第168回国会  青少年問題に関する特別委員会 第4号

○古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。

 きょうは、テーマでございます子どもとインターネットをめぐる諸問題について質問をしてまいります。

 ちょうど二年前になります。上川大臣とともに、私も総務大臣政務官を務めさせていただきました。私の方は郵政・情報通信担当でございましたので、特にそのときは、きょうのテーマでもあります子供の安全なネット利用、メディアリテラシー、そして、もう一つはテレワーク、家庭で高齢者、障害者、母子家庭の母などが仕事ができるテレワークの普及、主にこの二つをテーマに私としても仕事をさせていただきました。

 一方で、こうしたITの技術、またインフラ整備が進んでいく中で、またこちらとしても進めていたわけでございますけれども、影の部分というものが大きな問題となっていることも事実でございます。

 先月、十一月十五日、文部科学省が発表いたしました平成十八年度「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」によりますと、いじめの発生件数が十七年度の調査と比較いたしまして六倍になるという非常に深刻な事態が浮き彫りとなっております。中でも注目すべきは、パソコンや携帯電話で誹謗中傷されるとの回答が四千八百八十三件、三・九%あったことでございます。

 私たち公明党は、いじめに対しまして、これまでもさまざまな対策を提言してまいりました。調査結果が出された翌日、十六日には即座に、党の教育改革推進本部の浜四津代表を中心といたしまして、官房長官に、深刻化するいじめ問題への対応に関する申し入れを行いました。その中で、インターネット等を活用したいじめが深刻化していることを指摘し、教員等がいじめに関する細かな情報を素早く把握できる体制整備、また効果的な防止策の調査研究の推進を要請いたしました。

 上川大臣、こうしたインターネットを使ったいじめの深刻化、これに対する御所見をお伺いいたします。

○上川国務大臣 古屋委員とは政務官時代にということで、ただいま御指摘のように、メディアの光の部分ということで取り組みをなさって、またテレワーク等については、これからワークライフの中でも大変大切なテーマでございますので、これからもどうぞよろしく御指導いただきたいというふうに存じます。

 影の部分については、この青少年特別委員会でも大変大きなテーマということで、きょうは特別の委員会をということでございまして、最近でいきますと、いわゆる学校裏サイトで、ここでは誹謗中傷も含めて大変深刻ないじめの実態がまた影の部分として起きているということを、大変厳しいものというふうに受けとめております。

 御指摘の文部科学省の調査でございますが、いじめの実態も大変急速に増加しているということ、そして、その中でも、まだパーセンテージとしては少ないわけでありますが、この先かなり大きくなる可能性を秘めたような、いわゆるネット上のいじめについてもふえているということでございまして、この点につきましては、十分な実態調査を踏まえた上で、誹謗中傷を含めたネット上のいじめに対しての処方せんということをしっかりと取り組んでいかなければいけないというふうに思っております。

 とりわけ情報モラルの教育、そして教師と保護者に対しての十分な実態の理解ということについては大変大事であるというふうに思っておりますので、そういう面での努力を重ねてまいりたいと思っております。

○古屋(範)委員 今、上川大臣より、こうしたネットによるいじめの深刻化に対する危機感をお持ちであるということ、そしてそれに対して今対策を早急に講じていかれようとしている、その御見解を伺うことができたと思います。

 次に、総務省にお伺いをいたします。

 インターネットを利用する人は、約八千七百五十万人と言われております。また、老若男女を問わず、こうしたインターネットは国民生活に欠かすことのできないものとなっております。子供にも、特に携帯電話を利用したインターネットの利用が広がっております。総務省の情報通信白書によりますと、六歳から十二歳で六八%、また十三歳から十九歳で九三%が、パソコンを使ってインターネットにアクセスをしている。

 一方でまた、まだ社会生活やインターネットの問題についても十分な知識のない子供たち、いわば免疫のない子供たち、インターネットを使ったさまざまなトラブルに巻き込まれているのが現状でございます。

 先ほども指摘をいたしましたけれども、パソコン、携帯電話を使っているものが、平成十八年度で約五千件もあった。もちろん、インターネットに限らず、いじめをしてはならないのですが、インターネットですと、やはり相手の顔が見えない、つい気軽な気持ちで誹謗中傷してしまう、書き込みをしてしまう。それが相手にとって非常に大きな、あるいは死に至らしめるようなことにもなりかねないわけであります。

 総務省として、こうしたインターネットを使ったいじめ問題にどのように取り組んでいらっしゃるか、お答えをいただきたいと思います。

○武内政府参考人 お答えを申し上げます。

 子供のインターネット利用に関しましては、利用者に対する啓発が非常に重要だというふうに考えてございまして、総務省と事業者、それからまた文部科学省と連携いたしまして、e―ネットキャラバンでございますが、保護者、教職員及び児童生徒を対象とした、インターネットの安全、安心利用に向けた啓発講座を開設しているところでございます。

 このe―ネットキャラバンにおきましては、今先生御指摘のように、掲示板、チャットなどの利用につきましては、相手の表情が見えないということで、どうしても過激になりがちな表現がございますので、一度読み返すなどの書き込みに際しての注意を行っているところでございます。

 また、いじめによる誹謗中傷など他人の権利を侵害する書き込みにつきましては、これを削除しても民事上免責される基準を明確化いたしましたプロバイダー責任制限法の制定でございますとか、同法関係のガイドラインの制定、運用を支援いたしまして、プロバイダー等による削除を促しているところでございます。

 総務省といたしましては、引き続き、業界ですとか関係機関等と連携をいたしまして、保護者、子供等への周知啓発、ガイドラインの運用の支援などを通じまして、子供が安心してインターネットに接続できるような環境整備をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。

○古屋(範)委員 総務省におかれましても、そうしたe―ネットキャラバンを初めとする教育、啓蒙普及、またプロバイダーによる権利侵害情報の削除促進の取り組みをされているということでございます。

 私も、このe―ネットキャラバンに参加をさせていただきまして、そこでは、専門の講師が来て、学校関係者あるいは親たちを招いて大変真剣な論議がございました。やはり、部屋にこもってパソコンを一人で長時間やったり、あるいは携帯も、たった一人で、そこでの世界に入り込むといいますか、縛られる、それが一番よくないことである。親との会話、また、オープンな、できれば居間のようなスペースでネットや携帯を使って、そして、常に親子で、母親の側もこうしたパソコンや携帯というのはなれていなくて、なかなかその機能なども親の側がわからないというケースも非常に多いわけでございます、私たちの子供のころにはなかったものでございますので。ですので、親と、どう使っていくのか。

 本来であれば、いろいろな道具であって、私たちの生活を豊かにしてくれる、一瞬にして世界じゅうの知識を集めることができるツールでありまして、その道具を使って自分の生活を豊かにしていくものなのですが、それが逆にいってしまう。こうした親と子のもともとの関係性というようなものもかかわってくるんだろうなという気がいたします。

 e―ネットキャラバンもさらに活発に行っていただきたいというふうには思うんですが、数が非常に少なかったように思っておりまして、このe―ネットキャラバンの現在の取り組み状況がどのようになっているか、お教えいただけますでしょうか。

○武内政府参考人 e―ネットキャラバンでございますが、平成十八年度では四百五十三件、今年度でございますが、十一月末までに既に七百九件の講座が開催されてございまして、受講者の数は十三万人を超えてございます。今年度は昨年度の二倍以上のペースで申し込みがなされているということで、非常に順調に実施件数が増加してございます。

 また、受講者のアンケートの結果によりますと、アンケートに回答した受講者の九割以上の方がe―ネットキャラバンの講座内容は役に立つというふうに回答されるなど、講座に対しては非常に高い評価が得られたところでございます。

○古屋(範)委員 全国ですので、ふえたとはいえ、まだまだ数が少ないのかなというふうに思っております。

 我々が子供のころにはなかったこうしたネットによる情報の収集ということに関しましては、やはり子供は免疫がないわけでありますし、また、教育の場においても、国語や算数、理科のように、情報をどう受けとめていくかということに関する子供への教育というのはまだまだ未開拓であるというふうに思います。

 情報を遮断しようとしてもできるものではない、時代が逆戻りすることはできないというふうに思います。であるならば、こうした携帯、ネットに関してどう子供が向き合っていけばいいのか、親も同様にこうした情報をどう取り入れるその価値基準、これは拒否をするあるいはこれは自分の身につけていこう、そうした子供の情報に対する価値判断基準、こういったものを教育する場というのがもっともっと必要になってくるのではないかというふうに思っております。

 次に、こうしたe―ネットキャラバンなど、総務省においても取り組みを進めておられ、年々その数も上昇をしているということは非常に喜ばしいことだと思っております。また、インターネットサイトを見ていますと、目を背けたくなるような画像、またそういうものに遭遇したくなくとも出会い系サイト等々に遭遇してしまうということもございます。このようなインターネット上の有害な情報に対しまして、総務省としてどのような取り組みを行っていらっしゃるのか、この点についてお伺いをいたします。

    〔委員長退席、笹木委員長代理着席〕

○武内政府参考人 インターネット上の有害情報に対する取り組みでございますけれども、総務省では、いわゆる有害情報が掲載されたサイトへの対応といたしまして、平成十七年八月に専門家から成る研究会を開催いたしまして、プロバイダーですとか電子掲示板への管理者による有害情報の削除が適切に行われるよう、その方策について検討してまいったところでございます。昨年の八月に報告書がまとまってございます。

 この議論を受けまして、総務省の支援のもとで電気通信事業団体において検討が行われまして、昨年の十一月に、違法情報への対応ガイドライン及び違法・有害情報への対応に関する契約約款モデル条項が公表されております。

 さらに、フィルタリングについてでございますけれども、これは、受信者側で情報の取捨選択を可能とするということで、有害情報から青少年を守るための有効な対策というふうに認識をしてございます。

 総務省におきましては、これまでも、携帯電話事業者と連携いたしまして、携帯電話向けのフィルタリングの研究開発を平成十六年度から行いまして、平成十七年夏以降、この研究開発の成果を生かしまして、携帯電話事業者によるフィルタリングサービスの提供を開始しているところでございます。

 また、先ほど申し上げましたように、総務省及び事業者は、文部科学省と連携いたしまして、主として保護者、教職員を対象に、インターネットの安心、安全利用に向けた啓発講座でありますけれども、e―ネットキャラバンを実施するなど、利用者啓発の充実にも取り組んでいるところでございます。

○古屋(範)委員 当委員会でもNTTドコモに視察に行かせていただき、特にフィルタリングにつきましては、既存の契約者をどうするか、あるいは業者間での取り組みに差がある量販店のサービスをどうするかなどなど、さまざまな課題が明らかになったところでございます。

 こうしたプロバイダー等による削除が進められているということではございますが、インターネットでは、削除を一層促進する必要があることなど、課題も多いというふうに思っております。総務省として、今後の取り組みの強化の必要性についてどうお考えか、副大臣にお伺いいたします。

○佐藤副大臣 先生御指摘の、青少年が出会い系サイトなどに携帯電話を通じてアクセスをいたしまして事件に巻き込まれるケースというのは、依然として大変多発をしているところであります。総務省といたしましても、受信者側で情報の取捨選択を可能とするフィルタリングサービスのさらなる導入促進に取り組む必要があるというふうに考えております。

 青少年を有害情報から守る観点から、昨日、総務大臣から携帯、PHS事業者に対しまして、フィルタリングサービスの一層の導入促進の新たな要請を行ったところであります。

 これを受けて、携帯、PHS事業者においては、一つ目といたしまして、新規契約時に親権者が不要としない限りフィルタリングサービスを設定すること、二つといたしまして、既に契約しているすべての十八歳未満の使用者に関しまして、フィルタリングサービスの設定が原則となるよう働きかけを行うこと、そして三つ目といたしまして、代理店等に対する指導徹底をするなどの取り組みを行うというふうに伺っております。

 また、違法・有害情報の削除につきましては、目視による情報確認に多大な労力を要するなど、特に中小のプロバイダー等において負担が大きいというふうな御意見がございます。適切な削除をさらに促進するための支援が必要というふうに認識をしておりまして、対応してまいりたいというふうに思います。

 フィルタリングの導入促進、電子掲示板の管理者等による違法・有害情報の削除等のさらなる促進策などについて、インターネット上の違法・有害情報への対応に関する検討会を開催しているところでありまして、引き続き総合的な検討を行ってまいりたいというふうに思っております。

 よろしくお願いいたします。

○古屋(範)委員 昨日、総務大臣が携帯またPHSの業者に対し要請を行ってくださったということでございます。今御説明のありましたフィルタリングサービスの徹底等々、ぜひ今後とも各業者におきまして速やかに実行されますよう、この監視また推進をよろしくお願いいたしたいというふうに考えております。

 時間ですので、最後に一言、上川大臣に、こうしたインターネット上の有害情報対策に取り組む大臣としての御決意をお伺いして、質問を終わりたいと思います。

○上川国務大臣 情報化社会がこれからもさらに進展していくという中で、子供がインターネットや携帯電話を利用していく機会はこれからますますふえていくというふうに思っております。

 もちろん、子供のモラル教育、情報モラルの教育という形での光の部分と影に対応する教育の部分については十分に尽くしていかなければいけない。と同時に、保護者に対しても、この光の部分と影の部分が大変危険が大きいんだということを、改めて事の重大性を認識していただかなければいけないというふうに思います。

 そういう意味で、これからも有害情報から子供たちを守って、健やかな育ちが可能になるように、あくまでも子供の健やかな育ちというところの視点に立った取り組みに、関係省庁、力を合わせて、全力で取り組んでまいりたいと思っております。

    〔笹木委員長代理退席、委員長着席〕

○古屋(範)委員 時間でございますので、以上で質問を終わります。

 ありがとうございました。

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