がん死亡減へ対策加速(公明新聞 2015年12月23日付)

厚労省がプラン公表
公明の主張大きく反映
受診勧奨を徹底普及
受動喫煙 防止進める

厚生労働省は22日、国民の死因1位である「がん」の死亡率を減らすための「がん対策加速化プラン」を公表した。同プランは、今年6月に安倍晋三首相が策定を指示。8月に公明党がん対策推進本部(本部長=古屋範子副代表)が厚労相に申し入れた提言の内容も大きく反映された。

仕事と治療両立へ指針 小児・若年世代に焦点

国は、がん対策推進基本計画で「2007年度から10年間で75歳未満の年齢調整死亡率を20%減少」との目標を掲げているが、対策の遅れなどにより、このままでは17%減にとどまると予測されている。このため、がん対策加速化プランでは(1)予防(2)治療・研究(3)共生――を柱に、17年の次期基本計画策定までの間で集中的に実行すべき具体策を明示した。

避けられるがんを防ぐための「予防」では、検診受診率の向上をめざして、特に効果の高い個別受診勧奨に言及。事例集作成などによる市町村での徹底的な普及のほか、精密検査でも受診勧奨を進めるとした。

また、各市町村・保険者の受診率などを比較可能な形で公表し、受診を促すインセンティブ(誘因)を導入する。胃がん検診での胃カメラ検査も普及させる。従来、位置付けが不明確だった職域での検診は、早急に実態を把握し、ガイドライン(指針)を策定する。

たばこ対策では、19年ラグビーワールドカップや20年東京五輪・パラリンピックの開催までに受動喫煙防止対策を強化。学校でのがん教育に関しては、専門医、患者、経験者など外部講師の活用を支援する。

「治療・研究」では、小児がんの医療提供体制や、治療後の合併症などに対応する長期フォローアップ体制を検証。AYA世代(思春期・若年成人世代)のがん医療の実態調査、希少がん対策の検討も行う。

遺伝情報を活用した「ゲノム医療」実現への取り組みや、がん診療連携拠点病院などを簡単に検索できるシステムの構築も進める。

「共生」では、がんになっても安心して働き、暮らせるように、拠点病院で相談支援を実施するほか、ハローワークと連携した就職支援の全国展開をめざす。また、仕事と治療の両立を支援するための企業向けガイドラインを策定する。

苦痛の軽減と療養生活の質の維持向上に向けた緩和ケアでは、医師の研修受講を促し、訪問看護師も含めて地域での緩和ケアに携わる人材への研修を行う。

年齢調整死亡率

高齢化など年齢構成の変化の影響を取り除いた場合の人口10万人当たりの死亡者数。

検診充実や家族支援に全力

党がん対策推進本部長 古屋範子副代表

がん対策加速化プランでは、受動喫煙防止や個別受診勧奨、がん教育など、これまで公明党が推進してきた施策が多く盛り込まれた。特に検診は質が向上し、内容も拡充される。国が掲げる受診率50%の達成へ、さらに対策を加速させていきたい。

党としても、がん対策基本法の見直しや、受動喫煙防止のための法律制定に向けた国会での議論をリードしていく。併せて、患者だけでなく家族への支援にも取り組んでいく。

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