第174回国会 衆議院 厚生労働委員会 20号

○古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。

 法案の審議に入る前に、ドクターヘリについて何問か質問していきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 二〇〇一年の四月に、国内で初めて医師を乗せて現場に急行するドクターヘリが導入をされまして、九年たちました。公明党としても、ドクターヘリの全国配備に向けまして、力を入れて取り組んできたところでございます。

 厚生労働省の研究班によりますと、このドクターヘリ、救急車と比べまして、医師による治療開始時間を平均で二十六分短縮ができる、あるいは患者の死亡率を二七%、また重度後遺症を四七%も減らす効果があるということであります。こうした効果のあるドクターヘリの導入促進につきましては、都道府県と関係機関に強く働きかけるとともに、国は必要な支援をしっかりと行っていかねばならない、このように考えております。そのためには、適正な財政措置というものが何よりも必要であります。

 二〇〇八年四月から全面施行されました特別措置法では、年間一億七千万円の運営費、基準となる一病院当たりの出動回数を年二百四十回としております。これを超えますとヘリの運航会社の持ち出しということで、結局、飛ばせば飛ばすほど赤字が出るというようになってしまいました。ドクターヘリは患者の救命のために出動するものでありまして、この一億七千万円を超える費用についてはヘリ運航会社の負担となるということは、やはりこれはよくないというふうに考えております。全額公費で賄うのが筋ではないかと思っております。このままでは、このドクターヘリ、さらに導入が広まるどころか、赤字で運航会社が立ち行かなくなる、このような懸念がございます。

 日本航空医療学会の調査によりますと、二〇〇八年度は、十六道府県十八病院で五千六百三十五回出動しておりまして、一病院当たりの平均出動回数が三百十三回ということでございます。社団法人全日本航空事業連合会の実績では三百九十回となっておりまして、十二病院で国の想定を超える、二百四十回という想定を超えております。

 こうした中で、本年度からドクターヘリ導入促進事業の補助基準額が引き上げられました。これは評価をしたいと思っております。しかし、各自治体の財政状況が非常に厳しいということもありまして、必ずしもこの運航経費が賄える状況になっているとは言えないわけです。さらに補助金の増額が必要ではないか、このように考えますけれども、長浜副大臣、この点、いかがでしょうか。

○長浜副大臣 ドクターヘリに関しましては、国会においてもドクターヘリ推進議員連盟が大変活発な活動をされているということはよく理解をしているところであります。古屋理事はこの議連のたしか発起人という形でありましたし、超党派の議連でありますので、私の昨年の知識では、民主党の多くの議員と、役員は大村理事とか加藤理事とか、社民党の阿部先生もこの役員として活動されているということで、厚労省が推進をするドクターヘリの導入に大変御理解と御協力をいただいていることを厚く御礼を申し上げるわけでございます。

 もちろん、昨年の七月七日の議連の中間取りまとめ、あるいは十一月十八日の決議等も読ませていただいた状況の中において、今御指摘があったところの財政措置を何としてもしていかなければならないということで手当てをし続けているわけでございます。昨年は二十四機分の予算を計上したところでありますけれども、本年度は二十八機分ということで、予算額は二十七億三千万を計上しております。昨年が二十億一千万でありましたので、対前年比では三五%の予算増ということをしているわけであります。

 また、委員の御説明のとおり、出動回数がふえているということもありまして、補助基準額について、ドクターヘリの運航回数の増加等を踏まえてということで、前年度から約四千万円の増額、先ほど一億七千万の二十一年度予算の御紹介がありましたけれども、本年度は二億一千万に引き上げたところでございます。

 今後とも、地域における救急医療体制の確保のため、また、この委員会でもさまざま指摘されております医師不足の問題等を含めて、積極的にドクターヘリの全国配置について取り組んでまいる所存でございます。

○古屋(範)委員 ありがとうございました。

 一カ所当たり四千万の増額ということでございます。こうした国の補助金増額の措置に対しまして、きょうは渡辺総務副大臣においでいただいておりますので、お伺いしてまいります。

 各県の対応というものがまちまちでございまして、県によって、予算は考えていないとしているところ、三月時点では、北海道、埼玉、神奈川、愛知、大阪府というような状況でございます。いろいろまちまちでございます。これでは、せっかく国の補助金の増額を認めても、県が予算化をしなければ、こうした運航に関しまして補助金を受けるということができないわけであります。国としても積極的に各県へ働きかけを行ってほしいというふうに考えております。

 それとともに、現在、都道府県の負担分の半額を特別交付税で支援をされているわけなんですが、全自治体が導入を考えることができるよう、ドクターヘリの地方負担分について地方交付税措置を充実すべきではないか、このように考えておりますが、副大臣、いかがでございましょうか。

○渡辺副大臣 古屋委員を初め公明党の皆さん方がドクターヘリの導入に大変積極的であることは、私どももよく理解をしております。

 結論から申し上げますと、平成二十一年の三月に交付されました特別交付税から、私ども総務省では、国民の命を守るということで、実は、その自治体の財政力に応じまして地方交付税の措置を引き上げをいたしました。ちなみに、財政力指数が一・〇以上のところは〇・五でございますが、財政力指数が〇・四以下の自治体においては特別交付税による措置率を〇・八まで引き上げをいたしました。

 これは原口大臣のリーダーシップで、感染病ですとかあるいは災害という点について、国民の命に大きく影響を与えることについては特別交付税の措置を手厚くしようということで導入しておりまして、今後も、交付税を持っている総務省としては、地方財政の措置を通じて、ドクターヘリが地域医療体制の充実に適切に対処できるように、厚生労働省ともいろいろ連携をしながら、また自治体の要望を聞いて、適切に支援をしてまいりたいというふうに考えております。

 私どもも、私のことでございますが、静岡県は、実は、県の中山間地を抱える県西部と伊豆半島で非常に二機のドクターヘリが活躍しております。これによって救命された、後遺症を残さずに済んだという大変な声もいただいております。いろいろ改善すべき点も今後出てこようかと思いますが、ぜひまた委員とともに充実に向けて努力してまいりたいなと思っております。

○古屋(範)委員 ありがとうございました。

 財政力指数に応じて地方交付税を引き上げてくださったということであります。感謝を申し上げたいと思います。

 私たち公明党も、地方議員が多く、ネットワーク政党でございますので、こうしたところ、議会からも声を上げるようにということで、私も今、都道府県議会議員とも力を合わせて努力をしている最中でございますので、今後ともよろしくお願いしたいと思います。

 ドクターヘリ、最後の質問でございますが、航空機燃料税でございます。これは公共用飛行場の整備の目的税ということでありまして、利活用の恩恵を受けないときのヘリコプターの給油につきましてはこれをぜひ免除していただきたい、このような要望が来ております。もちろん、公共飛行場での給油については課税対象であるということは、これは異議のないところではございます。

 そもそもヘリコプターは、農薬散布ですとか送電線の巡視あるいは測量等の作業に使用されておりまして、作業の性格上、その離着陸は、公共用の飛行場以外の、山間僻地で、設置をされている場所で行われることが多いわけであります。

 そして、この給油も、公共用飛行場以外の場所、ドラム缶、ローリー車からの給油なども行われておりまして、この費用というものは法外に高いものであります。特に、ドクターヘリは救命救急という人命救助という使命を持った仕事をしているということでありますので、公共用飛行場以外の場所での給油に関しましては航空機燃料税をぜひ免除していただきたいと思うんですが、この点、御所見をお伺いしたいと思っております。

○長浜副大臣 私自身も税調のメンバーでございますので、税調の中での租特の議論というのが、いわゆる見直しも含めて盛んに議論をされているところでございます。

 と同時に、ドクターヘリの運航に必要なヘリコプターの賃借料、操縦士の人件費、それから保守点検料等の経費、さらには搭乗するお医者様とか看護師さんの人件費、そして、先ほどの補助の基準の中においては、航空機燃料税を含めた燃料費も補助の対象になっているということもありまして、これを租特の手法の中でやるというよりは、今第一問目で議論させていただきました、こういった補助をどうするかという中においてこの問題に取り組んでいければというふうに思っております。

 いずれにしましても、先ほど申し上げましたように、補助基準の見直し等々を含めて、二十一年から二十二年においても大幅な見直しを行ったわけでありますので、引き続き、国家の補助あるいは先ほど総務省に御質問いただきましたような形での地方財政への補助等についても取り組んでまいりたいと思っております。

○古屋(範)委員 税制面では厳しいという御答弁であったかと思いますが、ぜひ、補助金とそれから税制のダブルで支援をしていただきたいというふうに思っております。今後とも、ぜひ、ドクターヘリ普及促進のお取り組みをお願いしたいと思っております。

 両副大臣、ドクターヘリの質問は以上でございますので、御退席いただいて結構でございます。ありがとうございました。

 次の質問に移ってまいります。通告をしておりませんが、私も、B型肝炎訴訟について一問御質問させていただきたいと思っております。

 先ほど大村委員の方からもございましたけれども、B型肝炎訴訟北海道訴訟の口頭弁論で、国側は地裁の和解勧告に応じるということを正式に表明したということでございまして、和解協議入りしたということでございます。

 こうしたB型肝炎訴訟、先日、十一日ですが、公明党肝炎対策プロジェクトチーム、山口代表も出席をいたしまして、原告団また弁護団の方々とも面会をいたしました。私たちも、これまで薬害肝炎救済法あるいは肝炎対策基本法等々、肝炎対策には力を入れて取り組んでまいりましたけれども、大臣に、今後、和解協議に臨む基本的な姿勢、これについてお伺いしたいと思います。

○長妻国務大臣 B型肝炎の問題につきましては、総理大臣初め協議をいたしまして、政府全体で取り組んでいこうということで、関係閣僚も協議を重ねてきょうの回答に至りました。今後、誠実に交渉をし、我々としては、この問題の解決に向けて取り組んでいきたいというふうに考えております。

 大村委員の質問で、詳細に具体的な発言の全容というのがなかなかありませんでしたので、あらましを国会で申し上げましたけれども、必要があれば、きょう発言した短いのでございますが、そういう発言の具体的中身も今手元にございますので、先ほど申し上げましたような中身でございますが、席に着くということと、和解対象者の範囲などいろいろな論点はある段階であるということで、裁判所を仲介として、我々としては誠実に対応していきたいと思います。

○古屋(範)委員 先日、原告団の方々も、ともかく時間がないというふうにおっしゃっています。肝硬変から肝がんに進行していくという中で、今おっしゃいましたように、ぜひとも誠実に、国を挙げて全力で和解に応じていただきたいというふうに思っております。民主党は野党時代、和解に応じるということを強く主張されてきたわけでございますので、ぜひともその約束どおりに適切に対応していただきたい、このことを強く申し上げておきたいと思っております。

 それからもう一つ、抗がん剤ドキシルのことについてお伺いをしてまいります。

 抗がん剤ドキシルの算定方法なんですが、昨年四月に、多くの卵巣がん患者が待ち望んでおりました抗がん剤ドキシルが卵巣がんに対して適応追加がされました。二〇〇七年一月に適応追加の申請が出されてから約二年三カ月後の承認でありまして、ドキシルの早期承認を求めて立ち上がった卵巣がん体験者の会スマイリー、ここが展開をいたしました署名活動は十八万人もの方が賛同したと伺っております。これもマスメディアでも大きく取り上げられまして、関係者の方々より感謝の声が多数届いているということでございます。

 しかし、承認はされたんですが、これまでDPC対象の病院でドキシルは出来高払いが認められておりましたけれども、今回の二〇一〇年度の診療報酬改定で、ドキシルは出来高払いの一覧から消えてしまいました。

 ドキシルは「DPCにおける高額な新規の医薬品等への対応について」で、薬価が高額であることから出来高払いとなったと説明されていた経緯がございます。私は、そのような薬が包括払いになって大丈夫なのかと非常に心配をいたしました。このことについては関係者の皆様からも懸念の声が寄せられているということから、その問題の大きさがわかると思います。

 ドキシルは高価な薬であるために包括払いの範疇にはおさまらないということで出来高払いになったはずであります。それを今回、再発卵巣がんの治療点数もそのままにしておいて包括払いにするということは、結局、医療機関になるべく使うなと言っているに等しいわけであります。三日間の入院で二十六万円の赤字が出ると言われる治療を病院側に努力で賄えと言っても、これは無理があるわけです。

 DPC対象の病院にかかる負担が大きくなることで、よりよい治療法が適切なタイミングで受けられない、そういうリスクを制度的につくるのはいかがなものか。包括化をやるのであれば、診療点数を十分に上げるかあるいは出来高払いにするかということ、どちらかだと思います。本当にドキシルが包括払いで対応できるのか、いま一度、本当に大丈夫なのか検討し、必要に応じて修正するべきではないか、このように思いますけれども、この点について大臣の御所見をお伺いいたします。

    〔委員長退席、中根委員長代理着席〕

○長妻国務大臣 今おっしゃっていただきましたように、卵巣がんに対する抗がん剤のドキシルは非常に高価な薬であるということで、これが四月から診療報酬改定においてDPCの包括評価制度の中に入った、簡単に言うと定額払いになったということで、ということは、高いドキシルを使うとその部分が頭が出てしまうとすると、卵巣がんのもうちょっと安い抗がん剤にしようという病院がふえて、効果がある薬を我々は使ってほしいという立場でありますので、それについてどう考えるのかという御指摘でございます。

 きょうも御指摘をいただきましたので、我々としては、これは十分検討をして、本当に必要があれば、ことしの秋ぐらいまでには、例えばもとに戻す、出来高払いにするというようなことも含めて検討していきたいというふうに考えております。

○古屋(範)委員 ことし秋までに検討をして、必要があればもとに戻す、このような御答弁であったかと思います。ぜひ、これは患者の要望が非常に多い点でございますので、前向きに、また早急に結論を出していただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 では、児童扶養手当改正案についての質問に入ってまいります。

 母子家庭、父子家庭、一人親世帯であっても安心して生活ができるように、これは政治の責任であると思っております。一人親家庭は経済的に非常に深刻な問題を抱えた場合が多い、父子家庭においても同じであります。父子家庭の中には、もともと低所得の方もいらっしゃいますし、また、最近リストラに遭ったという方もいらっしゃいますでしょう。

 今回の改正で、父子家庭に新たにこれを支給するとしたことは、母子家庭と同じ窮状にありながら経済的に厳しい状況を強いられてきた父子家庭の生活が少しでも改善するということで、私たち公明党も、これまでこうした問題点を指摘してまいりましたけれども、これは評価したいというふうに思っております。

 しかしながら、この児童扶養手当、さらに改善すべき点も多く残されているというふうに思っております。公明党としても参議院サイドに対案を提出しまして、どうせ改正をするならもう一歩先に進めたい、このような観点から、今回、対案も提出をしております。

 まず初めに、今回の改正案は、父子家庭に対する児童扶養手当の支給開始のみが主な内容となっておりますけれども、児童扶養手当減額措置の廃止についての内容が盛り込まれていないわけであります。

 民主党のマニフェストでは、父子家庭への支給とともに、五年以上の受給者等を対象に行っている児童扶養手当の減額制度を廃止する、このことが明記をされていたはずであります。また、この減額措置に係る規定を削除することを内容とする児童扶養手当法の一部を改正する法律案も提出をされています。しかし、今回、児童扶養手当の減額措置の廃止が盛り込まれていないということは、一体どういう理由によるものなのか。

 現行制度では、母子家庭の自立を促進する観点から、支給後五年を経過すると最大二分の一削減をするということを定めております。この一部削減については二〇〇八年四月から実施予定でありましたけれども、私たち前政権におきまして、あくまで就業意欲が見られない方のみについての措置とすることで、実質凍結を行いました。この結果、実際、本人の意思に反して一部支給停止となる事例は基本的には見られないはずであります。そうであるならば、この十三条の二の規定を撤廃、廃止することは特段支障がないはずであります。

 民主党のマニフェストに大きく掲げたこの項目、支給停止制度の廃止をなぜ今回盛り込まなかったのか、この理由についてお伺いいたします。

○長妻国務大臣 これにつきましては、私どもの民主党のマニフェストに書かせていただいておりますので、一期四年の中で実現に向けて努力をしていくということでございまして、今回については、政府内の調整というものがつかなかったということもございますので、そういうことで努力をしていきたいと思います。

○古屋(範)委員 今回の改正案には盛り込むことができなかったということでありますが、ぜひ、これに関しましては、一期四年といわず、早急に検討し、法改正を目指していただきたい、このように考えております。

 次に、一人親家庭の問題につきまして、先ほどもほかの委員からもございましたように、養育費未払いにつきまして抜本的な改革が必要である、このように考えております。

 離婚後も親と子の関係というのは切れないわけでありまして、また、父親、母親の両者に養育責任があるにもかかわらず、養育費を受けたことのない母子世帯、これが平成十八年度全国母子世帯調査によりますと五九・一%でございます。さらに、養育費の取り決めをしていない母子世帯が五八・三%、している者は三八・八%にとどまっているわけであります。

 海外におきましては、宗教上の背景もあるということですが、離婚のときにこうした養育費の取り決めをしなければ離婚は認めないというような国もあると聞いておりますけれども、さまざまな事情でもともと取り決めをしていない、こうした家庭が非常に多いわけでありますし、ましてや、取り決めをしていても支払わないという状況であります。

 国としても、平成十四年の母子寡婦福祉法の改正におきまして養育費支払いの責務等を明記いたしまして、さらに平成十九年には養育相談機関を設立するなど、養育費に関しまして情報提供あるいは支援、相談等の取り組みを行っておりますけれども、やはりこの養育費支払いの状況を見ますと、なかなか改善されていないというのが現状だと思っております。実際、離婚された方に聞きますと、一刻も早く別れたいということで、とてもこういう協議をするような状況ではなかったとか、特に家庭内暴力を受けているような場合には、なかなかこうした協議も難しいということであります。

 法務省との連携はもちろんなんですが、ぜひ大臣のリーダーシップのもとで、欧米諸国のように、養育費の徴収のための特別制度、このようなものを考えてもいいのではないかと思います。そして、支払いがもし履行されないような場合は、その一定額については国が立てかえる、そしてその後取り立てる、このような制度の創設など、養育費支払い制度を抜本的に改革すべきだ、このように考えますが、大臣の御所見をお伺いいたします。

○長妻国務大臣 まず、おっしゃられたように、欧米諸国を調べてみますと、アメリカ、フランス、ドイツ、イギリスについては、行政機関等が養育費を強制的に徴収する、こういう仕組みがあるということであります。ただ、調べてみますと、今申し上げた国は、離婚というのは裁判によってのみ離婚ができる、こういう法律というか、きちっと裁判所の認定というのがかませてあるので、そういう手法もやりやすいのではないかと思います。

 翻って、日本は、協議離婚が全離婚の九割を占める、裁判所ではないということでありますので、それを直ちに、どういう仕組みにしていくかというのは検討を要すると思いますが、民事執行法を改正いたしまして、養育費については将来分の差し押さえも可能になるというようなことで一定の改善がなされておりますので、その使用状況といいますか実態も見て、我々、考えなければいけないときが来れば、検討が必要だというふうに思います。

 いずれにしても、相談機関の充実、あるいは今もある、自立支援センター等の養育費専門相談員というのもいらっしゃいますので、そういう方々の強化などなどを通じて、やはり現在も養育費を受けているという母子世帯が二割ということで、これは相手にもいろいろな事情はあるとは思いますけれども、やはり低い数字であるというふうに考えますので、今申し上げたような形で努力をしていきたいと思います。

○古屋(範)委員 確かに、法務省との連携、厚生労働省だけではこうした問題を全面的に解決するというのは非常に難しいと思いますけれども、まずできるところから、養育費、この拡充に向けて努力をしていただきたいというふうに思っております。

 やはり、どちらかといえば女性の側にどうしても苦労がかかってしまうというのが現状であると思いますので、この点について、ぜひとも他省庁も、関係省庁を巻き込んで、抜本的に改善をしていただきたい、このように思いますので、よろしくお願いをいたします。養育費の確保につきましては、私たちもかなり前から取り組んできた課題でもございました。

 次に移りますが、児童扶養手当法の第四条の四項、また五項には、いまだ未施行となっております、婚姻を解消した父母について、父または母の前年の所得が一定以上である場合に、児童扶養手当を支給しない、こういう条文が含まれております。そして、この所得の範囲等につきまして、政令で定める旨の規定が盛り込まれております。私たちは、養育費の確保がままならない現状において、この規定は削除すべきではないか、このように考えております。

 実際、この規定は、昭和六十年の法改正の附則において、「政令を定めるに当たつては、婚姻を解消した父の児童に対する扶養義務の履行の状況、当該父の所得の把握方法の状況等を勘案しなければならない。」とされておりまして、今申し述べたとおり、養育費確保の現状を踏まえ、現時点では、この政令は制定する時期に達していないとの判断で、未施行となっております。この規定は、養育費の確保が確実となるなど、環境が整ってから改めて見直すべきであると思っております。

 そこで、現状をかんがみまして、今回の改正において、父または母の所得による支給制限の措置に係る改正規定を削除してもいいのではないか、そのように思いますが、この点に関して大臣の御見解をお伺いいたします。

    〔中根委員長代理退席、委員長着席〕

○長妻国務大臣 これについては検討課題とさせていただきたいというふうに思います。

 この趣旨といいますのは、やはりお金をきちっと持っておられる方は、養育費を払えるわけでありますので払うべきである、こういう考え方、この考え方自体は間違っていないわけでございますけれども、現実に今、母子家庭の約二割程度しか養育費の支払いを受けていないということになりますと、結局、その母子のお母様が、向こうが払わなければ不利益をこうむるというようなことにもなりかねないわけでございまして、今、施行は停止しておりますけれども、この条文を削除する、しないについても検討課題とさせていただきたいと思います。

○古屋(範)委員 養育費の確保と表裏一体の問題でありますので、ぜひ検討していただきたい、このように考えております。

 次に、今回の改正で大きな課題となっておりますのが、DV、配偶者からの暴力被害などが原因で事実上離婚状態にある児童への支給の問題であると思っております。

 現在、父親が一年以上遺棄している状態であれば、離婚はしていなくても児童扶養手当の支給対象となっておりまして、DV被害者が子を連れて、避難のためにともかく家を出た場合に、遺棄の認定がおりることもあるというふうに聞いております。このような認定については判断基準が示されておりまして、各市町村において、実際には、機械的に適用するのではなく、事実関係を総合的に勘案して判断している、そのように伺っております。関係者からは、一層の運用改善を求める声があることも事実であります。

 やはり、一番大変な状況にあるDV被害者が、実際には、法的には離婚の協議に入れない。しかし、命からがら、身一つで子供と逃げてきている。こういう場合に、体制整備が非常に大事ではないかと思っております。

 DV被害者にとりましては、子供を連れて逃げ出すというのは、幼稚園や学校も当然あるわけですし、これは非常に大変なことであります。遺棄の認定がおりることもあるというのでは、認定まで待てるのか、また、認定されなかったらあすの生活は一体どうなるのかということであります。生きるか死ぬか、そうした暴力から身を守るために避難をしなければならない、子供たちが悲惨な目に遭わされていて、また子供たちがこのまま、父親に追い詰められ、場所を捜されてしまう、そうした不安がぬぐえない。本当に、心身ともに非常にせっぱ詰まった状況にあるわけです。

 どのように生活していけばいいのか、将来の見通しも立たない、とにかく別居して自分の身の安全を確保しなきゃいけない、離婚をしなければいけないという中で、極度の緊張感、不安というものがあるわけです。このような状況にある被害者にとって、児童扶養手当は一つの命綱である、このようなことが言えるかと思っております。

 そこで、DV被害者家庭に対してより早く児童扶養手当の支給を可能にするために、遺棄というものとはまた別に、DV等の場合の児童を支給対象として追加すべきである、このように考えております。また、余裕のない生活を送る中で、この制度の存在すら知らない、そういう方々も少なからずいると思われます。対象者へ制度の情報が確実に届くよう、この周知徹底が重要であると思います。この点についてお伺いをいたします。

○山井大臣政務官 古屋委員にお答えを申し上げます。

 三月の委員会で、公明党の山本香苗委員からもこの点を御指摘いただきまして、今回の公明党の修正案にもこの点が入っているわけであります。

 私も、学生時代、母子生活支援施設でボランティアをしておりまして、本当に別れたくても夫が別れてくれなくて、その夫が、お母さんと子供を取り戻すためにその母子生活支援施設にどなり込んでくる。それから逃れるために、母子生活支援施設ではわざと偽名を使って、本名は名札のところに書かないとか、本名を使ってしまうと夫が追いかけてくる、追いかけてきて、悪い夫であるにもかかわらず離婚をしてくれない、そういうふうなケースを私も何度も見ております。

 そういう趣旨からいくと、今回の古屋委員の御指摘、一年たたないと児童扶養手当が出ない、命綱だからもう少し早く、本当に一番困っているんだから出してもいいじゃないかという趣旨というのは、本当に、ある意味で、その方々の立場に立った一つの御主張であるというふうに思っております。

 それで、山本香苗委員からも御質問いただきましたので、二カ月間、省内でも議論をしておりましたが、三点ほどございます。

 一つは、離婚調停の申し立ての例では、調停を申し立てた後でも、その後、婚姻を継続するケースが少なからず存在するということや、また、自治体の現場でも、離婚していると同様の状態にあると判断するために、夫婦の関係や父と子供の関係などさまざまな要素を踏まえ、状態が一年は継続することを要件とした方が適切な判断が可能となるとの意見もあったり、加えて、現場で適切な事務を行うためには、離婚と同様の状態にある場合について、客観的に判断できる基準の設定が必要となるが、一年以上の期間というのにかわって、例えばそれより短い期間を設定する場合、その期間の設定というものは非常に難しいというふうに考えております。

 さらに、DV以外のケースにおいても、離婚しているのと同様の状態は存在することから、これらのケースとの違いの整理も必要であり、法律上、婚姻している以上、父にも母にも子の教育、監護を行う義務は継続しているものであり、御指摘のケースについては、一年以上たたずに支給するということに関してはなかなか難しいというふうなところでございます。

 実は、一年以上のケースというのは、このケースだけではなくて、ほかの法律の要件でも一年以上というのがありまして、この一年以上というのを変えると、では、これだけなのかというふうにほかにも響いてくるという部分もあるわけでありまして、しかし、古屋委員御指摘のように、やはり命綱でありますから、こういう制度があるということをそういう本当に逃げている母子にも周知徹底していくことなど、必要な母子にこの手当が一日も早く支給されるような努力はしていかねばならないと考えております。

○古屋(範)委員 ただいま政務官の方から、三点にわたって、法改正が難しい点について御答弁をいただきました。

 であるならば、政令での対応はどうかということなんですが、こうした、一年というのは非常に長い期間でありまして、早急な対応が必要である。このことから、この児童扶養手当の支給対象になる児童、この法第四条第一項第一号、二号のイに、「父母が婚姻を解消した児童」と規定をされておりますけれども、ここに、ぜひ、DV被害者等が児童とともに生活をしている場合も支給することを追加する必要があるのではないかと私たちは考えているわけであります。

 もちろん、不正受給ですとか偽装離婚ですとか、そういうモラルハザードは、これは防いでいかなければならないわけでありますけれども、事実上離婚したと同様の事情にある児童について、これが現場では明確に確認できるわけでありますので、この問題について、今回の法改正にもし盛り込まないとするならば、これも、先日、山本香苗議員からも要求のあった点でありますけれども、この法第四条第一項第一号、二号、このホの「その他イからニまでに準ずる状態にある児童」として政令で定めることができるのではないでしょうか。

 DV被害者などへの支給は強い要望があるわけですが、今回の法改正においては、三年をめどとする検討事項というふうにしていらっしゃいます。これでは、やはり一刻を争う状態のDV被害者は救われないというふうに思っております。

 今回の改正案に先ほどのような理由で盛り込まないとするのであれば、準ずる状態にある児童として客観的に判断できる基準を早急に検討して、今回の改正に合わせた形でぜひ大臣が政治判断をしていただきまして、政令に支給対象児童として定めていただきたい、このように考えますが、この点はいかがでしょうか。

○長妻国務大臣 自治体の実務をしていただいている現場の御意見の中に、やはり、離婚していると同様の状態にあると判断するためには、夫婦の関係や父と子供の関係などさまざまな要素を踏まえて、その状況が一年は継続することを要件とした方が適切な判断が可能ではないか、これは不正受給防止の観点もあるので、なかなか一年以上の遺棄にかわる基準の設定というのは実務の現場からも今の段階では難しいという話をいただいておりますので、我々としても、先ほど山井政務官が法律的な改正については答弁を申し上げましたけれども、いろいろな課題がまだあるというふうに考えておりますので、慎重な検討が必要だというふうに思います。

○古屋(範)委員 ぜひこうした政令というもので柔軟な対応をしていただきたい、このことを再度要望しておきたいというふうに思います。

 このDV被害者に加えまして、さらに大きな課題がございます。私たちのもとに非常に多くの御要望をいただいている点でございます。それが公的年金との併給調整の問題でございます。母子家庭の母が失踪してしまっている、その子供が祖父母と一緒に暮らしていまして、その祖父母が老齢年金を受給している場合は、児童扶養手当を受給できないということであります。

 この併給調整については改正案の中でもそのまま残されておりまして、これでは、少ない老齢年金、そこに孫が帰ってきたということで、孫の面倒を見ている祖父母、こうした経済状況というのは非常に、さらに厳しいわけでありまして、児童扶養手当の支給が受けられないということ、その窮状が改善されないわけであります。

 そこで、今回、こうした場合の祖父母への児童扶養手当を支給できるよう、この併給制限の見直しをぜひとも行うべきだというふうに考えております。公的年金等との併給調整の考え方について、再度確認させていただきます。

○山井大臣政務官 古屋委員に、まず、併給調整という考え方について御説明をさせていただきたいと思います。

 児童扶養手当と年金というのは、ともに、稼得能力の低下、要は収入が少ないということに対する所得保障という同じ性格を有する給付であることから、両方受け取るということになった場合には、やはり、公的な所得保障を二重に行うということを避けるため、児童扶養手当と年金との併給調整を行って、児童扶養手当を受けられないということになっているわけであります。

 調整の方法としては、年金は保険料の拠出に基づく給付であり、権利性が手当よりもより強いと考えられることから、年金が支給される場合には、年金を優先して、児童扶養手当は支給しないこととなっております。具体的には、ほかにも、併給調整の例としたら、雇用保険と老齢厚生年金とか、労働基準法による遺族補償と遺族基礎年金、あるいは障害基礎年金と遺族基礎年金というような、ほかにも併給調整の例がございます。

○古屋(範)委員 これまでも伺ってきた御説明なんですが、この児童扶養手当は、昭和三十六年に国民皆年金制度のもとで死別母子世帯のために設けられ、母子福祉年金の補完的な制度として発足をしたということで、他の公的年金との併給制限があるということでもございます。

 しかし、この児童扶養手当は、その後、母子福祉年金制度の遺族基礎年金への吸収、廃止が検討される中で、昭和六十年の児童扶養手当法の一部改正によりまして、児童扶養手当制度の位置づけが、従来の母子福祉年金の補完的制度から、母子世帯の生活の安定と自立の促進を通じて児童の健全育成を図ることを目的とする、いわば福祉制度という位置づけになったわけであります。

 すなわち、公的年金給付ですとか遺族補償、こうした受給者の所得保障、こちらは受給者の所得保障を目的とする給付でありまして、児童の福祉の増進を目的としているこの児童扶養手当とは趣旨が異なるのではないかというふうに考えております。やはり、この併給調整はもうかけなくてよいのではないかというのが私の主張であります。

 さらに、祖父母がかわって孫を養育する、当然生活費が増大するわけですね。生活に困窮する場合というものも往々にして考えられます。それを一律に、二重の所得保障になる、児童扶養手当は支給しないということは、児童の健全な育成を図るという子供に着眼した児童扶養手当の趣旨から見ても、本当に妥当なのかどうかということであります。

 したがいまして、母が監護しない子供を祖父母が養育することとなった場合に、老齢年金等が支給されていることのみをもってこの児童扶養手当を支給しないとすることについてはぜひ見直さなければいけない、このように思います。再度、大臣のお考えをここでお伺いしたいと思います。

○長妻国務大臣 これはなかなか、年金の場合については、併給調整をしている他の手当も多いわけでございまして、非常に難しいわけでございますけれども、遺族年金、今は老齢年金のことでありますが、遺族年金に関しては、例えば母子家庭で遺族年金が入ってくると、これはもう児童扶養手当が支給がとまってしまう、こういうようなこともあるわけでありまして、これについては、私としては検討をしていく、どういう影響があるのかも含めて、いろいろ、すぐにそれが実現できるかどうかは別にして検討していきたいというふうに考えております。

○古屋(範)委員 遺族年金との関連性については検討していくというお答えでもございました。ぜひこの老齢年金の方もその検討項目に加え、ぜひとも前向きに検討をお願いしたい、このように考えております。再度要望をしておきたい、このように思います。

 それから、これも非常に御要望の多い点でございます、児童扶養手当の支払い月につきまして、現行では、毎年四月、八月、十二月と三回になっております。三回しか支払われないということでありまして、現場からは、こうした手当、支給を受けることは大変ありがたいんだけれども、生活費としては、大抵のものがその月一カ月単位で入ってくるというのが通常であり、毎月支給されると非常に助かるんですがという御要望をいただいております。

 これも何度も伺ってきた点でございますけれども、結局、市町村、そうした事務手続、作業効率のことを考えますと非常に難しいというお答えを毎回いただいておりますけれども、支給される側のこうした利便性に配慮していく、市民にとってうれしい行政サービスにもこれはつながっていくというふうに思っております。

 そこで、再度お伺いするんですが、この児童扶養手当について、支払い回数、これを例えば二カ月ごとにすることなど検討ができないかどうか、これについて御所見をお伺いいたします。

○山井大臣政務官 古屋委員にお答え申し上げます。

 実は、私も当事者の方々から、四カ月に一遍というのはやはりちょっと間隔があき過ぎじゃないか、待ち遠しい、非常にその四カ月が苦しい、最後の一カ月が特に苦しいという要望をたびたび聞いておりますので、古屋委員に答弁するのは非常に私も心苦しいのでありますが、二つ理由を申し上げますと、一つは、振り込み手数料が増加するということと、御存じのように、児童手当や子ども手当は六月、十月、二月と四カ月単位になっていまして、それと市町村の事務が混乱しないようにわざとずらして、この児童扶養手当は八月、十二月、四月と二カ月ずつずらしていっているわけでありまして、これをもう少し回数をふやすと、ただでさえ今支給で大変だということを言っている市町村にとってさらに負担を与えることになりまして、なかなか非常に厳しい、市町村、自治体の事務負担から考えて厳しいというのが状況であります。まことに申しわけございません。

○古屋(範)委員 子ども手当とのこうした支給月の関連性もございますでしょう。また振り込み手数料が増加をするということでもありますが、これも非常に現場の皆さんが困っている点でもございまして、ぜひとも全体的に、こういった支払い月の問題につきましては引き続き御努力をいただきたいと思いますので、何とぞよろしくお願いをいたします。

 最後の質問になってまいります。

 現在、厚生労働省は、総合的な母子家庭の自立支援策として四点、柱として推進をしていらっしゃいます。子育て・生活支援策、それから就業支援策、養育費の確保、また経済的支援策ということであります。これは主に母子家庭を対象としているものであります。父子家庭が対象とされておりますのは、保育所の優先入所、ヘルパーの派遣、養育費確保の取り組み、母子家庭等就業・自立支援センター事業の一部に限られているわけであります。

 しかし、父子家庭におきましても、母子家庭同様、さまざまな苦労を抱えていらっしゃるわけで、父子家庭だからよいというわけではございません。さまざまな側面からの社会的支援が求められております。今後、もっと父子家庭におきましても多様なメニューをそろえていくことが必要であると思っております。また、母子家庭に対する支援策につきましても、さらなる充実が求められると思います。

 雇用情勢が厳しくなりますと、真っ先に影響を受けるのがこうした一人親世帯であります。就業による自立に力を入れる余り、就労させることが目的となって、安い賃金で長時間働かなければいけない、あるいは長期の安定就労につながらない、そういう例も多いという批判を受けております。よりきめ細やかな支援を行っていく必要があるのではないかと思っております。

 これは港区の取り組みなんですが、昨年、港区の区役所に参りまして、ここの子ども課家庭相談センターというところで行っております一人親支援事業の内容を直接伺ってまいりました。

 担当者が、若林係長、女性なんですけれども、この子ども課というところに、児童扶養手当の申請など、そうした一人親、母子家庭のお母さんが相談に来る。多くの方々はやはりDV被害など離婚の問題を抱えていまして、その相談に、子供を育てるということは、やはりその親の生活、それから経済状況、仕事が大事ということで、ここはさまざま、二〇〇七年から、母子家庭、DVで悩む女性を対象に、家庭相談、就労相談、ホームヘルプサービス、休養ホーム事業、教育訓練給付、高等技能給付など、この窓口で一貫して、そのお母さんの精神的なケアですとか、それから生活、住むところがないということもあるんですが、そうした生活万般の相談をここで行っているという、非常に画期的な取り組みを行っております。

 特に、昨年の十月は五日から十日まで、港区ひとり親家庭就職応援会というのを行いまして、区の施設のワンフロアを、五十二社、これは母子家庭のお母さんを対象とするという企業を開拓しました。これを開拓したのは、ハーモニーレジデンスというところの福井真紀子社長なんですが、一人親家庭のお母さんは非常に生活がかかっているので、逆に就労に対しても非常に一生懸命であるということから、この福井社長が五十二社開拓をして、そこに一人親家庭のお母さんたちが、私が行ったときは四日目で、六十二人の方が来たということで、そこで正社員の就職を決めていかれたという方もいらっしゃるんです。

 こうした子供の支援とともに家庭の支援、また母親の精神的な支援とか仕事の支援、こうしたものを一体として行っていくことが大事なのではないかというふうに思っております。子供の貧困、また格差の拡大を防いで、真に必要な子供を守る、必要な方に必要な支援を行っていくということから、こうした全体的な一人親支援というものが必要だと思います。

 最後に、この点に関して大臣の御見解を伺います。

○長妻国務大臣 今、港区の取り組みを御紹介いただいて、非常に参考になります。

 あるいは、これは一人親ではないわけですけれども、ある自治体は、親御さんがよく来る公園に相談員を置いて気軽にいろいろな相談に乗るような、そういう体制をしいている自治体もあるというふうに聞いておりまして、国としてもやはりそれをサポートするために、一つは、母子家庭等日常生活支援事業ということで、これは御自宅に、父子家庭も対象なんですけれども、家事をサポートするホームヘルパーといいますか、ヘルパーの方を自宅に定期的にお送りする、こういう事業もございますが、まだまだ利用者が少ないということで、周知の問題あるいは予算の制約等々ございますけれども、これについてもニーズを見て拡充していきたい。

 あとは、マザーズハローワークということで、これは母子家庭だけではないんですが、お母様が働く場合に、それに特化して就職をお世話する公的機関、厚生労働省の労働局でありますが、これが百四十八カ所、前年度ありましたが、今年度は百六十三カ所に拡充する。

 あるいは、親御さんが職業訓練を受けるときに託児サービスも付加するような、訓練ということで、一人親のみならず母親の就労支援についても我々は取り組んでいきたい。

 あとは、何よりも、例えば看護師さんの資格を取るなど、高度な資格があると安定的雇用につく可能性が高まるということでございますので、高等技能訓練促進費等事業というのも、各自治体にその促進を働きかけていくということも強化をしていきたいということで、しっかり取り組んでまいります。

○古屋(範)委員 前政権においてもさまざまな一人親支援のメニューを考えてまいりました。大事なことは、そこにどうアクセスをしていくかということだと思っております。そこへの御努力をさらにお願いして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

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