第183回国会 衆議院 厚生労働委員会-16号

○古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。

 きょうは、時間も短い中でございますので、二問だけお伺いをしてまいります。

 子供の貧困対策についてお伺いをしてまいりたいと思います。

 厚生労働省の国民生活基礎調査によりますと、十七歳以下の子供の貧困率は、二〇〇六年は一四・二%、二〇〇九年時点では一五・七%と上昇をしております。三年間で新たに二十三万人が貧困に陥りました。一九八六年の調査開始以来、最悪の記録となっております。経済協力開発機構、OECD加盟など三十五カ国の中で九番目という、比較的高い方の水準でございます。豊かな日本と思いますけれども、子供の貧困は想像以上に深刻である。

 これは、非正規雇用で働く保護者の増加などが原因と考えられていまして、特に、貧困率が五〇%を超える一人親家庭への対策が喫緊の問題となっているわけであります。

 こうした実情を踏まえまして、自民党、公明党では、今般、子どもの貧困対策の推進に関する法律案を取りまとめました。

 生まれ育った環境によって子供の将来が左右されないよう、そういう社会の実現を理念に掲げまして、教育の機会均等などに向けて、国などの責務を明確にしております。また、政府に対しては、対策を総合的に推進するための大綱の策定を義務づけております。大綱には、教育支援、生活支援、保護者の就労支援、経済的支援などの事項が盛り込まれております。貧困の状況などを毎年必ず公表すること、関係閣僚で構成する対策会議の設置も求めております。

 私たちは、政府提出の、子供の学習支援事業に関する項目などを含む、具体的な、直接的な、子供に必要な支援が届くような生活困窮者自立支援法、これも一緒に、この法律はやはり、いわば積極的な福祉、起きた問題に対してどう対処するかというのではなく、これから就労に向け、自立に向け、積極的な福祉を具現化していく法律だと思います。画期的な法律だと思います。

 また、民主党を初めとする野党の皆様も、子どもの貧困対策法案を出していらっしゃいます。協議を進めて、このたび与野党の合意を得ることができました。野党の皆様にも敬意を表したいと思います。与野党で子供の貧困から救っていく、希望の未来を与えるために取り組む法律として、早期成立を目指したい。

 初めに、この成立後、どのような効果が期待されるか、この点についてお伺いをしたいと思います。

○田村国務大臣 委員申されましたとおり、与野党で二つの法律を出していただいております。これからそれぞれ与野党でお話し合いをいただいて、これが一つにうまくなればいいのかな、こんなふうに思うわけでありますけれども、子供の貧困対策、これは総合的な対策、そういう意味からしますと、今おっしゃられましたとおり、大綱という形でひとつおつくりをいただくといいますか、つくっていかなきゃならない。

 そして、もう一つは、やはり閣僚会議、これは貧困対策における会議を閣僚でつくるということでございますから、これは大変大きな意味合いがあろうというふうに思います。

 そういう意味では、我が省のみならず、これは内閣を挙げて貧困対策をしっかりやっていくということでございますから、関係閣僚と協力しながら、貧困、これをなるべく少なくしていく、できれば撲滅に向かって頑張ってまいりたい、このように思っておるような次第であります。

 そのような意味で、この委員会でも本当にいろいろな御議論をいただきました。こういう御議論も参考にさせていただきながら、貧困対策に向かって全力を尽くしてまいりたい、このように思っております。

○古屋(範)委員 田村大臣の御決意を伺うことができました。やはり、どのような家庭に育ったとしても、教育の機会を十分に受けられるような社会にしていかなければならない、このように考えます。

 しかし、生活保護世帯の子供の高校進学率、これは一般世帯より一〇%低い。さらに、一般家庭でも、大学進学率は親の年収に比例してしまうと言われております。経済的な理由による教育格差が次世代の貧困を招く負の連鎖、これは断ち切っていかなければなりません。

 大学など高等教育への進学は諦めざるを得ない、同年代が体験することをできない子供たち。また、奨学金を借りて大学を卒業したんだけれども、なかなか就職できずに、結局返済が滞ってしまう。自己破産をしてしまうような若者も現実にいるわけであります。

 こうした格差が広がっていく、これを固定化させないということで、貧困の連鎖を断ち切る学習支援、これが非常に重要だと思います。

 午前中、埼玉の福祉部副部長がいらっしゃって、埼玉での取り組み、御紹介をいただきました。アスポート事業という事業であります。教員OB、大学のボランティアが直接子供に教育支援をしていく。特養ホームなど県内十七カ所で学習教室を開催していらっしゃいまして、中学生にマンツーマンで勉強を教えている。

 成果も上げています。高校の進学率は、一般世帯九八・二%に対して、生活保護世帯が八九・五ということで、低いんですけれども、この教室に参加した一一年度の中学三年生三百五人のうち、九七%、二百九十六人が高校に進学するという成果を上げています。

 この学習支援、また就労支援、住宅支援などを盛り込んだ生活困窮者自立支援法も一刻も早く成立をさせたい、このように考えております。どの家庭でも、努力次第でチャンスをつかめる、そのような社会の構築に全力を挙げていただきたい、このことをお願いして、貧困防止への御決意をお伺いしたいと思います。

○田村国務大臣 子供の貧困の連鎖というものは、本当に深刻化いたしております。子供をお持ちの生活困窮家庭、さまざまな問題がありまして、一概にどういう問題があるからとは言えないわけでありますけれども、そんな中において、今言われました学習支援、これは大きな今役割を担っておるというふうに期待をされているわけであります。それから、生活支援、就労支援。就労支援は、お子さんというよりかは、今のお父様、お母様方に対する就労支援を含めてでありますけれども。

 まず、学習支援は、言われましたとおり、生活保護家庭等々におきましても、今まで中学校三年生という枠を一年生からという枠まで広げる、そしてまた、生活困窮者家庭に関しましても、これも同じように学習支援という形で、子供たちの学力強化のためにこれをしっかりと使っていただく中で、言うなれば、いろいろな知識を身につけていただいて、その後、自立につなげていただきたいというふうに思います。

 生活支援に関しましては、やはり生活保護家庭等々で中途退学をされるお子さんが非常に多いわけでありまして、そういうものの防止のために相談支援という形でやっておるわけでございますが、貧困家庭におきましても、そのような形で、包括的な相談支援というものをしっかりと実行していく中で、いろいろなお悩みがあるんだと思います。そういうものの解決に向かってのお手伝いができれば、こんなふうに思います。

 そして、就労支援でありますけれども、社会福祉事務所等々、就労支援員、こういう増員をする中において、一方で、一人親世帯の方々、なかなか資格や技能というものが修得できないという問題もありますので、高等技能訓練給付事業というのがございます。こういうものを使いながら、資格や技能を高めていただいて、結果、安定した雇用といいますか、働き方という中において、貧困から脱していただく。

 それぞれいろいろな制度がありますが、こういうものをうまく使っていただきながら、貧困対策というものをしっかり進めてまいりたい、このように思っております。

○古屋(範)委員 子供の貧困をなくしていく、私もそれに力を尽くしていくことを申し上げ、質問を終わります。

 ありがとうございました。

Follow me!