第189国会 厚生労働委員会 28号

○古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。
 本日は、参考人の皆様方、御遠方より、御多忙の中、国会においでいただき、貴重な御意見をお述べいただきまして、大変にありがとうございます。

 昨年、国と地方の税財源を見直す三位一体改革では、地方、国との激しいやりとりが展開をされました。公明党としましては、地方分権を強力に推進するため、国から地方へ、また地方にできることは地方に、そして地方団体の理解が得られるものをと一貫して主張してまいりました。そして、三位一体改革の方向につきまして、おおむね地方団体の理解が得られたかというふうに考えております。

 きょうの本題に入ります前に、先ほども河内山参考人より、構造的な問題というような問題提起がございました。こうした医療、介護、年金、社会保障、またその他さまざまな、我が国の今後の将来に向けまして、そうした表面に出てきた多くの問題、課題、その地殻の奥にはやはり少子高齢社会というものが存在をしていて、そしてそこの大きなマグニチュードというものが、今激震が走っていると考えております。この問題に関しまして、国のみならず、地方公共団体、そして国民も企業も、皆が真っ向からこのことを認識し取り組んでいかなければいけないと考えております。

 公明党におきましても、この問題を党のメーンのテーマとしまして、今、少子社会総合本部を立ち上げ、さまざまな積極的な活動を展開しているところでございます。また、自治体、企業における子育て支援の行動計画の策定を義務づけました次世代育成支援対策推進法が、十年間の集中的な取り組みとしてスタートすることになっておりますが、どのような施策を展開するにせよ、各地方自治体のトップの皆様の意識というものが大変重要であることは言うまでもありません。

 そこで、本日お見えになっていらっしゃいます市町村長の皆様、この少子化、少子社会への強力な支援体制を構築すべきであると考えております。それで、参考人の皆様にこの少子社会に対する危機意識、また取り組みへの御決意など、河内山参考人、また山本全国町村会長、そして北町長、三方にお伺いしたいと思います。

○河内山参考人 古屋先生御指摘のとおり、次世代の育成支援、これは名前は非常に前向きの計画でございますけれども、非常に我々は危機感を持っております。

 高齢社会問題は、どちらかといいますと、団塊の世代が来年以降どんどん定年になられて、二十年もたちますと、二〇二五年になりますと団塊の世代の方が大体八十歳ぐらいになられます。そのための備えというのが、医療も介護も年金もそうなんですけれども、今我々の関心度合いも強いので、国も地方自治体もこれまで集中的に随分いろいろなことをやってまいりました。介護保険が始まって丸五年たとうとしているわけでございますが、まだまだ課題があるにせよ、一定の仕組みというのができ上がって、これによって随分助かったなという方はたくさんおいでになると思います。

 ただ、その次世代育成のことにつきましは、私も時折感じますけれども、例えば子育て中のお母さん方、一歳のお子さんをお持ちのときの悩みと、三歳のときと、五歳のときと、十歳のときと、どんどん変わっていきます。高齢者の方の悩みはある程度固定化しまして、六十五歳のときの悩みも七十歳のときの悩みも余り変わりませんが、お子さんをお持ちの方はお父さんもお母さんもどんどん変わってまいります。

 したがって、忘れやすいということもありますので、我々自治体としましては、固定的にというか定点的に、忘れないように、やはり年齢に応じて適時適切に、今欠けているものについては重点化をしなきゃなりませんし、今ある程度、例えば私が市長を務めておりました柳井市におきましては、例えば保育所の数についてはもう大体充足をしているとすれば、今度は、レアなケースも含めてどういうふうにお子さんたちをケアしていくかとか、そういったところを、やはり指摘されたこと、あるいは悩みを忘れないようにするということが自治体にとっては非常に大事ではないかなというふうに考えております。

 非常に幅の広い問題でございまして簡単にはお答えできませんが、そういう所感を持っております。

○山本参考人 的確なお答えができるかどうかわかりませんが、高齢化の問題は、私はいつも思っているのですけれども、自分自身が自覚しておりますから、高齢化は何とか切り抜けることができるだろうと思います。

 一方、少子化の方は、これはもう大変でございまして、いろいろな現実的な制度や、それから施設をつくったからといって少子化が解消するとは考えられません。

 一番大事なことは、やはり少子化というのは意識革命じゃないでしょうか。少子化がいけないんだということがいわゆる若い人たちに浸透しなきゃいけない。なぜ少子化になったかという原因をやはり私どもは真剣に追求していく必要があると思いますね。この少子化の原因をつかむことができれば、ではそれに対してこうすればいいというものができるのですけれども、ところが、その当該者の皆さんたちが意識的に、いや、それに乗っからないよということになれば、いつまでたっても少子化というのは解消することは難しいと思います。

 だから、ここで一番大事なことはやはり教育じゃないでしょうか。したがって、皆さんが、少子化では国が今後大変なことになるよ、重大なことだよという認識をして、では、少子化の弊害をなくしていくことに私どもは努力していくんだ、そういう考えになることが大事じゃないかと思いますね。

 だから、やれることは幾らでもやりますよ。例えば、お子さんが生まれたときに幾らの祝い金や、あるいは小学校に行くまではこういうこともやりましょう、あれもやりましょうとやっています。我々のところもやっておりますけれども、それでもなおかつ少子化が続いていくということは、すなわち意識革命がないから。私はそういうふうに思っておりますので、そういうところに力を入れていけば、私は、少子化は何とか、ある意味では少しは解消できるのではないか、そういうふうに思っております。

 以上です。

○北参考人 今、古屋先生、非常に時の問題として大切なことをお聞きいただきまして、ありがとうございます。今、私は全くそのとおりだと思います。少子化時代をどうとめるか、私どもの一番現場として苦労のあるところでございます。

 そこで、我が町の内容について少しく申し上げたいと思いますが、一つは、子育てに対して、若い子育て中のお母さん方がみずから、キッズネット、私どもの町は奈井江ですから、「キッズネットないえ」というのをつくりまして、みんなで保育し合おう、そして預け合おう、こういうサポートシステムを確立いたしました。これが十三年度から始まったのですが、非常に広がってまいりまして、家庭でもう子育ての終わった五十歳、六十歳、また七十歳の人たちもこれに参加していただきまして、援助会員という言葉を使っているのですが、その人たちも皆さんで、地域総ぐるみ、町総ぐるみで子育てをみんなで協力し合っていこう、こういうことで、報道にもちょっと大きく取り上げられたのですけれども、今、そういうサポートシステム、お母さん方みずから、町としてもこれについては支援をしております。保育士を配置いたしまして全面的に協力する。これが非常に功を奏してきているな、こういうふうに思います。

 そして、いま一つは、高齢化時代。この高齢化時代とどう結びつけるか。私ども奈井江町に特別養護老人ホームがございますが、これを開放して遊びのフロアを設置いたしまして、入所者や通所者と乳幼児、母親等の交流を図りました。そういうことで、今年の十七年度、予算化もいたしまして、入所者の人たちは、幼児を見る、子供たちを見る、孫、ひ孫の顔を見る、これによって本当に元気が出てきます。もう目つきが変わってきます。そして、子供さんたちのさまざまな行いに関心を持っている。こういうことを含めて総合的に、幼保総合施設というのがありますが、私は老保総合施設的にしていこうという取り組みを今させていただいているところであります。

 そこで、ちょっと申し上げたいのです。余分なことかもしれませんが、今、少子化時代の中で、全国的には一・二九人でございます。一人の女性が産んでいただける数といいますか、一・三二から減って一・二九になりました。

 ただ、東京は一人を切ってきました。都市は、大阪もそうでございます。地方は健闘しているのです。私の町も、実は七千人ちょっとでございますが、一・四七人であります。隣町の浦臼町というところがありますが、これは二千五百人ぐらいの町でございます、一・四八人でございます。それから滝川市は、四万七千人ぐらい、一・四五人ぐらい。それから産炭地の上砂川でございますが、これも五千人ぐらいの人口でございますが、一・六三人でございます。驚くなかれ、北竜町、二千人ですよ、その二千人の人口のところで一・九三人。それは平成十五年です。

 ただ、子育てして大きくなっていったら、みんな都市へ行っちゃう。ですから、これはある面では流れとしてやむを得ない。働く場がございません。

 いずれにいたしましても、地方はそれだけ健闘している。これは支え合う制度なんです。向こう三軒両隣なんです。そして、その中で、今日の少子化時代を切り抜けるためにはもっともっと地方に目を向けていただきたいとお願いを申し上げて、私の発言にかえさせていただきます。

 終わります。

○古屋(範)委員 ありがとうございました。それぞれに貴重な御意見をちょうだいいたしました。

 河内山参考人にお伺いいたします。
 前という名前がついておりますが、山口県の柳井市の前市長をされていたということで、グラフを見ますと、山口県は一人当たりの医療費が、決して低くはないというか、高いレベルにありまして、この原因についてはどのように、県、市でも結構ですが、お考えになりますでしょうか。

○河内山参考人 国保の連合会の理事長も私は仰せつかってやっておりましたので、山口県の医療費の特性としまして幾つか言えることを申し上げたいと思います。

 一つは、例えば国保の被保険者だけに限りましても、高齢者の被保険者の率が非常に高い。これは多分、島根県に次いで山口県が高い。したがって、山口県全体がある意味では高齢化先進県でございます。非常に速いスピードで高齢化が進んでいる県の一つだ。いわゆるそういう人口構成上の問題として、医療費が高どまりになっている原因があると思います。

 もう一つが、これがなかなか、山口県の場合もどこの県の場合も、鶏が先か卵が先かの問題になるんですが、医療提供の体制、医療供給量、もっと簡単に言うと、ベッド数とアクセスの容易さ。

 山口県は今市町村合併が進んでまいりまして、多分来年には十三市六町ぐらいに再編をされると思いますけれども、余り中核的な大都市がございません。瀬戸内海側、日本海側、それぞれバランスのとれた人口構成になっておりますので、その町々にというか、その市ごとにある程度の能力を持った総合病院が大体そろっております。そうしますと、患者さんの方からしますと非常にありがたいわけでございますが、医療供給体制が充実をするとやはり医療費は高くなるのかなというようなことを考えておりますが、これがなかなか、果たしてそれだけなのかどうかわかりません。

 いずれにしましても、高齢化の問題と医療供給、医療提供体制の問題、これは医療費の問題として非常に密接な関係があるというふうに考えております。

○古屋(範)委員 非常に皮肉な現象と言えるかもしれませんが、こうした医療費の削減、抑制ということも含めまして、国民健康保険の広域化、また都道府県の役割についてどのようなことを期待されているか、河内山参考人にお伺いいたします。

○河内山参考人 これは私の一つの夢でもあるんですが、やはり三十歳、四十歳の人に適切な健康づくり、これをどうやってやってもらったらいいのだろうか。これができれば、大分、生活習慣病の問題あるいは高齢時におけるさまざまな生活の質の低下を押しとどめることができるのではないか。

 今、国保中央会でも、糖尿病の対策をもう一回しっかりとやっていこうという検討をされておりまして、私も一緒に勉強させていただきますが、大変いい勉強になります。

 国保の方だけで考えて、高齢者の方々の生活習慣病の言ってみれば結果のところの医療費の問題を云々しましても、やはりそれは余り国民的に幸せではございません。だれも病気になろうと思ってなる人は少ないわけですね。四十歳ぐらいでいろいろと気づいたり、あるいは適切な対応が始まる。ですから、例えば糖尿病の場合でいうと、境界域というよりは正常域にどうやってアプローチしていくかということだと思うんですね。

 そのときに、都道府県の役割というのは非常に大事だと思うんです。例えば、柳井の隣に光市というところがありますけれども、新日鉄光という大変大きな会社がございます。そこの健保組合の方に対しまして、私が、三十歳、四十歳のときから健康づくりをもっとやりましょうと言ったんです、企業は企業でやっておられますけれどもね。そうは言っても、それは別に市長さんに言われる筋合いはないですよということになりますけれども、これをやはり都道府県知事が音頭をとって、大県民運動ですね、糖尿病対策をとにかく山口県として徹底的にやっていく、そういうことをもし県の施策としてやるようになれば、これは大きな進歩があります。

 そのことにやはり関心を持たれるためには、先ほど少し触れましたけれども、負担なくして関心なしだと思うんですね。やはり医療費の問題が非常に気にかかるというふうに県当局、知事さんがお考えになる、そういう意味では、今回の改革は非常に意味があると私は思いますし、広域化というのはそういう意味で、財政基盤が安定するだけではなくて、県民、国民にとって非常にいいことではないかなというふうには考えております。

○古屋(範)委員 もう時間がなくなってきましたが、本当に生活習慣病を含めた予防というものが今回のこうした改革の中で進んでいけば、これは本当によい点であるというふうに考えております。

 そこで、先ほど北町長から御紹介がございましたかかりつけ医推進モデル事業、こういうことを実施された結果、近隣の市町村と比べ医療費の伸びが低く抑えられているということでございました。この具体的な施策内容、また住民の方々の参加の意欲とか反響、手短で結構ですがお話しいただきたいと思います。

○北参考人 今のお話でございますけれども、内容を簡単に申し上げますと、私ども取り組んでおる中で一番大切なこと、今ほど三十歳、四十歳代というお話が出ました。全くそのとおりでございますが、同時に、やはり家庭が大事だと思います。

 そのために、私どもは国保中央会の取り組みを行って、私も、この取り組みをひとつ認めていただきたいということでやっていることは、小学校の生徒、中学校の生徒、高校の生徒、さわやか健診をやっております。その中で、いわゆる食に対する、食事の偏向だとか、肥満だとか、それから、今生活習慣病の初兆というものが子供のときからあらわれているわけでございます。

 こういったものをいわゆる調査、健診した結果について、お母さんたちといろいろと話をするんです。お母さんたちというのは、やはり今少ない子供さんでございますから、子供の健康には物すごい関心。だんなの健康にはそれほどでもないんですけれども、まあお酒を飲んだりなんかするので。だけれども、子供の健康というと目の色変えますよ。ですから、家庭の料理が変わってくる。このことが町民総ぐるみの健康運動に大きな役目を果たしているということが言える。時間がないというメモが入ったようでございますから、余り申し上げませんけれども。

 いずれにいたしましても、そういったものを契機にいたしまして、食生活改善協議会などを通じてやっておりますし、健康づくり応援団というのは、町民、住民と今どういうかかわりがあるか、これは六十人、七十人、八十人と膨らんできておりますけれども、そういった中で、地域地域でみんなが食を中心とした健康運動を町民総ぐるみでやっている。したがって、高齢者医療もそれほど上がらない。抑制される。そして、介護保険の要介護率も奈井江町近隣としてはうんと低いんです。こういうことが成果としてあらわれてくる。
 予防介護運動がどれだけ必要か。疾病予防運動、このことにもっともっと力を入れていただきたいと私はお願いを申し上げておきたいと思います。

 以上でございます。

○古屋(範)委員 貴重な意見、ありがとうございました。以上で質問を終わります。

Follow me!