルギー症状を引き起こす場合があるということで、これは正確な表示が必要です。食物アレルギーは、最悪の場合、死に至るケースもございます。

 そこで、さきの国会で成立をいたしました食品表示法では、消費者本位の姿勢をはっきりと打ち出した法律として評価はできるんですけれども、そのときも議論にありましたように、外食メニューのアレルギー表示というのは義務づけることができませんでした。

 確かに、業者の側にもさまざまな理由というものもあったかとは思います。しかし、表示というのが、消費者にとっては安全、安心な食品を選ぶその頼みの綱なわけでありまして、原産地あるいは消費期限などをめぐる偽装も後を絶たないわけでして、二〇一五年の施行に向けて、表示基準の具体的な内容の検討が進められていると思います。アレルギー表示について、義務表示の導入をまず先行して検討していただけないか。

 そしてもう一つ、先ほども申しましたように、アレルギーというのは今、三人に一人から二人に一人、何らかのアレルギー疾患に悩まされているというのが我が国の現状であります。全国どこでも適切なアレルギー治療を受けられる体制整備というものを求めまして、私たちはアレルギー疾患対策基本法という法律をつくりました。二〇一〇年に参議院で公明党単独で提出をしまして、一一年には自民、公明共同で衆議院に提出をいたしております。

 今までも、エピペンという、アナフィラキシーショックを受けたときの自己注射、この保険適用ですとか、学校におけるガイドラインの作成など、さまざまな対策に取り組んできましたけれども、アレルギー疾患対策基本法、議員立法でございますけれども、ぜひとも早期に成立をさせたいと今奔走している最中でございます。

 この二点につきまして、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

○森国務大臣 さきの国会で成立をいただきました食品表示一元化法、この審議の中でも御指摘をいただいてまいりました課題でございます、外食におけるアレルギー表示でございます。

 食品のアレルギー表示は、一般的に、食品衛生法に基づいて容器包装入りの加工食品に義務づけをしているんですが、外食についてはないということで、課題になっております。

 なぜこれが外食について適用されていないかという理由については、提供される商品の種類が多岐にわたり、その原材料が頻繁に変わること、営業形態が対面販売であり、消費者が店員にメニュー、内容等の確認が容易にできることなどによるということが説明をされてまいりました。

 特に、アレルギー表示に関しては、外食では注文等に応じてさまざまなメニューを手早く調理することも求められ、調理器具等からのアレルギー物質の意図せぬ混入防止対策を十分にとることが難しいということをどう考えるかという課題もございます。

 ただし、現実に今、幾つかのレストランでは、アレルギー表示を外食においても自主的に表示をしているところもあるわけでございます。

 食品表示法の検討過程においてもこういった認識が示されましたけれども、やはり外食におけるアレルギー表示は必要性が高いというふうにされまして、専門的な検討の場を別途設けて検討するようにという御意見が多かったところでございます。

 食品表示基準については、食品表示法の施行に間に合うよう、その策定に優先的に取り組むこととされておりまして、外食におけるアレルギー表示のあり方についても、検討課題の中でしっかりと取り組んでまいりたいというふうに思います。

 また、今委員が御指摘になりましたアレルギー疾患対策基本法案でございますけれども、古屋委員が中心となって取りまとめ、そして、公明、自民の両党により、さきの通常国会に提出をされました。そして、今国会においても、古屋委員が中心となって、精力的に野党各党との調整を進めていると承っております。

 私といたしましても、野党の皆様方からこの法案への賛同が得られるように、そして国会において議論が進められることを期待しております。

○古屋(範)委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

Follow me!