NTTデータへ テレワークの現状を視察

豊洲にある株式会社NTTデータを訪問し、テレワークの現状を視察しました。同社は、2005年からテレワークのトライアルを開始し、「テレワークと女性ネットワーク」を提案。2008年に正式に制度化し、性別、役職、理由を限定せず、ほぼ全社員が利用可能で、現在6000人以上の社員が活用しているそうです。子どもが小学校3年まで、短時間勤務ができるという羨ましい企業ですが、クラウドコンピューティングの環境があり、セキュリティの面からも、テレワークという働き方の可能性が、更に多くの企業でひろがる可能性があります。オフィスも、固定したデスクではなく、広々とした、フレキシブルな使い勝手の良い設計になっており、効率化もできるとのことでした。

(以下、2013.8.15付 公明新聞より引用)

【通信技術を生かし柔軟に働く/導入広がるテレワーク】

少子高齢化の進展で労働人口の減少が懸念される中、情報通信技術を活用して時間や場所に制限されずに働けるテレワークが注目されている。在宅型テレワーカー人口は約1000万人に上り、今後も増え続けると推測され、育児や介護と仕事の両立を促すと期待されている。そこで、テレワークを積極的に導入するNTTデータの取り組みを紹介するとともに、今後の動向などについて探った。
 『育児・介護との両立可能に時間の有効活用で効率化/NTTデータ』
 「テレワークの前後に子どもと一緒に過ごせる時間を確保しやすく、仕事もはかどる。時間を有効に使えるのはありがたい」。こう語るのは、テレワークを利用するNTTデータの女性社員だ。「育児や介護をする社員にとっては有益な制度です。ボランティアやPTAの活動に参加するため、テレワークを活用する同僚もいる」
 同社は、月8日を限度に自宅や出張先などでの勤務を認めている。電話やメールなどで始業時と終業時に連絡を取り、必要があればウェブ会議で連携を取りながら仕事を進める。
 また、労働者の裁量で一定時間働いたとみなす裁量労働制(図参照)も導入。この結果、テレワーク利用時でも所定勤務時間を働いたとみなされるため、「柔軟に自主性を持って仕事ができるようになった」(同社人事部)という。
 実際、テレワーク利用者からは「通勤の疲労がない分、仕事の効率が向上した」「仕事の進み具合を明示しなければと意識するようになった。グループ内で仕事の見える化が進み、役割分担しながら段取りよく仕事ができるようになった」という声が相次いでいる。
 一方、テレワークの課題として指摘されるのがセキュリティー(情報の保護)対策だ。同社の場合、社員の端末に最低限の機能しか持たせず、各種のソフトを専用のデータセンター上で管理するシンクライアントを活用。端末には情報が残らないため、紛失しても情報流出を防げる。
 NTTデータの忽那太郎人事部長は語る。「キーワードは『多様性の尊重』。当社では女性が働きやすい環境を整えることをきっかけにテレワークを導入し、安心して仕事と育児を両立できるようになった。こうした仕組みを、育児休職からの早期復職や仕事での活躍につなげることで、女性の管理職を増やしていきたい。女性だけでなく、介護との両立や海外との仕事の進め方にも大いに期待できるため、将来的には、人種や性別を問わず、多様な人材の活躍をめざしている」
 『利用人口は1年で倍増/人材確保の新たな潮流が拡大』
 国土交通省の「平成24年度テレワーク人口実態調査」によると、在宅型のテレワーカー数は2012年で930万人に達し、11年時点の490万人からほぼ倍増している。
 減少する労働人口への対応や、厳しさを増すグローバル競争に勝ち抜くための企業戦略として重要度を増している。さらに、東日本大震災の発災後、危機管理の観点からもテレワークを導入する企業が増えたと見られる。
 日本人女性の多くは、結婚や出産、子育てを契機に労働市場から離れてしまうのが現状だ。日本テレワーク協会の今泉千明・主席研究員は、「子育てなどを理由に離職した女性の中には、即戦力となる人材が多い。テレワークの普及は、こうした女性に活躍の場を提供し、日本の労働力の向上につながる」と指摘する。
 一方、国際的には企業が優秀な人材を確保するため、テレワーク導入を後押しする潮流もある。それが「クラウドソーシング」だ。インターネットを介して不特定多数の人に業務を発注するサービスで、米国を中心に広がりつつある。
 ロイター通信によると、ドイツIBMは8000人分の仕事をクラウドソーシングで対応し、現在2万人いる社員を1万2000人に減らすことで、3分の1のコスト削減と30%の開発効率向上をめざしているという。
 クラウドソーシングに詳しい東京工業大学の比嘉邦彦教授は、「クラウドソーシングの台頭は世界的な潮流で、日本でも浸透しつつある。今後、人材の流動化が激しくなることが予測される」と指摘する。
 例えば、優秀な会社員で親の介護や育児などで通勤困難な場合、フリーランス(自由契約)としてクラウドソーシングで生計を立てることは十分に可能だ。比嘉教授は、クラウドソーシングの拡大によって「企業が優秀な人材を確保するため、働きやすい環境整備の一環としてテレワークをより普及することは十分に考えられる」と話す。
 政府が今年6月に閣議決定した「世界最先端IT国家創造宣言」では、「2020年には、テレワーク導入企業を2012年度比で3倍」にするほか、「女性の就業支援等により、第一子出産前後の女性の継続就業率を55%、25歳から44歳までの女性の就業率を73%まで高める」と目標を設定している。
 育児や介護と仕事の両立を促すテレワークの普及に期待が高まっている。
 『一人親世帯などへの普及を促進/公明党IT技術活用検討プロジェクトチーム/古屋範子座長(衆院議員)』
 公明党は、テレワークの普及や仕事と生活の調和に関する政策を推進してきた。そこで、公明党IT技術活用検討プロジェクトチームの古屋範子座長(衆院議員)に今後の拡大策などを聞いた。
    ◇ 
 世界に類を見ない早さで少子高齢化が進む日本では、経済を支えている生産年齢人口(15〜64歳)が急激に減少し、労働力の弱体化が懸念されています。その一方で、出産・育児で仕事を離れざるを得ない女性や、介護などを理由に離職しなくてはならないケースも多くあります。
 特に、子どもが幼い一人親世帯(約146万世帯)などの場合、アルバイトなどの非正規労働率が高く、貧困率は先進諸国の中でも極めて高い水準であり、対策が急務です。
 働く能力と意欲があっても働く機会のない人にとって、テレワークは非常に有効な「働き方」であり、企業の成功例も数多くあります。
 今後は、テレワーク導入による労働時間の長期化などの課題に対応しながら、より多くの企業や行政が導入できるよう環境整備を進めていきます。

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